鴨着く島

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「異常な高温」(気象庁の見解)

2024-12-26 15:48:29 | 日本の時事風景
気象庁は今年11月までの平均気温が平年を1.64℃上回ったと発表した。そして、これは「異常な高温だ」という見解を表明した。

何しろ直近の10年を見ても、平年との差が2016年が+0.58℃であり、その後のこの6年を見ると2019年以降は毎年+0.6℃を上回るようになり、2023年には+1℃を越え、とうとう今年は+1.64℃になった。

世界的にはヨーロッパの産業革命以降は平均気温が次第に高くなったと言われているが、その平均気温の上昇は200年で+2.5℃になったという。だが今回の気象庁のデータでは、わずか10年足らずでさらに+1.6℃になったというわけだ。

末恐ろしいというべきで、今年の10月末にスペインでとんでもない大雨が降り、東部のバレンシア地方では150人の死者がでたという報道があった。

スペインはヨーロッパの中では南部に位置し、温暖で比較的雨が多いのではという印象があるが、地中海気候のモデルのようなところで、夏は乾燥し冬に向けてやや雨が降る地域である。

そこに秋の終わりに降った雨の量がただならなかったようで、テレビの中継で町の中に川からあふれた出た水が洪水となって大量の自動車が押し流されていたのを見たときの驚きは大きかった。

地中海気候の特徴は「少雨」であり、それに合わせてオリーブやバレンシアオレンジなどの柑橘類が特産だったのだが、時代は徐々に変わっていくのかもしれない。

とにかくこれまでの温帯が暖温帯になり、暖温帯が亜熱帯になり、亜熱帯が熱帯に変わって行くのだろう。

植生が変わり、動物の生態系も変わっていくのが時代の趨勢になった。

これを一大事のように絶叫するのは分かるが、自分としては寒冷化するよりましだと思う。

そもそもヨーロッパの寒冷が今日につながっている高度工業文明を生み、その勢いが世界を席巻してアジア・アフリカへの侵略を生み、植民地の拡大が貧富の差と人種差別を生んで来た。

そういった差別されて来た国々が自治を獲得し、自主的に工業化を選択して国造りを推し進める気運になってきたわけで、1960年以降の世界は西欧による植民地分割闘争を克服してようやく人種による差別が最小限のものとなったのだ。

むしろこれからも問題になるのは(もう問題になりつつあるが)、巨大資本による新たな侵略だろう。これは名立たる欧米資本もだが、中国の巨大な国家資本も侵略性を備えているから厄介だ。

日本はそのような侵略性の資本(国家資本)主義ではないから、世界的に見ると中立性が高い。

米国(ドル)とも違い、中国(チャイナマネー)とも違う日本の協調的な資本主義はこれからの世界にとって、ますます重要視されるだろう。そうでなくては困る。