鴨着く島

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ハノイ会談は物別れ

2019-03-01 14:18:36 | 日本の時事風景

去年6月の初の米朝首脳会談から9か月、待ちに待った二回目の会談は、結局、物別れに終わった。

期待では「朝鮮戦争終戦宣言」「北朝鮮の非核化」だったが、どちらも双方の合意に至らなかった。

アメリカはあくまでも「検証可能な完全な非核化」及び「弾道ミサイル基地の撤去」を主張し、それの見返りは、国連決議による対北朝鮮制裁の大幅な解除と金委員長を首班とする現体制を保証しながらの経済開発への関与だったようだが、

金正恩は非核化には前向きだが、完全かと言われると躊躇があり、また地下式弾道ミサイル基地等は温存しておきたいのだろう。

かくて合意文書への署名には至らなかった。

中国は一党独裁の社会主義体制をとりながら、欧米・日本・韓国・台湾等の自由主義諸国からの大量の資本の流入で、世界第二の経済大国になったが、これは一党独裁とは言いながら合議制の党組織を中心に曲がりなりにも「代表者を選出する」という手続きがあるので、富が不完全ながらもいわゆる「トリクルダウン」ですそ野まで広がって行った。

ところが北朝鮮は「社会主義人民共和国」という看板はあっても、実質的には世襲の「金王朝」体制で、何もかも「金正恩指導者様への忠誠」だから、全く合議制の体をなしていないわけで、これではいくら経済開発を発展をと協力しようにも金王朝が肥え太るばかりだ。

だから「体制の保証」というのはすなわち「金正恩個人崇拝体制の保証」に他ならず、ここが最大のネックになっている。北朝鮮をどのように本来あるべき「人民(市民)共和国」の普通の国にするかが一番の国際協力になろう。

その上で、南北の統一が平和裏になされればこれに越したことはない。それはすぐには無理にしても、とにかく最低でも朝鮮戦争の終戦宣言にまで持って行けるよう粘り強く交渉してもらいたいものだ。

その際に韓国から米軍が撤退し、代わりに終戦を保証する国連多国籍軍の駐留となれば、南北の融和は一気に進むだろう。