にしに夕にむまるゝならひたヽ
みつのあはにそにたりける。
しらすむまれしぬる人いつ方より
きたりていつ方へかさる。また
しらすかりのやとりたれかた
めにかこゝろをなやましなにゝ
よりてか心をよろこはしむる。
そのあるしとすみかと無常を
あらそふさまいはゝあさかおの
(朝)
に死に夕に生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。
知らず、生まれ死ぬる人、何方より来たりて、何方へか去る。
又、知らず、借りの宿、誰が為にか心を悩まし、何によりてか心を悦ばしむる。
その主と住み家と無常を争ふ樣、云はば朝顔の
(参考)大福光寺本
ニ死ニ夕ニ生ルゝナラヒ水ノアハニソ似タリケル
不知ウマレ死ル人イツカタヨリキタリテイツカタヘカ去ル
又不知カリノヤトリタカ為ニカ心ヲナヤマシナニゝヨリテカ目ヲヨロコハシムル
ソノアルシトスミカト無常ヲアラソフサマイハゝアサカホノ