JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

風に吹かれて♪

2008年08月20日 19時30分13秒 | 本と雑誌
 ボブ・ディランちゃいますよ。ふと気がつくとブログ開店1周年。ここでの活動もしばらく停滞していたのですが、少しは前へ進もうかと。私ね、風に吹かれているのが好きなの。だからまた、窓を開け放ちます。ブログを始めた当初の気持ち、気軽に、気兼ねなく、色んな事について語りたい。その原点へ帰ってみようかな。

 最近、素直な気持ちを吐き出す場所が欲しいなぁと思っていました。エッセイも手掛けているのだけれど、どうしても作り込む部分が出てくる。プレッシャーもかかります。楽しいけど辛い。辛いけど楽しい。そんな感じなんですねぇ。もっとリラックスした状態で語れないものか?そうだ!ちょうどいい空間があるじゃない。ここはね、ちょっと不思議な場所なんですよ。外部に対して開かれている一方で、私が属しているコミュニティでは、お仲間さんに一歩踏み込んでもらわなければならない・・・そういう空間なんです。裏を返せば、ここまで来てくれる方というのは、私に対してマニアックなお仲間さんだということ。そんな状況を踏まえてできることも、考えていきたいと思います。

 まずは、プライベートトークから始めますか。去年の秋頃から、病的に本を読むようになりました。同じ年代の男性が仕事に打ち込むように、私は本に没頭していた訳です。ここまで激しく傾倒したのは、初めてかもしれません。私の本好きなんて、たかがしれていましたもの。’何かに深く入り込みたい’書くことと同様、読むことも精神安定剤代わりになるのですが、心が波打っている時には、ページを開いて文字を目で追っても、頭の中へ入ってこない。だから、心の健康を計るバロメーターの役割も果たしていました。

 その時々によってね、求めたくなる作品があるの。そういったことからも、心の状態を窺い知ることができます。では現在の私が手にしているのは、どんなものか。山田詠美『ひざまずいて足をお舐め』。あはは。びっくりしましたぁ~?それともああやっぱりでしょうか。SMクラブの女王様が新人賞受賞の注目作家に!詠美さんの自伝とも言える内容ですが、彼女がどんな人生をたどってきたかという興味本位の視点よりも、随所に散りばめられたカグワシキ精神に触れるのが気持ちいいんです。多分、今だからわかること。

 これには前ふりがありまして、直前に読んでいたのが村上龍『すべての男は消耗品である』だったの。私、この本を周期的に読んでるんですね。で、今回はそれまでにない違和感を感じたんです。龍さんの論理って・・・封建的?女性は元気だ。やはり女性にはかなわない。そんな言葉を繰り返しながら・・・軽く馬鹿にしてらっしゃるの?基本的に好きな人なんで苦笑で済ませておきましたが(←これがいけないのよネ)、心にうずいたもやもやを、ピシャリやっつけてくれたのが、詠美さんの解説だったのです。それで今度は、彼女の本を手に取ってみたと。

 ”男の沽券とやらのない世界、私は充分に知り尽くせて、とっても幸せだね。そんなもんがある世界で、どれ程の男そして女がつまらない目にあってることか”

 こんな一文に、共感をおぼえるんですよ。ここ数年わだかまっていた不愉快な思いの原点が、巧みに描写されていました。自由にものが言える時代になったようで、男も女も、依然として昔ながらの縛りに囚われている。Cafeでお仲間さんの日記を読んでいても、そういった空気を感じることがあります。特に女性。類友なのかもしれませんが、気持ちの収め方について、悩んだり迷ったりされてる方が、少なからずいらっしゃる。中でも男性との係わりにおいて、気持ちを溜め込んでしまう、相手の為にこらえている。詠美さん言うところの”それに胡坐をかいてる男、それを許している女”といった状況が、まだまだあるんじゃないかしら。いい形での男女関係を目差したいし、さぐっていきたいのですが・・・前へ進もうとしては、コテンとコケて。口ばかりの女です。詠美さんの迷いのなさが羨ましいわ。

 少し思い出話を。『すべての男は消耗品である』。初デートに、この本を持参した過去がございますの。「ごめんなさい。こんな本を読んでいるの・・・」なんてね。彼はどんな気持ちだったのでしょうか。’カーン。おいら消耗品かよ!’ そらフラれますわねぇ。決して彼を軽んじていた訳ではないのです。当時この本に救いを求めようとしていたの。引いては村上龍さんにかな。制度なんてくそくらえ!みたいな雰囲気があるじゃないですか。従来の縛りに立ち向かっていくような。大丈夫だよって背中を押してもらいたかった。ところが、そうはいかなかったのねぇ。

 当たり前だ。道ならぬ世界へ足を踏み入れておいて、わかってもらおうだなんて虫がいいにも程がある。確かにそうなんですが、渦中にいる時というのは大海の中、たった二人で船を漕いでいる状態。不安で孤独なものですから、「誰も味方になんかなってくれない・・・」 彼の前でね、半ベソかいたんです。イタイイタイ。すると彼は私の肩にそっと手を回し、こう言いました。 「渡辺淳一がいるじゃないか。」

 笑うとこちゃいますよ。二人とも大真面目だったんですから。今はね、思い返すだに肩震わせて笑ろてます。もうね、笑いのツボを心得ている人にしか言えない。しかも後で効いてくるなんて。〇年殺しか!その時はね、「ああ・・・そうね」と若干首をかしげながら。まったく、とんだバカップルですわね。あらあら、また作り込みに入ってしまったようなので、この辺で失礼致します。それでは皆様、御機嫌よう。

 ※ この頃は、エッセイとブログを公開する場が分かれていました。その後一本化されております。