[1月20日~31日]
▼1/31
●藤田 洋子
山の日を弾く一輪梅早し★★★
梅早し街空広く澄みいたる★★★★
生活する街に、青空が広がる暖かい日だったのだろう。早くも梅がほころんだ。澄んだ空の色と真っ白な梅の花がきよらかな風景となっている。(高橋正子)
膝の上たたむ干し物日脚伸ぶ★★★
●小西 宏
白過ぎ行く枯枝を鷺ゆうるりと★★★
小鳥肥え谷戸の林を探梅す★★★
西空に富士探す日や春近し★★★
●桑本 栄太郎
寒禽の声やモールス信号と★★★
つぼみより笑みこぼれ居り梅早し★★★
足もとの鳩の動ぜず日脚伸ぶ★★★
●多田 有花
明け初めし紺青の空月冴ゆる★★★
一月の逝くや明るき光充つ★★★
日脚伸ぶ夕空紫紺のグラデーション★★★
●河野 啓一
咲き遅れひっそり白き花八手★★★
寒木瓜の木陰に紅い花を着け★★★
UFOを見たとのうわさ春近し★★★
●黒谷 光子
冬日向どこかの子猫うずくまる★★★
眩しくて鴨の着水見損なう★★★
湖青く対岸を消す冬霞★★★
●小口 泰與
日脚伸ぶ梢も揺れぬひと日かな★★★
良寛の無心の詠や春を待つ★★★
いかんせん老いの一徹春を待つ★★★
▼1/30
●川名ますみ
寒禽の腹の丸さの耀けり★★★
眩しさの二重に三重に寒の月★★★
雪のいろ富士の手前の連山に★★★
●下地 鉄
潮風に吹かれて淋し蕗の薹★★★
波音を追う波音の島の春★★★
青芝に寝てみる空の広さかな★★★
●黒谷 光子
雪の田をいっせいに発つ村雀★★★★
竹林の奥のざわめく冬の土手★★★
友の声なつかし冬の夜の電話★★★
●桑本 栄太郎
探梅や堅きつぼみのかたき風★★★
探梅や堅きつぼみにかたき風(正子添削)
堅いつぼみを吹く風が、また「かたさ」を持っている。「かたさ」の繰り返しのようであるが、「かたき風」に実感がある。(高橋正子)
寒つばき嶺から丘へ風強し★★★
嬌声のグランドゴルフや春隣り★★★
●多田 有花
竹林を飛び立つ鳥や春隣★★★
六甲も淡路も隠し寒霞★★★
門先で大縄跳びの家族かな★★★★
どこかで、かって見たことのある風景で、特に珍しいことでもないが、快い風景だ。この快さがいい。(高橋信之)
●河野 啓一
待春の木々の梢や展望台★★★
レース越し朝日煌めき春近し★★★
日脚伸ぶ大川に長し橋の影★★★
●古田 敬二
冬耕の畝はまっすぐ森へ伸び★★★
風吹くも梢は柔らか春隣り★★★
森に鳴く鳥声増えて春隣り★★★
●迫田 和代
濁りつつ雪解け水の川流れ★★★
川沿いの道歩く人頬寒し★★★
春近く木々の命よ立ちあがれ★★★
●小口 泰與
こみあげる咳に震えし髪膚かな★★
迫りくる激しき咳やしぶき雨★★★
大根の土付きたるを提げて来し★★★
▼1/29
●古田 敬二
マンサクや幼子よちよち走りくる★★★
冬木立揺れて巣箱は主を待つ★★★
風花の庭へ遠き鈴鹿嶺より★★★
●小西 宏
寝転んで空何もなし冬の窓★★★
澄む空に枝尖りたり冬の麗★★★
梅探る鳥の騒ぎを見上げつつ★★★
●黒谷 光子
雪の門閂はずす音軋む★★★
雪原の行く手の道はくろぐろと★★★
暖房を出でてしばしの心地よき★★★
●桑本 栄太郎
探梅や堅きつぼみの揺れもせず★★★
弾けたるつぼみ真白く梅早し★★★
山茶花や鳥の宴を樹下に聞く★★★
●河野 啓一
冬滝の流れ静かに箕面山★★★
枯蔦に捉えられたる柿落葉★★★
寒明けを待ちて離せぬちゃんちゃんこ★★★
●多田 有花
遠山にかかる雪雲寒日和★★★
ナビの声確認しつつ日脚伸ぶ★★★
霜の朝通学の列の短さよ★★★★
霜の置く朝は、通学の列が短い。風邪で休む子がいるのか、寒いので、二、三人が集まったら出発するのか、よい季節とは違って短い通学の列である。俳句でこそ表現できる内容であろう。(高橋正子)
●小口 泰與
蝋梅や山風浴びぬ日もありぬ★★★
水仙や眼間に起つ妙義山★★★
寒紅を刷きたる如き地平線★★★
▼1/28
●古田 敬二
吾子遠しピアノは鳴らず冷えており★★★
鈴鹿嶺の風花庭に舞う朝★★★
山茶花へメジロを待ちて蜜柑刺す★★★
●下地 鉄
老いてなおセーターは赤を選びおり★★★
長々と居座る寒の面の皮★★
妹逝っていまやうからの独りかな
●佃 康水
起き抜けの窓に耀う松の雪★★★
踏ん張って歩むも滑る慣れぬ雪★★★
からだ毎反らし浚える寒蜆★★★
●多田 有花
追儺会の支度に竹を伐り出しぬ★★★★
社寺で行われる追儺会の豆撒きのためであろうか。具体的には何に使われる竹がよくわからないが、「追儺会」と「伐り出した竹」の取り合わせがよい。冬が終わり春を迎える行事に使われる竹に、快い生命感がある。(高橋正子)
寒の陽を浴びつオープンカーを駆る★★★
しずしずと車の進む雪の朝★★★
●桑本 栄太郎
寒禽の声高らかに今朝の晴れ★★★
極上の空の青さや寒土用★★★
音消えて鎮もる街よ雪の朝★★★
●黒谷 光子
除雪車の音響きくる夜明け前★★★
鐘撞きに長靴一歩づつ雪へ★★★
鐘を撞く合図のように雪起し★★★
●河野 啓一
庭草の形のままに今朝の雪★★★
寒中の日光瞳を射る如く★★★
受験子よ進め三寒四温かな★★★
●小口 泰與
探梅や濁り初めたる川の水★★★
春近し洋間の魚拓躍動す★★★
噴煙の西に伸びけり日脚伸ぶ★★★
▼1/27
●古田 敬二
どっしりと大地をつかんで冬木立★★★
ふかふかの産毛膨らむ春のひな★★★
ふかふかと産毛寄りあう春のひな★★★
●小西 宏
丸餅のごとく手水の厚氷★★★
空の青陽の明るさに枯木立★★★
風和む日向の声や寒雀★★★
●高橋 秀之
大空の晴れ間に風花ゆらり舞う★★★★
おでん鍋ふたつありしの昨日今日★★★
太陽を浴びて冬芽は上を向く★★★
●川名ますみ
梅冬芽一つ花弁の色を見せ★★★
垂直に冬芽の割れて梅の色★★★
しだれ梅冬芽開きて紅いつそう★★★
●桑本 栄太郎
飛び来れば吾に寄り添う冬の虻★★★
ひと時の晴れのち曇り寒土用★★★
天辺の青の欠け落ち風花す★★★
●黒谷 光子
新雪に足跡をおき門開ける★★★★
門前の道は広くと雪を掻く★★★
午後よりの陽射しの力雪解ける★★★
●祝 恵子
おでん食ぶマラソン待つ間の温もりに★★★
走者待つ時折雪の舞いおりぬ★★★★
駅伝の応援だろう。走る者も応援する者も、時折雪が舞う寒さを享けて楽しんでいる。日本人らしい明るさがあると思う。(高橋正子)
冬ざくら恥らいそうな色を持ち★★★
●多田 有花
寒風に応えて揺れし竹百幹★★★
幹直立寒の日差しを受け止めて★★★
風やめば寒暁さらに深まりぬ★★★
●河野 啓一
真白なる雪屋根照らし朝日かな★★★
ジュリアンも門辺に雪をかぶりたり★★★
寒禽のすがた絵本に見当たらず★★★
●小口 泰與
雪浅間一朶の影を映しおり★★★
しののめの汽笛定かや冬深し★★★
自転車の女(ヒト)や北風まむかえり★★★
▼1/26
●古田 敬二
東天紅鳴かず寒気に鋭き眼★★★
柵に寄る牛の鼻先濡れて寒★★★
鳥小屋の土に転がる寒卵★★★
●高橋 秀之
熱燗の銚子を包む両の手に★★★
ただいまの声高らかに日脚伸ぶ★★★★
一月も終わり近くなると、「日脚伸ぶ」を実感するころ。外から帰る子どもの「ただいま」の声も元気よく大きい。「日脚伸ぶ」気配に、楽しく元気に活動した証拠だ。(高橋正子)
大根に隠し包丁柔らかし★★★
●小西 宏
北風に丹沢迫り黒き襞★★★
冬蒼し飛行機雲の大き円弧★★★★
白線の頬刺すしじま寒の月★★★
●下地 鉄
青芝を啄む鳩に春日かな★★
薄雲のいすわる空や春隣り★★★
ごっくりと水飲む音や暖房器★★★
●桑本 栄太郎
ラジオ聞き夢にも倦みぬ風邪寝かな★★
”また後で”下校の子等に春近し★★★
子供等の呼び合い遊び日脚伸ぶ★★★
●河野 啓一
朝空に鳥声止まず春隣★★★
春隣人との出会い積み重ね★★★
枯木道辿ればそこに青き芽も★★★
●黒谷 光子
入相を撞く冬月のしらじらと★★★
北側は雪を貼り付け木々の幹★★★
蹲踞の指で動かす薄氷★★★
●小口 泰與
背をまるめ寒鯉釣りの動かざる★★★
山風や鳶を襲いし寒鴉★★★
赤城より空風出でて吹き行けり★★★
●迫田 和代
空青く雪道青く映すよう★★★
句集手に外は静かな風花や★★★
近くから遠い嶺まで冬の虹★★★
▼1/25
●小西 宏
陽を受けて双葉小さき冬の畑★★★
寒林を透けて白濃き昼の月★★★
夕富士や雪吹き捲ける季節風★★★
●桑本 栄太郎
障子戸の明暗しきりや春隣り★★★★
障子のある部屋に籠れば、一日にいくども変わる空の照り曇りがそのまま障子戸を通してわかる。その明るさ暗さに春が近いことが感じられる。春隣を受け止めた感覚がよい。(高橋正子)
虚ろなる夢にまどろみ風邪籠り★★★
病癒え窓を開ければ寒の晴れ★★★
●多田 有花
冬深しノンカフェイン茶の身につきぬ★★★
陽はさらに明るし寒風つのれども★★★
ぎいぎいと木々を軋ませ北風つのる★★★
●黒谷 光子
苞割って白を覗かせ枇杷の花★★★
隣りとの境界ひそと枇杷の花★★★
庭履きをつっかけ裏へ枇杷の花★★★
●下地 鉄
寒風に小花の揺れて訃のしらせ★★★
島跨ぎやがて消えゆく寒の虹★★★
干し物の春日にゆれるビルの窓★★★
●祝 恵子
寒日和川舟下る真昼時★★★
丸大根抜きしばかりを届けらる★★★
厨には冬菜青々横たわる★★★
青々と冬菜厨に横たわる(正子添削)
●河野 啓一
近づけばみどり溢れて冬菜畑★★★
ランチには冬菜サラダをひとつまみ★★★
風一陣木々きらめかす冬日かな★★★
●小口 泰與
浅間山冬青空へ悠然と★★★
遠山の雪嶺定か鳶の笛★★★
山風や肥料に応う冬の薔薇★★★
▼1/24
●古田 敬二
歳時記のページへ光日脚伸ぶ★★★
おひたしに鮮やか菜の花黄と緑★★★
残業の子へ湯たんぽの湯を沸かす★★★
●河野 啓一
野の池に来たり遊べるコハクチョウ★★★
苑の池鴨の集いいて波静か★★★
梢みな夕日を受けて春近し★★★★
●多田 有花
寒朝日まず照らしおり丘の家★★★
霜踏んで今日の工事の始まりぬ★★★★
土木工事に携わる人たちは、霜がまだ固い内に仕事を始める。バリバリと霜を踏み工事に取り掛かる様子が力強い。その時間帯に現場に来るには、まだ薄暗いうちに家を出たのであろうと思うとなおさらだ。(高橋正子)
身の内に綻ぶものや寒ぬくし★★★
●桑本 栄太郎
青空に筋目競いぬ枯木立★★★
雪をんな出会いしよりの熱高し★★
ひと部屋にひねもす臥しぬ流行風邪★★★
●藤田裕子
朝晴れて寒椿まぶし花も葉も★★★
姿なく寒禽高き声放つ★★★
枝先まで日差し含めり梅冬芽★★★
●黒谷 光子
堰音を聞きに冬野へ万歩計★★★
白鷺の降りれば狭き冬の川★★★
時報鳴る厨に冬日の差す正午★★★
●小口 泰與
身の締まる赤城颪や露天風呂★★★
ごうごうと北風吹くや利根河原★★★
日脚伸ぶ開く新書の香りかな★★★
▼1/23
●高橋 秀之
雑炊の湯気に眼鏡は真っ白に★★★
風邪の子や母は優しく頭なで★★★
大空に翼端灯と冬の星★★★
●多田 有花
湯あがりに一息に飲む寒の水★★★
寒茜ホットケーキにキウイジャム★★★★
詰め物がとれて歯医者へ寒の内★★★
●佃 康水
初春や空を真澄に句集成る★★★
大寒や安芸路疾駆の脚光る★★★
花びら餅仕上げ懐紙に盛り分ける★★★
●河野 啓一
校庭に陽光注ぐ霜の朝★★★
にび色の雲分けて飛ぶ寒烏★★★
竹造り巳を象れる冬花壇★★★
●桑本 栄太郎
故郷の夢みるばかり風邪寝かな★★★
寒つばき沖の白波途切れざる★★★
焼藷を子等分け合いて秘密基地★★★
秘密基地は子どもの世界。焼芋を分けあって、仲よしの子どもたちが嬉しそうにしている。こんな光景が、今も昔と変わらずあってよいことだと思う。(高橋正子)
●小口 泰與
尺もある氷柱朝日を弾きけり★★★★
ひと筋の轍の跡や霜畳★★★
今朝も来し二羽の鶯忽と翔つ★★★
▼1/22
●古田 敬二
竹林の影の一つに冬の我★★★
陽の温し独り枯れ木に寄り添えば★★★
北風に抗して枯木は青空に★★★
●小西 宏
冬枯の池に動かぬ鯉の紅★★★
冬かすみ池より立てる鴨の群★★★
氷雨止み霞に沈む街景色★★★
●河野 啓一
冬暁や空紺青に染まりいて(原句)
寒暁や空紺青に染まりいて★★★★(正子添削)
寒暁は夜明け。日の出前の空の緊張感と透明感が「紺青」でよく表現され、大変美しい空となっている。(高橋正子)
寒禽の舞うや晴れたる丘の上★★★
初場所や櫓太鼓が風に乗り★★★
●黒谷 光子
蹲いに水輪の交差冬の雨★★★
音もなく降りてひねもす寒の雨★★★
木蓮の冬芽きっぱり天を指す★★★
●桑本 栄太郎
ひたすらに風に問い居り枯尾花★★★
雪雲の嶺を去りゆき銀世界★★★
凍滝や筋道通す吾が半生★★★
●小口 泰與
水仙の花のふるえや水迅し★★★
あけぼのの郷に降りたる軽き雪★★★
上州の冷たき風を浴びにけり★★★
●迫田 和代
尖ってるあたりに響く牡蠣打ちや★★★
ガラス戸に差し込む陽ざし冬ぬくし★★★
川波に揺れる牡蠣船橋近く★★★
▼1/21
●藤田裕子
大寒の静けさにある夕月よ★★★
霜の夜句集の温もり手に残る★★★
寒暁を裂き鳴りつづくサイレン音★★★
●佃 康水
砂利鳴らす禰宜の木沓や淑気満つ★★★★
弓始木沓滑らせ矢を絞る★★★
向き変える渡船へ渦巻く寒の潮★★★
●小西 宏
長靴を履いてわざわざ雪を踏む★★★
冬木みな枝先まるき芽を空に★★★★
鳥遊ぶ冬芽の枝を啄ばみつつ★★★
●多田 有花
梅が枝のまっすぐに指す寒の空★★★
冬帽子その下にあるつけまつげ★★★
寒禽の羽根の散らばる森の道★★★
●桑本 栄太郎
干菜吊る母屋の軒の深さかな★★★★
ぽつくりの雪に二の字の立ち往生★★★
海鳴りを聞きつ眠ればすきま風★★★
●河野 啓一
霜の朝窓に陽光温かき★★★
土佐沖で獲れしと云うや目刺買う★★★
和歌山の国産レモン紅茶にと★★★
●古田 敬二
梅林はつぼみの色に広がれり★★★
やや白く割れて万朶の梅つぼみ★★★★
寒中の寒さに堪えて咲く梅であるが、咲く兆しが見えると非常に嬉しい。白梅の蕾に白が認められる。しかも万朶の蕾に。待春の気持ちが明るくてよい。(高橋正子)
さんしゅゆの陽にまだ固きつぼみかな★★★
●小口 泰與
しんしんと蹠に沁みる寒さかな★★★
日脚伸ぶ薄むらさきの赤城かな★★★★
浅間から榛名に冬日移りけり★★★
▼1/20
●川名 麻澄
優しさは鉢へ積もれる初雪に★★★
玻璃窓に吹雪のあとの珠模様★★★
車椅子掻かれし雪の間を往きぬ★★★★
●小西 宏
雪屋根より水の滴り光り散る★★★★
凛と空に桜冬木の紅く照る★★★
球追って駆ける子の影日脚伸ぶ★★★★
●黒谷 光子
畑の葱洗い白根の光り合う★★★★
「光り合う」は、何気ない表現ながら、葱のかがやく白さ、瑞々しさをよく表現している。夕餉の美味しい一品となったことであろう。(高橋正子)
葱一把ぬた和えにして夕餉膳★★★
ストーブに小豆ことこと躍り出す★★★
●多田 有花
大寒の空へ立ちたり時計塔★★★
大寒の街へ電車は影落とし★★★★
大寒の河川敷を走る人★★★
●桑本 栄太郎
竹林の笹を撥ね上げしづり雪★★★
にび色の日輪ありて風花す★★★
淀川の湾処あまたや蘆枯るる★★★
●河野 啓一
陽光に明るき力寒の朝★★★
受験子はさぞ寒かろう大寒に★★★
寒明けはあと旬日と空を見る★★★
●小口 泰與
山風の畦や底冷えさとりたり★★★
黒雲を湖面に乗せし寒さかな★★★
利根川の風や底冷え身に覚ゆ★★★
▼1/31
●藤田 洋子
山の日を弾く一輪梅早し★★★
梅早し街空広く澄みいたる★★★★
生活する街に、青空が広がる暖かい日だったのだろう。早くも梅がほころんだ。澄んだ空の色と真っ白な梅の花がきよらかな風景となっている。(高橋正子)
膝の上たたむ干し物日脚伸ぶ★★★
●小西 宏
白過ぎ行く枯枝を鷺ゆうるりと★★★
小鳥肥え谷戸の林を探梅す★★★
西空に富士探す日や春近し★★★
●桑本 栄太郎
寒禽の声やモールス信号と★★★
つぼみより笑みこぼれ居り梅早し★★★
足もとの鳩の動ぜず日脚伸ぶ★★★
●多田 有花
明け初めし紺青の空月冴ゆる★★★
一月の逝くや明るき光充つ★★★
日脚伸ぶ夕空紫紺のグラデーション★★★
●河野 啓一
咲き遅れひっそり白き花八手★★★
寒木瓜の木陰に紅い花を着け★★★
UFOを見たとのうわさ春近し★★★
●黒谷 光子
冬日向どこかの子猫うずくまる★★★
眩しくて鴨の着水見損なう★★★
湖青く対岸を消す冬霞★★★
●小口 泰與
日脚伸ぶ梢も揺れぬひと日かな★★★
良寛の無心の詠や春を待つ★★★
いかんせん老いの一徹春を待つ★★★
▼1/30
●川名ますみ
寒禽の腹の丸さの耀けり★★★
眩しさの二重に三重に寒の月★★★
雪のいろ富士の手前の連山に★★★
●下地 鉄
潮風に吹かれて淋し蕗の薹★★★
波音を追う波音の島の春★★★
青芝に寝てみる空の広さかな★★★
●黒谷 光子
雪の田をいっせいに発つ村雀★★★★
竹林の奥のざわめく冬の土手★★★
友の声なつかし冬の夜の電話★★★
●桑本 栄太郎
探梅や堅きつぼみのかたき風★★★
探梅や堅きつぼみにかたき風(正子添削)
堅いつぼみを吹く風が、また「かたさ」を持っている。「かたさ」の繰り返しのようであるが、「かたき風」に実感がある。(高橋正子)
寒つばき嶺から丘へ風強し★★★
嬌声のグランドゴルフや春隣り★★★
●多田 有花
竹林を飛び立つ鳥や春隣★★★
六甲も淡路も隠し寒霞★★★
門先で大縄跳びの家族かな★★★★
どこかで、かって見たことのある風景で、特に珍しいことでもないが、快い風景だ。この快さがいい。(高橋信之)
●河野 啓一
待春の木々の梢や展望台★★★
レース越し朝日煌めき春近し★★★
日脚伸ぶ大川に長し橋の影★★★
●古田 敬二
冬耕の畝はまっすぐ森へ伸び★★★
風吹くも梢は柔らか春隣り★★★
森に鳴く鳥声増えて春隣り★★★
●迫田 和代
濁りつつ雪解け水の川流れ★★★
川沿いの道歩く人頬寒し★★★
春近く木々の命よ立ちあがれ★★★
●小口 泰與
こみあげる咳に震えし髪膚かな★★
迫りくる激しき咳やしぶき雨★★★
大根の土付きたるを提げて来し★★★
▼1/29
●古田 敬二
マンサクや幼子よちよち走りくる★★★
冬木立揺れて巣箱は主を待つ★★★
風花の庭へ遠き鈴鹿嶺より★★★
●小西 宏
寝転んで空何もなし冬の窓★★★
澄む空に枝尖りたり冬の麗★★★
梅探る鳥の騒ぎを見上げつつ★★★
●黒谷 光子
雪の門閂はずす音軋む★★★
雪原の行く手の道はくろぐろと★★★
暖房を出でてしばしの心地よき★★★
●桑本 栄太郎
探梅や堅きつぼみの揺れもせず★★★
弾けたるつぼみ真白く梅早し★★★
山茶花や鳥の宴を樹下に聞く★★★
●河野 啓一
冬滝の流れ静かに箕面山★★★
枯蔦に捉えられたる柿落葉★★★
寒明けを待ちて離せぬちゃんちゃんこ★★★
●多田 有花
遠山にかかる雪雲寒日和★★★
ナビの声確認しつつ日脚伸ぶ★★★
霜の朝通学の列の短さよ★★★★
霜の置く朝は、通学の列が短い。風邪で休む子がいるのか、寒いので、二、三人が集まったら出発するのか、よい季節とは違って短い通学の列である。俳句でこそ表現できる内容であろう。(高橋正子)
●小口 泰與
蝋梅や山風浴びぬ日もありぬ★★★
水仙や眼間に起つ妙義山★★★
寒紅を刷きたる如き地平線★★★
▼1/28
●古田 敬二
吾子遠しピアノは鳴らず冷えており★★★
鈴鹿嶺の風花庭に舞う朝★★★
山茶花へメジロを待ちて蜜柑刺す★★★
●下地 鉄
老いてなおセーターは赤を選びおり★★★
長々と居座る寒の面の皮★★
妹逝っていまやうからの独りかな
●佃 康水
起き抜けの窓に耀う松の雪★★★
踏ん張って歩むも滑る慣れぬ雪★★★
からだ毎反らし浚える寒蜆★★★
●多田 有花
追儺会の支度に竹を伐り出しぬ★★★★
社寺で行われる追儺会の豆撒きのためであろうか。具体的には何に使われる竹がよくわからないが、「追儺会」と「伐り出した竹」の取り合わせがよい。冬が終わり春を迎える行事に使われる竹に、快い生命感がある。(高橋正子)
寒の陽を浴びつオープンカーを駆る★★★
しずしずと車の進む雪の朝★★★
●桑本 栄太郎
寒禽の声高らかに今朝の晴れ★★★
極上の空の青さや寒土用★★★
音消えて鎮もる街よ雪の朝★★★
●黒谷 光子
除雪車の音響きくる夜明け前★★★
鐘撞きに長靴一歩づつ雪へ★★★
鐘を撞く合図のように雪起し★★★
●河野 啓一
庭草の形のままに今朝の雪★★★
寒中の日光瞳を射る如く★★★
受験子よ進め三寒四温かな★★★
●小口 泰與
探梅や濁り初めたる川の水★★★
春近し洋間の魚拓躍動す★★★
噴煙の西に伸びけり日脚伸ぶ★★★
▼1/27
●古田 敬二
どっしりと大地をつかんで冬木立★★★
ふかふかの産毛膨らむ春のひな★★★
ふかふかと産毛寄りあう春のひな★★★
●小西 宏
丸餅のごとく手水の厚氷★★★
空の青陽の明るさに枯木立★★★
風和む日向の声や寒雀★★★
●高橋 秀之
大空の晴れ間に風花ゆらり舞う★★★★
おでん鍋ふたつありしの昨日今日★★★
太陽を浴びて冬芽は上を向く★★★
●川名ますみ
梅冬芽一つ花弁の色を見せ★★★
垂直に冬芽の割れて梅の色★★★
しだれ梅冬芽開きて紅いつそう★★★
●桑本 栄太郎
飛び来れば吾に寄り添う冬の虻★★★
ひと時の晴れのち曇り寒土用★★★
天辺の青の欠け落ち風花す★★★
●黒谷 光子
新雪に足跡をおき門開ける★★★★
門前の道は広くと雪を掻く★★★
午後よりの陽射しの力雪解ける★★★
●祝 恵子
おでん食ぶマラソン待つ間の温もりに★★★
走者待つ時折雪の舞いおりぬ★★★★
駅伝の応援だろう。走る者も応援する者も、時折雪が舞う寒さを享けて楽しんでいる。日本人らしい明るさがあると思う。(高橋正子)
冬ざくら恥らいそうな色を持ち★★★
●多田 有花
寒風に応えて揺れし竹百幹★★★
幹直立寒の日差しを受け止めて★★★
風やめば寒暁さらに深まりぬ★★★
●河野 啓一
真白なる雪屋根照らし朝日かな★★★
ジュリアンも門辺に雪をかぶりたり★★★
寒禽のすがた絵本に見当たらず★★★
●小口 泰與
雪浅間一朶の影を映しおり★★★
しののめの汽笛定かや冬深し★★★
自転車の女(ヒト)や北風まむかえり★★★
▼1/26
●古田 敬二
東天紅鳴かず寒気に鋭き眼★★★
柵に寄る牛の鼻先濡れて寒★★★
鳥小屋の土に転がる寒卵★★★
●高橋 秀之
熱燗の銚子を包む両の手に★★★
ただいまの声高らかに日脚伸ぶ★★★★
一月も終わり近くなると、「日脚伸ぶ」を実感するころ。外から帰る子どもの「ただいま」の声も元気よく大きい。「日脚伸ぶ」気配に、楽しく元気に活動した証拠だ。(高橋正子)
大根に隠し包丁柔らかし★★★
●小西 宏
北風に丹沢迫り黒き襞★★★
冬蒼し飛行機雲の大き円弧★★★★
白線の頬刺すしじま寒の月★★★
●下地 鉄
青芝を啄む鳩に春日かな★★
薄雲のいすわる空や春隣り★★★
ごっくりと水飲む音や暖房器★★★
●桑本 栄太郎
ラジオ聞き夢にも倦みぬ風邪寝かな★★
”また後で”下校の子等に春近し★★★
子供等の呼び合い遊び日脚伸ぶ★★★
●河野 啓一
朝空に鳥声止まず春隣★★★
春隣人との出会い積み重ね★★★
枯木道辿ればそこに青き芽も★★★
●黒谷 光子
入相を撞く冬月のしらじらと★★★
北側は雪を貼り付け木々の幹★★★
蹲踞の指で動かす薄氷★★★
●小口 泰與
背をまるめ寒鯉釣りの動かざる★★★
山風や鳶を襲いし寒鴉★★★
赤城より空風出でて吹き行けり★★★
●迫田 和代
空青く雪道青く映すよう★★★
句集手に外は静かな風花や★★★
近くから遠い嶺まで冬の虹★★★
▼1/25
●小西 宏
陽を受けて双葉小さき冬の畑★★★
寒林を透けて白濃き昼の月★★★
夕富士や雪吹き捲ける季節風★★★
●桑本 栄太郎
障子戸の明暗しきりや春隣り★★★★
障子のある部屋に籠れば、一日にいくども変わる空の照り曇りがそのまま障子戸を通してわかる。その明るさ暗さに春が近いことが感じられる。春隣を受け止めた感覚がよい。(高橋正子)
虚ろなる夢にまどろみ風邪籠り★★★
病癒え窓を開ければ寒の晴れ★★★
●多田 有花
冬深しノンカフェイン茶の身につきぬ★★★
陽はさらに明るし寒風つのれども★★★
ぎいぎいと木々を軋ませ北風つのる★★★
●黒谷 光子
苞割って白を覗かせ枇杷の花★★★
隣りとの境界ひそと枇杷の花★★★
庭履きをつっかけ裏へ枇杷の花★★★
●下地 鉄
寒風に小花の揺れて訃のしらせ★★★
島跨ぎやがて消えゆく寒の虹★★★
干し物の春日にゆれるビルの窓★★★
●祝 恵子
寒日和川舟下る真昼時★★★
丸大根抜きしばかりを届けらる★★★
厨には冬菜青々横たわる★★★
青々と冬菜厨に横たわる(正子添削)
●河野 啓一
近づけばみどり溢れて冬菜畑★★★
ランチには冬菜サラダをひとつまみ★★★
風一陣木々きらめかす冬日かな★★★
●小口 泰與
浅間山冬青空へ悠然と★★★
遠山の雪嶺定か鳶の笛★★★
山風や肥料に応う冬の薔薇★★★
▼1/24
●古田 敬二
歳時記のページへ光日脚伸ぶ★★★
おひたしに鮮やか菜の花黄と緑★★★
残業の子へ湯たんぽの湯を沸かす★★★
●河野 啓一
野の池に来たり遊べるコハクチョウ★★★
苑の池鴨の集いいて波静か★★★
梢みな夕日を受けて春近し★★★★
●多田 有花
寒朝日まず照らしおり丘の家★★★
霜踏んで今日の工事の始まりぬ★★★★
土木工事に携わる人たちは、霜がまだ固い内に仕事を始める。バリバリと霜を踏み工事に取り掛かる様子が力強い。その時間帯に現場に来るには、まだ薄暗いうちに家を出たのであろうと思うとなおさらだ。(高橋正子)
身の内に綻ぶものや寒ぬくし★★★
●桑本 栄太郎
青空に筋目競いぬ枯木立★★★
雪をんな出会いしよりの熱高し★★
ひと部屋にひねもす臥しぬ流行風邪★★★
●藤田裕子
朝晴れて寒椿まぶし花も葉も★★★
姿なく寒禽高き声放つ★★★
枝先まで日差し含めり梅冬芽★★★
●黒谷 光子
堰音を聞きに冬野へ万歩計★★★
白鷺の降りれば狭き冬の川★★★
時報鳴る厨に冬日の差す正午★★★
●小口 泰與
身の締まる赤城颪や露天風呂★★★
ごうごうと北風吹くや利根河原★★★
日脚伸ぶ開く新書の香りかな★★★
▼1/23
●高橋 秀之
雑炊の湯気に眼鏡は真っ白に★★★
風邪の子や母は優しく頭なで★★★
大空に翼端灯と冬の星★★★
●多田 有花
湯あがりに一息に飲む寒の水★★★
寒茜ホットケーキにキウイジャム★★★★
詰め物がとれて歯医者へ寒の内★★★
●佃 康水
初春や空を真澄に句集成る★★★
大寒や安芸路疾駆の脚光る★★★
花びら餅仕上げ懐紙に盛り分ける★★★
●河野 啓一
校庭に陽光注ぐ霜の朝★★★
にび色の雲分けて飛ぶ寒烏★★★
竹造り巳を象れる冬花壇★★★
●桑本 栄太郎
故郷の夢みるばかり風邪寝かな★★★
寒つばき沖の白波途切れざる★★★
焼藷を子等分け合いて秘密基地★★★
秘密基地は子どもの世界。焼芋を分けあって、仲よしの子どもたちが嬉しそうにしている。こんな光景が、今も昔と変わらずあってよいことだと思う。(高橋正子)
●小口 泰與
尺もある氷柱朝日を弾きけり★★★★
ひと筋の轍の跡や霜畳★★★
今朝も来し二羽の鶯忽と翔つ★★★
▼1/22
●古田 敬二
竹林の影の一つに冬の我★★★
陽の温し独り枯れ木に寄り添えば★★★
北風に抗して枯木は青空に★★★
●小西 宏
冬枯の池に動かぬ鯉の紅★★★
冬かすみ池より立てる鴨の群★★★
氷雨止み霞に沈む街景色★★★
●河野 啓一
冬暁や空紺青に染まりいて(原句)
寒暁や空紺青に染まりいて★★★★(正子添削)
寒暁は夜明け。日の出前の空の緊張感と透明感が「紺青」でよく表現され、大変美しい空となっている。(高橋正子)
寒禽の舞うや晴れたる丘の上★★★
初場所や櫓太鼓が風に乗り★★★
●黒谷 光子
蹲いに水輪の交差冬の雨★★★
音もなく降りてひねもす寒の雨★★★
木蓮の冬芽きっぱり天を指す★★★
●桑本 栄太郎
ひたすらに風に問い居り枯尾花★★★
雪雲の嶺を去りゆき銀世界★★★
凍滝や筋道通す吾が半生★★★
●小口 泰與
水仙の花のふるえや水迅し★★★
あけぼのの郷に降りたる軽き雪★★★
上州の冷たき風を浴びにけり★★★
●迫田 和代
尖ってるあたりに響く牡蠣打ちや★★★
ガラス戸に差し込む陽ざし冬ぬくし★★★
川波に揺れる牡蠣船橋近く★★★
▼1/21
●藤田裕子
大寒の静けさにある夕月よ★★★
霜の夜句集の温もり手に残る★★★
寒暁を裂き鳴りつづくサイレン音★★★
●佃 康水
砂利鳴らす禰宜の木沓や淑気満つ★★★★
弓始木沓滑らせ矢を絞る★★★
向き変える渡船へ渦巻く寒の潮★★★
●小西 宏
長靴を履いてわざわざ雪を踏む★★★
冬木みな枝先まるき芽を空に★★★★
鳥遊ぶ冬芽の枝を啄ばみつつ★★★
●多田 有花
梅が枝のまっすぐに指す寒の空★★★
冬帽子その下にあるつけまつげ★★★
寒禽の羽根の散らばる森の道★★★
●桑本 栄太郎
干菜吊る母屋の軒の深さかな★★★★
ぽつくりの雪に二の字の立ち往生★★★
海鳴りを聞きつ眠ればすきま風★★★
●河野 啓一
霜の朝窓に陽光温かき★★★
土佐沖で獲れしと云うや目刺買う★★★
和歌山の国産レモン紅茶にと★★★
●古田 敬二
梅林はつぼみの色に広がれり★★★
やや白く割れて万朶の梅つぼみ★★★★
寒中の寒さに堪えて咲く梅であるが、咲く兆しが見えると非常に嬉しい。白梅の蕾に白が認められる。しかも万朶の蕾に。待春の気持ちが明るくてよい。(高橋正子)
さんしゅゆの陽にまだ固きつぼみかな★★★
●小口 泰與
しんしんと蹠に沁みる寒さかな★★★
日脚伸ぶ薄むらさきの赤城かな★★★★
浅間から榛名に冬日移りけり★★★
▼1/20
●川名 麻澄
優しさは鉢へ積もれる初雪に★★★
玻璃窓に吹雪のあとの珠模様★★★
車椅子掻かれし雪の間を往きぬ★★★★
●小西 宏
雪屋根より水の滴り光り散る★★★★
凛と空に桜冬木の紅く照る★★★
球追って駆ける子の影日脚伸ぶ★★★★
●黒谷 光子
畑の葱洗い白根の光り合う★★★★
「光り合う」は、何気ない表現ながら、葱のかがやく白さ、瑞々しさをよく表現している。夕餉の美味しい一品となったことであろう。(高橋正子)
葱一把ぬた和えにして夕餉膳★★★
ストーブに小豆ことこと躍り出す★★★
●多田 有花
大寒の空へ立ちたり時計塔★★★
大寒の街へ電車は影落とし★★★★
大寒の河川敷を走る人★★★
●桑本 栄太郎
竹林の笹を撥ね上げしづり雪★★★
にび色の日輪ありて風花す★★★
淀川の湾処あまたや蘆枯るる★★★
●河野 啓一
陽光に明るき力寒の朝★★★
受験子はさぞ寒かろう大寒に★★★
寒明けはあと旬日と空を見る★★★
●小口 泰與
山風の畦や底冷えさとりたり★★★
黒雲を湖面に乗せし寒さかな★★★
利根川の風や底冷え身に覚ゆ★★★