わらやみにわづらひたまひてよろづに
まじないかぢなどまいらせたまへどしるし
なくてあまたゝびおこりたまひければある
人きたやまになむなにがしてらといふ所
にかしこきをこなひゝと侍る。こぞのなつ
も世におこりて人/\まじな○わづら
やがてとゞむるたぐひあまた侍りき。しゝこら
かしつる時はうたて侍るをとくこゝろみさ
たらればさん:2019年には、旧大名家の子孫宅(蔵)で「青表紙本(定家本)」の1帖が新たに見つかって大きなニュースになりました。
平安時代中期の長編物語で、紫式部作の「源氏物語」の写本のうち、最古とされる鎌倉時代の藤原定家(ていか)(1162~1241)筆の「若紫(わかむらさき)」の巻の写本がみつかった。現存が確認された定家筆の写本では5冊目となり、「若紫」の発見は初めて。
(中略)
2019年2月、三河吉田(みかわよしだ)藩(愛知県豊橋市)の大河内(おおこうち)家の当主、大河内元冬さん(72)の東京の自宅でみつかった。縦21.9センチ、横14.3センチで、納戸の長持(ながもち)の中に保管されていた。
2019年10月9日付 朝日新聞紙面より引用(中略)
2019年2月、三河吉田(みかわよしだ)藩(愛知県豊橋市)の大河内(おおこうち)家の当主、大河内元冬さん(72)の東京の自宅でみつかった。縦21.9センチ、横14.3センチで、納戸の長持(ながもち)の中に保管されていた。
水野:5年前!?意外と最近でも見つかるんですね!
たらればさん:「青表紙本」は、鎌倉時代初期の歌人・藤原定家が校訂した写本のことで、「定家本」とも呼ばれています。
平安時代末期から鎌倉時代にかけて生きた人たちは、まぁ当然はっきりした自覚はなかったでしょうけど、「もう貴族の時代は終わりなのかもしれない…」という意識があったわけですね。鎌倉の武士政権によって帝が退位させら
たらればさん:「青表紙本」は、鎌倉時代初期の歌人・藤原定家が校訂した写本のことで、「定家本」とも呼ばれています。
平安時代末期から鎌倉時代にかけて生きた人たちは、まぁ当然はっきりした自覚はなかったでしょうけど、「もう貴族の時代は終わりなのかもしれない…」という意識があったわけですね。鎌倉の武士政権によって帝が退位させら
れたり、流罪になるわけですから。
その時代に生きた藤原定家は、百人一首を選んだ人でもあります。「王朝文化、貴族の時代とはなんだったのか」、「その集大成を残すべきじゃないか」と考えたんだと思います。
そこで藤原定家は、平安時代に生まれた文学作品をなるべく原典に近い形で書き写して残そうとするんです。そしてすばらしいことに、自分の子孫にも「これをやりなさい」と伝えたんですね。
藤原定家一族は、これこそが我が家の仕事であると定めた貴族です。日本の古典文学の火を灯した人でもあると思っています。