「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

女子高校サッカー準決勝常盤木学園vs藤枝順心戦の価値ある壮絶さ

2015年01月07日 22時14分43秒 | サッカー・ユース年代、女子
高校サッカーといえば男子、という時代ではなくなったと思う。女子も価値ある大会になっている。まだサッカー誌では男子のように選手名鑑や大会注目選手などを網羅した綴じ込み版を作ったりしていないが、来年あたりからは、ぜひ、そうしてもらいたいと思う。

なにせ、お姉さん格の「なでしこジャパン」に続いて、U-17世代もワールドカップ制覇を果たしたのだから、世界レベルの実績で言えば男子以上ということになる。

女子高校サッカー選手権は、今回、第23回大会とのことだが、その間、なでしこジャパンやなでしこリーグに選手を送り込む土壌を着実に培ってきたといっていいのではないか。

この女子選手権を、テレビではTBS系列がCS、BSそして地上波を駆使して連日放映しているが、TBSとしては、先物買いのつもりで始めたのではないかと思う。フジテレビが「春高バレー」という知名度の高いコンテンツを有しているから、うちも何か育てたいと思う気持ちがあったに違いない。

今大会あたりを、コンテンツとしてどう評価をするのか、地上波の視聴率と合わせてTBS局の論評に注目してみたい。

さて今日は、たまたま準決勝・常盤木学園vs藤枝順心戦を地上波で短縮版を放送していたので見た。そうしたら、何と、まぁ、歴史的な試合を見た気がする。

この両校、過去2年連続対戦して、いずれもPK戦にもつれ込んでいる。おととしの第21回大会は準々決勝で対戦、両校無得点のままPK戦へ、この時は常盤木学園が勝ち、そのまま優勝、大会最多の5度目の栄冠を獲得している。

昨年は準決勝で対戦、後半アディショナルタイムに藤枝順心が同点に追いつきPK戦に、この時は藤枝順心がPK戦を制して決勝進出を果たしている。

そして今回である。試合は藤枝順心が交替出場の元気印・児野楓香(このふうか、と読むのだそうだ、なんてファンタスティックな名前の選手だろう)が先制ゴールを決めたので、これは藤枝順心の試合で終わるかと思ったら、なんと今回も後半アディショナルタイム、今度は常盤木学園が同点ゴールを決め、またもやPK戦にもつれ込んだのだ。

選手たちには過酷な試練だ。2度ならず3年連続してPK戦を戦わなければならなくなったのだ。しかも過去1勝1敗、決着の3度目みたいなことになってしまった。

ここまで来ると、どちらが勝ってもドキュメンタリーになるのだが、むしろ、見る側も威儀を正して、従容として結果を受け入れなければならないという気持ちになる。

結果はご存じのとおり、今回は常盤木学園が制した。敗者となった藤枝順心の選手たちの中には必ず自らを責める選手もいるに違いない。私は、軽薄な言葉や気持ちで、なぐさめを言うべきではないと思っている。

願わくば「勝負」という場に身を投じた自らを、さらに磨いていく動機づけになれば幸いだと思うし、これを、これから先長い人生の、一つの通過点としてぜひ糧にして欲しいと願うばかりだ。

そのようなことまで感じさせる、非常に価値のある試合を見せてもらった。感謝の気持ちで一杯だ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リバプールの赤と青

2015年01月07日 12時52分19秒 | 世界のサッカー
NHK-BSプレミアムというチャンネルで「世界ふれあい街あるき」という番組をやっている。どこかの都市の街路をぐるり歩きながら、その街の人とふれあい、街の雰囲気を伝えるという番組だ。

昨日6日の朝は、イギリス・リバプール編を見た。リバプールと言えば言わずと知れたビートルズを生んだ街であり、イングランド・プレミアリーグのリバプールFCとエバートンのホームタウンだ。どうやら先月12月23日に初回放送があったようだ。

私は、いかにも知った風に書いているが、実は、エバートンもリバプールのチームだと知ったのは、この番組を見たからだ。なので、とうにご存じのサッカーファンの方には当たり前の知識だと思うので申し訳ないが、赤と青の話に少々お付き合い願いたい。

貼り付けた画像は、リバフールFCのエンブレムとエバートンのエンブレムだ。



赤と青、つまりリバプールFCの赤とエバートンの青、それぞれのチームカラーだ。最初にその話をしてくれた人が「この街では、家族でも友達でも何人か集まっていれば、その中に、それぞれ赤と青のサポーターがいるから、試しに、どのグループでもいいから、赤ですか?青ですか?と尋ねてみるがいい」と教えてくれた。

そこで番組の取材陣(画面では取材陣の姿は映らず、日本語のナレーションだけで、その様子を伝えてくれる、この日のナレーターの一人は俳優の小倉久寛さん)は、さっそく何組かのグループに「すみません、突然ですが、赤ですか?青ですか?」と尋ねてみる。すると、最初の人が教えてくれたとおり、どのグループも、赤と答える人、青と答える人、まちまちで、何組か聞いたいずれも、だいたい半々といった答えだった。

もちろん家族の中でも友達同士でも、答えは分かれていた。取材陣は、たまらず「けんかにならないんですか?」と尋ねると「NO、リバプールFCとエバートンのサポーターは友好的なんだ」と返事が返ってきた。付け加えて「リバプールFCのほうがトロフィーの数が多いと言ってるけどね」だった。

トロフィーの数が少ないエバートンもサポーターの数では全然負けていない風だった。この雰囲気は驚きだ。普通、同じ街にあるサッカーチームは「あのチームだけには負けたくない」という意識を選手もサポーターもむき出しにしているものだと思っていた。

そしてダービーマッチ、つまり、同じ街、同じ地域どおしのチームの試合ともなれば、他の試合以上にヒートアップするものだと思っていたから、むしろ拍子抜けした。

この番組では、たとえばダービーマッチの時の、家族の中の表情や友達同士の表情までは追跡してくれなかったので、私は機会があれば、ぜひ、もっと詳しくリバプールFCとエバートンのサポーターの、お互いのチームについての態度などを知りたくなった。

つまり、他の地域とは異なる、何か特別な環境や歴史によって友好的な態度が育まれたのか、実際は他の地域と同じ程度に熱いのか、まず、それを確かめて、もし他の地域と異なる独特の友好的な雰囲気があるなら、他の地域にも伝えられるようなモデルを見いだせるのか、そんなことを突きつめてみたいと感じたのだ。

これも、当サッカー文化フォーラムとして研究テーマにしていきたい、そんなことを感じさせる番組だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする