鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

ドナルドと共に去りぬ

2020-12-04 13:16:03 | 日本の時事風景
歴代の総理大臣が恒例として行ってきた「桜を見る会」(官邸版・春の園遊会)だが、安倍首相になってから開催されるようになったその前夜の懇親会での会費補填がどうやら「政治資金規正法」に触れていた。

その疑惑が、去年の今頃だったか、野党共産党議員からの指摘で明るみに出て以来、安倍首相は「全く知らない。関与していない」の一点張りで逃げてきた。

その一方で、早くも一週間後くらいに「来年の桜を見る会は中止とします」との菅官房長官の会見があったが、私は、――どうしてそんなに早く決めてしまうのだろう、ははあ、これはやはり疑惑は間違いないのだな—―と感じたものだ。普通なら前夜の懇親会は中止しても、桜を見る会そのものは存続しておかしくない。むしろ恒例行事としてもう何十年も経て来ているのだから、これはやるべきで、やったからといって誰も困らない。

そのあまりに早い対応は、つまり、「臭いものには蓋」だったのだろう。開催してつつかれネタになって困るのは安倍首相サイドだったからだ。

しかし、もう安倍さんも総理を辞めて2か月余り、事情聴取の要請で特捜部に呼ばれても「公務に支障がある」と逃げるわけにはいかなくなった。

素直に呼ばれて行くかどうかは分からないが、行ったとして果たして「その通りです」と認めるのか。「秘書がやったことで、私は知らなかった。後から聞いたことです」とあくまで白を切るつもりか。

この問題での首相答弁では虚偽答弁が30何回あったとか、疑惑本命の「森友学園問題」では関西財務局長官と安倍首相など官邸サイドにおける虚偽答弁は実に139回だったとか、よく丹念に議事録を調べたものだが、こんなにも姑息に知らぬ存ぜぬを繰り返した首相はそうざらにいない。

昔の例えば田中角栄首相の時代は、「秘書がやったこと。わしゃ知らぬ」で、それ以上のことはだんまりで通し、メディアも世間も「政治家とはそんなもの」という暗黙の了解のようなものがあった。それは「だんまり」に対する言葉以上の「情報」が感じられたからだ。

ところが安倍首相は疑問をぶつけられると一つ一つにああだこうだと余計に言い募るタイプで、「発言は明瞭で立て板に水だが、論点ずらしまくり」という風であった。そして何にしても森友問題で一番印象に残っているのが、「それが本当だったら、私は総理を辞めるし、国会議員も辞めますよ」だった。

「それを言っちゃあお仕舞いよ」ならぬ「ここまで言わせるなよ、俺はそんなことしていないよ」と背水の陣を敷き、相手方の「忖度」を要求するような言い方だった。

結局、森友問題では首相夫人の明恵さんの関与に関わる「文書」の改ざんが中心だったのだが、これを巡る虚偽に終始し、何ら進展がないまま、ひとりの同財務局職員の自殺を誘発してしまった。

財務局の文書改ざん問題では、残された奥さんが訴訟に持って行ったが、まずは実際に現金が動いた「桜を見る会の前夜懇親会」問題に大きな動きが出そうである。

「シンゾー=ドナルド」コンビが揃ってこの秋に退陣したのも何かの巡り会わせか。ドナルドにも「所得税法違反」の嫌疑がかかっているそうだ。金額は極端に違うが・・・。

ついに咲いた12月のカンナ

2020-12-01 13:47:47 | おおすみの風景
今日から師走。
12月27日のブログで、10月の下旬から伸び始めたカンナがとうとう蕾を立ち上げ今にも咲きそうだ、と書いたが、その蕾が今朝立派に開いた。
ほかの夏花と違ってカンナは二度咲きは無いと思っていたのだが、想定外だった。

例年11月には必ず1度や2度は結構強い霜が降り、さしもの二度咲き花たちも哀れなくらい茶色に変色して枯れるのだが、今年は違った。まさに想定外だ。

今年の夏から秋にかけての異変と言えば、長引いた梅雨の末期の豪雨と、9月10日頃に九州の西海岸を駆け抜けた巨大台風10号以外は、これと言った台風の襲来が無かったことだ。

新型コロナの猛威は連日報道されるが、これに掻き消されたわけではあるまいが、たしかに熊本の人吉で起きた洪水被害を除いては災害の少ない年回りとなったようだ。

また、コロナ対策が功を奏しているだろうか、インフルエンザの流行がほとんど見られないのもこの秋の異変と言えば異変である。こっちはうれしい異変だろう。(医者は手持無沙汰かもしれないが・・・)

異変と言えば、鹿児島市長選だ。

弱冠40歳の若き市長が誕生したのだ。これは戦後の鹿児島市長の平均年齢を大きく下回る快挙と言っていい。もちろん若ければいいというものではないが、県議会議員を10年ほど務めているから、経歴に遜色はない。

4人の立候補者のうち政治的団体の推薦を受けないただ一人であり、若さが売りの草の根選挙が功を奏したようだ。

自民党推薦の前市議会議長の候補は、保守系の多くの団体の推薦を受けたにもかかわらず当選候補の得票の3分の1ほどしか獲得できず、惨敗の結果となった。7月の県知事選挙でも自民党の推薦を受けた前知事の三反園氏が敗れており、保守王国鹿児島に地滑り現象が起きたことになる。

気になるのが投票率だ。今回は38パーセント余りだが、4人も候補者が立ってこの低さは信じがたい。もっとも前回、今期でやめた前市長の4回目の選挙の際の投票率はわずかに25パーセントだったそうだから、13パーセント伸びてはいる。

しかしやはり絶対数が少な過ぎる。50年くらい前は70パーセントが当たり前だったのだが、選挙ごとに下がって行き、50パーセントを切ってからすでに久しい状況にある。

鹿児島市は県都であり、市長と県知事の両頭体制下にあるうえ、藩政時代からの島津ブランドが浸透しており、市長の影の薄いのが欠点だ。何かやろうにも思い切ったことができないので、新総合体育館の問題でも、新サッカースタジアムの問題でも市と県の間が意思疎通に欠けているように見受けられる。

ただ、7月に新任なった塩田知事と今度の下鶴市長は、ラサール・東大という共通の経歴を持っているというから、意思疎通には有利な条件だろう。「想定外」と言われるくらいの思い切った政策を掲げてもらいたいものだ。

大隅地区にも光をあてよ!