ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝花冷え〟から〝春愁〟?

2022年04月06日 | 俳句

 一昨日から昨日と引き続き雲一つない快晴。でも、朝夕などはまだ肌寒くて再びエアコンのお世話なっています。要するに今度は〝花冷え〟なんですね。しかし、今日はまた温かくなってラジオ体操へ行くと汗ばむぐらい…最高気温も20度以上になるとか…。こんなに目まぐるしく変わる気温にはとても身体が付いていきません。そう、気持ちまでが何となく気怠くて…だとするとこれも〝春愁〟なの?

 次のは、懐かしい春郎先生の代表句の一つ。

  花冷や吾に象牙の聴診器    水原春郎

 先生は、1922年水原秋櫻子の長男として東京に生まれ、1946年慶應義塾大学医学部を卒業。1947年同小児科助手を手始めに、1957年講師となり、川崎市立川崎病院小児科勤務。1975年聖マリアンナ医科大学教授、1984年同医科大学病院長、1986年医学部長、1987年名誉教授を歴任。1984年父の俳誌「馬酔木」主宰を継承、2011年主宰を長女・德田千鶴子(1949- )に譲り名誉主宰となる。2016年死去、94歳。

 この経歴を見ても分かるように、馬酔木の主宰になられるまでは医業一筋でした。その医師業の始まりがこの〈象牙の聴診器〉なんです。確か父・秋櫻子先生より卒業?(入学だったかも)記念に頂かれたものだと聞いたことがあります。

 象牙は、ワシントン条約の締結により、1989年より輸入禁止措置がとられ、日本では「絶滅のおそれのある野生動物の種の保存に関する法律」により厳しく規制されて、今ではなかなか手に入らないものとなっています。しかし、これはそれ以前のものですからきっと貴重なものでしょうが、この色といい感触といい柔らかな手触りの聴診器。更にそれが使い込まれてまるで先生そのもののよう…。季語の「花冷」によって一層の優しい輝きを放っているように感じます。

 写真は、今日吟行へ行った今富ダムの桜です。この吟行のことはまた次に…

 では今度は「春愁」の一句です。

  髪おほければ春愁の深きかな  三橋鷹女

 この句を見ればすぐに鷹女も髪の多い人だったのだろうと思うでしょう。私も昔は髪が多くて、おまけに癖毛ときていますから、若いときはその始末に随分困りましたもの。今でこそそれ故に髪のことで悩むことがなく、有り難いと思うのですが。だからこの句もきっと彼女の若い頃の作なのでは…?

 調べると、この句が所収されている第一句集『向日葵』は1940年(昭和15年)の出版。そうするとこの時鷹女は41歳ですから、この句は30代での作品でしょう。一番働き盛りの時ですもの。髪の手入れもきっと入念に…。そういえば二十歳前後の鷹女は、当時〝夢二の女〟(竹久夢二が描いた和服姿のなよやかな娘)が通る、と人々からささやかれ、また、そう言われるような蒲柳質の娘さんだったそうですよ。

 しかし、私の思う鷹女は、〈この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉〉などの句から想像して、かなり個性的で激しい感情の持ち主だったのではと思うのですが…いかがでしょう。

 しかし、後年〈木の葉髪うたひ歎くやをとこらも〉というような句も詠んでいますので、多いのが愁いの種だった髪も年相応に抜け毛で嘆くときが来たのでしょう。ほら、〈をとこ(男)らも〉といっていますから当然〝自分も〟ということです。。ちなみに「木の葉髪」は、〝冬の抜け毛を落葉にたとえていう〟冬の季語です。

 写真は、三橋鷹女、お借りしました。これを見ると、もしかすると鷹女さんも癖毛だったのかも……?(*^ー゜)

日乘 三橋鷹女 讃 - 美島奏城 豊饒の海へ


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 〝はるこま〟と〝はるごま〟? | トップ | 〝褻〟という漢字読めますか? »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
くせ毛 (ミルク)
2022-04-08 17:50:54
まあ@@
ちわきさん、もくせ毛でしたか~
同じく・・・毛も多く、ただカットしているだけで
形が整っているので、羨ましがられます。
白髪は、どうにもできずに、そのまま(;^_^A
毛染めも、パーマもできない体質ですから
早く真っ白に、きれいになってほしいのですが。

今日、五社堂というところに、カタクリを見に行きました。
お社が五つ並んでいるので、最大のパワースポットですよ。
返信する
Unknown (ちわき)
2022-04-09 00:17:09
ミルクさん、こんばんは!
それはビックリ!ですね。じゃあ、血液型は?私はO型ですが…。
似てるところが多いから相性がいいんでしょうか?
癖毛は雨が降ったらぼーぼーになるでしょう。だから昔はいつも編み込みをしてごまかしていましたが、今は歳とともに髪も少なくなって…
カットの上手い美容院でいい具合にショートにして貰っていますよ。
五社堂は以前にありませんでしたか?
もしかしたら他の方のブログだったかも…
きっと御利益もあることでしょうから…くるみちゃんは元気になってますか?もしかしたら中学の入学式でしょうか?違ってたら…ゴメンナサイ!
返信する

コメントを投稿

俳句」カテゴリの最新記事