◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

自由な投句箱/4月21日~30日(平成31年)

2019-04-25 10:33:26 | Weblog

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
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今日の秀句/4月21日~30日

2019-04-25 10:31:52 | Weblog

4月30日(1句)

★風に乗る紙飛行機や花楓/小口泰與
花楓が明るい緑を輝かせ、風が心地よくぬける。飛ばされた紙飛行機が花楓を吹く風にのって、飛距離を伸ばす。花楓のゆたかさが思われる。(高橋正子)

4月29日(1句)

★アパートの軒下までも蓮華草/桑本栄太郎
アパートは、田圃のほとりにあるのか。軒下まで、蓮華草が咲いて、ささやかな生活を彩っている。洗濯物のいい匂いがして来そうで、可愛い子どもや優しい母が住んでいそうなアパートを想像して、平和な気持ちになる。(高橋正子)

4月28日(2句)

★山吹や遡上の鱗きらきらと/小口泰與
山吹は渓川の川辺によく咲いている。遡上する魚が瀬をのぼるとき、きらきらと鱗が光る。渓流釣りの景色が楽しめる句だ。(高橋正子)

★婚礼の車を照らすシクラメン/廣田洋一
華やかなシクラメン。婚礼の車は特によく磨かれている。シクラメンが祝福するかのように、婚礼の車を照らしているのだ。婚礼という特別な場を得て、祝福の句が生れた。(高橋正子)

4月27日(2句)

★山藤や猿の横切る九十九折/小口泰與
四国松山から、峠を越え高知に至る国道で、道に出た猿を見たことがある。日本で一番高いところを走る国鉄バスであったから、こんな偶然にも出会った。山藤が垂れ下がり、九十九折に差し掛かるとひょいと猿が出てきて横切る。山深さのなかに野生動物と出会う偶然と驚きがある。(高橋正子)

★波の音聞いているのかチューリップ/多田有花
チューリップが勢ぞろいで咲いている。咲いている景色は平らであるようだが、リズムがある。一つ一つの花は人の顔の輪郭が偲ばれて、そば近く寄せる波の音を聞いているかのようである。一つ一つの花が生きている。聞いているのが、波の音なので納得できるのだ。(高橋正子)

4月26日(2句)

<湖北・海津大崎>)
★水清き湖北よ喇叭水仙よ/多田有花
湖北の春は冷たい。湖北の生活と相俟って、水は清い。湖北の水に映えて喇叭水仙が咲いている。イギリスの詩にある喇叭水仙が想像できて、意外な取り合わせに新しい日本の景色を見た思いだ。(高橋正子)

★サッチモのラッパの音色花水木/小口泰與
サッチモは、ルイ・アームストロングの愛称。花水木はアメリカの花。アフリカ系アメリカ人のサッチモのジャズトランペットの響きを聞いている至福の時間。取り合わせと生かした句。(高橋正子)

4月25日(2句)

★桜しべ散りこむ園の水飲み場/小口泰與
園は、公園か、幼稚園のようなところだろう。外に水飲み場があって、桜しべが盛んに散りこむ。水飲み場なので、濡れてくっついて、紅の蕊の印象がくっきりしている。桜しべと水飲み場の取り合わせがいい。(高橋正子)

★一画の畑に明るき花菜/桑本栄太郎
あるところにある一画の畑。花菜を吹く風が吹いて、明るく畑が輝いている。やわらかな春の日のかがやきに、心が明るくなる。(高橋正子)

4月24日(2句)

<湖北・海津大崎>
★湖上ゆく人に手を振る花見かな/多田有花
湖をゆく船に乗り、すれ違う船の人に手を振る。花見のうきうきした気分が手を振りたくさせるのだろう。ずっと前、ライン下りの船からすれ違う船の人たちと手を振りあったことを思い出した。これも楽しさの一つ。(高橋正子)

★花の種蒔きて心の解放感/廣田洋一
花の種を蒔いて、ほっとしている。この解放感はいいものだ。蒔き時を逃さなければ、芽生えて、花を咲かせてくれることは大方約束できる。(高橋正子)

4月23日(2句)

★目を閉じて見上げる空の遅日かな/廣田洋一
読み耽っていた本を閉じ、空を見上げた。春の日は、まだ暮れかねている。日がずいぶん長くなったと実感するが、日暮れが近いことも確かだ。「遅日」の季語がよく効いている。(高橋正子)

<湖北・海津大崎>
★満開の桜の沖へヨットゆく/多田有花
青春性のある句だ。満開の桜を岸辺に残して若々しいヨットは沖へ出て行く。(高橋正子)

4月22日(2句)

★全身の花粉に溺れ熊ん蜂/小口泰與
羽音が猛々しい熊ん蜂。蜜を吸いに花に来たのはよいが、丸々とした体、全身が、花粉まみれになった。花粉に溺れて、なんだか、可愛い。(高橋正子)

草引きし軍手はずして夏近し/廣田洋一
軍手を嵌めて草引きをした。草引きが終わり軍手をはずすと、手が汗に濡れて、素手になると、快い。「夏近し」を急に感じるときだ。(高橋正子)

4月21日(1句)

<湖北・海津大崎>
★石積の湖岸に寄せる春の波/多田有花
情景は石積の湖岸に湖の波が寄せているだけなのだが、思いは、繰り返され打ち寄せる波の静かな力が感じとられる。行く春を惜しむ気持ちも。(高橋正子)
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4月21日~30日

2019-04-25 10:29:29 | Weblog

以下コメントは後ほど
4月30日(4名)

廣田洋一
四月雨平成の世に泣き別れ★★★
昭和去り令和の来る春の果★★★
昭和の日忘れて過ぎる平成の春★★★

小口泰與
風に乗る紙飛行機や花楓★★★★
花楓が明るい緑を輝かせ、風が心地よくぬける。飛ばされた紙飛行機が花楓を吹く風にのって、飛距離を伸ばす。花楓のゆたかさが思われる。(高橋正子)

涌き出でて集落おおう杉花粉★★★
青柳や風に従う雲一朶★★★

多田有花
若楓重なりあいて輝けり★★★★
山寺の伽藍に近く八重桜★★★★
霞桜風心地よく吹き渡る★★★

桑本栄太郎
平成の大晦日とや若葉寒★★★★
忘れものをたずね家路や蝶の昼★★★
外つ人の一家着物や京の春★★★

4月29日(4名)

多田有花
本堂や枝垂桜のそのむこう★★★
山路いま三葉躑躅の色に染め(原句)
山路いま三葉躑躅の色に染まり★★★(正子添削)
蝶々となりて集いぬ頂に★★★★

小口泰與
マルメロの花や諏訪湖の見ゆる墓地★★★★
遠山は斑なりけり葡萄の芽★★★
山山をつなぐ鉄塔若緑★★★

桑本栄太郎
雨だれの音に朝寝や今朝の雨★★★
アパートの軒下までも蓮華草★★★★
アパートは、田圃のほとりにあるのか。軒下まで、蓮華草が咲いて、ささやかな生活を彩っている。洗濯物のいい匂いがして来そうで、可愛い子どもや優しい母が住んでいそうなアパートを想像して、平和な気持ちになる。(高橋正子)

忘れものは遠き過去とや蝶の昼★★★

廣田洋一
太陽の塔立ちたる如し辛夷の木★★★
馬酔木咲く御殿山の風吹き渡る★★★
忙しなく吾が肩叩く春落葉★★★★

4月28日(4名)

多田有花
仰ぎ見る高きに光る若楓★★★★
濃きもあり薄きもありて八重桜★★★
夏近し塩屋蜻蛉の生まれけり★★★★

小口泰與
山吹や遡上の鱗きらきらと★★★★
山吹は渓川の川辺によく咲いている。遡上する魚が瀬をのぼるとき、きらきらと鱗が光る。渓流釣りの景色が楽しめる句だ。(高橋正子)

噴煙の流るる先や花りんご★★★
見晴るかす千曲の蛇行花林檎★★★

廣田洋一
婚礼の車を照らすシクラメン★★★★
華やかなシクラメン。婚礼の車は特によく磨かれている。シクラメンが祝福するかのように、婚礼の車を照らしているのだ。婚礼という特別な場を得て、祝福の句が生れた。(高橋正子)
小さき門明るくせむとシクラメン★★★
縁取りの白のまぶしき紅シクラメン★★★

桑本栄太郎
中腹に十字架抱き山笑ふ★★★★
奉仕終え帰途に会いたり揚羽蝶★★★
竹秋の峰のつづくや天王山★★★

4月27日(4名)

小口泰與
海棠へ雨の重さのうつむけり(原句)
海棠や雨の重さにうつむけり★★★(正子添削)

山藤や猿の横切る九十九折★★★★
四国松山から、峠を越え高知に至る国道で、道に出た猿を見たことがある。日本で一番高いところを走る国鉄バスであったから、こんな偶然にも出会った。山藤が垂れ下がり、九十九折に差し掛かるとひょいと猿が出てきて横切る。山深さのなかに野生動物と出会う偶然と驚きがある。(高橋正子)

桜蘂降る分教場の水飲み場★★★★

廣田洋一
「御成婚」てふ躑躅咲く平成の果★★★
春雨や平成惜しむ豊玉姫★★★
平成を雨に流すか暮の春★★★

多田有花
波の音聞いているのかチューリップ★★★★
チューリップが勢ぞろいで咲いている。咲いている景色は平らであるようだが、リズムがある。一つ一つの花は人の顔の輪郭が偲ばれて、そば近く寄せる波の音を聞いているかのようである。一つ一つの花が生きている。聞いているのが、波の音なので納得できるのだ。(高橋正子)

花描く人とあいさつ花を撮る★★★
光浴び大島桜みずみずし★★★

桑本栄太郎
畑中に一本ありぬ花大根★★★
谷間の濃淡ふかく山笑ふ★★★
樟の枝の大きくしなり春嵐★★★★

4月26日(5名)

<湖北・海津大崎三句>
奥琵琶湖桜並木のまだ続く★★★

春の陽はまだ高かりしムスカリに(原句)
春の陽はまだ高かりきムスカリに★★★★(正子添削)
水清き湖北よ喇叭水仙よ★★★★
湖北の春は冷たい。湖北の生活と相俟って、水は清い。湖北の水に映えて喇叭水仙が咲いている。イギリスの詩にある喇叭水仙が想像できて、意外な取り合わせに新しい日本の景色を見た思いだ。(高橋正子)

小口泰與
海棠や夕べの擬宝珠雨の中★★★
サッチモのラッパの音色花水木★★★★
サッチモは、ルイ・アームストロングの愛称。花水木はアメリカの花。アフリカ系アメリカ人のサッチモのジャズトランペットの響きを聞いている至福の時間。取り合わせと生かした句。(高橋正子)

春暁や再来患者はや数多★★★

廣田洋一
色白の津軽娘や花林檎★★★
林檎の花白の合間に紅き蕾★★★
林檎の花白の合間に蕾赤き★★★★(正子添削①)
林檎の花白の合間に蕾赤し(添削②)
故郷を思えば見ゆる林檎の花★★★★

桑本栄太郎
藤色と云うはこの色藤の棚★★★
校庭にチャイム響くや花は葉に★★★★
菜の花や甍きらめく乙訓郷★★★

4月25日(5名)

小口泰與
黄昏や本流に出づ花筏★★★
桜しべ散りこむ園の水飲み場★★★★
園は、公園か、幼稚園のようなところだろう。外に水飲み場があって、桜しべが盛んに散りこむ。水飲み場なので、濡れてくっついて、紅の蕊の印象がくっきりしている。桜しべと水飲み場の取り合わせがいい。(高橋正子)

太古より利根の恵みや春の土★★★

廣田洋一
マンションの庭の光や花水木★★★★
白き花今朝も増えたり花水木★★★
道端を白く埋めたる花水木★★★

多田有花
<湖北・海津大崎三句>
自転車が桜のアーチをやってくる★★★
大崎や枝垂桜もときにあり★★★
湖と空の青さに花の色★★★★

桑本栄太郎
一画の畑に明るき花菜風★★★★
あるところにある一画の畑。花菜を吹く風が吹いて、明るく畑が輝いている。やわらかな春の日のかがやきに、心が明るくなる。(高橋正子)

ひな芥子の刈り残されし畦の中★★★
饒舌と言うは淋しき揚ひばり★★★

古田敬二
ネモフィラのプランターからこぼれ咲く★★★
真っ白なソックスきょうから新中学生★★★
糸繰草女子中学生は賑やかに★★★★

4月24日(4名)

多田有花
<湖北・海津大崎三句>
いっぱいの人載せ巡る花見船★★★
奥琵琶湖花の彼方に竹生島★★★★
湖上ゆく人に手を振る花見かな★★★★
湖をゆく船に乗り、すれ違う船の人に手を振る。花見のうきうきした気分が手を振りたくさせるのだろう。ずっと前、ライン下りの船からすれ違う船の人たちと手を振りあったことを思い出した。これも楽しさの一つ。(高橋正子)

小口泰與
八重桜浅間山頂斑なり★★★★
逆光の沼輝かせ花の滝★★★
境内の風をこらうる残花かな★★★

廣田洋一
花の種蒔きて心の解放感★★★★
花の種を蒔いて、ほっとしている。この解放感はいいものだ。蒔き時を逃さなければ、芽生えて、花を咲かせてくれることは大方約束できる。(高橋正子)

蒔き終えて隅に差し込む種袋★★★★
生えるかも知れぬと古き花種蒔きにけ★★★り

桑本栄太郎
ぼつてりと雨に咲きたり八重桜★★★
さくら蘂降る襤褸となりぬ舗道かな★★★
花柄の雨にくもりぬ著我の花★★★★

4月23日(4名)

小口泰與
松籟の浅間山(あさま)まだらや揚ひばり★★★
山を分け岩を翻弄春の川★★★
若芝やホースのたうち水阿修羅★★★

廣田洋一
若き日の妻と遊べり春の夢★★★★
書を閉じて見上げる空の遅日かな★★★★
読み耽っていた本を閉じ、空を見上げた。春の日は、まだ暮れかねている。日がずいぶん長くなったと実感するが、日暮れが近いことも確かだ。「遅日」の季語がよく効いている。(高橋正子)

西空の真赤に染まる遅日かな★★★

多田有花
<湖北・海津大崎三句>
満開の桜の沖へヨットゆく★★★★
青春性のある句だ。満開の桜を岸辺に残して若々しいヨットは沖へ出て行く。(高橋正子)

揚げたての鮎の天ぷら食ぶ花見★★★
若楓先にありけり血天井★★★

桑本栄太郎
葉の裏の通りすがりや花楓(原句)
花楓通りすがりの葉裏かな★★★★(正子添削)
棚下に立つや香りと虻の昼★★★
蛙鳴く午後の曇りや雨催い★★★

4月22日(4名)

多田有花
<湖北・海津大崎三句>
カヤックで水の上からお花見を★★★★
湖と桜並木のあわいゆく★★★
どこまでも染井吉野は満開に★★★

小口泰與
全身を花粉に溺る熊ん蜂(原句)
全身の花粉に溺れ熊ん蜂★★★★(正子添削)
羽音が猛々しい熊ん蜂。蜜を吸いに花に来たのはよいが、丸々とした体、全身が、花粉まみれになった。花粉に溺れて、なんだか、可愛い。(高橋正子)

湧水の棚田かけるやおそ櫻★★★★
遠山の銀嶺映うや朝櫻★★★

廣田洋一
草引きし軍手はずして夏近し★★★★
軍手を嵌めて草引きをした。草引きが終わり軍手をはずすと、手が汗に濡れて、素手になると、快い。「夏近し」を急に感じるときだ。(高橋正子)

鉢の土篩にかけて花種蒔★★★
電車の中新顔ばかり四月かな★★★

桑本栄太郎
想い出をたどり舞い居り蝶の昼★★★
からし菜の中洲占めたり桂川★★★
柿の葉に日差し明るく新芽伸ぶ(原句)
柿の葉に日差し明るし新芽伸ぶ★★★★(正子添削)

4月21日(3名)

小口泰與
さえずりや瀬尻の渦の白き影★★★
あなかまと妻を制すや雲雀の巣★★★
花うぐいつけ場めがけて投網せり★★★★

桑本栄太郎
雲間より峰に日差しや花の雲★★★
乙訓の風の田道や葱坊主★★★★
溝川のあふれ滲みだす穀雨かな★★★

多田有花
<湖北・海津大崎三句>
石積の湖岸に寄せる春の波★★★★
情景は石積の湖岸に湖の波が寄せているだけなのだが、思いは、繰り返され打ち寄せる波の静かな力が感じとられる。行く春を惜しむ気持ちも。(高橋正子)

花の下琵琶湖眺めつお弁当★★★
寄す波に枝差し伸べし桜かな★★★★
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自由な投句箱/4月11日~20日

2019-04-14 12:09:25 | Weblog

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今日の秀句/4月11日~20日

2019-04-14 12:08:49 | Weblog

4月20日(2句)

★松籟に乗りてふわりと雀の子/小口泰與
「ふわりと」が子雀のかわいらしさをよく表現している。松籟との取り合わせも、すっきりとしていていい。

★それぞれの花色選び蝶の昼/桑本栄太郎
蝶が花から花へ飛ぶ真昼。見ておれば、それぞれの蝶は、それぞれの花色を選んでいるように、同じ色の花から花へ移る。蝶と私との楽しい昼。(高橋正子)

4月19日(2句)

★うぐいすや棚田の水の満ちにける/小口泰與
棚田に水が満たされ、田植えの準備が次第に整う頃、田水を震わすようにうぐいすが美声を響かせる。山田ののどかな風景がこれからも続くことを祈りたい気持ちになる。(高橋正子)

★頂の小楢の芽吹き銀色に/多田有花
芽吹きが「銀色に」というのが、いい。芽吹いたばかりは、緑ではなく、銀色。ういういしさに輝いている。(高橋正子)

4月18日(1句)

★風のたび空へ花びら放たれり/多田有花
咲き満ちた花も散り始める時期が来て、風が吹くたびに花が枝から放たれる。さびしさも微かに花が散る。(高橋正子)

4月17日(4句)

★溶岩原の広漠とあり麦青む/小口泰與
溶岩原は、広漠として、麦が青んでいる。心が伸び伸びする景色だ。群馬県は国内でも最大の麦の産地と聞く。その産地もこんな景色から生まれるものであろう。(高橋正子)

★奈良漬や吉野の山の別れ霜/廣田洋一
𠮷野に遊んだ。終霜の時期は、京都で4月9日といわれるが、吉野の山の別れ霜も、おおよそその頃であろうか。桜が満開の季節と重なるかよくわからないが、下千本、中千本、奥千本と咲く桜の楽しみのなかに、奈良漬の添えられた食事は、渋くていい味わいかも。奈良の奈良漬は特別美味しい印象がある。(高橋正子)

★笹の葉の天より降りぬ竹の秋/桑本栄太郎
竹は、春に葉を入れ替えて落とす。それを竹の秋というが、歩いていると、高いところからひらひらと竹の葉が舞い落ちる。軽い竹の葉は、天から降ってくるように思える。(高橋正子)

★蒼天の色がこぼれてネモフィラに/古田敬二
ネモフィラはオオイヌノフグリを大きくしたような青い花。公園や丘陵などに一面に植えられ、今や親しい花となっている。蒼空の色とグラデーションをなして、見事でいる。「蒼天の色がこぼれ」たのだと思える。(高橋正子)

4月16日(2句)

★桜咲く絶えず小鳥をとまらせて/多田有花
桜の密を吸いに小鳥がやってくる。満開の花には、入れ替わり小鳥がやってくる。「絶えず」やってくる。うららかな春の日が快い。(高橋正子)

★塗りたての畔真昼の日を返す/古田敬二
田を打ち終わりいつでも植えられるようになると、田の水が漏れたりしないように、田の泥土で塗り固める。塗ったばかりの畔は日をてらてらと日を返して、見事である。この見事さは、営々と続いて来たもの。(高橋正子)

4月15日(2句)

★静かなる古刹は花にあふれおり/多田有花
古刹の桜は大木であろう。訪れる人もなく、ただ花があふれる古刹。静かさがあふれ咲く桜を引き立てている。その花をひとりじめして楽しむ作者が見える。(高橋正子)

★芽吹き盛ん相生山の膨れけり/古田敬二
調べると、相生山は名古屋市にある標高60mほどの低山とある。市民の緑地として整備され自然もゆたか。オオタカの巣も見られると言う。生活の中に楽しめる相生山の木々が芽吹き山が膨らむ。これからいい季節が待っている。(高橋正子)

4月14日(1句)

★初燕鏡のような水面を/古田敬二
初燕が、鏡のように静かな水面を、水面すれすれに飛んでいるのだろう。初燕の艶やかな羽の色が、鏡のような水面によく呼応している。(高橋正子)

4月13日(3句)

★飛騨川の峪崖深し飛花落花/古田敬二
飛騨川は流れも急であるが、峪の崖も深い。そこに舞い込む桜の花びらは、捨身の如くひたすらに散っているのだ。(高橋正子)

★ものの芽の彼方や山の連なれり/多田有花
ものの芽の色が柔らかい。その向こうには連山が見え、遥かな景色が望める。なにか希望がもてそうな景色だ。(高橋正子)

★遠山はまだ銀嶺や桜狩/小口泰與
山国では、桜が咲いても遠い山は雪を冠っている。桜と銀嶺とが山国春を物語っている。(高橋正子)

4月12日(1句)

★トンネルを出れば鉄橋風光る/多田有花
トンネルを出たとたん、鉄橋となり、辺りの風が光る。鉄橋の両側は、吹く風が自由で、輝いている。気持ちのよい季節だ。(高橋正子)

4月11日(1句)

★トンネルの闇の向こうに春の昼/多田有花
トンネルの向こうには、こちらとは違う世界がある。トンネルの闇を抜ければ、向こうには光眩しい春の昼がある。(高橋正子)

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