◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

自由な投句箱/6月21日~30日

2020-06-21 22:51:02 | Weblog
※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
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今日の秀句/6月21日~30日

2020-06-21 22:50:17 | Weblog
6月30日(1句)

★青き水真白くなりて滝落ちる/廣田洋一
青々と流れて来た水が、滝となって落ちるとき、真白く変わる。とてもすずやかな句と思う。原句は、「白く変わりて」であったが、「変わる」と使うと説明てき、散文的になるので、「(真)白くなりて」と添削した。(高橋正子)

6月29日(1句)

★夏燕甍の波を飛び渡り/多田有花
燕は四月下旬から七月下旬にかけて二回産卵する。産卵後一か月余りで巣立ちをしするから、この間には、軽快な飛翔がみられる。青田を颯爽と飛ぶものもいれば、この句のように甍の波を飛びわたる燕もみられる。爽快な飛翔を目の当たりにした快さである。(高橋正子)

6月28日(2句)

★葉陰より紫光る茄子畑/廣田洋一
茄子畑を見ると、葉陰に紫色の茄子がつやつや光っている。うまくいきいきと育った野菜は、健康的に思える。(高橋正子)

★晴れし空すでに生まれし入道雲/多田有花
窓を開ければ、晴れた空。その空には、すでに入道雲が生まれている。入道雲は朝から元気なのだ。(高橋正子)

6月27日(1句)

★泰山木咲けばひかりの弾けたり/川名ますみ
「ひかり」そのもののような大きな白い泰山木。咲くときは、ひかりが弾けるようだ。泰山木の花になって咲いたような作者の気持ちが読み取れる。(高橋正子)

6月26日(1句)

★葦原の沈めていたり行々子/古田敬二
青々とした葦原にヨシキリとも呼ばれる行々子の声がする。葦の枝に止まる行々子をみることもあるが、この句の行々子は、葦原に沈められて声だけ聞こえたのだ。青々と茂った葦原と行々子の姿がともに生き生きとしている。(高橋正子)

6月25日(2句)

★湖にまだ青空残る青芒/小口泰與
「湖にまだ青空が残る」とは、夏の夕さりのころ湖。昼間の光がしずもっていく湖に青空がまだ映り、湖のほとりは青芒がなびいている。青い色が微妙に移ろう様子がこころを静かに深くさせてくれる。(高橋正子)

★鬼灯の色つく前のふくらみや/古田敬二
鬼灯は白い花が咲き、小さな青い実をつけ、やがてその実がふっくらとふくらんでくる。やがて緑の風船が橙色に色づくのだが、色づく前の汚れない緑の風船。
それがなんとも初々しくてかわいいのだ。(高橋正子)

6月24日(2句)

★ゲレンデの緑濃きかな夏の山/廣田洋一
冬ならば、雪に覆われ、スキーヤーの鮮やか滑走が見られるゲレンデ。夏の今は、緑濃き山に変わっている。そのギャップに人と自然の営みのありようが見える。(高橋正子)

★草笛やアルプス山道吹き歩く/古田敬二
アルプスの山道を歩けば、歌いたくなるのだろう。草笛を吹きながら歩けば、遠い日が懐かしく蘇る。アルプスの山々がいっそう親しく思われる。(高橋正子)

6月23日(2句)

★赤城嶺は疾き風らしき夏薊/小口泰與
赤城の嶺を雲が駆けるように動く。風が疾いらしいが、ここには、夏薊が夏山を憧れるようにぱっちりと咲いている。山国の夏らしい景色。(高橋正子)

★一斉に朝日へ向きて向日葵群/古田敬二
一面の向日葵がこぞって朝日に向く様子は、大きな明るさのひろがりに感嘆の声があがるのだろう。太陽の動きにつれて花の向きが変わるといわれる向日葵の朝の爽快な姿(高橋正子)

6月22日(1句)

★登園の幼児の朝やアマリリス/桑本栄太郎
アマリリスは百合のような赤い花が背中合わせに咲いて、雨の季節に印象的だ。「アマリリス」の言葉のひびきが、登園する幼児の幼い歩みに似てかわいい。「アマリリス」というフランスの曲も聞こえてきそうだ。(高橋正子)

6月21日(2句)

★新しきサンダルおろし街へ出る/多田有花
サンダルは気楽な履物だけに、新しいものがうれしい。街へ出るのに新しいサンダルを履けば、気持ちもあたらしくたのしさも増すというもの。(高橋正子)

★折り紙のように舞い居り黒揚羽/桑本栄太郎
黒揚羽が軽々となにげなく、折り紙の蝶が花に置かれたかのように舞い降りる。「折り紙のように」が作者の鮮やかな発見。(高橋正子)
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6月21日~30日

2020-06-21 22:34:14 | Weblog
6月30日(4名)

小口泰與
五月晴豊葦原の浅間山★★★
紫陽花や沼の水嵩変りける★★★★
梅雨晴や庭の花花仏壇へ★★★

廣田洋一
青き水白く変わりて滝落ちる(原句)
青き水真白くなりて滝落ちる★★★★(正子添削)
青々と流れて来た水が、滝となって落ちるとき、真白く変わる。とてもすずやかな句と思う。原句は、「白く変わりて」であったが、「変わる」と使うと説明てき、散文的になるので、「(真)白くなりて」と添削した。(高橋正子)

お互ひにそつぽを向きしカサブランカ★★★
蟻一匹蜜を吸ひたる百合の花★★★

桑本栄太郎
雨足の尚も激しく六月果つ★★★
降り足らぬ天の重きや五月雲★★★
荒梅雨やチャイムの鳴りて下校の子★★★

多田有花
朝雀梅雨の雨音背景に★★★
明易しアイマスクして二度寝かな★★★
六月を送る引き出し片付けて★★★

6月29日(4名)

小口泰與
青蔦や堂の出窓を搦め捕る★★★
夕さりの降りみ降らずみばらの花★★★
甲斐犬を少年羨し梅の雨★★★★

廣田洋一
城崎のお湯を廻りて夜店かな★★★★
綿菓子を先ず買ひたる夜店かな★★★
寅さんの口上響く夜店かな★★★

桑本栄太郎
朝涼の木蔭の坂を歩みけり★★★
歩みゆく程に育つや雲の峰★★★★
跳びすさる蠅虎をひやかしぬ★★★

多田有花
梅雨晴の街角をゆく塵芥車★★★

夏つばめ甍の波を飛び渡り★★★★
燕は四月下旬から七月下旬にかけて二回産卵する。産卵後一か月余りで巣立ちをしするから、この間には、軽快な飛翔がみられる。青田を颯爽と飛ぶものもいれば、この句のように甍の波を飛びわたる燕もみられる。爽快な飛翔を目の当たりにした快さである。(高橋正子)

開け放つ窓より聞こえ夏鶯★★★

6月28日(4名)

廣田洋一
葉陰より紫光る茄子畑★★★★
茄子畑を見ると、葉陰に紫色の茄子がつやつや光っている。うまくいきいきと育った野菜は、健康的に思える。(高橋正子)

スタンドに色鮮やかな茄子の山★★★
ロンドンにて茄子田楽に舌鼓★★★

小口泰與
梅雨晴や川波とみに尖りつつ★★★
奥利根の峡田棚田のあめんぼう★★★★
山羊羨し山の牧場の夏の草★★★

桑本栄太郎
雨上がり飛び火のようにざくろ咲く★★★
荒梅雨の夜半の音に目覚めけり★★★
つつましく目玉品買う芙美子の忌★★★★

多田有花
窓細く開けし涼風入るほどに★★★
チーズ挟むベーグル温め夏の昼★★★
晴れし空すでに生まれし入道雲★★★★
窓を開ければ、晴れた空。その空には、すでに入道雲が生まれている。入道雲は朝から元気なのだ。(高橋正子)

6月27日(6名)

小口泰與
紫陽花や浅間の空はとの曇り★★★
切岸の帳やダムの夏燕★★★
川釣りに遠き雷鳴届きける★★★★

廣田洋一
青田の合間に白き苺ハウス★★★
白鷺の一羽飛び立つ青田かな★★★★
関東の平野を覆ふ青田かな★★★

多田有花
梅雨空のひと日めまぐるしく変わる★★★
梅雨の星ひとつふたつとまたたけり★★★
梅雨晴の河川敷にて草野球★★★★

桑本栄太郎
梔子の花の香りや朝日さす★★★★
やまももの熟れて赤き実こぼれ積む★★★
梅の実の誰も採らずや熟しけり★★★

川名ますみ
泰山木咲けばひかりの弾けたり★★★★
「ひかり」そのもののような大きな白い泰山木。咲くときは、ひかりが弾けるようだ。泰山木の花になって咲いたような作者の気持ちが読み取れる。(高橋正子)

ひかり降り泰山木の花に散る★★★
桔梗のまず縦に割れひらきそむ★★★★

古田敬二
ボランティアはるかに高し雲の峰★★★
大股にボランティアに急ぐ雲の峰★★★
箱眼鏡故郷の瀬にゴッチャ釣る
「ゴッチャ」を調べてみましたが、わかりませんでした。どんな魚でしょうか。

6月26日(4名)

小口泰與
大沼の風とどこおり時鳥★★★
余生とは食する事なり燕の子★★★
雨後のばら風に雨粒ほとばしり★★★★

桑本栄太郎
明るさに歩み初めたる夏の雨★★★★
枇杷の実の色付き来たる軒端かな★★★
甘き香の梔子の花八重の白★★★

多田有花
紫陽花にいつも停まっている車★★★★
玄関に柏葉紫陽花咲くホーム★★★
いびつなる梅雨の西瓜を買いにけり★★★

古田敬二
葦の原沈めていたる行々子(原句)
葦原の沈めていたり行々子★★★★(正子添削)
青々とした葦原にヨシキリとも呼ばれる行々子の声がする。葦の枝に止まる行々子をみることもあるが、この句の行々子は、葦原に沈められて声だけ聞こえたのだ。青々と茂った葦原と行々子の姿がともに生き生きとしている。(高橋正子)

遠くより見上げる泰山木の花★★★★
隣家の子よく笑う声風光る★★★

6月25(4名)

小口泰與
立葵噴煙山にとどこおる★★★
釣り上げし蛇に童は息荒げ★★★
湖にまだ青空残る青芒★★★★
「湖にまだ青空が残る」とは、夏の夕さりのころ湖。昼間の光がしずもっていく湖に青空がまだ映り、湖のほとりは青芒がなびいている。青い色が微妙に移ろう様子がこころを静かに深くさせてくれる。(高橋正子)

廣田洋一
万緑の山を仰ぎつ入浴す★★★★
谷川のシンフォニー愛で茶を喫す★★★
遠山の稜線隠れる梅雨曇★★★

桑本栄太郎
園児らに見つめられ跳ぶあめんぼう★★★★
との曇る空の明るき梅雨の雲★★★
手の届くほどに泰山木の花★★★

多田有花
梅雨空の戻り来るかな白湯を飲む★★★★
梅雨曇電気設備の点検に★★★
気持ちよく汗かく動画の号令に★★★

古田敬二
目に見えぬほどの小さき目高生る★★★★
水無月の今は亡き兄の誕生日★★★

鬼灯の色つく前のふくらみや★★★★
鬼灯は白い花が咲き、小さな青い実をつけ、やがてその実がふっくらとふくらんでくる。やがて緑の風船が橙色に色づくのだが、色づく前の汚れない緑の風船。
それがなんとも初々しくてかわいいのだ。(高橋正子)

6月24日(5名)

小口泰與
五月晴机辺掃除機あてており★★★
畔川の泥鰌や子らの家遠し★★★★
下闇の無言館とて御代三代★★★

廣田洋一
雪渓のくっきり垂れし富士の山★★★
富士山の雪渓仰ぐ箱根山★★★
ゲレンデの緑濃きかな夏の山★★★★
冬ならば、雪に覆われ、スキーヤーの鮮やか滑走が見られるゲレンデ。夏の今は、緑濃き山に変わっている。そのギャップに人と自然の営みのありようが見える。(高橋正子)

多田有花
追熟にキウイとバナナを入れておく★★★
つつましく南天の花咲きにけり★★★
晴れてよし雨もまたよし額の花★★★

桑本栄太郎
ついついと筋の白さや青すすき★★★★
池の辺の杭辿りつつ糸とんぼ★★★
凌霄花の煉瓦被いて火と燃ゆる★★★

古田敬二
箱眼鏡故郷の瀬に背中干す★★★
草笛やアルプス山道吹き歩く★★★★
アルプスの山道を歩けば、歌いたくなるのだろう。草笛を吹きながら歩けば、遠い日が懐かしく蘇る。アルプスの山々がいっそう親しく思われる。(高橋正子)

まだ飛べぬ蜻蛉を胸に止まらせて★★★

6月23日(5名)

小口泰與
葭切や忽然と鋭声の利根川原★★★
梅雨空を鎖す大沼閑古鳥★★★
赤城嶺は疾き風らしき夏薊★★★★
赤城の嶺を雲が駆けるように動く。風が疾いらしいが、ここには、夏薊が夏山を憧れるようにぱっちりと咲いている。山国の夏らしい景色。(高橋正子)

廣田洋一
いくつかは落ちてしまへり茄子の花★★★
川風を紫に変へ花茄子★★★
生徒らの声の戻りて茄子の花★★★★

桑本栄太郎
天辺の青空に映え夾竹桃★★★★
盗人のように緑蔭歩みけり★★★
緑蔭の風を大きく深呼吸★★★

多田有花
眼前に海の広がり沖縄忌★★★★
梅雨晴の空を飛び交い朝つばめ★★★
白鷺や真青な空を飛びゆけり★★★

古田敬二
満州の同胞の記事夏至の日に★★★
夕焼けの池面旋回夏燕★★★
一斉に夏の朝日へ向日葵群(原句)
一斉に朝日へ向きて向日葵群★★★★(正子添削)
一面の向日葵がこぞって朝日に向く様子は、大きな明るさのひろがりに感嘆の声があがるのだろう。太陽の動きにつれて花の向きが変わるといわれる向日葵の朝の爽快な姿(高橋正子)

6月22日(3名)

小口泰與
郭公や時に石仏微笑みし★★★
ときめくよ鳴く鳴く池を時鳥★★★
疾く去りし元気な体浮いてこい★★★

廣田洋一
梅雨寒や半そでの腕縮こまる★★★
梅雨寒や追ひ炊きしたる朝の風呂★★★
梅雨寒や独り厨で飲む紅茶★★★

桑本栄太郎
登園の幼児の朝やアマリリス★★★★
アマリリスは百合のような赤い花が背中合わせに咲いて、雨の季節に印象的だ。「アマリリス」の言葉のひびきが、登園する幼児の幼い歩みに似てかわいい。「アマリリス」というフランスの曲も聞こえてきそうだ。(高橋正子)

凌霄花の煉瓦を被い緋の燃ゆる★★★
木々の枝の光振り分け青嵐★★★

6月21日(5名)

小口泰與
雨蛙草刈り鎌をすいと避け★★★★
三本の木の枝払う鳥居ぬ間★★★
青蘆や櫂の滴と長く水脈★★★★

廣田洋一
娘よりラインのメール父の日と★★★
車窓より夕日眺めつ麦酒飲む★★★★
亡き友の好みて飲みし黒麦酒★★★

多田有花
新しきサンダルおろし街へ出る★★★★
サンダルは気楽な履物だけに、新しいものがうれしい。街へ出るのに新しいサンダルを履けば、気持ちもあたらしくたのしさも増すというもの。(高橋正子)

髪切ってうなじに夏至の風あてる★★★
欠けてゆく太陽見上げ夏至夕べ★★★

桑本栄太郎
川風にうかれ浮かびぬ合歓の花★★★

折り紙のように舞い居り黒揚羽★★★★
黒揚羽が軽々となにげなく、折り紙の蝶が花に置かれたかのように舞い降りる。「折り紙のように」が作者の鮮やかな発見。(高橋正子)

西施とは斯くも妖しきねぶの花★★★

古田敬二
池の面に白き腹見せ夏つばめ★★★
半夏生雨に降られて白さ増す★★★
蟻の列その先頭を探しけり★★★★
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自由な投句箱/6月11日~20日

2020-06-12 13:13:16 | Weblog
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今日の秀句/6月11日~20日

2020-06-12 13:12:17 | Weblog
6月20日(2句)

★短夜の星を眺めし地中海/廣田洋一
地中海での星の眺めはさぞやロマンティックなことだろう。短い夜のはかなさに、あまたの星をもらさず目の奥にしまいたいと思うほどか。星のが美しさは短夜だからこそ。(高橋正子)

★飛騨川の瀬音太りて梅雨に入る/古田敬二
梅雨に入ると水量が増えて飛騨川の瀬音が、堂々と太くなる。生き物であるかのように瀬音が太る。飛騨川への愛着の深さ故、瀬音の変化に気づくのだ。(高橋正子)

6月19日(2句)

★桑の葉の土間にざわめき夏蚕飼う/桑本栄太郎
蚕を飼っていた故郷の土間の思い出だろうか。夏蚕にやる桑の葉が青々として、葉の間に潜って葉を食べる蚕が、ざわざわと音をさせている。食欲旺盛な蚕の太り具合が想像できる。(高橋正子)

★今日田植え雨もよかりと思いつつ/多田有花
田植えをするとき雨は厭うことではない。田植えに雨は好都合のようにも思える。雨に備えて身支度をして田に入ると、田水に、苗も人も馴染んでいくように思える。
(高橋正子)

6月18日(1句)

★明時の味噌汁の香や日日草/小口泰與
朝食の味噌汁の香りに、朝のすがすがしさを思うことは毎日のごとくである。日日草が日々咲くように、明時の味噌汁の香りに日々のなにげない在り難さがある。(高橋正子)

6月17日(1句)

★昼顔の土手を登れば川見える/多田有花
昼顔は、川の土手などにもよく咲く。花のうすもも色は、夢見るような色あい。土手の向こう側を想像して登ると、川がある。川はきらきらと輝き、まさしく夏の川。その川を見たよろこび。(高橋正子)

6月16日(1句)

★郭公や心休まる風の吹き/小口泰與
郭公の調子をつけた鳴き声は、緑の梢や緑の山からの声。そよそよと風が吹き、心地よさはこの上ない。郭公の声を聞きながら、ハンモックに揺られているような景色が見える。(高橋正子)

6月15日(2句)

★湘南の風の吹き抜け夏帽子/廣田洋一
夏といえば、湘南。そこに住まっている人たちは、日常に湘南があるから、海からの風に夏をゆるやかに楽しむ。夏帽子にも風が吹きぬけて、湘南の風が涼しいのだ。(高橋正子)

★野萱草雲低けれど鮮やかに/多田有花
野萱草の濃い朱色のの花は、青空の下にあっては、鮮烈な色。雲が低く雨をもちこたえているようなどきでも、やはり、鮮やかな朱色を見せる。つい、梅雨の滅入りそうな気分のときでも、鮮やかな朱は、人を目覚めさせる。(高橋正子)

6月14日(1句)

★郭公や書斎に聞きて庭に聴く/小口泰與
郭公の声を書斎に聞きとどめて、庭に下りてみれば、また郭公の声。郭公が近く来たうれしさが、読み手にも伝わる。(高橋正子)

6月13日(1句)

★梅雨の川水難捜索訓練中/多田有花
気候変動のせいで、思わぬ豪雨に見舞われることが多くなった。これまでどおり洪水に対する備えだけでは足りず、水難捜索なども想定されて、訓練が行われているのを見ると、災害が身に迫るものとして受け止められる。(高橋正子)

6月12日(1句)

★夕立の雫零せる並木道/廣田洋一
夕立が来て並木道を濡らしていった。あおあおと茂った並木は降り込んだ夕立の雫を再び雨が降るかのように零している。(高橋正子)

6月11日(2句)

★街中の橋渡り来る夕立かな/廣田洋一
夕立が橋を渡ってこちらへ向かってやってくる様子が手に取るように分かり、面白い。街中の橋に市中の生活が見える。(高橋正子)

★おもしろや茗荷若葉を薬味とす/多田有花
薬味によって料理は趣を変えて、楽しいものになる。夏らしいのは茗荷の子の薬味だが、茗荷の若葉も薬味として味わって、それがおもしろいと思えたのだ。涼しげな薬味。(高橋正子)

コメント (10)
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