7月20日(4名)
●多田有花
梅雨明けや図書館の人と話しけり★★★★
梅雨明けのグランド野球部サッカー部★★★
真夏来るスカートの裾ひるがえし★★★
●小口泰與
庭も狭に薔薇の圧しておりにけり★★★★
朝焼や出入り忙しき雀の巣★★★
是非もなき谷川岳のザイルかな★★★
●廣田洋一
控えめな紅色に咲く百日紅★★★★
並木には花の少なき百日紅★★★
受賞作積みたる店の百日紅★★★
●桑本栄太郎
冷房の風偏りぬバス車内★★★
炎暑来るメルトダウンをしたるかと★★★
千切れ雲浮かべ高きや夏の山★★★★
千切れ雲は、一般的には形状がいいにくく千切れたような雲をいうので、それは様々。厚い雲から離れた雲の断片雲も千切れ雲だ。また、白い雲が千切れたように浮かぶのもいう。ここは「浮かべ」があるので、後者とりたい。高い夏の山の静けさと涼しさを思う。(高橋正子)
※お願い (満天星)
2017-07-20 11:51:227月19日
3句ほど投句しています。
ご評価お願い致します。
※失礼しました。19日の投句分に★印を点けましたので、ご覧ください。
7月19日(5名)
●小口泰與
アンテナの二羽の鴉や五月晴★★★
青鷺の脚へきらめく次の波★★★★
凌霄花や雨後の社の鬼瓦★★★
●廣田洋一
扇子に一滴たらす香水かな★★★
香水や熟女の色香溢れさせ★★★
お土産はパリの香水一つだけ★★★★
お洒落なパリの街の土産一つが、香水というのは、香水の一滴のように、気が利いている。パリと香水がノスタルジックな映画のように思える。(高橋正子)
●多田有花
開け放つ部屋通り抜け夏の風★★★★
梅雨明けきく風ここちよき部屋にいて★★★
米なすをオリーブオイルでピザ風に★★★
●桑本栄太郎
鳴き声のウェーブとなりぬ蝉しぐれ★★★
下駄の音やぺディキュア赤き浴衣の娘★★★
ベランダのトマト熟れ来し入日かな★★★★
●谷口博望(満天星)
梅雨の蝶アガパンサスの倒れさう★★★
日盛りの黒覆面の鴉かな★★★
葛の花鴎の群るる埋立地★★★★
7月18日(6名)
●多田有花
夏の朝ベランダに出て朝食を★★★★
コーヒーを入れる手元に夏朝日★★★
中心が残る未明の蚊遣香★★★
●小口泰與
せぐくまる老婆の指や梅筵★★★
小流れを分かつ大石日日草★★★★
背戸出でてせせらぎ香るえごの花★★★
●河野啓一
浜木綿の咲けば思うや友のこと★★★★
ミニトマトポンと口へと甘き実を★★★
-デイでの催し物-
そうめんの流れ睨んで掉さして★★★
●廣田洋一
睡蓮や鉢毎に色違ひけり★★★
睡蓮の葉揺れて鯉の口あきぬ★★★★
青き葉に炎のごとく睡蓮咲く★★★
●満天星
雲の峰鴎群れたる高架橋★★★
夏干潟カメラを横に人ひとり★★★★
浜風やフェンスに絡む吸葛★★★
●桑本栄太郎
外つ人の溽暑の京にランニング★★★
鴨川に辺り見まわし鵜の潜く★★★
炎天の踏切り事故や立ち尽くす★★★★
7月17日(4名)
●小口泰與
瀬を堰す一つの岩や糸蜻蛉★★★
雲の峰利根本流の洋洋と★★★★
坂東太郎の名前をもつ利根川は、多くの支流を集めた本流は「洋々と」流れる。湧きあがる雲も堂々としたものだ。暑い盛りではあるが、暑さにげんなりしない、堂々と、そして洋々とした心持が大切と思われる。(高橋正子)
方尺の水の余白や樽の蓮★★★
●廣田洋一
草を引く時々腰を伸ばしつつ★★★
草取りや小さき花は残しおく★★★
草取りや積み上げし草匂ひ立つ★★★★
●多田有花
梅雨明けを待ちつつ髪を切りにけり★★★
このごろは妙に早起き明易し★★★★
渦のまま蚊取り線香灰となり★★★
●桑本栄太郎
剪定の枝跡朽ちぬ梅雨きのこ★★★
落蝉の綺羅の翅透くむくろかな★★★
茅舎忌の蜘蛛の巣虹に雨上がる★★★★
7月16日(5名)
●川名ますみ
夏星をふうせんかずら取りにゆく★★★
露涼しふうせんかずらの巻き髭に★★★
玉葱の細きも小さきも匂い立つ★★★★
●多田有花
<洞川温泉への旅三句>
夏の川たどる先には修験の山★★★
夏の陽が照らす女人結界門★★★
弁天に詣でて終わる夏の旅★★★★
旅のしまいには、そこになにか神仏があれば、無事な旅の感謝やけじめとして、お参りするのも自然なことだ。弁天は財や豊穣の神でもあるが、芸能や言葉の神様でもある。そして女神である。俳句が上達しそうな。(高橋正子)
●小口泰與
夏木立影を並べし水面かな★★★★
消息に代えてと岩魚届きけり★★★
渓流の急く水滝となりにけり★★★
●廣田洋一
夏風邪や白熊のごと寝転がる★★★★
夏の風邪熱と暑さの二重攻め★★★
夏の風邪治すはこれとサウナ風呂★★★
●桑本栄太郎
涼風や木蔭の道を買物に★★★
夏萩の坂に風吹き憩いけり★★★★
まだ暑さの盛りだが、日の光の色が少し黄ばんで見える。夏の終わりから秋の初めに咲く萩を夏萩というが、この萩に風が吹くと涼しさを覚える。「憩い」がうれしい。(高橋正子)
京なれや浴衣姿の車内なる★★★
7月15日(5名)
●多田有花
<洞川温泉への旅三句>
石鉢にラムネを冷す山の水★★★
ポリタンク積んで泉へ水汲みに★★★
辿り来て河鹿の滝の翠なり★★★★
●谷口博望(満天星)
鷺だけが隔りてをり夏干潟(原句)
※鷺が何を隔てているのか不明です。
鷺のみが隔ち立をり夏干潟★★★★(正子添削)
夏の干潟は平らに広がっている。そこに鷺が、間隔をもって立っている。写真のような光景に、風や波音や、日の照り様が眼に浮かんでくる。(高橋正子)
夏の浜南京櫨の花垂れり★★★
まるまると橡の実育ち梅雨の蝶★★★
●廣田洋一
川底に小魚群れる夏の川(原句)
※「群れる」が単に情景の説明になっています。小魚の動きなどがあれば、句がいきいきします。
川底に小魚走る夏の川★★★★(正子添削)
川幅を拡げる工事夏の川★★★
夏川や溜まる間もなく砂流れ★★★
●小口泰與
久方に和紙に筆とる時鳥★★★★
静けさやばらの落花に耳澄ます★★★
雨後の朝すめらみくにの蟬時雨★★★
●桑本栄太郎
射干(ひおうぎ)の風の木蔭に集いけり★★★
落蝉の翅透く綺羅のむくろかな★★★
宵山へ入日の誘う四条かな(原句)
※少し意味がとりにくいので、まとめました。
宵山へ誘う入日や京四条★★★★(正子添削)
京の四条から入日を眺める。宵山の賑わいへ誘う入日だ。(高橋正子)
7月14日(6名)
●多田有花
<洞川温泉への旅三句>
かりがね橋渡る下飛ぶ夏つばめ★★★
緑のみ映し行場の水涼し★★★★
修行場の水に緑だけが映っている。辺りは緑の木々のみ。水に静寂と涼しさが漂う。(高橋正子)
かりかりとカレーライスにらっきょかな★★★
●谷口博望(満天星)
ぞろぞろと妖怪歩く半夏生★★★
甘味良きライ麦パンの夏朝餉★★★★
カンナ咲き駝鳥のごとく走るかも★★★
●小口泰與
あけぼのの裾濃の山や立葵★★★★
三山を統ぶる上州雲の峰★★★
影すらも浅間山(あさま)は見えず五月川★★★
●河野啓一
浜木綿のつぼみ背にして黒揚羽★★★★
浜木綿のつぼみを背景に飛ぶ黒揚羽。浜木綿は大きな白い花を開くが、その姿を思っての句。浜木綿と黒揚羽のイメージが鮮明。(高橋正子)
ピーマンを楽しくちぎる艶つやと★★★
ひおうぎの優雅に揺れて昼下がり★★★
●廣田洋一
片陰を求めて道を横切りぬ★★★★
反対側に片蔭がある。そこへ炎天下の道を横切る。炎天の暑さと片蔭の涼しさが対比され、そこにちょとした人の心理が垣間見れて面白い。(高橋正子)
この道は片陰多し人多し★★★
知らぬ街片陰探す曲り角★★★
●桑本栄太郎
風死して鳴くもの黙る昼日かな★★★
炎天に気合いもろとも出掛けたり★★★
開け放つ軒に風ゆく釣しのぶ★★★★
7月13日(6名)
●多田有花
<洞川温泉への旅三句>
朝涼やお膳で食べる宿の飯★★★★
緑陰をトロッコゆるゆる下りてくる★★★
涼気はや鍾乳洞の入口に★★★
●小口泰與
一夜にて熟す杏のすさびかな★★★
友来る冷酒の量のはかどりし★★★
薫風や雨後の鳥語清かなる★★★★
●満天星
譲り受く木立ベゴニア花開く★★★★
「譲り受く」ことの喜びが読み手に伝わってくる。下五に置いた「花開く」がいい。(高橋信之)
青ぶどう拡大鏡で中也読む★★★
風吹けば鳴るよ風鈴仏桑花★★★
●廣田洋一
夏薊綿菓子のごとふくらみぬ★★★
病葉や澄みたる川を流れ行く★★★★
暮れなずむ道を明るく待宵草★★★
●桑本栄太郎
取り替えて風通し居り夏暖簾★★★
茄子漬の紫紺滲みたり冷茶漬★★★
カーテンのレースふくらむ涼夜かな★★★★
日常の身近な出来事を詠んで、季節を捉えた。季の本質を捉えたのである。「カーテンのレースふくらむ」ところの「風」に「涼夜」を見た。(高橋信之)
●川名ますみ
伯母来たるレースのシャツの襟を立て★★★
水羊羹誰もが匙に薄く載す★★★★
風涼し風船蔓をそよがせば★★★
7月12日(5名)
●多田有花
<洞川温泉への旅三句>
竹筒ですくいし炭を清水へ流す★★★
湧水の尽きることなし蛍飛ぶ★★★★
蛍は水がきれいなところが好きなようだ。湧水がこんこんと湧くところを飛ぶ蛍が幻想的。(高橋正子)
陀羅尼助売る店七夕の灯り★★★
●小口泰與
五月晴湯殿の窓も開け放し★★★★
啄木鳥や飯盒飯のほかほかと★★★★
啄木鳥がこんこんと木を叩く音。飯盒のほかほかのご飯。森のキャンプだろうか。楽しい時。(高橋正子)
木漏れ日の屈折映す泉かな★★★
●廣田洋一
鷺草や西に向かひて咲きにけり★★★★
鷺草の一輪揺らす朝の風★★★
鷺草は高く飛びたし鉢の上★★★
●桑本栄太郎
鳴神の音のみつづき仕舞いけり★★★★
鈍牛のように寝そべる溽暑かな★★★
ためらいつ己が軌跡やなめくぢら★★★
●谷口博望(満天星)
ねじりばなただ訳もなく反抗期★★★★
去年より化粧の乗らぬ花魁草★★★
茄子の花次々生まる紫紺の実★★★
7月11日(5名)
※川柳に近い句が見られます。ご一考ください。(高橋信之)
●小口泰與
捩花にすがる雀や風の中★★★
夕焼や景色が好きでカメラ好き★★★
炎昼の峠や冷気湧きにける★★★
●廣田洋一
紅き毬真中白き千日紅★★★★
紅き灯のゆらゆら揺れる千日紅★★★
道の端今日何日目千日紅★★★
●桑本栄太郎
宅配のチャイム鳴り居り昼寝顔★★★
なめくじの己が軌跡を誇りけり★★★
でで虫の時にこの世に目をつぶり★★★
●多田有花
<洞川温泉への旅三句>
梅雨晴間昼より入るぬるめの湯★★★
虹鱒の群れて観音橋の下★★★★
虹鱒は川に渡る橋の上から見ると、泳ぐ様子が楽しめる。清流にに泳ぐ虹鱒の姿は、涼しそうに見える。因みに「鱒」は春の季語。「虹鱒」は主に春から夏にかけて出回る。この句の季感は夏としてよい。(高橋正子)
●谷口博望(満天星)
蟻んこのはしばみの実について来ぬ★★★
新馬鈴薯のほくほく美味し貰い物★★★
紫の睡蓮咲いて甕の中★★★★