TDKは2009年3月18日、デジタルカメラなどの小型電子機器向けノイズ対策として、透磁率(注)180を達成した磁性シート「IRJ17」を開発したと発表した。5MHzから3GHzまでの幅広い周波数帯域で、ICやフレキシブルプリント基板から放射されるノイズを減衰するという。
(注)磁性体に磁界を印加したときの磁化増加率のことで、磁性体における磁力線の吸収しやすさを指す。記号μ(ミュー)で表される。
ノイズの抑制効果を示す磁気特性は、同社従来品の「IRJ09」や「IRJ04」と比較して約1.7倍となっている。
IRJ17は、TDKが得意とする材料技術を生かし、保磁力が小さく透磁率の大きい独自の軟磁性材料と、ポリマー材料を複合。加えて、粉体の組成や形状を工夫した磁性粉を使用することで開発した。米国のUL(Underwriters Laboratories)が定めた難燃性指標「UL-94」規格の1つである「UL94V-0」の認証も取得しているとのこと。
デジタルカメラや携帯電話など各種電子機器のノイズ対策は、基板上の回路設計と、電子部品により施されている。しかし、小型・多機能化が進むにつれ、想定外のノイズも発生してしまう。同社では、そうした想定外のノイズに対し、ノイズを熱エネルギーに変えることができる軟磁性材料の磁性シートを使用することで、ノイズが機器外部へ漏れたり、内部でほかの基板などに影響を与えるのを防ぐとしている。
なお、IRJ17は、2009年3月より生産開始され、1枚当たりのサンプル価格は2500円。月産5万枚の生産を目指す。