新古今和歌集の部屋

歌論 無名抄 同人名字讀事






同人哥ニ名字ヲヨム事
法性寺殿に會ありけるとき俊頼朝臣まひりたり
けり。兼昌こうじにて哥よみあぐるにとしよりの



哥に名をかゝざりければみあはせてうちしわぶきて
御名はいかにとしのびやかにいひけるをたゞよみ給へと
いはれければよみける哥に
  うのはなの身のしらがともみゆるかな
  しつがかきねも俊頼にけり
とかきたるを兼昌したなきしてしきりにうな
づきつゝめでかんじけり。殿きかせ給てめして御
らんじていみじうけうぜさせ給けりとぞ。かの哥の
題をうた一首によみたりけむ心ばせはやゝまさり
てこそ侍れ。


※法性寺殿
藤原忠通

※兼昌
宇多源氏。摂津守俊輔男。

※かの哥の題をうた一首によみたりけむ
源頼政
ひだりまきの淵々落たぎり氷魚けき如何に寄りまさるらん
のエピソードを指すか?
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