3月7日(2名)
小口泰與
禽去りて沼の広さや末黒葦★★★
積み上げしボートに春日たっぷりと★★★★
シーズンオフのボートが積み上げられ、春日をたっぷり受けている。湖や川に浮かぶ季節を待っているようなボートの様子。(髙橋正子)
春雷や利根の流れの荒あらし★★★
多田有花
春耕の田にスコップの刺さりしまま★★★★
スコップを畑に刺したまま、耕人は昼餉に帰ったのか、今日はここまでと終えたのか。春らしい畑の光景。(髙橋正子)
金盞花風強けれどよく晴れて★★★
プリムラや日曜の午後静かなり★★★
3月6日(4名)
小口泰與
禽去りて里の行事の野焼かな★★★
雪解水岩と抗い起ち上る★★★
花辛夷谷川岳の荒けなし★★★★
廣田洋一
田楽につい手が出るコップ酒★★★
田楽や肉に飽きたる舌の味★★★
アフリカの旅の終わりや茄子田楽★★★
多田有花
戦争はいつも突然春嵐★★★
陰ヨガに心身ほぐす春の夕★★★
白梅や風受け立てり野に一本★★★★
桑本栄太郎
こつ然と天の静寂や雲雀落つ★★★★
人の世は戦止まずよ冴返る★★★
番づつ浮寝すがたや春の鴨★★★
3月5日(4名)
廣田洋一
道端の小石押しのけ草若し★★★
水際に若草萌ゆる中洲かな★★★
若草やふはと返さる足の裏★★★★
小口泰與
雪形を仰ぐ農夫のねこ車★★★
春光や辞書ひく指の影太し★★★
過疎の駅雪解の風を纏うなり★★★★
多田有花
啓蟄の朝しらじらと明けてくる★★★
鶯の初音の響く夜明けかな★★★★
贈られし遺愛の書籍春の昼★★★
桑本栄太郎
遠嶺を望む田道やよなぐもり★★★
たびらこの茎伸び来たる日差しかな★★★
トラックにパンジー積まれ花卉農園★★★★
3月4日(4名)
小口泰與
白鳥の天伝いゆく北の国★★★
灌木に雉の鋭声や風の中★★★
白鳥の去りし大沼広びろと★★★★
廣田洋一
春の土掻き均されて広々と★★★
篩にかけ日向に曝す春の土★★★★
篩いにかけ消毒を兼ねて日向に曝し、風を通す。蘇った春の土に何を植えるのだろう。(髙橋正子)
春の土ローンテニスの音高し★★★
桑本栄太郎
学び舎の昼のチャイムや暖かし★★★
庭梅の紅の枝垂るる日差しかな★★★
白梅の道に迫り出し青みけり★★★
多田有花
ブラウザを開けば現る内裏雛★★★
コーヒーのやわらかに香り春の朝★★★
ムーンリバー奏でしサックス春の宵★★★
3月3日(3名)
小口泰與
匂ひ立つ佐久の鯉こく山笑う★★★
テンカラや魚籠一杯の蕗の薹★★★★
あまたたび鳴く子雀や樋の中★★★
廣田洋一
たんぽぽや新築の庭に咲き出でし★★★★
たんぽぽは根が地中深くに伸び、絮も遠くまで飛んでその繁殖力はたくましい。新築の庭の、草もまだ生えないところに、可愛いたんぽぽが咲いて驚くことだ。(髙橋正子)
園児らの声をかけ行くたんぽぽかな★★★
たんぽぽや土を離れず葉を広げ★★★
桑本栄太郎
乙訓の風の田道や蕗の薹★★★
見下ろせば川に緋鯉や水温む★★★
立子忌のままごと遊び雛の客★★★
3月2日(4名)
小口泰與
のどけしや浅間の煙まっすぐに★★★
我と犬帰雁をあおぐ畷径★★★★
山風の煽つ霞の里の沼★★★
廣田洋一
白酒を供へてみたし政子矢倉★★★
雛祭女帝を気取る一人っ子★★★
吊るし雛四隅に垂らし雛祭★★★
桑本栄太郎
身の内の滾る思いや新芽立つ★★★
雨上がる今朝の日差しや畦青む★★★★
雨が上がると待ちに待ったように、朝の日差しがまばゆく輝く。畦の草が青く萌えだし、いよいよ春だ。(髙橋正子)
幼子のこくりと会釈日永かな★★★
多田有花
固定資産税払い終え二月尽★★★
三月や道路工事があちこちで★★★
春雨のなかを荷物が届きおり★★★
3月1日(4名)
小口泰與
湧水や至る所に蕗の薹★★★★
蕗の薹は、周囲に水があり、風がない場所によく生えるようだ。湧水があれば、あそこにも、ここにもと見つかって、嬉しいものである。湧水と蕗の薹の取り合せがきれいだ。(髙橋正子)
文机に置かれし紙の雛かな★★★
麗らかや小屋旋回の伝書鳩★★★
廣田洋一
合格を祝ぎて鶯鳴きにけり★★★
すいと伸び鶯招く小枝かな★★★
鶯や産土神の霊気増す★★★★
桑本栄太郎
野放図と云う枝振りの野梅かな★★★★
三月の空との曇り雨予報★★★
木々の枝のうすきみどりや新芽吹く ★★★
多田有花
ヘリコプター春青空を飛びゆけり★★★
たんぽぽやまだ低く地にはりついて★★★★
春めきてドライブレコーダー使い初め★★★