定数300の韓国国会に出された現職のユン・ソンニョル大統領に対する2度目の弾劾訴追案が、定数の3分の2以上の204票で可決された。
ユン大統領は12月3日の夜に「非常戒厳」を発令して国会の機能を止めようとしたが6時間後には解除に踏み切った。野党からはすぐに弾劾訴追案が提出され、1度目は棄権する与党議員が大半で、3分の2以上の賛成が得られず流れていた。
しかし今度の結果「憲法裁判所」という日本にはない裁判所で審理されることになり、180日以内にその結果の承認の可否が決定されるという。
仮に承認されればユン大統領は罷免され、60日以内に大統領選挙になる。その間の大統領権限はほぼ制限されるから韓国は大統領不在に近い。その期間は最大で240日、8か月だ。
アメリカでは選挙に勝利はしてもまだ正式な就任式まで2か月近くあったにもかかわらずトランプ氏の事実上の権力行使に最大の注目が集まっていて、現職のバイデン大統領のメディア露出は極端に少なくなった。
もっとも韓国でもユン大統領の訴追が決まれば、弾劾案を提出した野党の「共に民主党」代表のリ・ジェミョン氏が大統領候補になり、こちらの方が国会の議席で与党の「国民の力」をはるかに上回っているので当選は固い。
このリ・ジェミョンという人は今朝のテレビ報道によると、日本を「敵性軍事国家」と呼び、「朝鮮を分断したのは侵略国家日本のせいだった」という歴史認識の人らしい。
だがこれはユン大統領の「親日政策」に対抗するための極端なロジックであって、実際に大統領に就任したらどう考えるのか。多少割引して付き合わなければならないだろう。
石破首相は韓国の非常戒厳騒動の直前だったか、国会の衆院予算委員会で与党議員の質問に対して「ユン大統領への支持はゆるぎない」と応じており、今後も続くであろうユン大統領との親しい外交関係を築いて行こうという気持ちだったようだ。
それがあっという間に向こうの政局が真反対にぶれてしまったのだ。首相(総理府)にしても外務省にしても青天の霹靂に近かったに違いない。
この霹靂に至る前にあの「佐渡金山での強制労働によって死に至った者への慰霊祭」における朝鮮(韓国)側の列席ボイコット事案があったが、あれがまさに野党による反日的な姿勢の発露であったのだろう。
件の慰霊祭は半島出身者であると日本人であるとを問わない被害者への共通の慰霊であったはずなのだが、とにかく日本へ連れて来られた、あるいは自由意思であっても日本へ渡航した者が、日本という侵略国家の手による慰霊など受けるべきではないということのようである。
ユン大統領はそういった恨みの上塗りされた「歴史認識」を溶融しようと働きかけたのだろうが、韓国国民は「共に民主党」の方を選んだわけだ。
石破首相は、対韓にせよ対米にせよ、難しい外交を強いられそうだ。