先日、今年4月に就任したばかりのマイケル・ウッドフォード前社長を解職し
社長に返り咲いた菊川剛会長兼社長が取締役に退き、
高山修一専務執行役員が社長に就任することに決まったと云う。
オリンパス、菊川会長兼社長が退任―後任は高山専務
ウォールストリートジャーナル - 2011年10月26日 16:50
これは、単に日本の商習慣と相容れなかった外国人社長の解任という
低次元なお話しでは無く、何か深い粉飾か犯罪の気配がする。
オリンパス:社長電撃解任 経営迷走ぶり露呈 市場は不安視
毎日新聞 東京朝刊 - 2011年10月15日
今日付けの 【日経ビジネス ONLINE】 では、
【オリンパス社長解任劇、すべての真相を話そう
渦中のひと、ウッドフォード前社長の告白】
【日経ビジネス ONLINE】 - 2011年10月26日(水)
と題するインタビュー記事が掲載されている。
本人の話だから、当然『正当化』している傾向もあると思うが、以下に
一通り引用してみる。(一方の側からの情報であることに御留意ください)
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10/27 追記 : 他にも、以下のような記事を見付けた。
今度は確かに「日本メディアは書かなかった」
オリンパス問題でそらみたことかと
ダイヤモンド・オンライン 2011年10月27日 加藤祐子
オリンパス 「無謀M&A」巨額損失の怪
FACTA ONLINE 2011年8月号
Ex-Olympus boss alerts UK authorities
フィナンシャル・タイムズ video.ft.com
解任のオリンパス社長、FTに語る
企業買収に疑問呈したと
フィナンシャル・タイムズ (2011年10月14日初出)2011年10月19日(水)12:00
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【オリンパス社長解任劇、すべての真相を話そう
渦中のひと、ウッドフォード前社長の告白】
CEO兼任からわずか2週間後に解任されたマイケル・ウッドフォード氏。オリンパスの外国人社長としてマスコミの注目を浴びた。だが、就任からわずか数カ月後に、過去の買収案件に「巨額損失がある」と追及して、会長など他の経営陣と対立を深めていった。彼が語る生々しいやりとり。そこに、解任劇の真相があった。「このまま問題を放置すれば、日本経済は悪化の一途をたどる」。
(聞き手は石黒 千賀子=日経ビジネス副編集長)
10月20日午前11時30分。英ロンドン中心街のホテルで、オリンパス前社長のマイケル・ウッドフォード氏の到着を待っていた。2日前、彼から「取材を受ける」というメールが届いた。電話で連絡を取ると、興奮した声でこうまくし立てた。
「身の危険を感じているから、とにかく詳しく話をして真実を世に広めたい。電話より会ってじっくり話したい」
そこで、飛行機に飛び乗って、ホテルの一室で待った。約束の時間から30分が過ぎていた。本当に現れるのか不安がよぎったその時、大柄な英国人が姿を見せた。
「すみません。朝8時からメディアの取材が続いていたので。腹ペコだから、食事を取っていい?」
そう言うと、ステーキサンドイッチを注文し、ついに2時間を超えるインタビューが始まった。
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まず、問題として指摘したいのは、英医療機器メーカーのジャイラス買収の件だ。2008年に、オリンパスが20億ドル(当時の為替レートで約2000億円)を投じて買ったことは知っていた。私は当時から、「買収価格が異常に高い」と批判的だった。それは社内の多くの人が知っていることだ。
でも、そのことはまだいい。問題は、買収後に買収価格の3分の1に当たる6億8700万ドル(約520億円)もの手数料を財務アドバイザー(FA)に払っていたことだ。これは全く知らなかった。しかも、支払った相手は、英領ケイマン諸島にあるAXAM(アクザム)という会社などで、実態はいまだに誰も分からないという。そんなことが許されるわけがない。
隠し続けた雑誌記事
すべては、雑誌「ファクタ」8月号に載った記事が始まりだ。あれがなければ、私は今でも何も知らないまま社長を続けていただろう。
その記事には、2006~08年にかけて買収した国内3社のことが記されていた。医療関連の産業廃棄物処理を手がけるアルティス、電子レンジ用容器を企画・販売するNEWS CHEF、化粧品を通信販売するヒューマラボの3社で、そこに合計700億円ものカネを投じていた。いずれも本業とほとんど関係がないうえ、買収額に見合うような売上高がない。社外の親しい友人が見つけて、わざわざ英訳して「この記事を見ろ。深刻な内容だぞ」と教えてくれたんだ。
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一連の買収案件について、オリンパスに質問したところ、「適切な手続き・プロセスを経たうえで(の買収で)、会計上も適切に処理している」「評価額はDCF(収益還元)法による企業価値評価により算定されており、外部会計事務所による適正な評価を受けている」という内容の回答があった。だがファクタ誌は、アルティスの企業価値を算出した公認会計士は将来のキャッシュフローを過大に見積もっていると指摘。3年で売上高が20倍になるとの計算だが、その根拠が薄いとしている。
ウッドフォード氏は、こうした事実の深刻さを徐々に知っていき、当時の経営判断の真相を追及していくことになる。
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2週間ぶりに帰国し、8月1日、新宿の本社に出社した。この記事のことを誰かが話しに来ると思っていた。ところが、誰も報告に来ない。不思議に思い、信頼できる社内の人に尋ねると、菊川剛会長が「記事の存在をウッドフォード社長に話すな」と指示していたことが分かった。
「社長は忙しすぎるから、記事を見せなかった」
翌朝、私と菊川会長はビックカメラに行くことになっていた。「ここで、記事について話したいのだろう」と思っていたが、それは単なる視察に終わった。そこで、菊川会長と、その右腕である森久志副社長と会議を開いた。「なぜ、私に記事のことを隠すのか」と問いただすと、菊川会長は自分が社内に指示したことを認めて、こう言った。
「あなたは社長で、忙しすぎるからだ。くだらない記事だ。全く気にすることはない」
この瞬間、裏に何か大きな嘘が隠されていると感じた。
この会議の後、どうしても納得がいかず、再び森副社長をつかまえて聞いた。だが、曖昧な返答を繰り返す。私は業を煮やして、「あなたの上司は誰か」と問い詰めた。すると、思わぬ返答が戻ってきた。「菊川会長だ」と。
苛立ちと不安を抱えたまま、私は海外出張と夏季休暇のために日本を離れた。だが、9月下旬にファクタ誌が続報を掲載した。もはや看過できない。私は9月23日から4日間続けて、菊川会長や森副社長宛に、「当社のM&A(合併・買収)活動に関する深刻なガバナンスの問題」と題した手紙を4通、電子メールへの添付と、クーリエ(国際宅配便)で送った。本気であることを伝えるためだ。
決算報告書などに署名するのは私だ。従って、企業リスクを伴う取引は、その経緯も含め十分な報告を受ける必要がある。そう書いたうえで、ジャイラス買収で莫大な金額をFAに支払った経緯や、国内3社の買収に関わる詳細な報告を求めた。こうしたやり取りは痕跡を残しておかないとまずいと思い、すべての手紙にCC(カーボンコピー)をつけ、ほかの取締役や監査役、社外取締役にも同時に電子メールで送ることにした。
確かに、手紙への返答はあった。だが、文面こそ丁寧だが、内容は表面的で、納得できる説明にはなっていなかった。しかも、9月26日に菊川会長に送った手紙に対して彼は同日、こうメールを返信してきた。
「あなたと森が(一連の買収について)こんなにメールのやり取りをしていると聞いてびっくりした。『時間のムダ』とは言わないが、時間を食う割に成果はあまりない。社長としての心配は分かるが…」
うやむやに終わらせようとしている。そう感じて、以降は当社の監査法人であるアーンスト・アンド・ヤングにもCCをつけて送信することにした。
しかし、オリンパスのガバナンス(企業統治)は全く機能していなかった。それを確信したのは、9月30日の取締役会のことだった。
怒鳴り合いのCEO禅譲劇
その前日、私は英国人の同僚と一緒に、菊川会長と森副社長と会っていた。社長として責任を持って経営するには、役員の人事権もなく、あまりに権限が小さい。そう痛感していたので、菊川会長が持っていたCEO(最高経営責任者)の肩書を譲り受けて、しかも、今後、菊川会長が経営会議に出席しないことも要求した。
しかし、それを聞いた菊川会長は、「無理だ。そんなことは日本の株主が許さない」と譲らない。そうするうち菊川会長が怒鳴り出した。あまりに失礼な物言いだったので、私も席から立ち上がり、「怒鳴るんじゃない。私はあんたの子犬じゃないんだ」と怒鳴り返した(ちなみに菊川会長のパソコンのスクリーンセーバーは2匹の子犬の画像だ)。そして、「CEOから降りないのなら、私が社長を退任させてもらう」と言った。
これは彼らにとって好ましくない展開だった。私が辞任すれば、オリンパスの経営がいかにガバナンスに問題があるかが白日の下にさらされることになるからだ。この期に及んで、菊川会長はついに私の要求を承認した。
(この時に涙を流してCEO退任を懇願したとの報道が日本で流れているが)それは、事実ではない。誰かに足でも折られたら涙を流すかもしれないが、こんなことで私は泣かない。
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2001年の社長就任から10年間にわたってオリンパスを率いてきた菊川会長が、ついにその権力をウッドフォード氏に明け渡した瞬間かと思われた。ところが、菊川会長に、そんな気はなかったようだ。
そのことにウッドフォード氏が気付くのは、わずか1日後の9月30日のことだった。
(続きは11月2日に掲載します)
日経ビジネス2011年10月31日号8~12ページより
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マイケル・ウッドフォード氏
1960年生まれ。81年、オリンパス英子会社に入社。
2004年10月、オリンパスメディカルシステムズ取締役。
2008年4月オリンパス・ヨーロッパホールディング社長、
2011年4月オリンパス社長。10月14日解任される。
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オリンパス:社長電撃解任 経営迷走ぶり露呈 市場は不安視
毎日新聞 東京朝刊 - 2011年10月15日
オリンパスは14日、4月1日に就任したマイケル・ウッドフォード社長(51)をわずか半年で解任、その理由について「日本の経営文化が理解されなかった」などと説明した。しかし、初の外国人トップを起用した背景には、しがらみにとらわれない構造改革や海外展開を加速させる狙いがあっただけに、市場では経営方針の「迷走」を不安視する声が出ている。【竹地広憲、浜中慎哉】
「コミュニケーションや文化の壁を打破できなかった。日本の経営文化も理解されなかった」。社長を兼務することになった菊川剛会長(70)は、14日の記者会見で解任理由をこう説明した。
菊川会長ら他の経営陣は、ウッドフォード氏が映像や医療など各部門の責任者を飛び越し、部下に直接指示をしたことなどを問題視。菊川会長は「組織の意思決定を無視して独断で経営を進めた」と厳しく批判した。
11年3月期に150億円の営業赤字に陥った映像事業などの収益改善に向け、同氏が研究開発費も含めた大胆なコスト削減に着手したことについても、他の経営陣には「流れがコストカットに傾き過ぎている」との不満があったという。
ただ、菊川会長は2月、欧州法人社長だったウッドフォード氏を後任社長に抜てきした理由として「強いリーダーシップ」を挙げ、海外展開や合理化を加速するよう希望していた。ウッドフォード氏はオリンパスグループに約30年在籍する「生え抜き」で、菊川会長も資質や実績を高く評価していただけに、市場では起用の狙いと解任理由の矛盾を疑問視する向きが多い。
菊川会長は「性格を見抜けなかった。私の任命責任で忸怩(じくじ)たる思い」と語ったが、「菊川会長が今も最高経営責任者(CEO)にとどまり、事実上実権を握っていることが、経営方針をめぐる混乱の一因」(アナリスト)との見方も浮上している。
ウッドフォード氏の電撃解任を受け、同社の株価は前日比17・6%(437円)安の2045円に急落。会見に同席した森久志副社長は「コスト削減の流れは止まらない」と経営計画の遂行を強調したが、市場では「オリンパスが何を優先したいのか不透明」と懸念が強まっている。
オリンパス、菊川会長兼社長が退任―後任は高山専務
ウォールストリートジャーナル - 2011年10月26日 16:50
オリンパスは26日、菊川剛会長兼社長が代表権を返上し、会長、社長執行役員を退くと発表した。取締役には残る。
オリンパスでは、マイケル・ウッドフォード前社長解任をきっかけに過去の買収案件をめぐる疑惑が浮上している。
オリンパス、今月2回目となる社長交代
(読売新聞) - 2011年10月26日(水)16:52
オリンパスは26日の取締役会で、菊川剛会長兼社長が取締役に退き、高山修一専務執行役員が社長に就任する人事を決めた。
オリンパスは14日付でマイケル・ウッドフォード前社長を解職し、市場でオリンパスの経営への不信が高まっていた。オリンパスは「一連の報道内容や株価の低迷などでご心配、ご迷惑をおかけした」とした。
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