◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

6月11日~6月20日

2022-06-13 11:37:46 | Weblog
6月20日(5名)

小口泰與
放置田の隣植田の青青と★★★
かかずらう日日の赤城の夕立かな★★★
緋目高の腹をくねらせ水面へと★★★

廣田洋一
旧友と酒酌み交はす梅雨最中★★★
鳥の声竹林抜ける南風の中★★★
乗る波を待ちたる浜や南吹く★★★★
湘南の海だろうが、サーファーが乗る波を待っている。折しも南風が吹いて、波乗りができる好機。夏を待つ気持ちが騒ぐ。(髙橋正子)

桑本栄太郎
更の花咲いて地に落つ苔の上(原句)
「地に落つ」と「苔の上」が意味の上で重複しています。
沙羅咲くや落ちたる花の苔の上★★★★(正子添削)

曇りても溽暑の夕となりにけり★★★
妻帰る日の支度せり豆ご飯★★★

多田有花
<吉野・吉水神社三句>
梅雨に入る後醍醐天皇玉座かな★★★
ささゆりやただかりそめの宿に咲く★★★★
吉野の宿に泊まった。宿の山ぎわとでもいうようなところにささゆりが咲いていたのだろう。ささゆりの清楚さとかりそめと思わせるような宿の雰囲気がよく溶け合って印象ふかい旅の句となっている。(髙橋正子)

梅雨の水集めてししおどし躍る★★★★

弓削和人
花びらの落ちつつ四葩暮れゆきぬ(原句)
意味としては、「落ちる」より、「散る」に動きが出ると思います。
花びらの散りつつ四葩暮れゆきぬ★★★★(正子添削)

億年の夏を生き継ぐカブトエビ★★★
咲き騒めく花菜のなかや波斯菊★★★

6月19日(5名)

小口泰與
優曇華や三代続く店稀に★★★
雷鳴や湖傾けて魚ライズ★★★
笹薮を分け入り忽と滝飛沫★★★

廣田洋一
万緑や水湧き出でる法の池★★★★
苺乗せショートケーキのあでやかに★★★
波静かな海を眺めて苺摘む★★★

桑本栄太郎
曇り居て日差しなけれど溽暑かな★★★
生垣の山梔子匂う雨催い★★★
父の日の独り夕餉や妻の留守★★★

多田有花
<金峰山寺蔵王堂二句>
蔵王堂へさみだれ傘を借りてゆく★★★★
「蔵王堂へ」もさることながら、「さみだれ傘を借りてゆく」が魅力。それが詩になっている。(髙橋正子)

蔵王堂閉じられ梅雨入の風激し★★★
梅雨入りの吉野で食べるペカンパイ★★★

弓削和人
夏木立仰げば空に天守あり★★★★
5-7-5の定型をしっかり捉えた句で無理がない。目に青が染みる夏木立を仰ぐと、空に天守が高々と聳えている。晴れ晴れとして天守を見上げる気持ちが爽やかでよい。(髙橋正子)

夏草の種おろし地へ選らず咲く★★★
陸橋の夏の向こうや紀伊の海(原句)
「陸橋の夏」があいまいです。(髙橋正子)
陸橋の向こうや紀伊の夏の海★★★★(正子添削)

6月18日(5名)

小口泰與
行人の暑に抗するや赤信号★★★
さざ波の植田や木木の影揺るる★★★★
早苗もしっかり根付き、植田にさざ波立つようになった。周りの木々の影も水に揺れて、本格的な夏へ向けて、稲の生長がたのしみである。植田の心安らぐ風景がいい。(髙橋正子)

かかずらう滝の飛沫や一張羅★★★

廣田洋一
新四葩長谷の祈りと名札立て★★★
古き家の取り壊されて茄子の花★★★
小さき実を見下ろしながら茄子の花★★★

桑本栄太郎
目覚めても二度寝となりぬ夏の朝★★★
心太をすする昼餉や妻の留守★★★★
曇りても雲の茜や梅雨夕焼け★★★

多田有花
吉野に入るまず紫陽花に迎えられ★★★★
さみだれの吉野の寺宝めぐりかな★★★
<金峯山寺・銅(かね)鳥居>
銅鳥居さみだれ雲を背景に★★★

弓削和人
蜘蛛の子のうてなに乗るや水たいら★★★
小海老草夏の夜風に苞揺らし★★★
遠山に朱を流したる夕立雲★★★

6月17日(5名)

小口泰與
山女釣岩の間合を垣間見し★★★★
空蝉や日日疎かに過ごしける★★★
夕さりの庭の山梔子錆にけり★★★

多田有花
<観光列車・青の交響曲>
うきうきと仲夏の列車を探検す★★★
大都会うしろに青葉の懐へ★★★
客散れば静かや梅雨の吉野駅★★★★

廣田洋一
青き田に我が影写り目高散る★★★★
苔むせる枝の茂りや大銀杏★★★
供花のごと墓前に青き四葩かな★★★

桑本栄太郎
目覚めいて又眠ろうか梅雨激し★★★
蜘蛛の囲の明日は晴れるや紡ぎ居り★★★★
曇りても雲の茜や梅雨夕焼け★★★

弓削和人
紫陽花の房や淀みに留め居たり★★★
夏の虫灯りへ這いてすすみけり★★★
日の高き路に毛虫の何処ゆく(原句)
日の高き路に毛虫の何処へゆく★★★★(正子添削)

6月16日(5名)

小口泰與
一合の米もなき日や夾竹桃★★★
今朝咲きし雨後の山梔子香り立つ★★★★
押しに押す川の流れや五月晴★★★

廣田洋一
青き瓶故郷の味や冷し酒(原句)
「青き瓶/故郷の味や/冷し酒」のような切れ方は、避けてください。(髙橋正子)
青き瓶に故郷の味冷やし酒★★★★(正子添削)
白き手にグラスを持ちて冷し酒★★★
辛口の銘柄選び冷し酒★★★

多田有花
梅雨入りの吉野の里に寛げる★★★
青葉する吉野へBlue Symphony★★★
六月のシートに深く身をあずけ★★★★

桑本栄太郎
稜線のくつきり青く梅雨の山★★★★
濯ぎものを曇りの空に梅雨寒し★★★
曇りつつ梅雨夕焼の嶺の奥★★★

弓削和人
アマリリス雲梯に寄り人を待つ★★★★
アマリリスが明るく、雲梯に寄りかかって人を待つことがどこか楽しい。情景が若々しい句。(髙橋正子)

天牛のつかまる草や揺れて居り★★★
紫陽花のつぼみを映す田水かな★★★★

6月15日(3名)

小口泰與
投網の輪瀬尻の鮎を包み込み★★★
週一の花剪る今朝は薔薇を剪り★★★
雨粒を残す南瓜の花のあり★★★★
南瓜の黄色い花は土に近く咲いていることが多く、雨粒が残っているのがすがすがしい。(髙橋正子)

桑本栄太郎
つる薔薇の赤き門扉や雨の朝★★★
みみず出でくねる鋪道や梅雨の冷え★★★
稜線のくつきり青く梅雨の山★★★★

弓削和人
揚羽蝶屋根を越えむと舞い立ちぬ★★★
松かさを水面に浮かべ夏の夕★★★
明烏の鳴きてや町の動き出づ★★★

6月14日(4名)

小口泰與
短夜や利根へ翔け行く禽の数★★★
乾杯のビールを飲みておくびして★★★
おりおりに瀬尻瀬頭山女釣★★★

廣田洋一
一段毎に色変はりたる紫陽花かな★★★
取敢へず目高放てる硝子鉢★★★
南風吹く子らの集へる丸太小屋★★★

桑本栄太郎
梅雨入りや木々の枝揺るる窓の雨★★★
瓶に入れ梅の実赤く漬けらるる★★★★
瓶に漬けられた梅が漬けられたとは言え、生きている。赤い丸い実がかわいい。(髙橋正子)
小糠雨降りて暗きや梅雨寒し★★★

弓削和人
たまねぎの軒端に吊りて夜更けたり(原句)
もとの句は、主語がよじれています。「たまねぎの(たまねぎが)...吊りて」はおかしいわけです。「たまねぎの(たまねぎが)...吊られ」にします。
あるいは、「たまねぎを...吊りて」とします。この場合の主語は、書き表していませんが、現代俳句では作者となります。

たまねぎの軒端に吊られ夜更けたり(正子添削①)
たまねぎを軒端に吊りて夜更けたり★★★★(正子添削②)
②のほうが、能動的で、意味が鮮明です。

たまねぎを剥くや在所の汁の味
剣道の掛け声聞こゆ夏の坂

6月13日(4名)

小口泰與
見上げたる吾の眼間えごの花★★★
百年の人生今や柿の花★★★
杜若手漕ぎボートの二人連★★★

廣田洋一
葉の陰に三つ寄り添う実梅かな★★★
七変化長谷の祈りと名付けられ★★★
紫陽花に目を細めたる和み地蔵★★★

桑本栄太郎
大悟とう先は自死とも桜桃忌★★★
ブランドのエリザベスとやメロン着く★★★
卯波寄すふるさと遠き日本海★★★★

弓削和人
夏陰の庭へ走れリ雀二羽★★★
夏の夕駅から人のささ走り★★★
風吹くや露台の服を取り込みて★★★★

6月12日(4名)

小口泰與
杣道の敦盛草へ夕日かな★★★
蜜豆や庭の木木の太りける★★★★
いちはつの和紙の如くや雨後の朝★★★

廣田洋一
雨上がりしっとり並ぶ紫陽花かな★★★
役終へし鵜を乗せて去る鵜飼舟★★★
網持ちて目高追ひたる兄いもと★★★

桑本栄太郎
朝からの風のおだまく青嵐★★★
犬を抱き媼散歩や朝涼し★★★
梔子の花のうそぶく朱色かな★★★

弓削和人
陽炎や知らぬ路地へと誘われ★★★
炎昼に昼寝を欲りし勤めかな★★★★
うぶすなの鮎は早瀬を好みけり★★★

6月11日(4名)

小口泰與
ボート降る湖畔の木木の夜涼かな(原句)
ボートに降る湖畔の木々の夜涼かな★★★★(正子添削)
青嵐池の魚の泳ぎにて★★★
明早し利根へ向かう禽の群★★★

廣田洋一
黒薔薇の名前を持ちて濃紫★★★
梅雨晴間雫零せる松ぼくり★★★★
倒れしも上を向きたる百合の花★★★

桑本栄太郎
庭先の濃あじさい見て通る★★★
梔子の花の香りや雨催い★★★
立葵咲いて認可の保育園★★★

弓削和人
夏の虫花ちるかげに鳴りをひそめ★★★
走り梅雨山の彼方は照り初めし★★★★
火取虫つらき闇夜の耐え難し★★★
コメント (3)
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