◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

自由な投句箱/12月21日~12月31日

2024-12-21 19:33:28 | Weblog
※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 

       🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
  名前の右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
     名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句

12月31日
★冬の虹隠岐の海より立ち上がる     加納 淑子(かのう としこ)🌸
12月30日
★許したちしづかに静かに白息吐く    橋本 多佳子(はしもと たかこ)
12月29日
★冬霧やしづかに移る朝の刻       谷野 予志(たにの よし)
12月28日
足袋つぐやノラともならず教師妻     杉田 久女(すぎた ひさじょ)
12月27日
★こきこきと海鼠を食めば海の底     守屋 光雅(もりや みつまさ)🌸
12月26日
★冬の海越す硫酸の壺並ぶ        谷野 予志(たにの よし)
12月25日
★書を読むや冷たき鍵を文鎮に      中村 草田男(なかむら くさたお)
12月24日
★堪へてゐる冷え歯痛とひとつになる  川本 臥風(かわもと がふう)🍁
12月23日
★くらがりに傾きて立つ炭俵      谷野 予志(たにの よし)
12月22日
★誰か咳きわがゆく闇の奥をゆく      篠原 梵(しのはら ぼん)🍁
12月21日
★広告塔かけのぼる冬至の夜空      川本 臥風(かわもと がふう)🍁
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今日の秀句/12月21日~12月31日

2024-12-21 19:32:13 | Weblog
12月31日(1句)

★猟犬の山懐を駆けにけり/小口泰與
「狩」「猟犬」は冬の季語。自然ゆたかな山懐を駆けまわる猟犬の躍動感ある姿が目に見えるように詠まれている。(髙橋正子)

12月30日(1句)

★着衣ごと皆洗濯に煤おさめ/桑本栄太郎
年末の大掃除は、かなり徹底して、身支度もそれなりにして、徹底して掃除をする家庭も多い。掃除が終わると、着ているもの一切合切を洗濯する。さっぱりと汚れを落として新年を迎えたい。その心持。(髙橋正子)

12月29日(1句)

★あけぼのの沼にやすらう真鴨かな/小口泰與
餌を食べに出かける前の曙の刻。沼にはしずかに安らう真鴨の姿が見られる。
曙の沼の静けさ、安息の水鳥の姿に、眺める者の心が安らぐ。(髙橋正子)

12月28日(1句)

★安けくて雪の浅間を拝みける/小口泰與
「安けくて」の気持ちがあれば、自然に「拝みける」になるのが人の心だと思う。静かにもどっしりと聳える雪の浅間山の美しさに畏敬の念さえ湧く。(髙橋正子)

12月27日(1句)

★稚けなきいろはもみじの落葉踏む/桑本栄太郎
「稚けなき」と言いたい気持ちになるのが、いろはもみじの葉の姿。降り積もる落葉はやむを得ず踏んでいくが、稚いものをふんでいるような罪悪感も湧く。赤ん坊の手を「もみじのような手」と呼んだ大正世代の女性たちがいた。(髙橋正子)

12月26日(1句)

★冬空を隠す大樹や城址跡/上島祥子
城跡には冬空を隠すほとの大樹が残っている。城はなくなっているが、大樹の樹齢はどれくらいだろうか。堂々たる姿。この句の良さは、詠み手が対象に向き合う姿勢の良さである。まっすぐである。(髙橋正子) 

12月25日(1句)

★冬の野に水青々と遊水池/廣田洋一
冬の野に遊水池があるのが、うれしい。冬の野に水が「青々と」している。この煌めくような青さに人は魅了される。(髙橋正子)

12月24日(1句)

★俳句一句慎ましく添え賀状書く/廣田洋一
賀状には、一言自分の近況を書き添えたりするが、端に一句を「慎ましく」そえたりする。大きく書かないのである。このあたりに心遣いが偲ばれる賀状である。(髙橋正子)

12月23日(2句)

★冬晴れや鳶は十迄数えたり/上島祥子
「鳶は十迄数えたり」は、鳶がピーヒョロと十回鳴く意味。「十」は実際「十」でなくても、そのくらいの数を言葉の彩で「十」と言うことがある。冬晴れの青空に鳶が鳴きながらゆったりと舞う姿が詠まれている。(髙橋正子)

★新宿見ゆ冬空澄める謙信平/土橋みよ
謙信平は栃木市にあって、そこからは関東が一望できると言う。名前の由来は下の※に示したことによるのであるが、「冬空澄める」に作者の気持ちの晴れやかさが読めて気持ちがいい。(髙橋正子)

※謙信平:戦国時代の頃、関東平定を競い対立した越後の上杉謙信と、小田原の北条氏康は、当時の大中寺住職虎溪和尚(こけいおしょう)の斡旋により、永祿11年(1568)9月、大中寺において和議を結んだ。
そのあと、上杉謙信は太平山に登り、兵馬の訓練を行い太平山上から南の関東平野を見渡し、あまりの広さに目を見張ったという故事から謙信平の地名が生まれたといわれる。 (栃木市観光協会ホームページより)

12月22日(1句)

★雲低く但馬は雪と思う午後/多田有花
兵庫県でも有花さんが住んでいる瀬戸内側と北部の但馬は1000m級の山を境に気候がちがってくる。瀬戸内側に雲が低く垂れると北部の但馬は雪だろうと思う午後である。情緒ある但馬の景色が目に浮かぶ。(髙橋正子)

12月21日(1句)

★霜夜なり玄関の戸を開け放ち/弓削和人
霜夜は霜が降るほどに寒い夜のこと。風もなく静かで空気が澄んでいる。日本には霜夜に玄関を開ける風習がある。いまでは、住宅環境の変化でこのような風習を知らない人も多いだろう。これは、霜除けのため。霜が玄関の扉に付着するのを防ぐため、また換気のため、また、静かで美しい霜夜の景色や雰囲気を楽しむためである。
この句はこれをそのまま詠んだ句だが、美しい霜夜の自然との一体感が感じられる。(髙橋正子)

コメント (11)
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12月21日~12月31日

2024-12-21 19:28:50 | Weblog
12月31日(4名)

小口泰與
山風や冬鳴く鳥の声かすれ★★★★
猟犬の山懐を駆けにけり★★★★
表札も古りし我が家や冬の星★★★★

桑本栄太郎
玄関に飾りをつけて年おさめ★★★
外に出れば年末帰省の家族かな★★★
日差し受け鉢に水遣る大みそか★★★★

多田有花
車窓より富士くっきりと小晦日★★★
門松立つ国技館の門前に★★★
年の瀬の快晴の空へスカイツリー★★★

弓削和人
暖房のぬくさののこる家路かな(原句)
「のこる」がどこに残っているのははっきりさせる方が良いと思います。(髙橋正子)
暖房のぬくさ身にある家路かな(正子添削)

東北に来てひさかたに霜やけて★★★
湯豆腐のくずれるままに宵の友 ★★★

12月30日(3名)

小口泰與
草原の八千草枯れし冬さなか★★★
冬ぬくし我柔らかく絵具塗る★★★★
山峡の雪に埋もれし山家かな ★★★

桑本栄太郎
年用意今日はぬくきや玻璃磨く★★★
煤掃きの仕上げとしたる正午かな★★★
着衣ごと皆洗濯に煤おさめ★★★★

土橋みよ
寒きにも咲くアスパラ菜に励まされ★★★
掛け替えしカレンダーより思い新た ★★★

12月29日(4名)

小口泰與
大雪や鳶のやすらう森ふかし★★★
安けくて暖炉の間より雪見酒★★★
あけぼのの沼にやすらう真鴨かな★★★★

多田有花
置き薬入れ替えに来る年の暮★★★
年越しの旅の用意をしておりぬ★★★
年深し本年最後の洗濯す★★★

桑本栄太郎
煤掃きやすればするほどキリも無く★★★
冬日背の眠くなりたる昼餉あと★★★
冬雲に出入り激しき日差しかな★★★

上島祥子
年の瀬や杖つく足も速くなり★★★
大掃除終えてスリッパ新しく★★★
古暦晦予定は多く晦日まで(原句)
「古暦予定は多く晦日まで」?

12月28日(5名)

小口泰與
安けくて雪の浅間を拝みける★★★★
枯庭へ雨音高き石畳み★★★★
一面の雪にやすらう社かな★★★★

多田有花
数え日の時刻表を確かめる★★★
年用意髪をすっきり切りにけり★★★
葉牡丹の植替えをするボランティア★★★

廣田洋一
整髪の予約を入れる年の暮★★★
年の暮お酒一本賜りし★★★
魚屋の大声通る年の暮★★★★

桑本栄太郎
ひと風に落葉駆けゆく坂の道★★★★
こつ然と想い出うかぶ綿虫よ★★★
校庭の静寂となりぬ冬やすみ ★★★

弓削和人
水禽の湖面の揺れに合わせけり
「水禽」は「湖面の揺れ」に何を合わせるのですか。それをはっきり示す必要があり、省略はできないです。視点はとてもいいです。(髙橋正子)

手袋のあるとこになし外暮れて(原句)
「あるとこになし」は読みにくい欠点があります。面白い視点です。(髙橋正子)
手袋のあるところになし外暮れて(正子添削)

マスクして特急を待つ星の数 
「マスクして特急を待つ」と「星の数」の関係をはっきりさせましょう。発想や視点はいいです。(髙橋正子)

12月27日(4名)

小口泰與
上州の風にかしずく冬の山★★★
雪覆う利根源流の流れかな★★★
山裾の雪をかぶりし御社★★★

多田有花
よいお年をと言いて別れし年惜しむ★★★
仰向いて懐炉を背骨に当てている★★★
門松立つ昨日ツリーのありし場所★★★

桑本栄太郎
稚けなきいろはもみじの落葉踏む★★★★
綿虫や想い出忽と浮かび居り★★★
寒風に実を晒しけりさるすべり★★★

弓削和人
雪うさぎ突と車を横切り来★★★
セーターに隠れるような切符かな★★★
白鳥の雪片になり舞い降りぬ★★★

12月26日(6名)
多田有花
着膨れて平均台をしておりぬ★★★
駐車場にたい焼き移動販売車★★★
白南天の実のほのかなる黄色★★★

小口泰與
蜜柑盛る笊や卓袱台祖母の物(原句)
蜜柑盛る笊置く卓袱台祖母の物(正子添削)

もぎ取りて貰う蜜柑の日の温み★★★★
風の吹く様子は如何に冬赤城★★★

土橋みよ
クラリネット聴けば軽井沢の夏★★★
クリスマスケーキ果物だけ食べおり★★★
正月へ孫待ちて人参切り飾る★★★

桑本栄太郎
踏みしだき片方に寄りぬ落葉かな(原句)
踏みしだくのは自分で、片方に寄るのは落葉 と言う意味になっています。(髙橋正子)
踏みしだかれ片方に寄る落葉かな(正子添削)

入日背に雨の上がりぬ冬の虹★★★
波の花ふるさと想う日本海★★★

廣田洋一
花舗の前紅く光れる実南天★★★
千両が店を明るく年の内★★★★
賜りし暦並べて年の内★★★

上島祥子
氷上の靄吹き飛ばすフェイスオフ★★★★
冬空を隠す大樹や城址跡★★★★
旅先の泥を落として冬日和★★★

12月25日(5名)

小口泰與
寒雷や帯のようなる峠道★★★
ようやくに赤城鍋割雪景色★★★
枯れきって沼の顕わや山の径★★★

多田有花
バッハ弾きバッハを聴いてクリスマス★★★
生きてこそ幸いあれとクリスマス★★★
行く年のひと日ひと日を楽しみぬ★★★★

廣田洋一
土までも乾きて白き冬野かな★★★
冬の野に水青々と遊水池★★★★
約束の検診残す年の内★★★

桑本栄太郎
先急ぐ老いの人ゆく息白し★★★
白き実をからす啄む霜の晴れ★★★
早々と投函したり賀状書く★★★

弓削和人
冬将軍峠のさきに居座りぬ★★★
米兵の祝う聖樹や三沢基地★★★
ブラックを飲みほし越えん冬山路★★★

12月24日(4名)

小口泰與
赤城より物狂いして空っ風★★★
深山の古木ふとぶと青鷹(もろがえり)★★★
枯草や誤算だらけの人の世よ★★★

弓削和人
竜の玉冬の厳しさ耐えており★★★
雪原や沓のあとさき消え去りぬ★★★
軽トラの雪野かなたへ融けており(原句)
軽トラの雪野のかなたへ融けており(正子添削)

廣田洋一
喪中通知無きを確かめ賀状書く★★★
良い年をと声掛け合える年の暮★★★
俳句一句慎ましく添え賀状書く★★★★

桑本栄太郎
それぞれの想い出めぐり賀状書く★★★
約束の君は来ずなりイブの夜★★★
カップルの街にくりだす聖夜かな ★★★
 
12月23日(5名)

小口泰與
山の沼冬翡翠のもとおり来(く)★★★
利根川の河原もとより空っ風★★★
もののふの顔して釣らる冬鯰★★★

桑本栄太郎
路面濡れ光る朝やしぐれ虹★★★
しぐれ雲あがり白きや嶺の膚★★★
冬日背に思案して居り句の推敲★★★

土橋みよ
自動ドア踏み出す足元枯葉舞う★★★
サンタ服子ども歩けば人とまる★★★
謙信平/冬空澄みて/新宿見ゆ(原句)
新宿見ゆ/冬空澄める謙信平(正子添削)
俳句は一般的に、三段切れといって、一句のなかで切れが二か所になるのを嫌います。(髙橋正子)
新宿見ゆ冬空澄める謙信平(正子添削)

廣田洋一
川に沿い川を見下ろし冬野行く★★★
数え日や産土神へお礼参り★★★
数え日や入れ歯の型を整えし★★★

上島祥子
冬晴れや鳶は十迄数えたり★★★★
冬座敷猫の爪痕そのままに★★★
冬の朝鈴音さやかに地域猫★★★★


12月22日(5名)

小口泰與
もどかしく青空見やぐ冬の夕★★★
利根川も荒荒しきや空っ風★★★
忽然と風の物言い冬深し★★★

弓削和人
寒鴉降りてましろき原野かな★★★
除雪機の壊れしままに雪根づく★★★
言の葉をのこして冬のベンチかな★★★

廣田洋一
街の川細く流れて冬野かな★★★
多摩川の煌めく光冬野かな★★★
納め句座一つを残す年の内★★★

多田有花
冬至南瓜さっくり割って塩蒸しに★★★
冬至過ぎ夜明けはさらに遅くなる★★★
雲低く但馬は雪と思う午後★★★★

川名ますみ
落つる日を待ちて冬至の富士黒し★★★★
凩を追ってぴくりと猫の耳★★★
聖橋渡り冬紅葉の街へ★★★

12月21日(5名)

小口泰與
位ある古木に鷹の止まりけり★★★
冬の沼藻屑の中に魚住めり★★★
空風や集いし人はみんな黙(原句)
空風や集いし人のみな黙る(正子添削)

多田有花
やや雲の多かり一陽来復の朝よ★★★
雲晴れて冬至真昼の陽がさしぬ★★★
たっぷりと蕾蓄え山茶花は★★★

廣田洋一
浮かびたる柚子をかき分け湯に入る★★★
冬至とて早めに門灯灯しけり★★★
気が付けば夕日落ちてる冬至かな★★★

桑本栄太郎
濯ぎもの干すや眩しき冬至の日★★★
枯木なるあまた鴉の止まりけり★★★
まんさくの枯葉のままに冬芽かな★★★

弓削和人
重ね着の子らのてのひら白きもの★★★
霜夜なり玄関の戸を開け放ち★★★★
底冷の廊下のさきの灯しかな★★★
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自由な投句箱/12月11日~12月20日

2024-12-12 00:53:23 | Weblog
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※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 

       🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
  名前の右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
     名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句

12月20
★冬菊のまとふはおのがひかりのみ     水原 秋櫻子(みずはら しゅうおうし)
12月19日
★枯草の一人の幅の径下る         篠原 梵(しのはら ぼん)🍁
12月18日
★たっぷりの真水に冬菜解かれけり     脇 美代子(わき みよこ)🌸
12月17日
★玻璃越の凩の顔とわかれたり       加藤 楸邨(かとう しゅうそん)
12月16日
★今ぬぎし足袋冷やゝかに遠きもの     細見 綾子(ほそみ あやこ)
12月15日
★立ちしものに光りを注ぎ冬満月      碇  英一(いかり えいいち)🌸
12月14日
さむきわが影とゆき逢う街の角       加藤 楸邨(かとう しゅうそん)
12月13日
★冬曙六人の病床うかびそむ        石田 波郷(いしだ はきょう)
12月12日
★咳の子のなぞなぞあそびきりもなや    中村 汀女(なかむら ていじょ)
12月11日
★きしあとわが白息の豊かなる       橋本多佳子(はしもと たかこ) 
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今日の秀句/12月11日~12月20日

2024-12-12 00:49:32 | Weblog
12月20日(1句)

★湧水の音絶え間なく年迫る/廣田洋一
本格的な句。年が迫りあわただしい世間に対し、湧水はこんこんと湧き出し、水音も絶えない清浄な世界がある。(髙橋正子)

12月19日

※該当句無し

12月18日(1句)

★柚子の黄の日向占め居り庭の隅/桑本栄太郎(正子添削)
庭の隅の柚子の実が冬の日が受けて、冬の日を一人占めするかのように明るく照っている。(髙橋正子)

12月17日(1句)

★冬の駅汽笛は線路を走りけり/弓削和人
とくにローカル線の冬の駅は、寒々としてホームに立てば線路が遠く続くの見える。汽笛は「線路を走りけり」の印象で、汽笛の音は線路づたいに抜けていく。空気の緊張感も感じさせて、言い得ている。(髙橋正子)

12月16日(1句)

★短日の入日が窓を輝かす/多田有花
「短日の入日」だけで、詩になっている。「窓を輝かす」は作為がないのがいい。(髙橋正子)

★吹かれきし木の葉も共に掃きにけり /廣田洋一
枝についている枯葉も、落葉のも「木の葉」と言う。吹かれてきた木の葉を今掃いている木の葉と一緒に掃く。せっかく掃いたところへ、また飛んでくる。誰のものでもない木の葉の掃除はこの季節の仕事。(髙橋正子)

12月15日(1句)
友と居て言葉飛び去る空っ風(原句)
「友と居て」の部分は、「友」を意識すれば当然そこに「友が居る」ことになるので、「居る」が必要かどうか考えないといけないです。(髙橋正子)

★空っ風友の言葉を奪い去る(正子添削)
「空っ風」は、晴れた日に吹く北西の乾燥した季節風で、北陸に雪を降らせ山を越えて上州や関東に吹き下ろす。
空っ風が吹いてきて友の言葉がよく聞き取れなかったのだろう。空っ風が友の言葉を奪い去った。空っ風には非情な部分もあるのだ。(髙橋正子)

12月14日(1句)

★外套のまま召し上がれ中華そば/小口泰與(原句)
外套のままに食うなり中華そば/小口泰與(正子添削例)
原句は、面白い視点で詠んでいる。外套のままに着ぶくれて、湯気に顔を埋めて食べる姿に、庶民の哀歓が見える。(髙橋正子)

12月13日(1句)

★古釘を少し磨きて注連飾る/廣田洋一
古釘は注連飾りを取り付けるために、取り外さないで打ち付けたままなのだろう。それが古釘になって錆が付いている。新年を迎える気持ちが、錆を少し落として注連を飾らせるのだ。「少し」が自然体で好もしい。(髙橋正子)

12月12日(2句)

★ジャングルジムの中より見上げ冬の空/多田有花
ジャングルジムの内側に入って空を見ると、空に交錯する線が引かれているように見える。線描画のような、都会的な景色が見える。冬空が一番似合う。(髙橋正子)

★山眠る湖底のウグイもこんこんと/弓削和人
魚類は水温が5度C以下になると仮眠状態になるという。これを魚の冬眠とも言っている。湖水の水温が下がり、あるい氷が張っているのかもしれないが、湖の山が眠るそばで、湖底ではウグイも眠っている。冬の寝息の聞こえるようなひそやかな世界。(髙橋正子)

12月11日(1句)

★溝川のこぼこぼ落つる冬田べり/桑本栄太郎
「ごぼごぼ」落ちる溝川の水が、冬田のへりで力強く聞こえる。ものが枯れるなかの、水のいきいきとした力強さである。(髙橋正子)
コメント (9)
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