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オリジナルのブログは2011年。
当時の忘備録ですが、タイトルを変え、再々編集しました。
○ALTEC 620B
同軸2WAYのSPユニット604-8Hを米マツ(パーティクルボード)の大型バスレフ箱に組み込んだSPシステムです。
保護用サランネットがマジックテープ4点留め
オリジナル箱ではなく国産箱の証拠となりました。
SPボックスの大きさと内蔵SPユニットはオリジナル620Bと変わりありません。
SPボックスの材質は板の断面からパーティクルボードのようです。
604-8H
マンタレイホーンはウーファーと面一(ツライチ)
布製フィックスエッジ
ビスコースオイルが垂れている。
SPユニットの上下を180度ひっくり返すのが良いのですが、SPボックスを寝かせねばできません。
SPボックスの上に40kg?の300Bのアンプが載っている。一人での移動は無理。諦めています。
SPケーブル ネットワーク調整パネル
SPケーブル端子はボックス裏側にありますが、バネ式で信頼性が不安。SPケーブルはネットワーク基盤に直接ハンダ付けにしている。
ネットワークは2WAY?or3WAY? の切り替えが可能です。
自分は3WAY ?(高域、超高域が別々に調整)で使っています。
高域は絞り気味、超高域は上げ気味。加齢により高域が聞き取れにくくなっている性もあるかもしれません。
摘み位置は固定ではなく、曲によって気分によって変えています。
2WAY?or3WAY? の切り替えプッシュボタンも接点不良防止のために、時々動かします。
◯ALTEC 620B:参考HP http://homepage1.nifty.com/ModernJazzNavigator/audio/a4.htm">http://homepage1.nifty.com/ModernJazzNavigator/audio/a4.htm
◯導入の経緯
当時は賃貸マンション住まい。やや大型の我流JBLのホーンシステムを6畳の洋間に置いてオーディオを楽しんでいました。
大きな音は出せない。次第に聴くジャンルが定まって来ます。小編成のジャズ、特に女性ボーカルが多くなっていました。
我流JBLシステムの低音には不満がありました。
GAUSS等のウーファーに入れ替えて試しましたが、大きな改善は見られず、根本的な見直しをせざるをえませんでした。
鳴りっぷりの良い ALTEC A7 に興味を持っていました。
ALTECのホーンSPシステムは映画館等での大ホール用向けだったでしょう。
開発当時は精々数十Wの管球式アンプ時代でした。
大型ホール用SPシステムに求められた絶対条件は高能率であることでした。
A7がフロントロードホーンになっているのは指向性を高め、遠くまで届けることであったでしょう。
現代設計のSPシステムが広帯域を狙うのに対し、高能率を狙ったものでした。
現代設計のSPと比べれば、高能率を狙ったウーファーは軽量で重低域は出ない。
その一方、高能率SP特有の生き生きとした躍動感を感じさせる。
この構造のSPシステムは大型にならざるを得ない。スケールの大きな音はしますが。その反面。音像の大きくならざるをえない。
美人歌手の口が大きくなるのも興醒めです。
第一に6畳の狭い部屋には置く気にはなれません。
音源を小さくまとめるなら小型SPが向いています。しかし、こちらが求める低音は望めません。
低音を無理なく自然に出すには、大口径のウーファーが不可欠と考えていました。
音源は小さく、低域も欲しい。
この相反する要求に応えるのが複合SPユニットです。
低域、中域、高域の3つのSPユニットを組み合わせたものもありました。
各社が競作したのは、低域用と中・高域の2つSPユニットを組み合わせるものでした。
その代表的なメーカーは ALTEC、TANNOY の二社でした。
ALTECはウーファーと中高域用のドライバーがそれぞれの専用磁気回路を持ち、ホーンの音道も独立しています。無骨な外観です。SPボックスは素朴。アメリカらしい合理性追求主義。
TANNOYはウーファーと中高域用のドライバー磁気回路は共通です。ショートホーンの延長をウーファーのコーンカーブにつなげて、実質的なホーン長を伸ばしています。優美な形。SPキャビネットは凝っていて美しい。家具として置ける。いかにも英国らしい。
剛のALTEC vs 柔のTANNOY。
アメリカ生まれのALTECはジャズ向き、英国生まれのTANNOYはクラシック向きと言う評価が多いようです。
JBL、UREI?、GAUSS等もALTEC型のSPユニットを出していました。
試聴錯誤の結果、自分が選んだのはALTEC 620B(同軸SPユニット604-8H内蔵)でした。
◯決定理由
604-8Hは15インチのウーファーの中心に小型マンタレイ(魚のエイ)ホーンを付けた同軸型SPユニットです。
604-8Hの前機種である604-8Gまではホーン形状はセクトラルホーンでした。
当時、SPシステムの広帯域指向が強くなっていた時期でした。JBLにとってエポックメイキングとなる プロフェッショナルシリーズ4WAY形式がオーディオ界への影響は大きかった。
この要求に応えるため、604-8Hは高域特性を改善(高域を伸ばす、指向特性を広げる)をするため、ホーン並びにドライバースロートのスリットの形状を変えました。
小型マンタレイホーンの形状はそれ以前のセクトラルホーンに比してややひ弱な印象が強い。
中古市場では604-8G以前のSPユニットの人気が高いようです。
SPユニットの磁気回路はアルニコマグネットからフェライトマグネットに急速に変わって行く時代でした。
アルニコには希少金属コバルトが使われています。軍需産業には不可欠の金属らしい。
結果、多くのSPユニットはフェライト磁石に置き換わらずを得ず、磁気回路形式も内磁形から外磁形に変わらざるを得ませんでした。
ALTECも例外ではなく、同軸型604-8Hはアルニコマグネット仕様の最後のモデルとなりました。
発売期間は短かった。その後、このコンセンサスを元に他社から改良版が出ますが、フェライト磁気回路です。
フェライト磁気回路がアルニコ磁気回路に劣るとは言いません。
しかし、内磁形SPユニットはスマートです。
604シリーズのウーファー部は、ALTEC A5に搭載されている強力ウーファー515B相当品です。
620BはSPボックスを含めた呼称。ALTECの箱としては比較的大型です。
スタジオモニターは設置の容易さを重視するため、小型ボックスである愛称「銀箱」に納めて使われることが多いようです。
中域の厚みがよく出るALTECらしさを求めるには良いでしょう。
自分はクラシックも聴く。低音域は犠牲にできない。大型SPボックス620Bを選びました。
同軸型SPの最大の特徴は点音源であることです。
ALTEC同軸型SPはスタジオのモニターSPとして求められたのは、近接して聞いても音像が大きくならない点が評価されたからではないでしょうか。
大口径ウーファー+ショートホーンの組み合わせは元々無理があります。
604-8Hのクロスオーバー周波数は1500hzです。 大口径ウーファーの受け持ち部分が広すぎるし、シュートホーンで1500hzは非常に苦しい。
クロスオーバー付近の歪みは相当大きいと想像します。 それが破綻に至る一歩前で踏みとどまっている。
ネットワークにはノウハウが詰まっているものと考えます。
2WAYなのにネットワークの調整用摘みは3WAY並に2つあります。中域、高域と別々に調整が可能ですが、中・高域だけのシンプルな調整もできるように切り替えボタンが付いています。
この箱から604-8Hを外し、代わりにウーファー515Bを入れ、その上にドライバー + ホーン 、ホーン型ツィター を使う方もいます。2WAYでは難しいと考えているのでしょう。
振動板の位置を含め、位相管理をしていると考えますので、完成品は下手に弄るべきではないと考えます。
同軸型SPの最大の特徴は、音源がピンポイントで定まると言うことです。
狭い部屋でリニアリスニングでボーカルを聴く場合。その優位性が際立ちます。
他の幾多の欠点に目をつぶることが出来ます。
620Bは我が家にポンと置いただけで、自分の欲していた低音(ベースの胴鳴りを上手く演出する)があっさりと出たのには驚きました。
515Bと大型SPボックスの相性が良いのでしょう。
我流JBLシステムのこれまでの苦労は何だったのかな~と拍子抜けした記憶があります。
無骨な外観とは裏腹に女性ボーカルは実に艶っぽい。
組み合わせている管球アンプが合っているのかもしれません。
理屈重視の現代設計では決して顧みられないスピーカーです。
最近(2010年頃)になって、バイアンプ駆動(既存のネットワークを生かしながらも、ウーファーとホーンを別々のアンプで駆動)とするため、ネットワークを少し弄りましたが、バランスを崩してしまいました。
現代設計の新参トールボーイ型SP Westlake Audio LC265.1V が来ましたので、ご機嫌を損ねているのかもしれません。
2019年、従来のオリジナルネットワークに戻して、復活しました。