不祥事が発生しなければ、現在のシステムを見直すこともないであろう。重箱の隅を楊枝でほじくるような話も多いが、スクープやスキャンダルが報道関係の仕事になっている以上、ある程度仕方ないが、地位が上がれば、利権が発生する。それを完全に阻止することができないのではなく、できないようなシステムにしていかなければならない。
悪者探しに始終するTV番組や報道は妬みや嫉妬が大いに関係しているようで、後味が悪い。築地市場移転問題が、今後どのように展開していくのか、食の安全性が、どこまで保たれていくのか、6000億円を費やした豊洲市場は都民が支払った税金である。土壌汚染が発端となった今回の問題は、時間が解決してくれるとは思えない。新知事に期待することは多いが、果たして知事一人が奮闘しても、限界があることは確かなことで、行政を行う都議会や都庁の抜本的な改革が望まれる。
組織の監査機能が弱いことは我が国の特徴かもしれない。不正を防止し、組織の運営に間接的の関与する立場の者が、実は同じ組織のポストであるため、厳しい意見や、粛清を行うことができないため、単なるご意見番であり、これでは一向にらちが明かないであろう。地方自治体は多かれ少なかれ、国の資金や税金が投入されていて、これに関しては、会計検査院の介入するところであるが、ほとんどの部分は、会計検査院と同様な内部監査が行われている。とりもなおさず、性善説によって運営されているのであって、自浄能力は低いといわざるを得ない。
都議会での百条委員会は、それなりの機能を果たしているといえるが、今回浮上した豊洲市場問題には、使われた資金は返ってこない。用途を変えて利用するなどの邪推も聞こえるが、本来老朽化で改築なり、移設なりの方向が出され、時間をかけて現在に至っているし、時間は遡ることは不可能である。当時設計に関与した関係者を引っ張ってきて、罪を認めさせたとしても、何ら建物の安全性が担保できないのである。風評被害が今後とも続くといわれる市場に、市場にはしたくないとの判断に向かう可能性が高いと予測される。
さて、仕切り直しに、都民に納得がいくものができるのであろうか、お手並み拝見であるが、負担を伴う大事業、資金豊富な東京都、金持ち喧嘩せずで、おおらかに行くのか今後とも注視していきたい。