朝間詰めは、アタリが順調に出てきた。
連発してきたのは鯖だったが、次のアタリの期待感はあった。
それでも、気になっていた事があった。
「何か、昨日の潮と違う気がする」
私の仲間や先輩達も、同じ感覚を感じていた。
それが「潮の変化」だった。
ベイト反応が、ベイトボールになって一カ所に集まっていた。
其処を流すと、アタリは来た。

小佐治さんの竿が曲がった。

最初のアタリから、鯖がダブルで針掛かりしてきた。
特別大きな鯖ではなかったが、引きは面白い。
堀部さんにも、アタリが来た。


上がってきたのは、チダイだった。
堀部(父)さんもアタリを捕らえるが、針外れに成ってしまった。
小佐治さんに、真鯵のアタリが来た。

堀部さん親子で、真鯵狙いに行くが…。
このアタリから、潮が変化し始める。
それまで、やや強く吹いていた北西の風が止み始めると、仕掛けが真下に落ちていく。
潮が動かなくなってしまった。



堀部さん父子、小佐治さんが仕掛けを変えて、探っていくがアタリが出ない。
ベイト反応がある中を流していくが、アタリが出ない。
時折、ヒットしてくるのはエソばかり。
そんな苦戦の中、堀部さんにアタリが来た。


上がってきたのは、イトヨリダイ。
潮の変化に苦戦する中での、一枚の釣果。
価値ある釣果に思える。
その後も、潮が動かないのは変わらない。
ベイト反応を探して、海底から15メートルくらい立ち上がっているベイト反応を見つける。
その中を流していくが、アタリが殆ど出てこない。
2度、3度と流していくが、触りも無い。
海水に手を付けると、ぬるま湯に感じる位の暖かさを感じる。
一人の先輩が、面白い事を言っていた。
「もしかしたら、海面近くの水温も、海底アタリの水温も同じくらいになって居るのではないかな」
「どうゆう事…」と、思って聞いていた。
「普段は、海底付近の水温は可成り低いはず、しかし、下潮が温くなっていて、魚の動きに影響を与えているのではないかと思っている」
水温の変化が、潮の変化になる。
充分に考えられる事かな…と、考えさせられた。