✳守備
日ノ本学園:敵陣で戦う時間が長かったせいか、相手に自陣に切り込まれた時の最終ラインの戻りがやや遅く見えたのは気になりました。下手すれば一点とられていたかもしれません。GK12の雰囲気と大きさが印象に残りました。
京都精華:自陣での戦いを強いられる時間が長くなる想定が出来ていたのか、そこで常に数的優位、各選手の距離感、ポジショニングをしっかり保って守ることが出来てました。後、GK1の落ち着きが印象に残りました。ゴール前での競り合いの場面で特にそれが感じられ、むやみに飛び込まずじっと身構え、ここぞのタイミングで迷わずいくといった感じで、抜き差し加減と決断力が見事に見えました。序盤から感じるものがあったこのGKが、勝敗に重大な影響を与えることになりました。後半ロスタイムに与えた同点ゴールに関しては、なりふり構わず点をとりにいった相手の気迫を誉めるべきと思います。
大阪桐蔭:1失点に抑えてるのですからよく守ったと見るべきだと思います。終盤に与えた先制点は、ゴール前絶妙なところに放り込んだ相手を誉めるべきと思います。GKが出ることも引くことも出来ないところに蹴り込まれました。
✳攻撃
日ノ本学園:FW22の球離れのよさ、シュートなど次のプレーへの決断力の鋭さが印象に残りました。
京都精華:攻める時間そのものが少なかったため、一点しかとれなかったのはやむ無し。攻撃で勝利を手繰り寄せるには、ボール支配率そのものがある程度ないと難しいかと思われます。
大阪桐蔭:敗因はこちらにあるかと思われます。引いて守ってカウンター狙いという相手の意図は早い段階で分かったかと思われ、前々ばかりでなく、後方でじっくりまわして相手を前に誘き寄せる動きがもっと欲しかったです。感じる力という点で、来期に向け課題が残ったかと思われます。
✳日ノ本学園:全国制覇を狙うレベルにある同校としては、この日の試合は、大勝の中に潜む粗探し、のような試合であったかも知れません。
✳京都精華
GK1の資質の高さが、大事な試合でのPK勝ち、全国ゲットにつながったかと思われます。ポイントになったのが大阪桐蔭の4人目が失敗した場面、コースを狙ってポストに嫌われるのですがこの時このGK、小柄でありながら相手が蹴ったコースのポスト付近まで飛ぶことが出来ており、この事により、以降に蹴る大阪桐蔭の選手に、このGKからはコースに蹴っても決める事ができない。駆け引きして相手と逆に蹴るしかないという心理的なプレッシャーを与えることが出来ていたように見えました。実際大阪桐蔭の5人目6人目はいずれもコースを狙うことより相手の裏をつくことに重きを置いて蹴って見え、5人目は逆をつくことができましたが、6人目は読まれてしまってました。先に外してしまった直後の相手二人目を止めるなどこのGKの緊迫した場面、不利な場面になればなるほど発揮された冷静さと身体能力の高さ、それにまずは守りを固めてそこからのカウンターというチームとして徹底されていた戦術、それを可能にした各選手の屈強そうに見えた体つきと、その強さを前面に押し出した上でのスピードとテクニックが、勝因になったかと思われます。
✳大阪桐蔭
京都精華のGKを誉め称える事ばかり書きましたが、大阪桐蔭のGKも良かったです。6人中二人がコースを狙いすぎて外してしまうのですが、この大柄なGKからはしっかりコースを突かないと決める事が出来ない、というプレッシャーを与えて見え、実際、相手は皆ギリギリを狙って蹴ってました。双方のGKの資質の高さが、見応えあるPK戦を作り出して見えました。目前で全国を逃した要因は、追手門学院戦でも感じた事ですが、戦いぶりを安定させる事が最後まで出来なかったことにあるかと思われます。良いときは全国制覇クラスの戦いが出来るがそれを継続できない。この日も内容あまりよくなく見えました。皇后杯とのW全国という、同校史上初の偉業なるかとも思われましたが、上記状態でそれがなせるほど甘くはなかったです。昨年全国を逃したときは、以降もギリギリまで三年生は公式戦に出続けたようですが、昨年とは違い今年はレギュラークラスの3年生がごっそり抜けることを考えると、3年生には申し訳ないですが、チームの今後を考えると、早めに新チームに切り替えた方が良いのかも知れません。とはいえ、今年の3年生は部史上最強と言っても過言ではないくらい強かったです。今年の3年生で冬の全国を逃すということは、それだけ大阪、及び関西の女子サッカーのレベルの底上げが進んでいるということかと思われます。