◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

●自由な投句箱/10月21日~31日●

2016-10-22 08:47:04 | Weblog

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
コメント (56)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今日の秀句/10月21日~31日

2016-10-22 08:45:41 | Weblog

[10月31日]

★干し物の向こう流るる秋の雲/川名ますみ
清潔に洗われて洗濯物に干されている。その空の向こうを白い秋の雲が流れている。生活のなかにも、こんなに、きれいで、清潔な景色が、とても幸せに思える。(高橋正子)

[10月30日]

★坂道の風になぶられ萩は実に/桑本栄太郎
雅やかに咲いていた萩も葉はすっかり黄葉し、実をつけるようになった。坂道を吹き上る風に枝がなぶられ、哀しい姿であるが、それに却って心動かされる。(高橋正子)

[10月29日]

★ひつじ田や羽音鋭き群雀/小口泰與
刈田にひつじが青々と伸びるころ。田に群れる雀が一斉に飛び立つと、空気を切る羽音が鋭く響く。冬の気配が忍び寄る。(高橋正子)

[10月28日]

★間引き菜を漬けて妻行く美容院/桑本栄太郎
間引き菜のやわらかな美味しさは、この季節を待って味わえるもの。その美味しさを漬物にする。美容院にゆく日も、厨事には怠りない主婦のしたたかさが読める。(高橋正子)

[10月27日]

★下野に苅田続けり空の青/廣田洋一
下野はちょうど、関東平野のど真ん中の栃木県南部になろうか。すっかり取入れが終わり刈田となった田が広々と広がり、刈田の上の空は澄み切って原初のような空として広がる。下野の刈田の風景に見る深み。(高橋正子)

[10月26日]

★初鴨を待ちて野の池空映す/古田敬二
今年も鴨が来る季節になった。いつも鴨が来る池は秋空を映して、そこに鴨を浮かばせたいと、鴨の飛来を心待ちにしている。待っているのは実は作者でもあるのだ。美しい季節を感じさせる。(高橋正子)

[10月25日]

★街の田も苅田となりて静寂に/河野啓一
野の苅田は、照り曇りに静かなたたずまいで広がる。街中に残された田も街の音をよそに、「静寂」であるという発見。どこにあろうと、苅田そのもが静かなのだ。(高橋正子)

[10月24日]

★滝道を行き交う人も秋深し/河野啓一
「人も秋深し」は、鋭い。滝への道は、夏は涼を求めて行き交ったであろうが、その滝への道も今は木々が紅葉し、落葉もそろそろ始まる。行き交う人も深まる秋の一景となっている。(高橋正子)

[10月23日]

★嬉々として青空裂きぬ朝の鵯/桑本栄太郎
鵯は秋、木の実を啄んだり、花の蜜を吸うのに元気いっぱい。嬉々としている。鳴く声も鵙に劣らず、朝の青空を裂くような声。それも嬉々としているからよろしかろう。(高橋正子)

[10月22日]

★秋の空鈴懸の実の歌を聴く/谷口博望(満天星)
空を見上げると、鈴懸の丸い実がいくつも枝に垂れた入るのが目に入る。秋空を吹く風に、鈴懸の実は歌を歌っているような可愛さだ。しばらく鈴懸の実の歌に耳を澄まそう。(高橋正子)

[10月21日]

★秋潮の河口に寄する波頭かな/桑本栄太郎
秋潮が河口に寄せる波頭を見ていると、それは、永遠に続く動きに思われる。「秋潮」の色はすなわち空の色でもあって、秋思につながる景色と思える。(高橋正子)
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月21日~31日

2016-10-22 08:44:49 | Weblog

10月31日(7名)

●満天星
烏瓜命尽くまで山河越え★★★
烏瓜書斎に吊るす生魚★★★
卵持つ魚吊る如く烏瓜★★★★

●小口泰與
山風の突然強く蒲の絮★★★
秋深き今朝の赤城の彫深し★★★
要を得て短き祝辞秋祭★★★★

●廣田洋一
荒縄の傘をめぐらし冬構★★★
旅先のどこも同じや冬構★★★
ビニールの鉢を覆いて冬構★★★★

●多田有花
秋晴れの丹波六甲小豆島★★★
正月までもつよと梨を売りに来る★★★
紅葉の大岩壁を攀じる人★★★★

●桑本栄太郎
天辺の楓紅葉や空を透き★★★★
桐一葉落ちて黄色の半ばかな★★★
茜なる入日の空のいわし雲★★★

●河野啓一
紅葉狩りどこへ行こうか地図出せど★★★
ふと寮歌聞きたる胸に秋愁充つ★★★★
秋のデイ日がな一日賑やかに★★★

●川名ますみ
通るたび明るくなりぬ薄紅葉★★★
秋風にそがれて来たる雲一枚★★★

秋雲の流るる手前に干し物(原句)
干し物の向こう流るる秋の雲★★★★(正子添削)
清潔に洗われて洗濯物に干されている。その空の向こうを白い秋の雲が流れている。生活のなかにも、こんなに、きれいで、清潔な景色が、とても幸せに思える。(高橋正子)

10月30日(4名)

●小口泰與
紅葉や雲駆け抜ける湖の面★★★
山に見て湖畔に見しや七竈(原句)
山に見し湖畔にも見し七竈★★★★(正子添削)
柿の木のどんと控えし大庇★★★

●廣田洋一
鷹の子や首に縄つけ小屋の中★★★
若鷹や鷹匠の手に羽搏けり★★★
鷹一羽海を見つめて動かざり★★★★

●谷口博望 (満天星)
七五三カメラ目線の晴れ姿★★★
オバマ来て菊人形は千羽鶴★★★
尉鶲広島城の赤い実へ★★★★

●桑本栄太郎
淡き色香りに乗せて藤袴★★★
坂道の風になぶられ萩は実に★★★★
雅やかに咲いていた萩も葉はすっかり黄葉し、実をつけるようになった。坂道を吹き上る風に枝がなぶられ、哀しい姿であるが、それに却って心動かされる。(高橋正子)

逝く秋や何と哀しき空の青★★★

10月29日(4名)

●谷口博望(満天星)
芙蓉の実次々種の御開帳★★★
芙蓉の実飛行機雲のくづれゆく★★★★
早々と日陰を照らす石蕗の花★★★

●小口泰與
ひつじ田や羽音鋭き群雀★★★★
刈田にひつじが青々と伸びるころ。田に群れる雀が一斉に飛び立つと、空気を切る羽音が鋭く響く。冬の気配が忍び寄る。(高橋正子)

逆光を浴びし尾花や夕浅間★★★
三ヶ月家の灯付かず花木槿★★★

●廣田洋一
楓の木半分程の紅葉なり★★★
手に取りし紅葉の名前尋ねけり★★★
桜の木紅葉途中の葉を散らす★★★★

●桑本栄太郎
あはあはと嗤う鴉や秋寒し★★★
冷まじくありて集えり消防車★★★★
家居の身に色なき風の穿ちゆく★★★

10月28日(4名)

●谷口博望(満天星)
枯れ果てて水に帰りぬ破蓮★★★★
敗蓮や色即是空見る如し★★★
敗蓮や平和の鐘の異邦人★★★

●小口泰與
晩菊や田居へ山風吹き注ぎ★★★
新米や茶碗も箸も真新し★★★★
松手入れ終り鴉の鋭声かな★★★

●廣田洋一
銀杏を拾う手袋匂いけり★★★★
銀杏の実手で割る音の高きかな★★★
銀杏の拾うに任せ大学内★★★

●桑本栄太郎
秋暁の遠きむかしの夢に哭く★★★
間引き菜を漬けて妻行く美容院★★★★
間引き菜のやわらかな美味しさは、この季節を待って味わえるもの。その美味しさを漬物にする。美容院にゆく日も、厨事には怠りない主婦のしたたかさが読める。(高橋正子)

枕頭に戦記上下の夜長かな★★★

10月27日(5名)

●谷口博望(満天星)
剛直に枝に食い付く花梨の実★★★★
花梨の実片意地通す天邪鬼★★★
まん丸になれぬ人生花梨の実★★★

●小口泰與
山襞を雲影駆けるななかまど★★★
山霧の仁王立ちなる疾風かな★★★
白雲のすいすい駆ける草紅葉★★★★

●河野啓一
丘一つ埋めて桜のうす紅葉★★★
箕面山望めば青しうろこ雲★★★
木の実落つ音聞こえ来る山路かな★★★★

●廣田洋一
爽涼や日光街道杉並木★★★
黄葉せる葉の透ける先青き空★★★

下野の刈田続けり空青し(原句)
下野に苅田続けり空の青★★★★(正子添削)
下野はちょうど、関東平野のど真ん中の栃木県南部になろうか。すっかり取入れが終わり刈田となった田が広々と広がり、刈田の上の空は澄み切って原初のような空として広がる。下野の刈田の風景に見る深み。(高橋正子)


●桑本栄太郎
回廊の二階通路の紅葉かな★★★★
見上げれば十字架峰に秋の山★★★
青空に照葉となりぬ庭の木々★★★

10月26日(5名)

●谷口博望(満天星)
行く秋やアサギマダラが手のひらへ★★★
ざわざわとアメリカ楓の枯葉散る★★★★
まだ青き黄烏瓜や藪の中★★★

●小口泰與
渋峠霧茫茫と奔りけり★★★★
山霧の非天の如くバスを飲む★★★
吹き募る峠の濃霧仁王立ち★★★

●古田敬二
家中の窓開け入れる秋の風★★★
新芋で鬼饅頭や忌を修す★★★

初鴨を待ちて野の池空映す★★★★
今年も鴨が来る季節になった。いつも鴨が来る池は秋空を映して、そこに鴨を浮かばせたいと、鴨の飛来を心待ちにしている。待っているのは実は作者でもあるのだ。美しい季節を感じさせる。(高橋正子)

●河野啓一
レーの越し秋深みゆく朝日かな
列島の天気図高く澄み渡りゆく★★★
庭隅のサフラン淡く風に揺れ★★★

●桑本栄太郎
青空の視界まつたき金木犀★★★
コスモスの彩となりけり休耕田★★★★
中州なる風の尾花や桂川★★★

10月25日(6名)

●谷口博望(満天星)
次々と潮引く方へ鯔の跳ぶ★★★
ねぐらへと烏の帰る秋の暮★★★
いち早く紅葉かつ散る花水木★★★★

●多田有花
秋深し忠臣蔵の駅に立つ★★★★
爽やかに再び描かんと思う★★★
ひいやりとしてフリースを出しぬ★★★

●小口泰與
睡蓮の葉のもみずるや風の沼★★★
山霧へ車もろとも吸い込まれ★★★★
仁王立ち霧のた走る渋峠★★★

●廣田洋一
日の暮れてことこと煮込む鰤大根★★★
友来たる酒を酌まんと鰤大根★★★
鰤刺身わさびの青く光りおり★★★★

●河野啓一
街の田も苅田となりて静寂に★★★★
野の苅田は、照り曇りに静かなたたずまいで広がる。街中に残された田も街の音をよそに、「静寂」であるという発見。どこにあろうと、苅田そのもが静かなのだ。(高橋正子)

秋深し千里丘陵並木道★★★
通販のバラ苗植うる場所もなし★★★

●桑本栄太郎
青々と穭田風になびきけり★★★★
コスモスの風に彩なす休耕田★★★
ふんぷんと路地の舞妓や金木犀★★★

10月24日(5名)

●小口泰與
黒雲の下を濃霧の奔りけり★★★★
白線に沿わす車や霧襖★★★
松茸も管の通過や我が髪膚★★★

●廣田洋一
水鳥や撒かれたる餌に飛びつきぬ★★★
水鳥の水脈に押される落葉かな★★★★
水鳥や二羽進み行く日のたまり★★★

●満天星
都鳥昔男の恋心★★★
都鳥恋しき人の紅の色★★★
恋しきや紅美しき都鳥★★★★

●桑本栄太郎
淀川のさざ波風に秋の声★★★
ビル群の大阪駅や秋日さす★★★
黒々と焼かれ田面の刈田かな★★★★

●河野啓一
百日紅散り初めてなお空に映え★★★
草摘んだ跡に止まり来アカトンボ★★★

滝道を行き交う人も秋深し★★★★
「人も秋深し」は、鋭い。滝への道は、夏は涼を求めて行き交ったであろうが、その滝への道も今は木々が紅葉し、落葉もそろそろ始まる。行き交う人も深まる秋の一景となっている。(高橋正子)

10月23日(4名)

●小口泰與
コスモスや風に抗う鳶一羽★★★
白樺の一段と映ゆ秋の湖★★★

高原の雲脚迅きななかまど(原句)
高原の雲脚迅しななかまど★★★★(正子添削)

●河野啓一
杜鵑草が咲いていたよと妻の声★★★
色薄き庭のいろどり杜鵑草★★★★
賑やかにまた寂しくて杜鵑草★★★

●廣田洋一
蜂一匹渡りて行きし杜鵑草★★★

白菊の並び咲きたる秀明菊(原句)
白き花並び咲きたる貴船菊★★★(正子添削)
※下五を五音にしました。

十月桜小さき灯り点すごと(原句)
十月桜小さき灯り点しけり★★★★(正子添削)

●桑本栄太郎
山崎の山粧いてサントリー★★★
赤き実の枝の揺れ居り色鳥来★★★
嬉々として青空裂きぬ朝の鵯★★★★
鵯は秋、木の実を啄んだり、花の蜜を吸うのに元気いっぱい。嬉々としている。鳴く声も鵙に劣らず、朝の青空を裂くような声。それも嬉々としているからよろしかろう。(高橋正子)

10月22日(5名)

●廣田洋一
朝寒しシャワーの温度一度上ぐ★★★★
朝寒し熱きトースト急ぎ取る★★★
朝寒やリュック背負いて温かし★★★

●小口泰與
蔦紅葉雨脚早くなりにける★★★★
ななかまど急ぎし雲の峠越ゆ★★★
上野(こうずけ)の風荒荒しきや牧閉ざす★★★

●谷口博望(満天星)
秋の空鈴懸の実に風が吹く★★★
秋の空鈴懸の実は歌となる★★★

秋の空鈴懸の実の歌を聴く★★★★
空を見上げると、鈴懸の丸い実がいくつも枝に垂れた入るのが目に入る。秋空を吹く風に、鈴懸の実は歌を歌っているような可愛さだ。しばらく鈴懸の実の歌に耳を澄まそう。(高橋正子)

●桑本栄太郎
山崎の山粧えりサントリー★★★
交叉せる鉄路光りて泡立草★★★★
ふるさとの地震の報らせ秋愁う★★★

●古田敬二
ゆったりと秋旅薄暮の露天風呂★★★
陸奥の紅葉の早き旅にいる★★★★
くねくねと磐梯山道薄紅葉★★★

10月21日(4名)

●小口泰與
啄木鳥や山のホテルの芝の径★★★★
木犀や川風を浴む露天の湯★★★
コスモスの背丈定まり天が下★★★

●廣田洋一
守衛さん落葉掃き寄す庭箒★★★
並木道重なる落葉両側に★★★★
木間よりひらりこぼれる落葉かな★★★

●桑本栄太郎
モノレールの遥か眼下や泡立草★★★
秋潮の河口に寄する波頭かな★★★★
秋潮が河口に寄せる波頭を見ていると、それは、永遠に続く動きに思われる。「秋潮」の色はすなわち空の色でもあって、秋思につながる景色と思える。(高橋正子)

淀川の橋の数多や秋の江★★★

●満天星
どの家も金木犀の匂う町★★★
オリーブの実を啄める鳩の群れ★★★
渡鴨初お目見えの被爆川★★★★
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●自由な投句箱/10月11日~20日●

2016-10-12 09:08:48 | Weblog

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
コメント (59)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の秀句/10月11日~20日

2016-10-12 09:06:30 | Weblog

[10月20日]

★日の温み残る冬瓜胸に受く/佃 康水
畑から採ってきたばかりであろう。大きな冬瓜をいただいた。その大きさに、胸で抱くように受け取ると、生ぬるい日の温みが残っている。「胸に受く」に、季節がより強く、また作者の人柄の暖かさが感じられる。(高橋正子)

[10月19日]

★秋耕を終えし畑や静まれり/廣田洋一
歳時記では、「秋耕」は、稲を刈ったあと鋤き起こしたり、裏作の麦や菜種を播くために耕すことをいう。澄んだ大気のもとに、耕された畑は、土の色も息遣いもしずかである。次の農作業を待って「静まれり」である。(高橋正子)

[10月18日]

★露寒し陸奥の旅寝の目覚めかな/古田敬二
ご自宅のある名古屋から陸奥への旅。旅に目覚めて、朝露に寒さを覚える。みちのくの秋は冬へと足早に進む。その実感。(高橋正子)

[10月17日]

★水鳥や狭き川辺に巣を構え/廣田洋一
偶然に、水鳥が狭い川辺に巣を構えているのを見つけた驚きと水鳥への愛おしさ。思いもかけないところで、命あるものは次の命を育て、命をつないでいる。(高橋正子)

[10月16日]

★水切りの敢無く没し水澄めり/小口泰與
水切り(みずきり)は水面に向かって回転をかけた石を投げて、水面で石を跳ねさせる 遊び。昔は、水切りも上手だったであろうが、体がぎこちなくなっているのだろう、投げた石が敢え無く沈み、そのあとは澄んだ水面が広がる。その心境。(高橋正子)

[10月15日]

★赤き実のぱらぱら降りて小鳥来る/桑本栄太郎
赤い実がばぱらぱら降ってくるのは、小鳥のせい。大陸から渡って来た小鳥が木の実を啄む。赤い木の実がこぼれる。「小鳥」と「赤き実」はかわいらしい。(高橋正子)

[10月14日]

★川風をしきりに誘い萩は実に/桑本栄太郎
いい風景だ。「川風」に揺れ、「萩は実に」なるのだ。中七の「しきりに誘い」は作者の主情だが、それがいい。(高橋信之)

[10月13日]

★いろいろの木の実を拾う山散歩/谷口博望(満天星)
トレッキングとまではゆかなくても、秋の小山を散歩するのも楽しいことだ。荷物ももたない手持無沙汰に、落ちているいろんな木の実を拾ってみたくなる。遊び心。(高橋正子)

[10月12日]

★撮り溜むる写真の数や秋の星/小口泰與
撮り溜めた写真は、写真愛好家の泰與さんならば、かなりの量になっていると想像できる。夜長の灯の下にそれらを取り出して眺めたり、吟味したりする。灯の下で一枚一枚の写真の光沢が、秋の綺羅星と重なって思える。(高橋正子)

[10月11日]

★浄土へと釣瓶落としや当麻寺/河野啓一
当麻寺の向こうに釣瓶落としの日が沈む。その光景の静かな美しさは向こうの浄土の存在を思わせる。当麻寺の現在信仰の中心となっているのは、西方極楽浄土の様子を表した「当麻曼荼羅」。そのことを思えば、浄土へと日が沈むと強く実感されたのであろう。(高橋正子)
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする