あきまへ~ん。エッセイの神様が降りてこない。こんな状況を正直に語ってみるのもよいかと、今回は創作裏話を。現在『恋うた』シリーズを手掛けておりますが、あるお仲間さんの日記に刺激を受け、新作は「パンドラの箱」というテーマでいこうと。それに伴って、色々調べ物をしていたんですよ。そうしたら収拾がつかなくなった。太宰治の『パンドラの匣』に始まり、ギリシア神話、そうしてキリスト教の七つの大罪へ行ってしまいまして。このままでは、映画『セブン』へ手を伸ばし、ブラッド・ピットについて語ってしまいそうです。おーい!私の恋バナどこいくんや~。「パンドラの箱」とは、’災いが降りかかるから触れてはならない’という意味で使われる慣用句ですが、もともとギリシア神話の伝説からきているんですね。で、ギリシア神話の世界を覗いてみましたら、これが面白い。神々による天地創造・生物誕生の箇所では、日本の神話を思い出したり・・・イザナギとイザナミが日本国を創っていく話と似てる!って所から、親近感も増す訳ですよ。
日本には八百万(やおよろず)の神という解釈がある。アマテラスオオミカミ(天照大神)が太陽の神であるように自然界にちなんで、或いは農耕・生産など生活に即して、神の存在を当てはめています。神話にも役割を担った神々が登場、それぞれエピソードがありますね。アマテラスオオミカミの天岩戸伝説、スサノオノミコト(素盞鳴尊)のヤマタノオロチ退治伝説。みなさんも、ご存知だと思います。ギリシア神話も、似たような構造で出来上がっている・・・そう気づいた時、遠い異国の話ではなくなった。
なんや、じんちゃん宗教がかってきたなぁ。そのうち私は、卑弥呼(ひみこ)の生まれ変わりとでも言い出だすんちゃうやろか。くわばらくわばら。で、現在息子(小5)が所有している本を、そっと手に取りました。これ、元々私のものです。1979年度版偕成社文庫の『ギリシア神話』。小学校の時に購入して、どうしても捨てられなかった本が実家にあるの。竹山道雄の『ビルマの竪琴』、獅子文六の『悦ちゃん』。時代モノでは『南総里見八犬伝』。海外モノだと『ドリトル先生航海記』『帰ってきたメアリーポピンズ』。幾多の危機をくぐり抜け、最後まで生き残った作品たちです。
書店で子ども向けの本の棚を、覗いてみてください。昔ながらの王道・名作、見事に切り捨てられています。売れないから?それ以前に置いてへんでしょ。手に取らせる努力をしてくださいよ。戦争・人種差別、ちょっとでもひっかかったらアカンアカンってね。作者の真意は、そういう所にないでしょう?存在そのものを失くしてしまうのは、考える機会をも奪ってしまうこと。『ビルマの竪琴』や『ハックルベリーフィンの冒険』から、子どもたちが何を汲み取るのか。もっと信用してもいいし、大切な部分をすくい上げる情緒を養うのも、教育なのではないか。時代遅れと言って切り捨てないで~!そんな気持ちでいます。
おっと、ギリシア神話だった。で、ウン十年ぶりに読み返してみましたの。むむ、これは・・・。そこに描かれていたこと、崇高な話ばかりではなかった。神様同士の闘争、愛と憎しみ。嫉妬したり、陥れたり・・・欲だってあります。権力が絡めば、身内をも疑います。そうして、こちらは善あちらは悪と、はっきり分かれているとは限らない。美しい女神にも、いたずら心や意地悪な感情が宿りますからね。私のように。おーっほっほ。
大体、最も偉いとされている神ゼウスですが、これまた、ちょいと困った神様だ。天空神-とりわけ雷を支配していた-というだけあって、おっかない神様でね、短気なの。すぐ懲らしめてやろうって気持ちが、頭をもたげるの。そのクセまぁ・・・こんな感じよ。「ある日のこと、あてもなく下の世界をながめていたゼウスの目に、ふと美しい少女の姿がうつりました。それはイーオーという名の少女でした。お妃のヘーラーの目をぬすんで、ほかの女の人のところへいくのが大すきなゼウスは、なかよしの友だちにするのにちょうどよい相手だと思って・・・」。そこここに仲良しのお友だちをつくって、さぞ楽しいことでしょうよ。おかげでイーオーちゃん、牛に姿を変えられるわ、お妃の嫉妬で耳にあぶをいれられるわ、とんだ災難です。
「あ~ホレっぽいんだよね。それにハンサムなんだ」と、解説を加えるのは息子。なんやのハンサムて。見たんかいな。「そして、その行動が新たな火種を生むんだよな。」ちょっと!ちょっと!人に厳しく接している割には、自分に甘くありませんか?一体何様やの。「神様じゃ」くーっ。それが一方で、’弱者の守護神’’正義と慈悲の神’ですから。その正義感・慈悲のお心、まずは周囲の者たちへ向けていただきたいものですわ。「不倫をしている女神もいるんだよ。」「誰それ?」「アフロディーテ。」「愛と美の女神、母ちゃんやな。」「鍛冶の神の夫がいるんだけどサ、手先が器用なだけの男なんてつまらないわ!って、かっこいい軍神になびくんだよ。」 うちの夫、手先が器用なんすよ・・・。「ぷーっ。母ちゃんの軍神どこやろ~。」「父ちゃんにしときなよ~。どうせ軍事オタクなんだから。」そういう問題ちゃうやろ!しかしまてよ?私が読んだ本には、そんな記述はなかったはずだが。「その情報、どこから仕入れてきたの?」「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々。ギリシア神話を元にしたミステリーなんだ。面白いよ。母さんも読んでご覧よ。」
調べてみましたら、アメリカの実力派ミステリー作家が、児童向けに書いた作品のようで。目に留まったのが、翻訳者の金原瑞人。数年前、若干20歳にして『蛇にピアス』で芥川賞を取った、金原ひとみ嬢のお父上じゃないですか。ギリシア神話、色んな世界へつながるのね。日本の神話に飛べば、それをまとめた『古事記』や『日本書紀』へ。神々の名前(星に関連しているものがある)からは、宇宙へ。ゼウスをまつる宮殿があった場所(オリュムポス)からは、オリンピックへ。ナルシストやエコーのように、現在使われている言葉の語源になっているものも多い。英雄たちの物語からは、蜷川幸雄さんのお芝居へも飛ぶよ。(『王女メディア』)
「探偵学園Qに、ハデスって悪役がでてくるやん。あれもギリシア神話の冥界の王から来てるんだね。」「そそ。手下のケルベロスは地獄の番犬。ところで母さん、何でギリシア神話なんか調べてるの?」おっと、パンドラの箱だった・・・。シナプスが大活躍で。神木龍之介くん(キュウ)のように、「わかっちゃったかも!」と言いたいくらいよ。何を若ぶっていやがる。君の年代は、あばれはっちゃくの「ひらめいた!」だろ~。そんなツッコミが入る前に、そろそろおいとま致します・・・。口の悪い夫からも言われるからな。「てめぇの馬鹿さ加減には、父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ」(BY東野英心)。わかる人にしかわからない、『あばれはっちゃく』の名セリフでしたー。
https://www.youtube.com/watch?v=T6RSb7Goh4w
※『散歩道』を改題致しました
日本には八百万(やおよろず)の神という解釈がある。アマテラスオオミカミ(天照大神)が太陽の神であるように自然界にちなんで、或いは農耕・生産など生活に即して、神の存在を当てはめています。神話にも役割を担った神々が登場、それぞれエピソードがありますね。アマテラスオオミカミの天岩戸伝説、スサノオノミコト(素盞鳴尊)のヤマタノオロチ退治伝説。みなさんも、ご存知だと思います。ギリシア神話も、似たような構造で出来上がっている・・・そう気づいた時、遠い異国の話ではなくなった。
なんや、じんちゃん宗教がかってきたなぁ。そのうち私は、卑弥呼(ひみこ)の生まれ変わりとでも言い出だすんちゃうやろか。くわばらくわばら。で、現在息子(小5)が所有している本を、そっと手に取りました。これ、元々私のものです。1979年度版偕成社文庫の『ギリシア神話』。小学校の時に購入して、どうしても捨てられなかった本が実家にあるの。竹山道雄の『ビルマの竪琴』、獅子文六の『悦ちゃん』。時代モノでは『南総里見八犬伝』。海外モノだと『ドリトル先生航海記』『帰ってきたメアリーポピンズ』。幾多の危機をくぐり抜け、最後まで生き残った作品たちです。
書店で子ども向けの本の棚を、覗いてみてください。昔ながらの王道・名作、見事に切り捨てられています。売れないから?それ以前に置いてへんでしょ。手に取らせる努力をしてくださいよ。戦争・人種差別、ちょっとでもひっかかったらアカンアカンってね。作者の真意は、そういう所にないでしょう?存在そのものを失くしてしまうのは、考える機会をも奪ってしまうこと。『ビルマの竪琴』や『ハックルベリーフィンの冒険』から、子どもたちが何を汲み取るのか。もっと信用してもいいし、大切な部分をすくい上げる情緒を養うのも、教育なのではないか。時代遅れと言って切り捨てないで~!そんな気持ちでいます。
おっと、ギリシア神話だった。で、ウン十年ぶりに読み返してみましたの。むむ、これは・・・。そこに描かれていたこと、崇高な話ばかりではなかった。神様同士の闘争、愛と憎しみ。嫉妬したり、陥れたり・・・欲だってあります。権力が絡めば、身内をも疑います。そうして、こちらは善あちらは悪と、はっきり分かれているとは限らない。美しい女神にも、いたずら心や意地悪な感情が宿りますからね。私のように。おーっほっほ。
大体、最も偉いとされている神ゼウスですが、これまた、ちょいと困った神様だ。天空神-とりわけ雷を支配していた-というだけあって、おっかない神様でね、短気なの。すぐ懲らしめてやろうって気持ちが、頭をもたげるの。そのクセまぁ・・・こんな感じよ。「ある日のこと、あてもなく下の世界をながめていたゼウスの目に、ふと美しい少女の姿がうつりました。それはイーオーという名の少女でした。お妃のヘーラーの目をぬすんで、ほかの女の人のところへいくのが大すきなゼウスは、なかよしの友だちにするのにちょうどよい相手だと思って・・・」。そこここに仲良しのお友だちをつくって、さぞ楽しいことでしょうよ。おかげでイーオーちゃん、牛に姿を変えられるわ、お妃の嫉妬で耳にあぶをいれられるわ、とんだ災難です。
「あ~ホレっぽいんだよね。それにハンサムなんだ」と、解説を加えるのは息子。なんやのハンサムて。見たんかいな。「そして、その行動が新たな火種を生むんだよな。」ちょっと!ちょっと!人に厳しく接している割には、自分に甘くありませんか?一体何様やの。「神様じゃ」くーっ。それが一方で、’弱者の守護神’’正義と慈悲の神’ですから。その正義感・慈悲のお心、まずは周囲の者たちへ向けていただきたいものですわ。「不倫をしている女神もいるんだよ。」「誰それ?」「アフロディーテ。」「愛と美の女神、母ちゃんやな。」「鍛冶の神の夫がいるんだけどサ、手先が器用なだけの男なんてつまらないわ!って、かっこいい軍神になびくんだよ。」 うちの夫、手先が器用なんすよ・・・。「ぷーっ。母ちゃんの軍神どこやろ~。」「父ちゃんにしときなよ~。どうせ軍事オタクなんだから。」そういう問題ちゃうやろ!しかしまてよ?私が読んだ本には、そんな記述はなかったはずだが。「その情報、どこから仕入れてきたの?」「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々。ギリシア神話を元にしたミステリーなんだ。面白いよ。母さんも読んでご覧よ。」
調べてみましたら、アメリカの実力派ミステリー作家が、児童向けに書いた作品のようで。目に留まったのが、翻訳者の金原瑞人。数年前、若干20歳にして『蛇にピアス』で芥川賞を取った、金原ひとみ嬢のお父上じゃないですか。ギリシア神話、色んな世界へつながるのね。日本の神話に飛べば、それをまとめた『古事記』や『日本書紀』へ。神々の名前(星に関連しているものがある)からは、宇宙へ。ゼウスをまつる宮殿があった場所(オリュムポス)からは、オリンピックへ。ナルシストやエコーのように、現在使われている言葉の語源になっているものも多い。英雄たちの物語からは、蜷川幸雄さんのお芝居へも飛ぶよ。(『王女メディア』)
「探偵学園Qに、ハデスって悪役がでてくるやん。あれもギリシア神話の冥界の王から来てるんだね。」「そそ。手下のケルベロスは地獄の番犬。ところで母さん、何でギリシア神話なんか調べてるの?」おっと、パンドラの箱だった・・・。シナプスが大活躍で。神木龍之介くん(キュウ)のように、「わかっちゃったかも!」と言いたいくらいよ。何を若ぶっていやがる。君の年代は、あばれはっちゃくの「ひらめいた!」だろ~。そんなツッコミが入る前に、そろそろおいとま致します・・・。口の悪い夫からも言われるからな。「てめぇの馬鹿さ加減には、父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ」(BY東野英心)。わかる人にしかわからない、『あばれはっちゃく』の名セリフでしたー。
https://www.youtube.com/watch?v=T6RSb7Goh4w
※『散歩道』を改題致しました