◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

4月30日(火)

2013-04-30 11:16:56 | Weblog
●小口泰與
渓流を釣り上がりしや山つつじ★★★
雨上がりさえずり高き牧の朝★★★
鳥達の森に逃げ行く黄砂かな★★★

●井上治代
山あいに夢のじゅうたん芝桜★★★
広き田にちらほら咲けるれんげ草★★★
庭の隅なんと小さき母子草★★★

●河野啓一
新緑の窓辺に座して烏鷺かこむ★★★
雨上がり街路樹みんな若緑★★★

ひなげしの色載せ丘のゆれており★★★★
丘一面に咲きそろったひなげしの花。丘は一面にひなげしの花を載せている。そよ風が吹けば、丘ごと揺れる。目に安らかな快い明るい景色である。(高橋正子)

●桑本栄太郎
黄金週間テニスコートの音弾む★★★
青柳の名もなき橋に風を呼ぶ★★★
<京都市内散策>
著莪の花木陰に風の高瀬川★★★

●黒谷光子
ふる里の草餅提げて弟来る★★★
石楠花の満開の前いもうとと★★★
石楠花も牡丹も写し帰りゆく★★★

●下地 鉄
若夏のカーテン透く柔陽かな★★★
残照の風に戯る茅花かな★★★★
百合の花影を揺らして今日も咲く★★★
コメント (2)
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4月29日(月)

2013-04-29 11:15:20 | Weblog
▼4/29

●古田敬二
淡き色八重のかさなり山笑う★★★
木の芽採る見上げる空の眩しかり★★★
京都から帰る子に炊く菜飯かな★★★

●小口泰與
木苺の花や冷気は赤城から★★★★
山桜ほろほろ散るや川速し★★★
三山も白に染まりし凍返る★★★

●河野啓一
筍はリレーのごとく手渡され★★★
子鹿らと遊ぶ子の手に鹿せんべい★★★
スラリ立つあやめの蕾春深し★★★

●黒谷光子
蒲公英の絮飛ぶ構え風を待つ★★★
蒲公英に残されし絮二三本★★★
石楠花や苗木を求めし昭和の日★★★

●多田有花
過ぎ去ればすべて美し昭和の日★★★
春惜しみ古墳の陰に語らいぬ★★★
藤房の下がり初めにし山となる★★★★

●桑本栄太郎
股旅の映画を観たり昭和の日★★★
小でまりの花や背丈を青空へ★★★
流れゆく車窓はるかに蓮華草★★★

●佃 康水
ハンカチの花は夕日へ高く振り★★★★
ハンカチの花は、ヤマボウシのように萼が花のようになっている。ヤマボウシよりも大きく、さながら白いハンカチのようである。高木となって聳え、夕日にさよならを言うように風にそよぐ。その様子を新しい感覚で詠んだ抒情のある句。(高橋正子)

振り付けて発つゴンドラへ山若葉★★★
唐楓落花に山路薄みどり★★★

●高橋秀之
春の青空が葉と葉の合間から★★★
変り種自転車漕ぐ子昭和の日★★★
蒲公英の一輪通路脇に咲く★★★
コメント (1)
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4月28日(日)

2013-04-28 07:40:11 | Weblog
●小口泰與
うぐいすや白き遠嶺のまだらなり★★★
山梨の花や妙義に雲一朶★★★
初雷や未だ目覚めぬ百日紅★★★

●祝恵子
夏近しバチを響かせおさらい会★★★
水替えて水に挿しおりチューリップ★★★★
水中にあるチューリップの葉や茎は、清涼感さえある。花もよいが、「水」と取り合わせたチューリップもまたよい見所がある。「水」の語の繰り返しが効いている。(高橋正子)

風に乗る百数匹の鯉のぼり★★★

●藤田裕子
山独活の香を手に残し酢みそ和え★★★
月朧庭ひそやかな時もてり★★★
山風を大きく捉え鯉幟★★★★
鯉のぼりは建てられた場所の風を孕んで泳ぐ。山があれば山からの風を捉えて大きく膨らみゆったりとそよぐ。その自然体がおおらか。(高橋正子)

●多田有花
春昼の玄米菜食ごはんかな★★★
護摩焚きの森に響くや春深し★★★★
森に囲まれた寺。護摩が焚かれ弾ける音が春深い森に響く。森の木々、森の小さな生き物にもその音は響き伝わる。護摩を焚く音が春の森に響くのがよい。(高橋正子)

風そよぐ木陰を歩き夏隣★★★

●河野啓一
新緑に向かい浮き浮き車の列★★★
山つつじ当麻寺なる曼荼羅浄土★★
春夕日二上山に西方浄土★★★

●下地鉄
吹く風の色も香りも新樹かな★★★
雲海や機窓に富士の靈姿かな★★★
集落を森へとつなぐ鯉のぼり★★★

●桑本栄太郎
鉢植えのパンジー飾る園の門★★★
肺奥へ馴染み入りけり若葉風★★★
風紋の吹き抜けそよぐ春の波★★★

●藤田洋子
山晴れて筍掘りの鍬の音★★★
掘りたての筍重ね芳しき★★★
山里に風のあふるる竹の秋★★★

●高橋秀之
ぶらんこの順番待つ子が後押しす★★★
ぶらんこが揺れている間にさようなら★★★
ぶらんこの横をボールがコロコロと★★★
コメント (4)
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4月27日

2013-04-27 16:45:58 | Weblog
●小口泰與
山風の鶏も飛ばすや春炬燵★★★
初雷に耳を峙つチワワかな★★★
火の山の雪解まだらや桜散る★★★

●河野啓一
街の風歩道に沿うて山法師★★★
介護士のシャツひらひらと夏近し★★★
山裾を抜け行く箕面の若葉風★★★

●黒谷光子
石楠花に牡丹に明るき寺の庭★★★
石楠花の満開に虻飛び交える★★★
牡丹の蕾もあしらい供花とする★★★
供花の花はこの季節たくさんあるけれど、それらの花に混ぜて牡丹の蕾を一つ添える。咲いた牡丹ではなく、「蕾」というのが供花に相応しく、ほかの花をも活かした優しい心遣い。(高橋正子)

●桑本栄太郎
葉桜の木陰うれしき散歩かな★★★
近づけば数多飛び込む蝌蚪の紐★★★
たんぽぽの花の石垣埋めにけり★★★

●古田敬二
蓬摘む指先ふるさと香りけり★★★
鶯の鳴きけり矢作の川向う★★★
いたどりの矢作の川へかたぶきぬ★★★

●高橋秀之
軒先に手のひらサイズのこいのぼり★★★
雲ひとつなき空青く夏近し★★★
春風に草木が揺れて影も揺れ★★★
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4月26日(金)

2013-04-26 01:59:43 | Weblog
●小口泰與
通り雨楓の花に朝日かな★★★
フロントのガラスを占むる落花かな★★★
たんぽぽや窓明け放す丸太小屋★★★★
丸太小屋は草原にあるのか。窓を開け放すと地に低く咲くたんぽぽが見える。アメリカの草原を思わせるような光景だが、日本にもあるのだろう。(高橋正子)

●河野啓一
鶯の声絶え間なし明日香村★★★
斑鳩に遠き鐘の音春は行く★★★
鯉のぼり風呑みこんで宙に浮く★★★

●迫田和代
朝日浴び周りを明るく白躑躅★★★
葉桜を川面に浮かべゆったりと★★★
夏近し木陰の口笛冴えた音(ね)を★★★★
木陰で口笛を吹く人がいる。きれいな冴えた口笛の音色に、木陰がすずやかだ。夏も近い。(高橋正子)

●佃 康水 
 ひろしま菓子博2013
菓子博の途切れぬ列へ若葉萌ゆ★★★
川風へ応へ名残りの花揺れる★★★ 
牡丹の崩れ一ひら書に挿む★★★  

●黒谷光子
佛器みな光らせ迎う法然忌★★★
八朔も餅も供物に御忌法要★★★
三幅の絵伝を掛けて法然忌★★★

●多田有花
沖は晴れ頂過ぎる春時雨★★★
チューリップ数多の風姿を見せて咲き★★★
春の森万の色して風に揺れ★★★

●桑本栄太郎
園児等のつなぐ手つづき野遊びへ★★★★
園児たちが手をつないで、次に来る園児も手をつないで、みんなで野原へ遊びにゆく。可愛らしく、のどかな光景。(高橋正子)

甘き香の青空見上げ藤の棚★★★
吹き抜ける風に羽音や虻の昼★★★

●小西 宏
スカイツリーの脚線うらら川下り★★★
燕交う夕暮の空四分して★★★
肩寄せて苺つぶして語りし夜★★★★

●川名ますみ
初蝶の横切るを待ち発車せむ★★★
水木咲くほどに水面へ枝近し★★★
春風や髪に挿さりし花の蘂★★★
コメント (1)
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