◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

3月31日

2014-03-31 06:48:57 | Weblog

●小口泰與
春雨のしずく細かに草撓む★★★
つつつつと畦を駆け行くきぎすかな★★★
花冷や長き裾野の赤城山★★★★
「長き裾野」は、季節によってさまざまな感じをわれわれに与える。花冷えには花冷えの裾野の引く線の緊張感がある。(高橋正子)

●多田有花
朝の陽がまず差すところ桜花★★★★
陽が昇り、まず差すところが桜の花。清楚でありながら桜花が華やかに浮き立つときだ。(高橋正子)

手水舎の水音近く枝垂れ桜★★★
辛夷咲く駐車場の真ん中に★★★

●桑本栄太郎
白砂の白兎海岸春の波★★★
ふるさとの山河麗し去年(こぞ)の雪★★★
一品の蛸と若布や酢味噌和え★★★

●古田敬二
一つずつより来て小さな花筏
【添削】一つずつより来て流る花筏★★★★

大股に桜吹雪をくぐりけり★★★
青空に散る時を待つ桜揺れ★★★
コメント (2)
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3月30日

2014-03-30 06:57:32 | Weblog
●小口泰與
ことのほか紅梅の香や山の道★★★
強東風の一夜ふきたる朝かな★★★
強東風やジョッキを満たすほうじ茶よ★★★

●下地鉄
引く波の渚なだめて宵の春★★★
梔子の開く蕾の香りかな★★★★
囀りを惜しむが如き紫煙かな★★★

●高橋秀之
大空は二分咲き桜の向こう側★★★★
桜はまだ二分。二分咲きの桜には空が十分すぎるほど広がる。花の枝の隙間の空も花の景色。(高橋正子)

鯉の群れ池の桜が揺れ動く★★★
川沿いの桜並木や遠回り★★★

●黒谷光子
同窓と聞けば親しき春の風★★★
終曲は鬼女の様相春の能★★★
天守より吹く春の風能舞台★★★★

●小西 宏
何匹も猫隠れてる雪柳★★★
雨上がり映る桜の水溜り★★★
マンションの駐車場なる夜の桜★★★★

●川名ますみ
窓越しに明日行く丘の花明り★★★★
丘にのぼる楽しさを思う気持ちがあふれている句。明日上る丘は窓越しに見ても花明りがしている。(高橋正子)

多摩川のいろ新しく春の水★★★
母の踏むミシン春めきタカタタタ★★★

●多田有花

日の暮れて桜の白く浮かびおり★★★★
日が暮れると桜は色を失いつつ白くなる。日暮れの桜の白さがまたよい。(高橋正子)

降る雨に低く飛び交う初燕★★★
雨にうたれここの桜は三分咲き★★★
コメント (3)
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3月29日

2014-03-29 08:02:31 | Weblog
●迫田和代
真っ直ぐな道を歩きつ虎杖を★★★★
まっすぐな道には虎杖などないと思うけれども、土手があれば虎杖が見つかる。こんな収穫は幼きころの思い出もあって、うれしいものだ。(高橋正子)

立ち止り摘み草をして又歩く★★★
さよならは又会う言葉大声で★★★

●小口泰與
花水木ジャズの流るる街の角★★★★
花水木は洒落た花で、ジャズの流れる街角が似合う。それも、そんなに新しい街でないところがいい。

紅梅や下仁田在の風やわし★★★
体調を崩すは何時も木の芽時★★★

●多田有花
人々の暮らしの中に桜咲く★★★★
たしかに、桜は人々の暮らしのなかに咲いている。農小屋の傍らに見事な桜があったり、民家の裏手にあったりと。人々はいつからか桜を身近な、暮らしの中の花として楽しんでいる。(高橋正子)

はくれんに真昼の日輪やや暑き★★★
山桜近しく寄れば真白き花★★★

●古田敬二
春光へ青鷺ゆっくり首伸ばす★★★
初燕孫に背丈を追い越され★★★
水温む水底魚影のこくなりぬ★★★★
コメント (3)
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3月28日

2014-03-28 06:34:16 | Weblog
●小口泰與
花辛夷赤城の風の荒きかな★★★★
辛夷の花は風に揉まれることが多い。つまり、辛夷の花の頃は風が荒ぶころに咲く。赤城颪なら風はさぞ荒い。(高橋正子)

みしみしと家の揺るるや春嵐★★★
尻ふって忽とあらわる雉かな★★★

●祝恵子

シャボン玉子ら追いかける大広野★★★★
大広野がいい。シャボン玉も子らも広野に、広野の空に解放されて自由で、生き生きしている。

枝揺らす春鳥の来て森へ消ゆ★★★
水落とし水車の音も長閑けしや★★★

●小川和子
初蝶と青き岸辺にまみえけり★★★
黄に染まる花菜の土手の匂いたつ★★★★
初桜母に凭れし児の笑まう★★★

●多田有花
春の朝チャペルの鐘が鳴り渡る★★★
横笛の音満開の梅林に★★★★
春の陽を浴びて窓辺に爪を切る★★★

●小西 宏
老い集い蕾の下の花宴★★★
薄空に広げて紅き楓の芽★★★ 
鶯の歌習いいる陽の豊か★★★★

●黒谷光子
八方に枝を広げて花ゆすら★★★★
池の面に揺れて山桜桃の花の影★★★
山桜桃咲く小さき緑を従えて★★★

●川名ますみ
芽柳を越す聖橋渡るとき★★★★
神田川に架かる聖橋を渡るときは、ちょうど芽柳の上を渡ることになる。芽柳のやわらかい感触に触れたような思いだ。(高橋正子)

朝桜つぼみの白の二つ三つ★★★
姫椿ニコライ堂の塀に沿い★★★
コメント (4)
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3月27日

2014-03-27 23:58:29 | Weblog
●古田敬二
残照の梢に残る木の芽風★★★
ハーレーに春の光のまぶしかり★★★★
太陽のひと色集めて黄水仙★★★

●小口泰與
山茱萸の黄のこぞるや鳥の声★★★★
訪ねたる甲斐のこたびは桜かな★★★
鳴く雉に応えるねのの無くもがな★★★

●桑本栄太郎
<四条大橋界隈>
虚無僧の四条大橋木の芽雨★★★
馬酔木咲く清き流れや高瀬川★★★
<祇園白川界隈>
芽柳やそぼふる雨の勇歌碑★★★★

●多田有花
クレヨンを一心に塗る春の昼★★★★
初花の彼方に長く淡路島★★★
遠くまで今日は見えいて春の海★★★

●黒谷光子
奔放をそのままにして連翹の黄★★★★
連翹の木は、形が定まらなく、枝が四方八方、奔放に伸びる。形を整えるには刈り込むしかないが、刈り込んだ連翹はぎこちない。「奔放をそのままにして」が自然でいい。(高橋正子)

春の鴨池は木立を映しおり★★★
芽柳のさ緑かすかに向こう岸★★★

●小西 宏
朗らかやラッパ水仙畝に立つ★★★
くすむ枝に色兆しあり春の雨★★★
街の灯に花ふくらめる雨上がり★★★★

●河野啓一
レンギョウの明るくはじけ雨上がり★★★★
「明るくはじけ」は、レンギョウのつやつやした花びらを的確に描写している。雨上がり、レンギョウの花は弾けたように黄色い花を咲かせる。(高橋正子)

竹秋の夕日に映えてさやかなる★★★
庭先に小鳥来たれり雨止みて★★★
コメント (1)
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