「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

試合中の監督インタビューで絶対してはいけない質問

2013年11月18日 11時38分19秒 | テレビ番組

いつの頃からか、Jリーグや天皇杯などの試合で、ハーフタイムに監督を呼びとめて放送局のアナウンサーや解説者などがインタビューすることが普通となった。

わずか20秒とか30秒とは言え、監督は試合に向けた集中力を途切らされる。それでも各監督ともいやな顔をしないで応じている。

いまの時代はテレビ局の意向を無視できない時代ということで常態化してしまったことの一つだろう。そういうことは、たいていの場合「視聴者がそれを望んでいる」という理由のもとでなされることが普通だ。

私自身は、視聴者が本当に、監督が集中力を途切らせてまでインタビューに応じ、ナマの声を聞かせてくれと望んでいるかどうか、少し疑問視している。

監督の本音が「できれば集中力を途切らさないでロッカールームで選手に指示を出したいので、インタビューは遠慮願いたい、ハーフタイム時の指示などについては、広報を通じてできるだけ正確にお伝えするので、それで了解して欲しい」というところにあるとすれば、視聴者がそれでもなおインタビューに応じて欲しいと希望するだろうか。

テレビ局は、こういう場面が取れれは、より面白いはずだ、という自分たちの価値判断だけで監督をインタビューに引きづり出しているのではないかと思うが、もっと謙虚になって、放送のあり方を議論してほしい。

百歩譲って、インタビューが監督にとっても希望の場なのだとしても、聞いていい質問と絶対聞いてはいけない質問がおのずとあるのではないか。

土台、サッカーの試合に限らず、いつも、いろいろなテレビのインタビューの場面で思うのは、テレビの側が「絶対してはいけない質問がある」と考えてインタビューしているのだろうかという素朴な疑問である。

言いかえれば「絶対してはいけない質問などない、質問に答えるかどうかは相手次第だ。その対応時の表情も含めて、面白い絵がとれれば、それでいいのだ」とでも思っているのではないだろうか。

それはテレビメディアの自殺行為だと思う。そういうメディアを人々は必要としなくなるだろう。やはり、すべからく則(のり)というものがあり社会の公器と言われるテレビメディアには、自ら律して則(のり)を踏み外さないようにしなければならない。

先日、サッカーの試合放送の中で、この「絶対してはいけない質問」がインタビューアナウンサーの口から発せられた。

彼はこう聞いた。「試合前は、相手のウィークポイントを突いていきたいと話しておられましたが、相手のウィークポイントはどこですか、どこを突いていきますか」

私は思わずあいた口が塞がらなくなった。監督は答えるのだろうか。

ちょっと間があった後、監督は「それは答えられないですけど・・・」とやんわり拒否して、それでも、できるだけ丁寧にコメントしていた。

それにしても、いま試合中だというのに、監督も大変だ、対外的に言ってはならないことを言わないように、自分で頭を切り替えなければならないのである。こういう質問が飛んでくるから危なくてしょうがない世界なのだ。この試合中のヒリヒリした状態の中で、そういう頭の切り替えまで強いられる。それはテレビが試合の足を引っ張っていることと同じだ。

それにしても、このように絶対してはいけない質問が平気でアナウンサーの口から出てくるというのは、いったいどういうガバナンスになっているのか。

この質問がなぜ「絶対にしてはいけない質問」なのか。いままさに試合が続いているさなかである。勝つか負けるかの試合をしているのだ。その中に、第三者がずかずかと入り込んできて、相手の急所はどこなのか、見ているみんなに教えてくれと言っている。

このように、答えられる訳がないことを無理やり聞く、それは絶対してはいけないことなのだが、天下の公共放送のアナウンサーの口から、いとも簡単にこういう質問が出てくる。まさか、このアナウンサーまかせになっていたわけでもあるまい。局自体に、そういう自律的な抑制精神が失われているということだろう。

局には猛省してもらいたい。テレビ放送はサッカー文化の重要な一翼を担っている。ハーフタイムという限られた時間の中で、いかに気のきいたインタビューができるか、局も知恵の絞りどころだ。何人かでインタビュー項目をキチンと吟味する丁寧さを失わないでもらいたい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今朝のスポーツ紙、サッカー... | トップ | 「サッカーマガジン」誌では... »

コメントを投稿

テレビ番組」カテゴリの最新記事