ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝桜隠し〟という季語ご存じですか?

2021年02月17日 | 俳句

 今朝の会話…

 〝今日は9時半集合だから9時には出発ね。ならラジオ体操へ歩いて行くと時間がないし、お弁当も買わんといけんし…〟〝じゃあ、車で行って帰りにローソンで弁当を買って帰ろう〟ということで、外へ出てみますと…アレ、アレッ!です。

 昨日の天気予報では今日の最高気温は2度で、午後からは雪になるものの午前中は曇だったはず。実は今日は毎月恒例の吟行会で、天気のことはもちろん承知の上で、雪が降れば〝春の雪〟を体感して詠むチャンスとばかり、〝晴れ女〟自認の私は余り心配していませんでした。会員の皆さんも誰一人開催を危ぶんで電話してくる人もいませんでしたよ。サスガ!

 それが、朝起きてみるともううっすらと雪が地面を蔽っているじゃありませんか。でも降ってはいませんでしたので、〝これなら大丈夫やね〟と言って、支度をしながらの会話だったんです。ところが、さあ体操へ出掛けようとしたとき…突然の猛吹雪となり、あれよあれよと雪が真っ白に積っていったんです。これじゃもう無理かしら?だって行き先が宇部の奥の山手の方ですもの…特に参勤交代で殿様が通ったという山陽道の〝どんだけ道〟(殿様道の方言)を歩こうということでもあったし…

 8時過ぎ…さすがの私も、これは中止もやむを得ないと思い、さあ連絡しょうとしているとき、皆さんから問い合わせの電話が掛かってきました。こんなことはこの吟行会では始めてのこと。

 すると、すると…ですね。10時頃には朝の吹雪がまるで嘘のように今度は日が照りだして、みるみる雪が消えていくではありませんか。クヤシイ!こんなことならもう少し様子を見てから決定すれば良かった!滅多に見られない〝春の雪景色〟もしっかり詠むことができたでしょうに…。これぞまさに〝後の祭〟ということ。

 今朝一番の写真も撮っておけば良かったんですが、これは8時過ぎの写真と10時過ぎの写真。午後の句会は室内ですから、午前中さえ良ければそれでよかったんですけどね。そうしたら私のジンクスも破られなかったかも…。ああ、残念!

 次の写真は、15時と17時のもの。ほら、殆ど雪は消えましたよ。やっぱり消えやすい〝春の雪〟でした。

 ところで、〝春の雪〟の季語については先日(2月11日)書きましたので、よろしかったらそれを読んでみて下さいね。でも、一つ追加したいことがあるんです。

 実はこの〝春の雪〟には、傍題に〝桜隠し〟という季語があります。読んで字の通り、旧暦3月の桜の咲く頃に雪が降ること。 また、満開の桜に積もる雪のことなんです。

 この言葉は、もともと新潟県東蒲原郡東川村(現在の阿賀町)の方言であることが、『越後方言考』復刻版(小林存著 1975 国書刊行会)に出ているそうです。また、朝日新聞 東京版 (93.4.2 夕 8面)にも、かつてテレビで気象キャスターとして活躍された倉嶋厚さんが、〝旧暦三月の雪を指す新潟県の方言に「サクラガクシ(桜隠し)がある。旧暦四月の雪は「カエロメガクシ(蛙目隠し)」という〟と書いておられたとか。面白いですね。

 〝桜隠し〟という季語は、昔から詩歌に詠まれてきた三大モチーフの「雪月花」、その雪と花の両方が入っているという、何とも雅やかで美しい季語ですね。ちなみに俳句では、〝花〟といえばもちろん桜のことなんですよ。

 俳誌「馬酔木」の若手の投句コーナー「あしかび抄」の選を、不肖私がさせていただいているのですが、その令和元年七月号の投句の中に次のような句があって、その選評を簡単に書いていましたので、紹介します。

  達治忌の桜隠しの夜は更けぬ   伊藤 幹哲
「達治忌」は四月五日、「桜隠し」とは桜の頃に降る雪のこと。こんな美しい季語を使ってもらえば三好達治もきっとご満悦だろう。

 平成25年6月号の「馬酔木」にも、もうお亡くなりになられましたが、先輩の益本三知子様の〈湖の島桜隠しに泛ぶなり〉という句がありました。これは恐らく琵琶湖を詠まれたのでしょう。そうすると桜隠しに泛ぶのは竹生島あたりかしら。何とも美しい景ですね。

 昨年のウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)をお借りすると、〝今日(2020年3月のこと)29日(日)は南岸低気圧の通過に伴い関東地方の広い範囲で雪が降っています。東京都心でも朝に雨から雪に変わって、10時前から積もり始め、12時に1cmを観測しています。満開の発表後に東京で1cm以上の積雪を観測するのは、1969年まで遡ります。…(中略)…いずれにせよ、満開後に積もるほどの雪が降ることは1969年以来51年ぶりと、かなり珍しいと言えます〟と。ちなみに2020年は、3月22日(日)に靖国神社の標本木が満開となっていて、あまり例のないことだったんですって。

         2020/03/29 12:14 ウェザーニュースtop

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 ところで、話を戻しますと、今日の天気予報では午後からズウッと雪でした。だから、主人と明日の朝が大変だよねなんて話していましたのに…。確かに今夜の最低気温は-2度なんですけどね。今見れば殆ど雪は溶けて…でも身を切るような冷たい風が吹いていました。これぞ〝雪解風(ゆきげかぜ)〟といわんばかりに…

 要するに、このところ調子に乗っている私に神さまが今日はダメだよ!と言わんばかりに雪を降らせ足止めをなさったかのよう…。それで諦めた私を見て、もしかしたら笑っておられるのかもね。ハイ、よく分かりました!と、今日はどこへも出掛けずに大人しくブログを書いていましたよ。

 ニュースでは日本海側は明日にかけても大雪で警戒警報が出ていますし、13日深夜の東北の地震では宮城県山元町が、16日もまだ一部地域で断水するなどの被害が続いていて、前日の大雨や強風による影響も重なり、住民は対応に苦慮しているですって。こんな状況のあちらこちらが大変なときに、暢気に吟行へなんて…〝いい加減にしなさいよ!〟と、天からの喝だったのかも知れません。

 


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5 コメント

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桜隠し (ミルク)
2021-02-18 12:40:33
福島の、滝桜を見に行った時に、満開の
すばらしいシーンを見られて、大満足でした。
ところが、翌朝の泊まった宿で、朝のテレビで
滝桜に、けっこうな雪が積もったシーンを見て
ビックリした記憶があります。前日で良かったね~と喜びあいました。
まさに、桜隠しという言葉がピッタリですね(^^♪

吟行、残念でしたね。朝のうちなら、車のタイヤがスリップしたかも。
こちらは、朝サラッと積もり、一応雪かきしましたが
今の時間に青空も見えて来て、ホッ!です。
ps
前の記事に 動画の続きを書きましたからみてね~
返信する
Unknown (ちわき)
2021-02-18 21:45:39
ミルクさん、今晩は!
三春の滝桜…いいですね。これも一度見てみたいものの一つです。
それも次の日は雪が降って〝桜隠し〟も見られたなんて…羨ましい!
今日はまた昨日以上の雪が降っていました。
まるでまた、雪国のようになっていてビックリです。
でもやっぱり春の雪で、午後にはもうなくなって…軽い雪でしたね。
ミルクさんの手順通りしましたが、やっぱりダメ…貼り付けは出来ましたが開きませんよ。
〈削除しないで、下書きにしてありますか?
動画の位置は動かせましたか?きっと出来ますよ!〉
URLだけが貼り付けられていて動画は出ません。だから位置を動かすも何もないのです。
その後ブロ友さんの動画を貼り付けてみたらそれは出来たんです。
ヤッターと思ってそのままにして、外出。先程PC開いて見たら、その動画も消えていて、URLだけがあって、やはり開かなくなってしまいました。
どういうことなのかサッパリです。
悲しい!情けなくなります。
どうしたらいいんでしょうか。(; ;)ホロホロ
返信する
Unknown (ミルク)
2021-02-18 23:04:12
ちわきさん、こんばんは。
プレビューで、見たら見えますよね。
それは、うまく貼りついているんです。
URLが、あるのでしたら、文章を全部書いて、完成してから公開にしたら見られます。

下書きに、なっている間は、プレビューでは、みえますが、
記事そのものが、隠れているのですから
URLをクリックは出来ません。

試しに、公開にしてみてください。
それで、ダメな記事でしたら、すぐ下書きもどしてください。
がんばって!٩(ˊωˋ*)و ೨*˚ファイト
返信する
達治忌 (風の盆)
2021-02-26 18:54:57
三好達治か
いたな、亡くなった日の記念だな

冠婚葬祭から言えば、葬式が終わって祭りは後にやるな
忌中になるか
最も忍ぶには生まれた日でなく亡くなった日だな
生まれた日は祝日
亡くなった日は祭日だな

桜隠しとは乙だな
しかしよくあるんだな
花冷えという言葉はあるし、花見の時期は寒さが来る、寒の戻りとも言う

札幌では、梅雨がないが、その頃寒さが戻ることがあると
リラ冷えと言うと
リラは別名ライラック
返信する
Unknown (ちわき)
2021-02-27 10:11:16
風の盆さん、お早うございます。
コメント沢山有り難うございます。
冷えには…
春の季語として、花冷えの他に八十八夜寒などもよく使います。
リラ冷えは夏の季語で、他に…
梅雨冷えと梅雨寒や若葉寒なども…
秋になると、朝冷え、雨冷え(アマビエですが、今の流行じゃないですよ…)、下冷え(底冷えになると冬です)など。でも、夜寒や秋寒、そぞろ寒、やや寒、肌寒、うそ寒など、〝冷え〟よりも〝寒〟が俄然多くなりますね。冬に近づくからなんでしょうか。面白いのに〝寝冷え〟というのも季語で、夏なんですよ。
まあ、こんなに温暖化になっても…だからこそ時ならぬ寒さに襲われとビックリしますから、これから益々このような季語が増えていくような気がします。
私も一つ新しい季語を作りましょうか…そうしたら、芭蕉の言うように本望なんですがね。
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