新古今和歌集の部屋

歌論 無名抄 頼実数寄

 

 

頼實ガスキノ事

左衛門尉蔵人頼實はいみじきすき物なり。和哥

に心ざしふかくて五年が命をたてまつらん。

秀哥よませ給へとすみよしにいのり申けり。

そのゝち年へておもきやまひをうけたり

けるとき命いくべきいのりどもしける時家

にありける女にすみよしの明神つき給て

かねていのり申事をばわすれたりか。

この葉ちるやどはきゝわくことぞなき

しぐれするよもしぐれせぬよも

といへる秀哥よませしはなんぢが信をいたして

われに心ざし申しゆへなり。さればこのたびは

いかにもいくまじき也とておぼせられけり。

 

頼實ガスキノ事
左衛門尉蔵人頼実は、いみじきすき物なり。和歌に志深く
て、「五年が命を奉らん。秀歌よませ給へ」と住吉に祈り
申しけり。その後、年経て、重き病をうけたりける時、命
生くべき祈りどもしける時、家にありける女に住吉の明神、
憑き給て、「かねて祈り申し事をば忘れたりか。
 木の葉ちる宿は聞き分くことぞなき
 時雨する夜も時雨せぬ夜も
といへる秀歌よませしは、汝が信をいたして、我に志申し
し故なり。されば、この度は、いかにも生くまじき也」と
て、仰せられけり。

 

※左衛門尉蔵人頼実 清和源氏多田流。頼国男、頼綱兄。従五位下左衛門尉。和歌六人党の一人。後拾遺初出。

※木の葉ちる 後拾遺集冬。題は落葉如雨。袋草子にも同話がある。

※生くまじき 助からないぞ

コメント一覧

jikan314
@kunorikunori ささら電車の語源ですね。
今日は20℃を下回ったとか。ご体調に十分御注意下さい。お風邪を召したりしたら、コロナと間違われてしまいますよ。
しゃらしゃらとささら踊りや秋祭り
jikan314
@kunorikunori 又シンクロしていましたね。私は無名抄を週一でアップする予定を立て、その順番に従って作成していたに過ぎません。多田源氏とは教えて頂くまでは知りませんでした。
ご紹介頂いたサイトにも「丹波の大江山千丈嶽」と有り、丹後の大江山でない事に不思議に思っております。京と丹波の境に大枝山と言う山が有り、麓には、首塚が有ります。
京都人が作った物語で京と丹波と丹後を間違えるはずも無いものと思っております。
又、教え合いましょう。
kunorikunori
間違えました。びんささら、ですね。
ささら電車の「ささら」かも知れません。
先が竹ひごでできた除雪車です。
kunorikunori
Jikan様
ありがとうございます!
頼実・頼綱までは遡ったことがなかったので調べてみます。
今、頼光の大江山の話を見るとまた「ビンサララ」が出ておりました。お祝いの時に使う楽器だったのかもしれませんね。
https://tangonotimei.com/bunken7.html
jikan314
@kunorikunori そうです。多田源氏です。そこまで考えていませんでした。有難うございます。
ちょっと加筆しますね。
拙句
秋はまた遠ざかり行く葉月尽
(今日は36℃と言う事で、未だ外に出ておりません)
kunorikunori
Jikan様

この頼実さんと 頼綱さんは、もしかして兄弟なのでは???
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