総選挙も残すところ僅かで、その中でも「期日前投票」に行っている人も少なく無いので、民主党が大勝するという予測は覆りそうにない。
しかし、その動向調査によると民主党の政策や財源に不安を感じている人々も少なくないようである。
取り分け、財源の問題では、富裕層への増税はできそうもなく、軍事費を減らす意志もないので、日本共産党のような明瞭な財源を示し得ていない。
この点での有権者の不安は相当高い比率を示している。
また、「子育て支援のための給付金」も不評なようである。
給付金よりも制度を充実して欲しいという意見の方が優勢である。
さらに高速道路の無料化に関しても、「無料化の前にもっとやることがあるだろう」という意見や、「環境面からも公共交通機関の利用を促進するべきなのに、車の利用を促進するのはおかしい」などの意見が強いようである。
産経・朝日の意識調査による
(「赤旗」2009年8月26日付掲載)
それでも、民主党が圧勝するのは確かだろう。
しかし、最近急速に「民主党の一人勝ちで良いのか?」の疑問から日本共産党や社民党を見直す動きも出始めたようである。
もっとも党の理念を捨てて民主党と“選挙共闘”している社民党にも批判や不安を口にする人々も少なく無いようではあるが・・・
*******************************************
(左のアイコンをクリックして
もらえたら嬉しいです)
*******************************************
民主300議席上回る勢い=自民激減100前後か-公明も苦戦【衆院選情勢】(時事通信) - goo ニュース
衆院選終盤情勢 政権交代は確実 民主、300議席確保へ(産経新聞) - goo ニュース
民主圧倒、300超の勢い 政権交代強まる、衆院選情勢調査(共同通信) - goo ニュース
「民主300議席の勢い」各党に衝撃(朝日新聞) - goo ニュース
過熱する民主攻撃=ネットCM、中傷ビラ-自民【09衆院選】(時事通信) - goo ニュース
なぜ、地殻変動は起きたのか―総選挙、編集委員対談(朝日新聞) - goo ニュース
上記朝日新聞記事引用(長い!)
なぜ、地殻変動は起きたのか―総選挙、編集委員対談
朝日新聞 2009年8月26日11時41分
政権交代の是非を問う衆院選は「民主党圧勝」が現実味を帯びてきた。なぜ、地殻変動が起きたのか。選挙後はどうなるのか。政治担当編集委員の早野透、星浩、坪井ゆづるが話し合った。
■揺り戻しない 圧勝報道
早野 選挙になってないんだ。公示日の第一声で民主党の鳩山代表は「歴史を塗り替える」と言ったのに、麻生首相は「おわび」から始めた。「おわび」から入ったんじゃ、選挙にならないんだよ。
星 「民主圧勝」報道への揺り戻しがあるかどうか。これは、ほぼないと見る。判官びいきは負けている側に何か理があって、かわいそうだから起きる。いまの自民党には考えにくい。自民党には「政権にいるから応援する人」と「政治家個人のファン」の2種類ある。前者は情勢が悪くなって一気に逃げている。
早野 この期に及んでも、自民党は地元利益を言っている。麻生氏のチラシに「筑豊インター来年度完成」なんて書いてあるんだ。
坪井 あとは民主党批判ばかり。森元首相もチラシに、小沢チルドレンを「非正規社員や労働組合の事務員、キャバクラ嬢に至るまで、あまりにも国政をまかすには如何(いかが)かと思われる」なんて書いた。これでは支持基盤は固められても、無党派層は呼び込めないだろう。相手の民主党の33歳の女性候補から「森さんが初当選したのは32歳でした」と言い返されてもいた。ただ、現場では本当に民主党が300議席も取れるのかという声がまだまだ多い。
星 それは、いまだに頭の中が2、3割の得票で当選できた中選挙区制なんだよ。1票でも多い方が勝つ小選挙区制は、票差のわりに議席数が大きく変動する。
早野 風というより地殻変動が起きてるんだな。そういえば、小泉元首相が「有権者はもう自民党に飽きちゃったんだ」と言ってたな。安倍、福田、麻生政権への批判だけでなく、長い間の鬱積(うっせき)が噴き出しているんでしょうな。
坪井 2代続いた政権ぶん投げが致命的でしょう。
早野 なのに麻生氏が「責任力」なんて言う。あれは裏目だ。あんな無責任に投げ出した自民党に責任なんて、誰も言われたくないもの。
星 首相が「安心実現」と言わなければならないほど、安心じゃない国に、誰がしたのか。そこを有権者は見抜いている。それと大きいのは、「地方の反乱」が今も続いていることだ。小泉構造改革で広がった地域格差に対応できない自民党への不信は深い。
坪井 自民党が橋下大阪府知事や東国原宮崎県知事らにすりよったのも自民没落を象徴した。橋下氏が知事会の要求をのませた上で「守らなかったら、ウソつき政党よばわりし続ける」と言ったのも、かつてない光景だった。
■投票で晴らす欲求不満
【マニフェスト】
星 都内の民主党の選挙事務所では、会社員が上司に言われてマニフェストを取りに来ていた。「政権が代わったら、自分たちの仕事にどんな影響が出るかを検討するためだ」と言って持ち帰ったよ。
早野 今回は、テレビも各党の政策比較をしていた。
坪井 しかし、マニフェストの中身はひどい。自民も民主も「ばらまきリスト」だ。これで有権者が喜ぶと思っているなら、あまりに有権者をバカにしている。
星 でも、いまは財源論を問題にするよりも、自民党への怒りの方が強い。財源論に入る前に勝負をつける小沢戦略が奏功している。
早野 首相は「8月は日本を考える月に」なんて言ったけれど、マニフェストを比較する前に、自民党はアウトを宣告されているんだな。
坪井 だけど、こんな形で片方を圧勝させる有権者というのは、ただ留飲を下げたいだけに見える。投票が圧倒的なフラストレーションの表現手段になっていないか。
星 そうそう。4年前の刺客と同じように、今回も有権者は残酷だ。自民党の偉い人が苦しんだり泣いたりするのが見たいんだ。
早野 ただ、民主党の子ども手当のような直接給付か、自民党の間接支援方式かの違いはマニフェストで鮮明でしょう。各省の補助金を関係団体を通して渡す途中にムダがあった。それを排除する民主党に、有権者は「そうだ」と思っている。
坪井 霞が関の信頼が失われたことが背景にある。
星 年金問題が大きいね。
早野 それに天下りだな。
【各党の事情】
星 公明党は小選挙区の8人が軒並み苦戦だ。頼りの自民票が来ない。自民支持層が自民離れをしている現状では、公明党は厳しい。
早野 7月の東京都議選では維持した公明党の完勝神話がついに崩れるのか。公明党は自民党に深入りしすぎたねえ。逆も、しかり。自民党の「比例は公明に」も自民の比例区復活を減らすから、自分で自分の首を絞めている。
坪井 共産党が小選挙区での候補者を半減させたことが今回の選挙を大きく変えた。
星 効果が大きいのは、北海道5区の町村元官房長官、福島2区の根本匠氏、島根2区の竹下亘氏らだ。それぞれ1万から2万の共産票が勝敗を左右しかねない。
早野 共産党は候補者削減を政治的に使えなかったのかね。民主党との政策協定は無理でも、「憲法問題は慎重にする」と言わせるとか。ただの自主投票じゃなあ。
星 今回は共産党がアメリカ大統領の名前を最も多く連呼している。こんなの初めての選挙ですね。
早野 鳩山氏も非核三原則やインド洋の自衛艦派遣問題は、オバマ頼みのところがある。「信頼関係を築く」とか言って、自民や社民からの批判をかわしている。
坪井 オバマ大統領は「チェンジ」のシンボルだから、選挙で好んで使われる。
早野 共産党は「確かな野党」から「建設的野党」になる。これは政権の外での是々非々なんですよ。社民党は政権内での是々非々になる。
星 国民新党は郵政見直しの一点を訴える。「逆小泉」だね。民主党が大勝すると、社民や国民新党は割を食う。
■連立協議 政策違う3党
【選挙後はどうなる】
星 小沢氏や鳩山氏は、この衆院選を来年の参院選とパッケージで考えている。参院選で勝たないと安定政権はできないからだ。参院の自民党幹部は今回、最低でも180議席は取りたいと言う。それ以下だと、次の参院選に建設や農業などの役所と業界代表が自民党から立候補してくれないからだ。業界代表は、いわば自民党の背骨みたいなもの。その背骨をへし折っちゃうのが、小沢氏の戦略だ。
早野 そうなると、政官業癒着の与党・自民党がなくなっちゃうんだな。新しい自民党には、どういう基軸があるのだろう。
星 谷垣禎一元財務相が言っている「絆(きずな)」とかコミュニティーとか。田舎の名士はもともと、お上の世話になってない。自立心がある。弱者救済型の民主党とは違うんだという考え方だろうか。竹中平蔵氏的ではない保守の再構築ができるかどうか。
早野 そういう次の自民党のリーダーは誰がなるの。
星 今回の小選挙区で勝つのが条件。麻生執行部でない加藤紘一氏や谷垣氏とか、若手の石原伸晃氏、人気の舛添要一氏らの名前が挙がる。
【民主党政権】
星 選挙後、民主党には二つの問題が待ち構える。ひとつは鳩山氏の「故人献金」問題。税金の不正還付や母親からの贈与隠しなどを追及される。もう一つは100人規模になる小沢チルドレン。こちらは小沢氏自身が裁判を抱えているから、院政を敷いて影響力が大きくなるというものでもないだろう。
早野 その前に社民、国民新党との連立協議がある。政策の中身は結構、差があるんだよ。子ども手当の金額とか配偶者控除の存廃とか。個々に調整するのか、総括的なお題目で合意するのか。社民党は「憲法審査会を動かすな」とか入れたいだろう。
星 民主党は3党の協議機関を置いて、時間をかけてやろうとするでしょうね。
坪井 そこに政界再編の芽はあるのかな。
星 社民党がごねるようなら、参院自民党のごく少数が民主に移るとかはあるかもしれない。「連立野党はない」といっている公明党の動きも気になる。
早野 じゃあ、選挙後も波乱含みということだね。
朝日新聞 2009年8月26日11時41分