全国に指名手配となっていた桐島聡という容疑者が約50年ぶりに偽名を捨てて本名を名乗り、警察の事情聴取を受けつつ胃がんのため亡くなったという。
昨日の新聞などで、内田洋こと桐島聡は「本人の疑いがある」と警察から発表されたとあったが、「疑いがある」という表現にはちょっと違和感を覚えた。警察用語なのだろうか。普通なら「可能性が高い」と言うところだ。
それまで約40年間、神奈川県の某建設会社に住み込みで働いていたらしいが、その間、要所要所に指名手配の写真があるにもかかわらず、建設会社側も世間でも(よく行っていたという音楽バーでも)誰一人指名手配の本人だとは気付かなかったそうである。
まだ100パーセントの確定ではないのだろうが、出身の広島県には親族がおり、双方のDNA鑑定などなされたようだから、ほぼ本人として間違いないだろう。
聞くところによれば、親族側は偽名のまま死んでくれたらよかった思っているらしい。50年近くの間音信不通で「今さら何でまた」と思わざるを得ないのだろう。
もっと早くに自首していれば、どうだっただろうか。国家に対する反逆罪というような罪名で、それなりに厳しい判決は受けただろうが、10年程度の懲役で済んだような気がする・・・。
10年で出所していれば、まだ30歳程度で、人生のやり直しは幾らでも出来たろうにと思うのだが、これは憶測だが、仲間との兼ね合いがあったのだろうか。自分だけ捕えられたら仲間を裏切ることになる、仲間が芋づる式につかまっては元も子もない――そんな気持ちを持ち続けていたのだろうか。
純粋と言えば純粋である。
それにしても彼の属していた「東アジア反日武装戦線」という組織名を聞いた時、「武装戦線」は別にして、「東アジア反日」というところはあの統一協会の隠れた教義に近いと思った。
もちろん教祖の文鮮明はキリスト教に基づく教義を掲げているのだが、妻の韓鶴子は常々「日本は半島を侵略した戦犯国家なのだから」を口にし、日本信者からの多額の献金を正当化している。
こういう所から活動資金が出ている可能性は無かったのか――という疑念を生じたのだが、そうであれば桐島容疑者がいつまでも市井の中に隠れ住み続けていた理由が分からなくなる。
憶測で考えるのはこれくらいにしよう。
暗闇からひょっこり――というには余りにオープンだった桐島容疑者の逃亡50年。劇的な結末をだれかドラマにしたら、それなりにヒットするかもしれない。