◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

11月30日

2013-11-30 08:49:41 | Weblog
●迫田和代
空からの風も避けるか薔薇園を★★★
今だから色も冴えてる冬紅葉★★★

足湯して輝く空には星月夜★★★★
夜気の寒さを忘れるほどの足湯のぬくもり。いつまでも見上げて居たい、星月夜である。(高橋正子)

●小口泰與
冬の日の山に落ちけり川に落つ★★★★
漠然とはや夕暮れや懐手★★★
息白し雨にカーテン替えており★★★

●祝恵子
渡り越し冬の海橋仰ぎ見る★★★
フグ刺の薄さと美味さを小倉にて★★★
炬燵には兄妹と居る嬉しさよ★★★★
炬燵を囲み、暖かさにくつろいで兄妹といるうれしさ。いつまでも兄の下の妹でいる幸せがある。(高橋正子)

●井上治代
 四国八十八カ所86番札所志度寺
九輪塔高くそびえて冬の鵙★★★★
志度寺は香川県にある札所。五重塔の九輪がそびえ、冬の空に鵙がけたたましく鳴く。鵙の小さな命の声が広い境内を圧するようだ。(高橋正子)

紅葉黄葉いけばな展に色あふれ★★★
風の中蜜を求めて冬の蝶★★★

●桑本栄太郎
風吹けば銀杏落葉の道を往く★★★
釣り人の独りの黙や枯尾花★★★
節々の骨のきしみや嵐雪忌★★★

●多田有花
木枯しを踏む心地する山路かな★★★
凩や海金色に輝きぬ★★★★
鵯(ひよ)の声明るく響く霜の朝★★★

●高橋秀之
残る葉はわずかばかりの冬木立★★★
冬木立の上には広く青き空★★★
どこまでも途切れぬ落葉並木道★★★★

●小西 宏
樹をめぐり銀杏落葉の明るい円(まる)★★★★
地に落ちて子ら伸び伸びと銀杏黄葉★★★
風明るし木の葉踊れる大通り★★★

●河野啓一
橙の早やも切られし今朝の庭★★★
焼き芋の香り漂う厨口★★★
白波の海に太刀魚釣り来る★★★★
コメント (5)
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11月29日

2013-11-29 07:58:57 | Weblog
●高橋秀之
冬の蝶風が吹くまま流れゆく★★★
紅葉散る大川沿いの並木道★★★★
「大川沿い」であるのがよい。爛漫の桜を咲かせた大川沿いも、紅葉を散らす季節となった。紅葉の散る大川沿いの桜並木もまた風情がある。
(高橋正子)
冬の朝遠くの生駒が近く見え★★★

●小口泰與
枯れ切って夕日透け行く薄かな★★★★
枯れ切ってこそ薄は白く透明感が増す。夕日に透けて枯れの美しさを見せている。(高橋正子)

虎落笛静かにさせよ赤城山★★★
声冴ゆる赤城の襞の迫りおり★★★

●河野啓一
日の中にひときわ明るし桐枯葉★★★★
桐の枯葉が、日差しの中にひときわ明るい。その明るさが季節の寂しさを救っている。(高橋正子)

山道を冬のドライブ県境★★★
冬彗星陽に近付きて砕けけり★★★

●桑本栄太郎
<京都四条大橋南座界隈>
四条大橋渡りまねきや京時雨★★★

顔見世のまねき高々あがりけり★★★★
南座の顔見世は、これから一年間興行をする役者の顔を紹介する興行。歌舞伎の新年のようなもの。そのまねきが高々とあがり、見るものの心を逸らせている。(高橋正子)

鴨川のしぶきか顔に時雨降る★★★

●川名ますみ
冬紅葉樹下の二人が三人に★★★★
立冬後の紅葉は、時雨などに傷められ、色もあわれ深さが見える。そうとは知らずか、樹下に二人が話しているのだろう。もう一人加わり話が弾むようだ。(高橋正子)

初菊の花瓶の側にパスタ皿★★★
パスタ巻く菊の花瓶と隣り合い★★★
コメント (2)
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11月28日

2013-11-28 05:42:36 | Weblog
●小口泰與
夕照の逆光浴びし冬野かな★★★

竹林のかんかん鳴るや冬ごもり★★★★
「かんかん」という竹林の響きが、冬の空気をよく感じさせている。冬ごもりする身には聴力が鋭くなる。(高橋正子)

冬ばらの風の中なる朝日かな★★★

●迫田和代
木枯らしにころころ転がる枯れ落葉★★★
今日もまた庭を明るく緋連雀★★★
何処からかピアノ音色年の暮れ★★★

●多田有花
時雨忌や夜明けの窓に風の音★★★

人はみな時の旅人芭蕉の忌★★★★
芭蕉の奥の細道の「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。」を思い出させる句だが、芭蕉忌の頃は、一年も終わろうとする頃で、時の過ぎる速さを感じ、また来る時を思う。「人は時の旅人」は人間の側から時を捉えた。(高橋正子)

梅の枝剪定されて冬めく日★★★

●桑本栄太郎
綺羅星のごとく山茶花つぼみけり★★★
朝よりも木の葉散り敷く家路かな★★★
綿虫やおまえは寒くないのかい★★★

コメント (1)
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11月27日

2013-11-27 05:04:07 | Weblog
●小口泰與
朝冴ゆるあけぼの色の赤城かな★★★★
朝の冴えた空気に、赤城山の山容があけぼの色に染まるのが、ほのかにあたたかい。(高橋正子)

山風の直滑降や頬凍つる★★★
底冷えの納戸や居間の賑わえり★★★

●多田有花
冬紅葉いよよ紅さの増しにけり★★★
公孫樹輝き師走の近づきぬ★★★

鉄骨の冬めく空へ吊られおり★★★★
冬めく灰色の空につられた鉄骨の危なさと武骨さがよく詠まれた。(高橋正子)


●桑本栄太郎
朝日射す方の並木や冬黄葉★★★★
朝寒の黄葉に日が差すと黄葉の黄色が浮き上がる。並木がどこまでも通じていく感じがする。(高橋正子)

冬紅葉窓に巡らせ迂回バス★★★
乗り換えの冬の紅葉の嵐山線★★★

●河野啓一
大滝のしぶきに濡れて紅葉かな★★★★
滝しぶきに濡れた紅葉は、風情が一段とましている。大滝からは風も吹き起こっているであろうから、紅葉の枝も濡れながら揺れて今現在を意識させてくれる。(高橋正子)

銀杏の木濃黄色に並ぶ朝★★★
名畑家の隅に大菊植えており★★★
コメント (4)
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11月26日

2013-11-26 07:04:07 | Weblog
●小口泰與
木守や遠の連山はなだ色★★★
火の山の噴煙起つや大根干す★★★★
大根を干すころは、風も寒くなり、温かさが恋しくなる。火の山の噴煙も目に温かさを運ぶ。そういう意味で取り合わせが成功している。(高橋正子)

噴煙の流るる先の木の葉かな★★★

●古田敬二
風が今梢に来たらし欅散る★★★★
風の子どもがいるようだ。梢に来た風の子は欅を散らした。(高橋正子)

昼の陽が上手い具合に柿吊るす★★★
二人して真昼の陽光布団干す★★★

●多田有花
あつあつの大きを頬張る牡蠣フライ★★★★
揚げたてのものはおいしい。牡蠣フライなどはことに揚げたてで大きなものがジューシーでおいしいのだ。寒い季節、あつあつが嬉しい。(高橋正子)

風雨去り窓に静かな冬落暉★★★
山へ向く道たっぷりと木の葉降る★★★

●佃 康水
鐘一打遠のく峡の冬紅葉★★★
【原句】塩むすび桜紅葉へ載せて食み
【添削】塩むすび桜紅葉へ載せて食ぶ★★★★
木の葉に食べ物を載せて食べるのは、風流だ。桜紅葉に白い塩結びが載れば色彩的にも美しい。(高橋正子)

四阿を叩きどんぐり転がり来★★★

●桑本栄太郎
<神戸六甲アイランドへ>
冬空へ大きく乗り出すモノレール★★★★
「大きく乗り出す」がいい。モノレールが大きくクローズアップされた。(高橋正子)

鉄橋の車行き交う冬の空★★★
クレーンのコンテナ吊りし冬の空★★★

●小西 宏
わが庭はふくら雀のひかり中★★★
遠くまで落葉ぬれたる柔らかさ★★★
冬空に聳ゆソーラー発電機★★★
コメント (5)
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