
天気予報では、雨が降ると言っていた。
海から見ると、岸が霞んで見える。
「山手は雨が降ってるね」
海上は、大した雨も降らず、風も穏やかな凪の海になっている。
ただ、風の方向が色々と変わり、船の向きが西を向いたり、東を向いたり。
釣りを開始して、一流し目にBさんにアタリが来た。

良い感じの引きを、見せている。
その竿の曲がり具合から「もしかしたら鰤かも」と、想像を膨らませる。

上がってきたのは、大きなニベ。
長寸は1メートル丁度、9.5キロの重量感はたっぷりある。
「出足が良いですね」と、笑顔に気持ちが盛り上がる。
潮も上り潮が1ノット前後で、ゆっくりと北に流れている。
下潮も、北に流れているようで、仕掛けがバーチカルに入っていく。
塩田さんにも、アタリが来た。

竿を叩くアタリが、真鯛を期待させる。

良型のレンコダイが上がってきた。
「親父の誕生日が祝えますね」と、笑顔。
ここから、塩田さん、Bさんの釣果が延びてくる。
魚探にもベイト反応が出ている。
「海底から、20メートルくらい立ち上がっています」
「この反応は、鯖の群だと思います」
「海底から、5メートルくらい浮き上がっています」
その時、その時のベイトの状況をお二人に伝える。

塩田さんが、アタリを連発する。


ガンゾウヒラメも肉厚だし、真鰺も30センチ超の良型だ。

Bさんにも、丸々としたゴマ鯖がヒットしてきた。
ベイト反応も、消えては次の反応が出てくる。
沈み瀬も魚礁もない場所だが、下潮が良い感じで動いて居るのだろう。
ベイト反応が出てくると、アタリが来る。


塩田さんに、又しても真鯛がヒットしてきた。


Bさんにも、良型のレンコダイがヒットしてきた。
船が流れて、入った場所はレンコダイが群れて居るみたいで、お二人に連発してくる。
「良い型のレンコダイですね」と、嬉しくなる。
「鉛が暖かいですよ」
「ジグが暖かいです」
魚が動くのに適した水温に、なっているようだ。
「うおっ、来た」
塩田さんの声がした。


3キロ弱のニベがヒットしてきた。
「おおっ、又来た」

今度はラインが、強烈に引き出される。
「青物か、真鯛か」と、色々と連想するが…

上がってきたのは、ハンマーヘッドでガックリ。
直ぐに帰ってもらう。
同じ処を流すのは、3度くらいまでと思っている事もあり、ポイントを移動する。
移動途中にベイト反応があれば、そこから船を流していく。
瀬周り等のポイントではない。
Bさんに、ラインが引き出されるアタリが来た。


上がってきたのは、2キロの真鯛。
「アイシャドーが綺麗な真鯛ですね」
「やった、嬉しい真鯛です」と、Bさんの笑顔も良い。
塩田さんにも、アタリが来ている。


これも、良型の真鯛だ。
ここから、お二人の釣果が益々延びてくる。
「重いアタリです」


Bさんにヒットしてきたのは、ウッカリカサゴの老成魚。
「この形のウッカリは良いですね」と、嬉しくなる。
塩田さんにも、真ハタが来た。

「食べるのに良い型ですね」
カサゴと、真ハタに笑顔が出る。
「ベイト反応の良いのが出ています」
ベイトに何かが付いていると信じて、仕掛けを落としていく。
塩田さんの、竿に今日一番の強いアタリが来た。
何度も、ラインが引き出されている。
「ゆっくりやって下さいね」
タモを構えて、準備する。
「見えた。真鯛です」

66センチ、3.3キロの見事な雄の真鯛。
「正月に良い真鯛が来ましたね」
Bさんと一緒に祝福する。
再度、ポイントを移動して、ベイトを探す。
「居ました。落として良いですよ」
流し始めて、すぐにBさんに強いアタリ。

獲物が、海面近くに浮いてきた。
「ハガツオだ」
「逃がしたくない」
一発でタモ入れに成功して、ホッとした。

2キロクラスの、良型ハガツオに一気に気持ちが盛り上がる。
「この時期のハガツオは身が締まっているでしょうね」
食する会話も弾んでくる。
この後もお二人のアタリは続く。

塩田さんに大きなアカヤガラ。
「刺身が美味しいですよね」
Bさんに、良型のニベがヒット。

時折、仲間にラインで釣果写真を送る。
釣果がある時の時間は、あっと言う間に過ぎる。
「ラスト一流しにしましょうか」
ラストの流しに、塩田さんにアタリが来た。


「4匹目の真鯛です。息子の成人式も祝ってやれます」
優しいお父さんの笑顔が、輝いて見える。
帰りの船中は、賑やかに話が盛り上がった。

港に帰ると、私たちの近くにいた仲間二人も帰ってきた。

「クーラー満タンに釣れました」
車で仲間もやってきて、船着き場は釣果の話で盛り上がった。