秋風 な荻の
の 葉なら
吹くにつけて ば音は
も
訪はぬか して
まし
拾遺集 哀傷歌
むすめにおくれ侍りて 中務
忘られてしばしまどろむほどもがないつかは君を夢ならでみむ
拾遺集※和漢朗詠集(いかに→いかで)には中務としている。
天暦十年三月廿九日内裏歌合に
(中納言朝忠)
鴬の声なかりせば雪きえぬ山ざといかに春をしらまし
新古今和歌集巻第一 春歌上
題しらず
よみ人知らず
いそのかみ古き都を來て見れば昔かざしし花咲きにけり
よみ:いそのかみふるきみやこをきてみればむかしかざししはなさきにけり 定隆 隠
意味:(いそのかみ)古い都に来て見ると、昔大宮人が、頭に簪にした花は、今もさいています。
備考: 和漢朗詠集 古京の或本、三十六歌仙では、中務となっている。いそのかみは、ふるを導く枕詞。中務集には、「村上の先帝の御時の屏風、国々の所々の名を書かせ給ひて、いそのかみ」とある。
忠見集
さらしなにやどりはとらじ姥捨ての山まで照らす秋の夜の月
拾遺集 恋歌三
返し 中務
さやかにもみるべき月を我はただ涙にくもるをりぞおほかる
中務集
待ちつらむ都の人に逢坂の関まできぬとつげややらまし
拾遺集 秋歌
三条のきさいの宮の裳き侍りける屏風に、九月九日の所
元輔
元輔
我が宿の聞くの白露けふごとにいく世つもりてふちとなるらむ
和漢朗詠集 納涼 中務
下くぐる水に秋こそかよふらしむすぶ泉の手さへすずしき
拾遺集 春歌
子にまかりおくれて侍りけるころ東山にこもりて
中務
咲けば散る咲かねばこひし山桜おもひたえせぬ花のうへかな
拾遺集 雑秋
天禄四年五月廿一日円融院のみかど一品
宮にわたらせ給ひてらんことらせ給ひけ
るまけわさを七月七日にかの宮より内の
大はん所にたてまつられける扇にはられ
て侍りけるうす物におりつけて侍りける
中務
あまの河河辺涼しき織女に扇の風を猶やかさまし
拾遺集 恋歌四
平かねきかやうやうかれかたになり
にけれはつかはしける
中務
秋風の吹くにつけても訪はぬかな荻の葉ならば音はしてまし
後撰集 恋歌五
左大臣につかはしける
中務
ありしだに憂かりしものを飽かずとていづくにそふるつらさなるらむ