◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

●デイリー句会投句箱/8月21日~31日●

2014-08-31 05:53:17 | Weblog
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今日の秀句/8月21日-31日

2014-08-22 05:29:21 | Weblog
[8月30日]
★稲干して古き時代を語りけり/河野啓一
刈りとった稲を干して、昔の稲刈りのことなど話たのであろう。今は刈りとりと同時に脱穀までしてしまうほど機械化されて、あっけない感じがする。昔ながらの方が、稲に対する思いが清らかなように思う。(高橋正子)

[8月29日]
★霧の朝子はしんしんと眠りけり/福田ひろし
「霧」は秋の季語。子は、秋となって、「しんしん」と静かに深く眠り、安らかである。特別なことではないが、平和な、いい生活がある。(高橋信之)

[8月28日]
★白波の立ちし榛名湖荻の声/小口泰與
榛名湖に白波を立たせて吹く風は、また荻を吹く風でもある。荻を吹く風はすでに秋のわびしさを感じさせる風なのだ。(高橋正子)

[8月27日]
★霧動き白樺静かに現われり/古田敬二
白樺と霧の実景に詩情がある。それを「静かに現われり」と、合唱の幕が徐にあがるように詠んだのが魅力。(高橋正子)

[8月26日/2句]
★時折は硬き音たて秋雨降る/小川和子
秋雨の降る音を聞いておれば、静かな音のなかに、時折、硬くものを叩いて降る音が聞こえる。一様でない秋雨の降り方に、聞く心も心なし揺らぐ。(高橋正子)

★手のとどく丈に椎の実弾け居り/桑本栄太郎
幼いころ椎の実を食べた思い出のある作者だろう。手を伸ばせば届く位置に椎の実が弾けている。あまりの懐かしさに、また、この秋という感傷的な季節に、一句となった。(高橋正子)

[8月25日]
★野の草をしとどに浸し秋出水/河野啓一
大雨のあとの川をのぞくと、出水が川辺の草を水草のように巻き込み、浸して流れている。災害をもたらすほどの雨でないのが幸いで、勢い流れる出水に「野の草をしとどに浸す」風情を見た。(高橋正子)

[8月24日/2句]
 神戸の港湾
★秋澄むや港湾跨ぎ大橋梁/桑本栄太郎
港湾に架かる橋梁は硬質の力と美がある。大気が澄み、海の水も青さを増して、港湾の景色が魅力を増す。(高橋正子)

 広島土石流災害
★秋出水乾かぬ泥の匂い立つ/佃 康水
このたびの広島の土石流の災害は、まったく酷い。「泥の匂い立つ」が罹災された人たちの悲しみと、現場の生々しい惨状を伝えている。(高橋正子)

[8月23日]
★子らの絵の行灯並び地蔵盆/黒谷光子
地方によって地蔵盆の送り方はいろいろであろうが、光子さんの地方は、行灯に子どもが絵を絵を描き、それを幾灯も灯しているようだ。微笑ましい行灯の絵に囲まれた本当に子どものための地蔵盆だ。(高橋正子)

[8月22日/2句]
★蝶のせて女郎花揺る万博の森/祝恵子
女郎花に蝶がのって揺れる可憐な姿は、山にある女郎花とは趣の違った、万博の森の女郎花。女郎花は意外にも強い花だが、目にはいかにもしなやかだ。(高橋正子)

★荒れ畑の野鳥の声や野分晴/小口泰與
野分が去ったあとの、すっきりと晴れた空。その晴れた空の下に荒れた畑があるが、野鳥が嵐が去ったことを喜び鳴き交わしている。荒れた畑は野鳥たちの喜ぶ自然の野なのだ。(高橋正子)

[8月21日/2句]
★燕すでに去りにし空の飛行機雲/多田有花
残暑の暑さに空を見るのを忘れていたが、空の燕はいつの間にか去って、さびしくなった空には飛行機雲が線を描いて伸びている。もう秋が来ているのだ。(高橋正子)

★街の灯の清らに見ゆる秋の夜/小西 宏
まだ暑さが残る頃、昼間の空気は澄んでいるとは思えないが、夜になると、街にともる灯は、清らかに澄んで見える。街の灯がきれいな夜は気持ちも爽やかになる。(高橋正子)
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8月21日-31日

2014-08-22 05:28:04 | Weblog
8月31日

●小口泰與
逆光の数多のしずく稲穂かな★★★
笹を食む山羊や秋野の蒼き空★★★
田の面を白き腹見せ秋つばめ★★★★

●河野啓一
八月尽秋の雨をば憾みつつ★★★
秋の日を浴びて柿の葉揺れており★★★
秋澄めり島熊山のレストラン★★★★
島熊山(しまくまやま)は、大阪万博の開かれた千里丘陵にある一番高いところと聞く。今は住宅地として開発はされているものの、見晴らしのよいレストランからの眺望に「秋澄めり」をしっかりと感じ取られた。(高橋正子)

●多田有花
不揃いの産地直売梨を食ぶ★★★
朝空の青さを仰ぐ八月尽★★★
桃色の鶏頭囲む角の家★★★★
【添削】桃色の鶏頭の囲む角の家
【添削2】鶏頭の桃色が囲む角の家

●桑本栄太郎
青空の胡桃色づくバス通り★★★
いつせいに雀飛び翔つ稲田かな★★★
さわさわと溝の流れや彼岸花★★★★
彼岸花が溝川の流れに沿って咲いている景色はよく見かけるが、溝川の流れが「さわさわ」としているので、気持ちのよい句になった。さわさわと流れる水と、赤い彼岸花がよく季節を表している。(高橋正子)

●古田敬二
一葉だけ白樺落とす木曽初秋★★★
北へ行く列車に揺れる芒原★★★
秋海棠白磁の花挿し木曽の店★★★★

8月30日

●小口泰與
ひぐらしや鍬打つ婆の長き影★★★★
秋の闇畷の猫と小犬かな★★★
つれなくも忽ち過ぐる秋祭★★★

●河野啓一
稲干して古き時代を語りけり★★★★
刈りとった稲を干して、昔の稲刈りのことなど話たのであろう。今は刈りとりと同時に脱穀までしてしまうほど機械化されて、あっけない感じがする。昔ながらの方が、稲に対する思いが清らかなように思う。(高橋正子)

そよ風の林を抜けて涼新た★★★
木々の葉も朝日に映えて彼岸花★★★

●桑本栄太郎
秋雨の書を読むままに眠りけり★★★
うそ寒やカーテンふくれ小窓閉ず★★★★
日の高きうちに湯浴みや新酒酌む★★★

●黒谷光子
秋草に本丸跡とう碑の一つ★★★
湖を見に公園よぎる萩の風★★★
夕近き湖はにび色秋はじめ★★★★

8月29日

●小口泰與
逆光の稲田黄金の雫満つ★★★★
鬼やんま来しあと何も足湯かな
新走り届くやこの日休刊日★★★

●河野啓一
白雲の生駒発して水澄める★★★
たちまちに秋冷来る朝の風★★★
園児たち揃いて挨拶爽やかに★★★★

●多田有花
薔薇を描く窓辺に秋蝉のかすか★★★★
部屋に差す朝の光の秋めける★★★
蜂一匹窓を出入りす秋の昼★★★

●桑本栄太郎
底紅忌しかと夜半の雨となる★★★
ベランダの鉢に鳴き初むきりぎりす★★★
鳩吹くやうすく色づく庭の木々★★★★

●川名ますみ
底紅の紅いっぱいに見せひらく★★★
まだ空を向いて巻きたる花木槿★★★
入り梨の集荷へ走る午後三時★★★★

●小西 宏
カーテンに吹き上げられて秋の空★★★
蜩に昼なお暗き雨上がり★★★★
雨上がり紅萎めたる花芙蓉★★★

●高橋秀之
水平線の上は大きく高き空★★★★
絹雲の広がる空に鳥の群れ★★★
秋の日が照らす対岸駒ヶ岳★★★

●福田ひろし
霧の朝子はしんしんと眠りけり★★★★
「霧」は秋の季語。子は、秋となって、「しんしん」と静かに深く眠り、安らかである。特別なことではないが、平和な、いい生活がある。(高橋信之)

目の見えぬ老犬に降る銀河かな★★★
缶コーヒーあおりて染みる秋の空★★★

8月28日

●小口泰與
稲の花靄を被りし赤城山★★★
秋暑し何かと言いてよく食ぶる★★★
白波の立ちし榛名湖荻の声★★★★
榛名湖に白波を立たせて吹く風は、また荻を吹く風でもある。荻を吹く風はすでに秋のわびしさを感じさせる風なのだ。(高橋正子)

●古田敬二
木曽音楽祭3句
秋雨に洗われ白樺いよよ白★★★
コンサート果てて薄暮に男郎花★★★★
弦楽の響き溢れて木曽は秋★★★

●桑本栄太郎
錦木の早やも紅差す秋の雨★★★
図書館へ向かうすがらや露しぐれ★★★

妻が寝てまだ書を読みし夜長かな★★★★
妻が寝てもまだ読み続けたい本がある。夜も長いことだし、ひとり本の世界に遊ぶ楽しみ。これこそ読書の楽しみではなかろうか。(高橋正子)

●小西 宏
窓多き家に雨降る秋の空★★★★
霧雨に蝉の音とおく消えゆける★★★
秋の蚊の追われて暗き部屋の隅★★★

●河野啓一
あわあわと散る百日紅雨の中★★★★
雨止んで苑の花畑ひろびろと★★★
軽やかに爪を摘む午後鳳仙花★★★

8月27日

●古田敬二
霧動き白樺静かに現われり★★★★
白樺と霧の実景に詩情がある。それを「静かに現われり」と、合唱の幕が徐にあがるように詠んだのが魅力。(高橋正子)

木曽は秋白き指弾くピチカート★★★
雨粒もひとつの花びら萩咲けり★★★

●小口泰與
秋蝉や老いの一徹鎌を研ぐ★★★★
稲妻や犬と散歩の田んぼ道★★★
稲の花もやの中より一嶺出づ★★★

●河野啓一
秋蝉の声気づかざるまま夜の明ける★★★★
マンション群ポプラ並木を見下ろして★★★
朝露に濡れし無花果そっと捥ぎ★★★

●多田有花
青空に翅きらめかせ赤とんぼ★★★★
青空にきらめく翅は、ガラスのように空の青さを透かせたイメージだが、そこに「赤とんぼ」が配されて、きらめく翅は、青い翅ではなかったと気付かされる意外性。青空を輝き飛ぶ一匹の赤とんぼだ。(高橋正子)

デラウェア食べつつ読めり遭難記★★★
掃除機の音を消したり秋驟雨★★★

●桑本栄太郎
秋雷の雲の彼方は日射しけり★★★
雨雲の街の空のみ秋の雷★★★
葉裏見せ花に雨降る葛嵐★★★★

●川名ますみ
店先の白木槿散り弁当屋★★★★
店先に木槿散らせし弁当屋★★★
笛の音のすこし寂しき盆踊★★★

●小川和子
花筒に供う竜胆青深む★★★★
秋暑し連山望む丘の墓地★★★
毬栗の青し甥らと義兄偲ぶ★★★

8月26日

●古田敬二
木曽へ来てなじみの店の今年そば★★★
新芋を塩つけて食う木曽の旅★★★★
恵那山は夏の名残りの雲が立つ★★★

●小口泰與
雨ながら朝顔けなげ色異(け)なり★★★
灯を透かす和紙の有り様長き夜★★★
新しき器となりて秋高し★★★★

●多田有花
雨音のやめばいつしか虫の闇★★★
情熱の落としどころやカンナ咲く★★★
雨あがり森に茸の色とりどり★★★★

●小川和子
時折は硬き音たて秋雨降る★★★★
秋雨の降る音を聞いておれば、静かな音のなかに、時折、硬くものを叩いて降る音が聞こえる。一様でない秋雨の降り方に、聞く心も心なし揺らぐ。高橋正子)

草むしる狗尾草を惜しみつつ★★★
萩の葉の雨滴にふるる蜆蝶★★★

●桑本栄太郎
手のとどく丈に椎の実弾け居り★★★★
幼いころ椎の実を食べた思い出のある作者だろう。手を伸ばせば届く位置に椎の実が弾けている。あまりの懐かしさに、また、この秋という感傷的な季節に、一句となった。(高橋正子)

耕衣忌の鉢の葱摘み味噌汁へ★★★
新駅の上はバイパス稲穂垂る★★★

8月25日

●小口泰與
秋雲の頓に形のかわりける★★★
秋の野や羨(とも)しむものに空の鳥★★★★
秋晴やこの頃とんと杖要らぬ★★★

●河野啓一
野の草をしとどに浸し秋出水★★★★
大雨のあとの川を除くと、出水が川辺の草を水草のように巻き込み、浸して流れている。災害をもたらすほどの雨でないのが幸いで、勢い流れる出水に「野の草をしとどに浸す」風情を見た。(高橋正子)

秋の鮎粗塩ちらし焼き上げる★★★
白木槿ふと目が合いし片えくぼ★★★

●桑本栄太郎
長雨の朝の路地行き地虫鳴く★★★
鴨川に立ち込み釣りや秋の鮎★★★
新涼や女子運転の阪急線★★★★

●高橋信之
曙の空も地も露けしと思う★★★★
この数日、一時の猛暑に比べれば、すずしい日だ。とくに、曙であれば、すずしく、「空も地も露けし」感じを抱く。曙であるのがよい。(高橋正子)

遠くのことを近くと思う秋出水★★★
物思う此の頃多く秋暑し★★★

8月24日

●小口泰與
あけぼののコスモスの空深き蒼★★★★
曙光の空の蒼が、コスモスと取り合わせて、深々と詠まれている。(高橋正子)

十州の山にかこまる林檎かな★★★
朝顔や鉄路の遠音聞こえしよ★★★

●桑本栄太郎
 神戸の港湾
秋澄むや港湾跨ぎ大橋梁★★★★
港湾に架かる橋梁は硬質の力と美がある。大気が澄み、海の水も青さを増して、港湾の景色が魅力を増す。(高橋正子)

秋潮の河口につどう神戸かな★★★
台船の起重機うごき秋の潮★★★

●多田有花
秋蝉のボリューム少し落ちし朝★★★
フリスビー犬が捕らえし秋初め★★★★
熱々の稲荷寿司食ぶ秋涼し★★★

●佃 康水  
 広島土石流災害 2句
秋出水乾かぬ泥の匂い立つ★★★★
このたびの広島の土石流の災害は、まったく酷い。「泥の匂い立つ」が罹災された人たちの悲しみと、現場の生々しい惨状を伝えている。(高橋正子)

救援の作業阻むや秋驟雨★★★
ふと日差す寸時に処暑の風通す★★★

●小西 宏
外野走り明るい空よ秋の雲★★★★
みな色に染まり傾げる猫じゃらし★★★
西空に嶺くっきりと秋の暮★★★

●黒谷光子
紅萩も白萩も咲き池めぐる★★★★
甲羅干す亀池の辺の秋芝に★★★
秋雨に心残りの茣蓙たたむ★★★

8月23日

●小口泰與
稲の花雨の帳となりにけり★★★
とどまると帽子にとどむ蜻蛉かな★★★★
水滴の次から次と秋の雨★★★

●黒谷光子
子らの絵の行灯並び地蔵盆★★★★
地方によって地蔵盆の送り方はいろいろであろうが、光子さんの地方は、行灯に子どもが絵を絵を描き、それを幾灯も灯しているようだ。微笑ましい行灯の絵に囲まれた本当に子どものための地蔵盆だ。(高橋正子)

地蔵会の子供に分ける袋菓子★★★
地蔵会の読経にまじる子らの声★★★

●多田有花
つくつくぼうし鳴く下をゆく森の朝★★★★
秋口や窓に午後の陽入り初めし★★★
髪切ってうなじに処暑の風受ける★★★

●河野啓一
秋出水人智を超えし土砂一瞬★★★
秋の虹箕面の滝にかかりおり★★★
百日紅並木となりて苑の道★★★★

●桑本栄太郎
<広島土石流災害追悼>
山肌の明かり哀しや秋出水★★★
<神戸へ>
淀川の鉄橋あまたや秋澄める★★★
芦屋には想い出多く酔芙蓉★★★★

●小西 宏
蜩の風の涼しき森に入る★★★★
森に入れば、そこは蜩が鳴き、涼しい風が吹いている。蜩の風にさざめくような鳴き声が、すこし寂しさを帯びている。(高橋正子)

朝露を駆けて濡れたる犬の腹★★★
雨上がり先触れ太鼓秋祭り★★★

8月22日

●祝恵子
蝶のせて女郎花揺る万博の森★★★★
女郎花に蝶がのって揺れる可憐な姿は、山にある女郎花とは趣の違った、万博の森の女郎花。
女郎花は意外にも強い花だが、目にはいかにもしなやかだ。(高橋正子)

鹿おどし秋水ちろろと流れおり★★★
桔梗咲く茶屋に座れば風ぬける★★★

●小口泰與
荒れ畑の野鳥の声や野分晴★★★★
野分が去ったあとの、すっきりと晴れた空。その晴れた空の下に荒れた畑があるが、野鳥が嵐が去ったことを喜び鳴き交わしている。荒れた畑は野鳥たちの喜ぶ自然の野なのだ。(高橋正子)

D五一の罐のあかあか花カンナ★★★
講堂の真夜の外の面(とのも)の虫の声★★★

●小西 宏
山土を黄の濁流に秋の雨★★★
二の腕をくすぐり笑う猫じゃらし★★★
ガラス窓に遠く揺らめく稲光★★★★

●桑本栄太郎
神戸へ
静かなる淀の大河や秋日さす★★★
さるすべり煉瓦の町の芦屋かな★★★
新涼の清流眼下にモノレール★★★★

●河野啓一
秋の雲コバルトブルーの画布の上★★★★
芋虫と速さを競う杖歩行★★★
法師蝉積もる話に割り込んで★★★

●高橋秀之
静けさの吉野の山に法師蝉★★★
初秋の吉野の道を一人歩く★★★
南朝の都跡地に秋日差す★★★★

8月21日

●小口泰與
葛の花渦巻く瀞にとどこおる★★★
群蜻蛉あぜ道を閉づ如きかな★★★
大沼の景色ととのう蜻蛉かな★★★★

●多田有花
燕すでに去りにし空の飛行機雲★★★★
残暑の暑さに空を見るのを忘れていたが、空の燕はいつの間にか去って、さびしくなった空には飛行機雲が線を描いて伸びている。もう秋が来ているのだ。(高橋正子)

蜘蛛の巣が絡みつきたる残暑かな★★★
秋めきて白蓮ひとつずつ終わる★★★

●桑本栄太郎
濃く淡く高槻平野の稲穂波★★★★
爽涼の木蔭の坂に風立ちぬ★★★
あな惜しと煩悩更なり法師蝉★★★

●小西 宏
街の灯の清らに見ゆる秋の夜★★★★
まだ暑さが残る頃、昼間の空気は澄んでいるとは思えないが、夜になると、街にともる灯は、清らかに澄んで見える。街の灯がきれいな夜は気持ちも爽やかになる。(高橋正子)

がっしりと残暑が風をはねつける★★★
風動かぬ残暑の部屋に蟄居せり★★★

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●デイリー句会投句箱/8月11日~20日●

2014-08-20 10:05:59 | Weblog
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今日の秀句/8月11日-20日

2014-08-12 10:03:56 | Weblog
[8月20日/2句]
★青山椒こぼれる香り笊に盛り/河野啓一
山椒の青い実が採れるころになった。ごみなどと選り分けて、水洗いし笊にあげておくと、山椒の香りが辺りに立ち込め、実の青さにも増して、すがすがしい。(高橋正子)

★長雨のふと途切れては虫時雨/福田ひろし
しとしとと降る秋の長雨。ふと気付けば雨音に代わり、虫がしきりに鳴いている。自然界はすっかり秋になっている。(高橋正子)

[8月19日]
★紅蜀葵木陰を照らすその色よ/河野啓一
紅蜀葵の赤いいろは、緑濃い夏の風景のなかで目立つ。木陰のような薄暗がりでは、特にその色は印象的だ。(高橋正子)

[8月18日]
  鳥取へ盆帰省
★発電塔のプロペラゆるく秋暑し/桑本栄太郎
風力発電のプロペラがゆっくり回るのは、風が吹かないからで、秋暑しをいやでも感じさせる。(高橋正子)

[8月17日/2句]
★奥利根の更なる奥や法師蝉/小口泰與
奥利根のさらに奥に行くと法師蝉が鳴くばかり。「つくつくほうし」の鳴き声も哀調を帯びてくる。(高橋正子)

★かなかなの鳴く森を抜け薄い雲/小西 宏
ひぐらしの鳴く森を抜け、空を見上げると薄い雲が流れている。ひぐらしの「かなかな」の哀愁を帯びた透明感のある声と空の薄雲に通じ合うものがある。(高橋正子)

[8月16日]
  鳥取へ盆帰省
★渋滞の道路を挟み稲穂波/桑本栄太郎
自動車道は田んぼを貫いていることが多く、渋滞をしていても車窓からは稲穂の波が見られ、故郷の秋を感じさせてくれるのは幸せだ。故郷へ向かう懐かしい気持ちがさらに増してくる。(高橋正子)

[8月15日]
★青柿の並びさわさわ風に揺れ/河野啓一
青い柿の葉のなかにある青い柿の実。風が吹くと青柿がさわさわ揺れ、新涼のさわやかさを目にみせてくれる。(高橋正子)

[8月14日]
★蝉時雨その真ん中に座りけり/福田ひろし
情景は、「蝉時雨が四方八方から聞こえる」なのだが、「蝉時雨の真ん中に座る」と作者の行為を中心に捉えて、作者の存在感が強く打ち出された。(高橋正子)

[8月13日]
★浮雲のほのと明るし赤のまま/小口泰與
赤のままのやさしい抒情と、丸みを帯びた浮雲のほのと明るい情景がよくマッチしている。(高橋正子)

[8月12日/2句]
★青空の野山にひびき威し銃/桑本栄太郎
高く澄んだ青空の下の野山にこだまする威し銃。田の明るさと静かなさびしさをより深く感じさせる威し銃だ。(高橋正子)

★胸青きみんみん蝉の声高し/小西 宏
みんみん蝉の透き通った羽には、緑の筋が走っている。その緑の筋も魅力だが、青光りする胸にも
はっとさせられる。その胸を膨らませて声高く鳴くみんみん蝉が、いまだ「少年」を魅了する。(高橋正子)

[8月11日]
★嵐去り虫の音聞こえ初めにし夜/多田有花
嵐が去ると、季節がひとつ新しくなる。夜、静かに耳澄ませば、虫の音が聞こえる。聞えはじめた虫の音に秋の訪れを思う。はっきりとした句だ。(高橋正子)
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