ステレオLP(レコード)は、業務用テープデッキの2チャンネル(2トラック)分の信号を1本の溝の左右に刻んだものである。その溝をカートリッジの1本の針先でなぞり、その信号を拾い上げて、ステレオとして再現する。
考えて見れば左右別々の音を、2本の溝に刻むなら分かる。それを1本の溝に刻んでいる。初めから無理があるのだ。当然ながら、左側の音だけを再生しようと思っても、一本の針で拾うのだから、右の音も少し拾ってしまう。クロストークの発生である。
LPがステレオ化される前はモノラルだった。当たり前だが、SPレコードは全てモノラルである。
ステレオレコード黎明期には同じ音源と思われるモノラルレコードが存在する。行きつけのジャズ喫茶で、聞き比べることがあるが、音の存在感はモノラルに分がある。
アナログ音をステレオで再生するなら、テープデッキと言うことになる。同じ音源で比較したことはないが、テープの方がLPより音は良かったと言う印象が残っている。
30年程前になろうか、演奏者を招いて、テープデッキで生録会と言うのが全国各地で盛んに行われていた。38(cm)2トラ(ック) (ステレオで1秒間に38cmのスピードでテープが動く)はオーディオマニアの憧れであった。
残念ながら、テープデッキとオープンテープは一般化しなかった。装置が高価だった。メンテナンスにも気を遣った。
テープソフトの価格は高かった。LPの10倍はしたと思う。元のテープのコピーを造り、それを再生しながら、倍速とか4倍速でダビング(ビデオデッキのダビングを想像頂きたい)するのだから、大量生産が難しかった。
LPは原盤さえ造れば、プレスで大量生産できた。コストを抑えることも出来た。
DVDが発明された後、ビデオテープはあっという間に姿を消してしまったことからも想像できるだろう。
LPは普及を大前提とした妥協の産物なのだ。しかし、利点もある。テープと異なり減磁して記録が薄れることはない。LPは物理的な刻みなので保存性と言う意味で強そうである。まだ、CDの寿命は分からない。
いつものことだが、支離滅裂。公開メモなのでご容赦願いたい。
*閑話休題
音のソフトはLPレコードと、それを補完するコンパクトカセットテープの時代が長かった。コンパクトカセットはオープンデッキの代わりとなった。なぜコンパクトカセットと言うのか、Lカセットというものがあったのである。うろ覚えだが、ビデオテープと同じくらいか、やや大きかったように思う。いずれにしても、普及のためには、価格を抑えること。使い安いこと。そのためには小型化がどうしても武器になるのである。
時代も移り、技術革新もあり、音の記録現場もアナログテープからPCMディジタルテープに代わった。
しかし、業務用PCM装置は非常に大がかりの装置で高価でそのまま民生用に転用はできない。簡易なPCM装置と市販ビデオデッキを組み合わせたものも出た。記録はビデオテープだった。
それらを組み合わせて、小型化したのが、DATである。として出たが、カセットテープレコーダー程は普及しなかった。
当時は再生装置の主流は相変わらずLPプレイヤー。(カセットテープもあったが、常にLPの後ろにあった。)デジタル録音記録をアナログ変換し、LPレコードとして販売した。PCM録音のLPレコードであることを売り物にするものもあった。
改めて振り返って分かったことだが、(アナログの)LPが突然に(デジタルの)CDに置き換わったのではない。中継ぎ役があったが、その移行期間が極めて短かかったため、その印象が薄いのである。
音楽はダウンロードもできるようになっtが、音楽市販ソフトは今もCDが中心である。この時代、CDと同時にLPを同時並行的に販売されることがある。
今更なぜLP? そこそこ売れているようだ。懐古趣味もあるだろう。ただそれだけなのか。
両者の比較をすることがある、その数は多く聴いた訳ではない。音が良いとは言い切れないが、魅力的なのだ。
LPとCDの再生にはそもそも再生装置が異なる。装置自体の質の問題もあるだろう。従って、音の違いが出ると言っても、どこにその理由を求めるかは難しい。今、敢えてLPを買って聴くのであるから、それなりの装置を持っているオーディオマニアなのだろう。
理由は分からないが、敢えて、屁理屈をこねくり回している。
デジタル信号をアナログ信号に変える。電気信号を物理的音溝として刻む。この時、課程で曖昧さが加わり(デジタル信号は等間隔で並べられた点の配列であるが、この間を埋める。つまり、サンプリング周波数、ビット数を上げるような効果が生まれるのではないか。例えとしては適当でないかもしれないが、CDがSACDに変わるような効果があるのではないか・・・・・、
更に、音溝を針でなぞる。ここでも同じような効果が加わる・・・・・・・
極めて乱暴な例えである.
原音(デジタルとして記録された音)を忠実に再現すること。無色透明と言うのがオーディオ再生の基本と言う考えもあろう。
それは否定しないが、如何にもそれらしく聞こえても、所詮、錯覚に過ぎない幻音なのだ。
自分好みなら良いと思うのである。