超空洞からの贈り物

様々なニュースや日常のレビューをメインに暗黒物質並に見つけ難い事を観測する、知識・興味・ムダ提供型共用ネタ帳です。

衝突間近のブラックホールのペアを発見?

2009年03月05日 21時46分29秒 | Weblog
互いの衝突が迫っている2つのブラックホールが新たに発見された。天文学者の発表によると、このブラックホール同士の衝突は、アインシュタインの一般相対性理論で予言されている“時空のさざ波”(重力波)を引き起こす可能性があるという。

新しい研究によると、100年に1度という周期で互いの周りを回っている2つの超大質量ブラックホールのペアが、3分の1光年という距離を徐々に詰めているという。

 アリゾナ州ツーソンにあるアメリカ国立光学天文台に在籍し、今回の研究に参加したトッド・ボロソン氏によると、そのような連星系は特に珍しくはないはずだが、これまで確認されたことはないという。

「銀河は銀河同士の合併で拡大していく。各銀河の中心にブラックホールがある場合、2つのブラックホールが徐々に合併していくタイプの連星系が存在すると考えるのが自然だ」と同氏は説明する。そのような連星系が確認されれば、今までなぜそのような現象が観測されてこなかったのか解明したいと科学者なら思うだろう。

 天文学者によると、このブラックホールの連星系は、アインシュタインの一般相対性理論を検証するまたとない機会を与えてくれるかもしれないという。一般相対性理論では、高密度で高質量の天体、つまり今回のようなお互いの周りを回っているブラックホールなどは、光速で伝播する“時空のさざ波”を引き起こすと予測されている。

 新発見の連星ブラックホールは、前出のボロソン氏とその同僚であるトッド・ラウアー氏が1万7000個以上のクエーサーに関するデータを調査中に突き止められた。そのデータは、全天の25%以上を画像化している宇宙地図作成プロジェクト、スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)によって観測されたものだ。

 クエーサーの正体は、遠く離れた銀河の中心にある超大質量ブラックホールなのではないかと考えられている。クエーサーは極めて明るいが、その理由は物質がブラックホールに落下するときに過熱されて、莫大なエネルギーを放出するためと考えられている。しかし、調査データに含まれていた1つのクエーサーは、2つの異なるエネルギーが異なる速度で放出されていた。ボロソン氏らはそれを、2つのブラックホールがお互いに周囲を回っているものと解釈したのである。

 アメリカ、ミシガン州アナーバーにあるミシガン大学のジョン・ミラー氏によると、アインシュタインの理論では、そのような連星系は重力波を引き起こすと予測されているという。ミラー氏は今回の研究に参加していないが、今週発行の「Nature」誌への掲載に向けて事前に論文のチェックを行っている。

 重力波が直接観測されたことはないが、水面の波のように宇宙空間を伝播し、減衰することもないと考えられている。光の速さで地球に届く重力波の強さ、方向、そして周期を観測すれば、源と考えられている超新星やブラックホールの合併などはるか遠くの現象について多くのことが解明される可能性がある。

 ボロソン氏によると、今回の連星ブラックホールは合併の重要な局面にあるかもしれないという。理論上は、近接する2つのブラックホールは星やガスとの重力的な相互作用により接近が加速される。しかしある特定の時点に達すると、ブラックホールと相互作用する対象が存在しなくなる。なぜなら、近くにある物質をすべてブラックホールが飲み込むか、追い払ってしまうからだ。そうなれば、なんらかの外部作用があるまで2つのブラックホールは近くにありながらも身動きがとれなくなってしまう。

 問題のブラックホールは、そのような時期をある程度は通り抜けているらしい。ボロソン氏は、「今回のようなブラックホールの連星系は、最終的には1つの巨大な天体として統合される」と結論付けている。


いい(≧∇≦)b
こういうのたまりません。

1タブ1プロセスのブラウザ最新版「Stainless 0.5」

2009年03月05日 21時42分51秒 | Weblog
Mesa Dynamicsは5日 (日本時間)、1つのタブが独立したプロセスとして動作するWebブラウザの最新版「Stainless 0.5」をリリースした。動作環境はMac OS X 10.5以降 (ユニバーサルバイナリ)、無償で利用できる。

今回のリリースにあたり開発元のMesa Dynamicsは、「Google Chromeの公開に応じ、我々自身のマルチプロセッシング技術を披露するテクノロジーデモとしてStainlessの開発をスタートさせたが、関心はさらに深まり、フル機能を備えたブラウザとして鍛えあげることにした」として、独自機能を備えたブラウザとして機能強化を続ける方針を宣言した。

Google Chromeを含む他のブラウザにない機能の例としては、異なるタブ/証明書を使い1つのサイトへ同時のログインを可能にする新機能「パラレルセッション機能」と、独自のcookie保管機構が挙げられた。ほかにも、HTML5のオフライン・データベースストレージ機能、シングルウインドウモード、HTMLソース表示機能などが新たに追加されている。

Stainlessは、オープンソースのHTMLレンダリングエンジン「WebKit」をコアに採用したWebブラウザ。Mesa Dynamics社が開発するウィジェット実行環境「Amnesty Hypercube」のマルチプロセス技術を活用し、Google Chromeライクな「1タブ・1プロセス」を実現している。

パプアニューギニアの熱帯林が自然保護区に。

2009年03月05日 21時33分23秒 | Weblog
キノボリカンガルーの生息する7万6ヘクタールの森を地元住民と共同で保全

地球上で最も多様なエコシステムを有する国のひとつ、パプアニューギニアにおいて、シンガポールよりも広い7万6千ヘクタールの原生熱帯林を永久に保護するための初の自然保護区「YUS自然保護区」が誕生しました。地元の35のコミュニティ、ウッドランド公園動物園(米シアトル)の生物学者、コンサベーション・インターナショナル(米バージニア, 以下CI)との長期の協力により実現した。

YUS自然保護区という名前は、フオン(Huon)半島の3つの主要河川(Yupno、Uruwa、Som)にちなむもので、パプア・ニューギニアの北部沿岸から内陸山脈に広がる7万6千ヘクタールの熱帯林です。


この自然保護区は、さらに、クマに似た顔と長くふさふさの尻尾とカンガルーのような育児袋を持つ不思議な生き物で、絶滅が危惧されるキノボリカンガルー(Matschie's Tree Kangaroos)の生息地です。

また、熱帯林は大量の炭素を貯えるため、気候変動を引き起こす有害な温室効果ガスの排出を防いでいます。生い茂った森林エコシステムは命に満ち溢れ、YUS自然保護区周辺の村々のおよそ1万人の人々に、数え切れない資源とサービスを提供しています。このように、この保護区は、野生生物と人間の双方に多様な利益をもたらすものです。

「この国初の国立自然保護区を作ることで、パプア・ニューギニア政府と住民がここのかけがえのない生物多様性のために必要な安全地帯を生み出しました」とウッドランド公園動物園のフィールド保全ディレクター兼同園キノボリカンガルー保護プログラムディレクターのLisa Dabek博士は言います。「この自然保護区は、重要な森林生息地を守ることにより、気候変動の脅威に取り組む長期的な貢献となる点も重要です。」

ウッドランド公園動物園キノボリカンガルー保護プログラム(TKCP)は、CIおよびナショナルジオグラフィックの支援を受け、同国の土地所有者と政府とともに12年以上にわたりYUS自然保護区設立に向けて貢献してきました。

YUS自然保護区は、1978年にパプア・ニューギニア自然保護区法が制定されてから本法のもとに設置される初めての国立自然保護区になります。 また、この地域の35以上の先住民族の村々が、彼らの暮らす森や彼らの文化と暮らしにとって極めて重要な野生生物とエコシステムを守るために、初めて共同で行動したものだ。

とのことです。
いいことですね。

次期5シリーズは3タイプが設定?

2009年03月05日 21時30分19秒 | Weblog
BMW・AGは、3月3日に開幕したジュネーブ国際自動車ショーにおいて、次期5シリーズを示唆した5ドア・ハッチバックのコンセプトカーであるコンセプト5シリーズ・グランツーリスモを世界初公開した。

 このコンセプトカーは、次期5シリーズのプラットフォームをベースに、セダンとSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)、そして古典的グランツーリスモを融合した、BMWが“PAS(プログレッシブ・アクティビティ・ビークル)”と呼ぶ新ジャンルカーを提案したもの。2009年内にデビューするという噂の次期5シリーズは、セダンとツーリングに加えて、このPASバージョンも設定されるといわれている。

 ボディサイズは全長4998mm、全幅1901mm、全高1559mmで、現行5シリーズ・セダンより157mm長く、55mm幅広く、91mm背が高い。ホイールベースは3070mmで、5シリーズより182mmも長く、新型7シリーズ(日本未導入)の標準ホイールベース車と同一となっている。

 クーペを思わせるエレガントなラインが印象的なリアハッチは、2段階に開閉する点が特徴。荷物が少ない時はセダンのように下部のみを開閉し、大きな物を出し入れする場合にはリアウインドーごとフルオープンにすることができる。ラゲッジ容量は、4人乗車時で430リッター。電動可倒式リアシートを畳めば最大1650リッターにまで拡大する。

 室内はロングホイールベースを生かして圧倒的に広々とした空間を実現。左右独立タイプのリアシートは100mmの前後スライド機構を採用し、最後端では新型7シリーズ並みの、一番前までスライドさせた状態でも現行5シリーズ並みの足元スペースを確保している。

 今回のコンセプトカーを見たかぎりでは、次期5シリーズは現行モデルより一層スポーティかつ上質なモデルになるように思われる。PASバージョンも実際に発売されれば、大きな注目を集めそうだ。


スタイリングは現行を正常進化って感じですね。
まぁ5シリーズはキライじゃないので。
ただ、背が高いのは、どうかと思う。

新型Eクラス・クーペが世界初公開

2009年03月05日 21時28分28秒 | Weblog
ダイムラーAGは、3月3日に開幕したジュネーブ国際自動車ショーで、1月に発表した新型Eクラス・セダンを一般に初公開。同時にそのクーペ・バージョンである新型Eクラス・クーペを世界初公開した。

 新型Eクラス・クーペは、従来のCLKクラス・クーペの後継に位置づけられるモデル。サイドウインドーがフルオープン状態になるBピラーレス構造を特徴とした、極めてダイナミックかつエレガントなスタイリングのプレミアム・クーペだ。

 パワーユニットは、ガソリン・エンジンが最高出力204hp、最大トルク31.6kg-m/2000~4300r.p.m.の2.5リッター直4と、292hp、37.2kg-m/3000~5100r.p.m.の3.5リッターV6、388hp、54.0kg-m/2800~4800r.p.m.の5.0リッターV8の3種類。ディーゼルは、204hp、51.0kg-m/1600~1800r.p.m.の2.5リッター直4と、230hp、55.0kg-m/1600~2400r.p.m.の3.5リッターV6の2種類が用意される。

 2.5直4ガソリン・エンジンは新開発直噴ユニット。従来型から20hpパワーアップしていながら燃料消費量を13%削減。欧州複合モードにおける燃費性能とC02排出量は14.2km/リッターと164g/kmを実現した。3.5V6ガソリンは6気筒エンジンとして世界初のスプレーガイデッド式直噴システムを採用。こちらも従来型から20hpアップしながら14%の燃料消費量削減を果たしている。

 2.5直4ディーゼルも新開発で、従来型から36%もパワーアップしながらクラストップとなる18.8km/リッターという燃費と、わずか139g/kmという低CO2排出量を達成。従来型から17%もの燃費アップを達成した。

 燃費性能向上には、Cd値0.24という量産乗用車として世界トップの空力性能のほか、オンデマンド式のパワーステアリングおよびフューエルポンプ、低転がり抵抗タイヤ、走行状況および電力消費状況に応じて作動するオルタネーターの採用が大きく貢献している。

 シャシーには、走行状況に応じて減衰力を最適に制御するほか、“コンフォート”と“スポーツ”の2種類の走行モードを備え、レスポンシブルなハンドリングと極めて高い快適性を両立させたアジリティ・コントロール・サスペンションを標準採用。また、クーペ専用装備として、ボタン操作でサスペンション特性が変更できるダイナミック・ドライビング・パッケージが用意される。

 欧州ではすでに受注開始。デリバリーは5月初旬にスタートする予定だ。ドイツにおける価格は19%の付加価値税込みで、4万4684ユーロ50セント(約558万円)~6万6045ユーロ(約825万円)となっている。

先月テキサス州で目撃されたナゾの火球、隕石ハンターが百個超の隕石を回収

2009年03月05日 21時26分56秒 | Weblog
先月15日、現地時間で正午前という昼日中にテキサス州サンアントニオからオースティンにかけての上空に火球が通過するという現象が観測されていた問題に関連して、火球が目撃されたオースティンの北、120マイルの地点から火球を形成したと見られる隕石、約100個の破片が回収されていたことが隕石販売業者「アエロライト・メテオライツ(Aerolite Meteorites)」社の発表により明らかとなった。

 テキサス州で目撃された火球を形成していたと見られる隕石に関してはオークションハウス「ヘリテージ・オークション・ギャラリー(Heritage Auction Galleries)」が回収された隕石2個を競売にかけることを発表していた。

 今回、アエロライト・メテオライツが公表した隕石の映像の中には、先にヘリテージ・オークション・ギャラリーが公開した映像が含まれていることから、ヘリテージ・オークション・ギャラリーを通して隕石を競売にかけたのはアエロライト・メテオライツであることが明らかとなった格好だ。

NASAの土星探査衛星「カッシーニ」、G環内に新しい衛星を発見

2009年03月05日 21時25分47秒 | Weblog
NASAの土星探査衛星「カッシーニ」による探査の結果、G環の内部に直径500メートルの新しい衛星が存在することが3日、NASAの発表により明らかとなった。

 土星の環は内側からD環、C環、B環、A環、F環、G環、E環の順で並んでおり、これまでの研究ではG環以外の環は全て、その近くにある衛星の存在が、環の形成に強く関与していることが判っていたが、G環に関してだけはこれまで衛星の存在は確認されておらず、その形成過程に関してはナゾとされてきた。

 「カッシーニ」観測チームはこのG環のナゾを探るために昨年後半からG環の重点観測を実施。その結果、「カッシーニ」によって2008年8月15日に撮影されたG環の映像の中に衛星と見られる光点を見つけることに成功した。

 ただし、2008年8月15日に撮影された衛星と見られる映像は、衛星本体があまりにも小さすぎるため、「カッシーニ」に搭載されているカメラでは大きさを確定することができず、その後、改めて別の衛星「パレネ(Pallene)」 と明るさを比較することで、その大きさを推定することに成功すると同時にそれが衛星であることを確認したとしている。

 観測チームによるこれまでの観測ではG環には100メートル大の衛星が複数存在しているらしいことが判っており、観測チームでは今回、見つかった衛星以外にも別の衛星がG環内に隠れている可能性もあると述べている。

 観測チームでは、G環は、こうした小型の衛星に隕石が衝突した際に噴出した塵や破片などが飛び散ることによって形成されたのではないかとも述べている。


環の形成は、いまだに明確な根拠なし、か。
遠くから見てると神秘的で綺麗なんだけどね。

未確定なものがあるからこそ、面白い。
全部が全部、成り立ちや役割が分かってるとつまらない。
でも、知りたいんですよ。

NASA、アレスIのファーストステージ用パラシュート実験に成功

2009年03月05日 21時25分16秒 | Weblog
NASAは3日、アリゾナ州ユマにある米陸軍実験場で次世代有人ロケット「Ares I」のファーストステージ回収用パラシュートの実験を行い、無事に成功したことを発表した。

 「Ares I」のファーストステージにはスペースシャトルで使用されている固体ロケットブースターを拡張したものが使用されることとなっており、固体ロケットブースターは打上げ2分後、高度50キロの上空で分離され、パラシュートで大西洋上に降下することで回収、再利用されることが予定されている。

 実験では燃焼を終えた固体ロケットブースターに見立てた約22.6トン物資を重りとして高度7500メートルの上空を飛行中の米空軍のC-17輸送機から投下することで実施。パラシュートはその後、正常に展開し、地上に落下した。

 実際の固体ロケットブースターの回収にあたってはパラシュートを3つ展開する必要があるが、今回の実験はパラシュート1つだけが装備され、展開された。

 NASAでは、今年の夏にも「Ares I」の第一次検証用実験機「Ares I-X」の打上げ実験を行うことを予定しており、今回、実験されたパラシュートは実際に「Ares I-X」の固体ロケットブースター回収用に使用される予定。

 NASAは「Ares I」の有人カプセル「Orion」の地上降下実験を2008年7月に実施していたが、「Orion」のパラシュート展開実験に関しては失敗していた。


結局、有人カプセルの降下実験失敗してるなら…
あかんやん!!

まぁ実験→改良→シミュレーション→実験の繰返しだかんね。
スペースシャトル引退するんだから、次期を早めにお願い。

女性と別れるときにやってはならない10のこと

2009年03月05日 21時23分11秒 | Weblog
米国のオンライン男性誌『AskMen.com』が「女性と別れるときの禁じ手トップ10」を紹介している。

同誌では、「恋愛の終わりというのは常に傷やフラストレーション、狼狽、不愉快な思いがつきまとうものだが、次の恋人が現れればただちに過去の遺物となる」と分析。女性にとって"いい思い出の元彼"として記憶に残るためには、やってはならない別れ方が存在するとし、10の禁じ手を紹介している。

同誌によると、「連絡を絶ち、疎遠にする」ことが最悪な方法の1位。突如として連絡を絶つことは手っ取り早い手段のひとつだが、相手を困惑させる行為だり、避けるべき方法だと指南している。

2位は最悪の男として彼女の記憶に残るだけでなく、二股中のデートは自分自身にも後ろめたさを残してしまうという「浮気」。そして3位には、彼女が泣いたりして気まずくなってしまうなど何が起きるかわからない「人前で別れ話を切り出す」がランクインした。

女性と別れるときの禁じ手トップ10
1位 連絡を絶ち、疎遠にする
2位 浮気する
3位 人前で別れ話を切り出す
4位 関係が壊れるように相手をそそのかす
5位 関係が終わっていると一方的に仮定する
6位 共同財産を持つ
7位 デートの最中や後に別れ話をする
8位 メールやチャット、電話など非直接的に別れ話をする
9位 「友達に戻ろう」など決まり文句で関係を断ち切ろうとする
10位 酒に酔っているなど平静状態ではないときに別れ話をする


別れ方なんていろいろだからね。
良識を弁えた分かれ方をしないと。

それより、男性が一方的に切られる方が多いのでは?
悲しいかな、それが定め…

硫化水素がバイアグラに代わる新薬に?

2009年03月05日 21時22分45秒 | Weblog
バイアグラ。レビトラ。そして……硫化水素?

腐った卵の匂いのするこの化合物が、勃起障害の治療に役立つかもしれないという。ノーベル賞を受賞した薬理学者Louis Ignarro教授を中心とするカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のチームによる、ラットを使った初期的な研究でその可能性が明らかになった。

Ignarro教授のチームがラットの陰茎の海綿体平滑筋に硫化水素を注入したところ、平滑筋が弛緩し、より多くの血液が流入するようになった。バイアグラの場合と同様の作用だ。

「将来は、ヒトの勃起力を高めるのに役立つかもしれない」と、セントルイス大学で泌尿器科の責任者を務め、勃起障害について詳しいJames Cummings教授は言う。Cummings教授は今回の研究に関わっていない。

硫化水素は、まだ確実とは言えないにしても、バイアグラやそれに類似した薬で症状の改善が見られなかった患者の勃起障害にも有効かもしれない。米Pfizer社のサイトでは、バイアグラの処方を受けた患者の半数が再度の処方を求めていないことに触れ、誰にでも有効というわけではないことを示唆している。バイアグラの臨床試験に関するメタレビューで、効能は広く認められるが、必ずしも性交時に有効というわけではないという報告もある。

バイアグラは、海綿体平滑筋を通常弛緩させる一酸化窒素(NO)の産生を刺激することによって効果を発揮する。[バイアグラは、生体内で環状グアノシン一リン酸の分解を行なっている5型ホスホジエステラーゼの酵素活性を阻害する。これが陰茎周辺部のNO作動性神経に作用して血管を拡張させ、血流量が増えることによって機能すると考えられている。陰茎に限らずNOを介した血管拡張を促進する作用がある事から、副作用もある一方で、種々の疾患に対する適応が研究されている]

硫化水素を使った場合も同様に、海綿体平滑筋を弛緩させる生理作用があるようだが、この過程で働く分子ツールの連鎖はまた異なる。「これはまったく別の経路だ」とCummings教授は語る。「もしヒトでも効果があるとしたら、バイアグラやそれに類似した薬で効果が得られない患者にとって救いになる」

動物を使った研究から人間の患者への治療法を確立するまでには、何十年とは言わないまでも、何年もかかることだろう。目標とすべきは、バイアグラと同じように錠剤の形で服用できる処方を確立することだ、とCummings教授は言う。「私の予想では、気体の硫化水素をペニスに注入するのでなく、体内で硫化水素をもっと作らせるようにする薬を探すことになるだろう」

『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)に発表された初期的研究の結果は、こうした作用を持つ薬を作ることが可能だと示唆している。どんな副作用があるかはまだ分からない。それでも研究データは、ヒトの勃起の過程で硫化水素が重要な役割を果たしていることを「強く支持している」という。

研究チームは、男性から女性への性転換手術を受けた患者から、陰茎組織を提供してもらった。これを使って研究を進めた結果、ヒトの陰茎組織に測定可能な量の硫化水素が含まれていることが判明し、硫化水素の産生を増やす薬を発見できる見通しが高まったという。

硫化水素はひどい匂いがするが、生物に対して奇妙で予想外の影響を与える不思議な化合物だ。マウスを使った実験で、硫化水素が仮死状態に似たものを引き起こすことが明らかになっている。仮死状態にできるのは、硫化水素は、動物を窒息させる一方で、そこから死へと至る自然の過程を停止させることに基づく。酸素が足りなくなると、通常はタンパク質が異常をきたして自らの細胞を破壊するが、硫化水素はこのようなタンパク質の働きを阻害する。なお、低濃度の硫化水素で線虫を仮死状態にさせ、通常よりはるかに「長生きさせる」研究がある。

硫化水素はまた、戦場で負傷し、大量の血液を失った兵士の生命維持に役立つ可能性もある。さらに、数億年前に起きた大量絶滅の原因になったという説もある。