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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

位牌について

2016年09月08日 00時00分01秒 | 紹介

 仏壇に鎮座するお位牌について述べたい。死者の魂が入っているとすれば、死者が現世を過ごす形代(かたしろ)であり、最も死者に近い偶像である。仏教での偶像崇拝の対象としては、木像、銅像、絵画、乾漆像土偶や陶磁器など素材はさまざまであり、寺に安置されているから、姿かたちが分かるものが多い。各家庭には、先祖や関係者を拝する仏壇があり、偶像化した位牌がある。生前の写真なども飾られていると、容易に死者へ近づくことができる。

 

 仏壇の位牌は大切にされてきたし、今でも不敬罪があってはならないと大切にされている。仏教徒の死後には来世で使う名前である戒名が寺の住職からつけられる。白木の位牌が葬儀には必要となり、四十九日法要が済めば、通常、塗り物の本位牌が作られる。白木の位牌は二体()あり、四十九日法要が済んでから一体はお寺に返される。四十九日法要には、ご遺骨の埋葬と、本位牌に魂を移すための儀式である。これを機に死者は仏の道に進むことになり、迷わずに成仏することになる。

 

 残された家族は死者の形代を仏壇の中に納め、礼拝の対象としてあの世での安寧を祈るのであり、日ごろは家族の一員として家の中で共存するとしている。よく話に出てくるのは、火災や地震などが発生すると、非常時持ち出し品の中に位牌が入るし、何らかの事情で転居する場合も位牌は必ず運び出され、転居先へ家族と一緒に移る。

 

 これらは、我が国の仏教が日本人の心のどこかに刻まれた行為であり、宗教観や、死生感を表す事柄である。そのためだけではないのであろうが、本位牌は木製の塗り物が多く、大きさは17㎝ぐらいで、持ち運びが簡単である。寺の火災は火を使うこともあり、何度となく起きているが、青銅製の仏像を運び出すことは容易ではない。木彫や、乾漆族が生まれたのも、移動させやすいということが原因の一つとなっている。

 

 位牌には戒名と俗名、享年(行年)、死亡年月日が刻まれている。蓮華の座に置かれている位牌もあり、大きさや、使用する木材、塗り、金箔、螺鈿等が施され、値段もピンキリである。たまには仏壇店に行ってみるのもよい。最近は生活空間が狭くなり、仏壇も小型化やコンパクトなものに変化してきているといわれている。仏壇を持たない家庭もあるようで、ここにも変化がみられる。