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渡辺武著わかりやすい漢方薬p176薬物療法と食物療法の共同作戦とは 漢方でいう薬物療法というのは異常を正常化すること食物療法というのは人間が生きるための必要な栄養を効率よく入れることです

2021-04-03 09:49:04 | 日記

昌栄薬品

渡辺武著 わかりやすい漢方薬

第三章 漢方薬は何に効くか

2 悪性腫瘍・ガンの漢方治療法

p176 薬物療法と食物療法の共同作戦とは

 漢方でいう薬物療法というのは、異常を正常化すること、食物療法というのは、人間が生きるための必要な栄養を効率よく入れることです。

この二つの療法は方法は違いますが同じ目的―健康回復を目ざしているわけです。

 昔は、中国でも日本でも王族や貴族や豪商や将軍は、医者をかかえていました。

天皇家は平安朝のころから、天皇のお側には侍医がいて、帝の健康管理をしていました。

徳川家でも〝御典医〟という侍医頭が、漢方・蘭方あわせて十六人もいたのですから、宮中御用の侍医、帝の健康管理は大変だったに違いありません。

 その宮中席次をみると、

食医が一番位が高く、まず、帝を病気にしないことが重要でした。今でいう食物療法です。

二番目に疾医、病気を治療するいわゆる医師、健康管理が悪くて病気になったとき、漢方薬で薬物療法をします。

三番目に物理療法です。

あんま、はり、きゅうという治療医(検校)です。

その他に昔は導引というのがありました。

今のマッサージに似た療法です。

天皇家が蘭方医をとり入れたのは明治になってからですから、明治までは漢方によって天皇家は健康一切を管理されていたわけです。

 一口に食事療法といっても、二十数冊の本があって、肝臓病の食事療法、心臓病の食事療法などと、中国から伝わった療法が記載されているわけです。

帝の健康の状態によって正常な時の食事、病気の時の食事が決められるのです。

だから町方の医者も食事療法と薬物療法を使い分けていたのです。

現在のように食事はカロリー、栄養一点ばりの世では、日本人の正常な食事というものはありませんし、成長さえ早ければいいということになります。

これでは豚肉のホルモン焼きを食べているのが一番いいということになってしまいます。

 現実には日本人に肉食が広まって、栄養の行きわたりすぎた食事が病気を起しているのが事実です。

食物環境が変わって日本人の食事療法は、非常にむずかしい状態にあります。

しかし、下々はそうですが、宮中では天皇に対する食事は、いまも昔と変らず、食医が料理を管理して、天皇の健康を日々診断しているわけです。

 しかし、昔の書物を開くと、天皇家や将軍家や豪商や大名には、三つの健康管理のほかに〝養生〟というのがありました。

貝原益軒先生が書いた『養生訓』の養生のことです。

生を養うこと、いま流にいえばセックスのことです。帝や将軍や貴族は、

健康のために侍医が主人のセックス管理をしていたのです。

方法、回数などすべて侍医が主人に一対一で書いて見せ、それには「他言は許さず」という鉄則がありました。

 いまでも漢方の医書として貴重に扱われている『医心方』という三十巻の本があります。

この書物は平安時代に天皇家の侍医だった丹波康頼が、中国の漢方医書をもとにして各論三十巻にまとめたもので徳川時代までは、天皇家所蔵の医学の虎の巻だったのです。

この第二十七巻に「房内」という篇が一冊にされています。

これにはいわゆる養生のことが大変くわしく書かれています。

それによると性を快楽として見ず。

生を養う療法として見ていたことがわかります。

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