新古今和歌集の部屋

唐詩選画本 塞下曲 其二 常建 蔵書

 


                その に
 其  二
ほつかいのいんぷう
北 海 陰 風
うごかしちをきたる。めい
動 地 来 明
くんしじやうのぞむ
君 祠 上 望
りやうたいを。どくろ
龍 堆 髑 髏
こと/\くこれちやうじやう
盡 是 長 城
そつじつぼしや
卒 日 暮 沙
ぢやうとんでなるはいと
塲 飛 㑅 灰

めいくんは、しやうくんのはかなり。
ゑびすのほつかいから、すさまじい
いん風が地をうごかして、ふき
きたる。龍堆はしやじよう
で、龍のなるのやふなるに
よつて、いふうなり。ひやう/\と
はてしもない処じや。むかしより
みやこからこのところへきて、
うちじにした士卒どもの、しがい
を、だれかたづけることのも、なければ、
はつこつばかりじや。くれあいに見
れば、ちりほこりとなりて、風に
ふきとぶ。ばんてきている
我らも、かくのすぐであろうふと、
かんにたへられぬと也。
くはしくは、國字解を
見るべし。



 塞下曲 其二 常建
北海の陰風、地を動かし来たる。
明君祠上、龍堆を望む。
髑髏、尽く是長城卒。
日暮沙塲、飛んで灰と作(な)る。
 
意訳
バイカル湖から吹く北風は、砂漠の砂を舞い上げて来る。
王昭君の祠の上からは、遠く龍堆の砂漠を望める。
数多く見えるドクロは、ことごとく長城を築いた時に駆り出された兵卒のものだ。
日暮れの砂漠で、飛んで灰となってしまっただけ。
 
※塞下曲 新楽府題。四首連作の第三首。
 
※北海 バイカル湖だと思われる。
 
※陰風 北風
 
※明君祠 漢の元帝の後宮にいた王昭君。絵師に賄賂を贈らず不美人に描かれ、匈奴王に請われて嫁いだ。その祠
 
※龍堆 新疆ウイグルの頭部、ロプノールの東にある砂漠
 
※長城卒 万里の長城を築いた時に、駆り出された兵卒
 
唐詩選画本 七言絶句 巻第五
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