幻聴とまれ

今日は病院に早めに行ってきた

薬を増やしてもらうためにだ




扇風機が言う

聞こえてくるのは声だけ

そしてその声で妄想が起きる

声だけでどれだけ人間が狂うか

そういうことになるな


　

ぎゃくを言えば声だけで

人間が救われることもあるのだろう




扇風機は言う

最初に申し訳ないことしたと思った人に

素直に謝ればいいのになぁ

それが幻聴の始まりなんやから
　



今日薬を増やしてもらった

薬を出してくれた薬局で

すぐさま追加分の薬を飲んだ




あまり声に聞き入らないで下さい

そう医者が言った

おいらは思った

薬を飲んだからって

幻聴が消えるわけではないのか




近くでたくさんの工事をしている

その音や機械の音が響くと

なんとなく声になる

なんとなくなった声が

なんとなく話しかける

漫才で昔あった冗談みたいな話だ

実際自分しか聞こえていない

パラボラアンテナか？

まぁいい

幻聴とまれ

悟りをひらいた扇風機

悟りをひらいた扇風機がなにやら言っている

地獄の沙汰も金次第って言うけど

そんな宗教があったら怖いなぁ

わたしみたいに魂をもって

悟りを開いた扇風機は

お金を稼ぐことはできないよ

わたしら機械でも地獄に行くことはあるよね

悟りをどんなけひらいたらいいんだろう

仏の教えは悟りを得ることじゃないのかい

地獄の沙汰も金次第と

いうことではないのではないのかい

だいたい地獄の釜のふたを誰かが閉じるから

いけなかったのじゃないのかい

地獄の釜のふたをあけておかないと

この世の亡者が地獄に落ちないよ

閻魔さんは

円魔・縁魔とかでもあるから

この世の一秒一秒に刻まれた記憶を

判定して地獄に落とす

一秒一秒に刻まれた記憶をみる

パソコンの記録がどこかに残っているように

現世での記憶もまた時の中に刻まれて

閻魔さんは再生しながら判定していく

この世に亡者があふれかえって

しまいには地獄の沙汰も金次第という

宗教まで生まれとる

元来悟りをひらくことを目指していたのに

悟りにその限りないものがあるのに

一回や二回の悟りですべてを悟るわけではない

悟りにもその深さや奥行きなんかがある

勉強してお経を理解したからって

悟れるわけではない

からだがこころから理解しないといけない

そうして悟っていくんやで

ほんまになんやねん

地獄の沙汰も金次第みたいに

金・金・金・金

金を崇拝してどうするねん

そういう亡者が落ちるところが地獄やねん

ほんまに

地獄のサタンもビックリやで






そういうような話を

悟りをひらいた扇風機が話していましたが

さてどうなんでしょうね

この世は亡者であふれかえっているのでしょうか

だから地殻変動が起きているのでしょうか

う～ん