[1月7日]
<秋吉台、秋芳洞へ>
★赤瓦屋根の光るやしずり雪/桑本栄太郎
秋吉台あたりは、赤褐色の石州瓦で葺かれている屋根が多い。石州瓦は焼かれる温度が高く、凍害に強く、雪国の瓦によいということだ。その赤い瓦屋根に雪が斑に残って白と赤の対比も美しいが、雪がしずり落ちる家々の様子にも情緒がある。(高橋正子)
★図書館に絵本を返し松納/小西 宏
正月の幼い来客のために絵本を図書館で借りて用意していた。お孫さんたちであろうが、帰られたあと、絵本を図書館に返し正月も一段落、松納となった。すてきな図書館の利用に感心した。(高橋正子)
★冬耕す背に夕風の届くまで/古田敬二
正月も開けて野に出て耕すこと始めた。畑仕事に勤しんで、楽しさもあって夕風が背を吹くころになって鍬を置いた。いい一日。(高橋正子)
★寒雀木立の枝を上り下り/河野啓一
寒雀の様子を見ていると、枝を上ったり、下りたり。その愛らしい仕草は見て飽きない。(高橋正子)
[1月5日]
★雪の間に日向ありけり福寿草/小口泰與
雲間に日差しが見えて、その日差しが福寿草に届く。福寿草の咲き方と言えば、そんな光景が私にはふさわしいように思える。(高橋正子)
[1月4日]
★天辺を揃えて尖る冬木立/古田敬二
冬木立の凛とした様子が、「天辺を揃えて尖る」にきっぱりと表現されている。読むものにも緊張感を与えている。(高橋正子)
★賑わいを離れて桜冬木立/小西 宏
初詣で寺社にゆくと、冬芽を付けた桜の木立が、初詣の賑わいをよそに、別世界のように立っている。世の賑わいをよそに、自然はたしかな歩みを続けている。(高橋正子)
[1月3日]
★床の間に早や一輪の梅ひらく/佃 康水
床の間に活けた梅の固い蕾が、部屋のぬくもりで、一輪開いた。早も開いた驚きと、その清らかさに魅了された。(高橋正子)
★新年の手水の青筒真新し/祝 恵子
初詣の手を清めようと手水に寄れば、真新しい青竹の筒から水があふれている。清々しさに、新年の淑気があふれている。(高橋正子)
[1月2日]
★故郷は狭き空なり冬北斗/古田敬二
狭き空は、山国の空だ。その深く澄んだ夜空に北斗星がつぶらな星を並べている。それが敬二さんの故郷なのだ。(高橋正子)
祖母葬儀
★冬ばらの手に軽きこと別れ花/川名ますみ
優しかった祖母とのこの世の別れに白いばらを棺に入れる。まるで空気のように軽く、魂のような白い薔薇に悲しみが象徴される。ご冥福をお祈りいたします。(高橋正子)
[1月1日]
客船の汽笛が横浜(はま)の除夜の鐘/小西 宏
横浜の港に停泊する客船が汽笛を除夜の鐘のように鳴らし年を送る。異国へと開かれている港町の除夜だ。(高橋正子)