鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

衝撃の記事その2

2016年11月11日 00時00分01秒 | 提言

  前回の執筆中に思い出したのであるが、伝統技術・技能と称されている産業は、徒弟制度が導入され、人材育成と言いながら、実際は教育も訓練もしない低賃金労働を強いる今でいうブラック企業であり、休日はわずか盆と暮れだけという超長時間労働であった。その名残は今でも水面下では行われており、卑近な例として板前といえば格好は良いが、基本的な労務は相変わらず前近代的であり、教えないということを教育と勘違いしたまたは当然とした思い込みの不幸である。

 

例えば、江戸前ニギリ寿司を握らせるまで3年や5年をかけるばかげたことが行われてきた。握るだけなら、1日で覚えられる。その間の下積みが職人としての技量を磨くなどと言われるが、後継者が生まれない理由はだれが考えてもわかる。今やすし店の主人は、回転ずしの調理場でアルバイトをしている状況である。さすが手当を渡さない世界はなくなったが、名門といえども労働の質や作業環境は劣悪と言わざるを得ない。

 

上述の例は極端であったかもしれないが、現在でも小企業や零細企業では、流儀や、たたき上がりが実権を握り、職業訓練を拒否している企業が散見されるが、教えない理由は、技術の流出による自らの立場を失うことになるという先入観であり、被害者意識で、後継者の育成を行わないという狭い身勝手な了見である。

 

基本的な考えを保守として、守る世界もあるが、後継者がいなくなればその業務は廃れてしまうし、その代限りとなり廃業となる。技術の変革や情報量の多さは昔と異なることぐらい肌身で分かっていても、旧態依然とした会社経営は徐々に転換を余儀なくされる時代である。グローバルとまでいかなくても、異業種交流ぐらいはできるであろう。ブラックボックスを保ち続けることは、反面、オープンイノベーションに乗り遅れるというニコンの教訓はどの企業でも無関係ではない。オープン化することにより、専門分野の先行を可能にするのであるが、早ければ早いほど、協業が可能となり、さらには、自らが業界のスタンダード化に寄与するのである。

 

技術の流出を危惧する気持ちもわかるが、秘密は、いつかは流出するし、他社でそれ以上の技術を生むことになる。中国で、我が国が輸入していたレアメタルを出し渋り、価格を上げてきたことがあった。我が国はレアメタルに代わる新技術で対応したことにより今やレアメタルは暴落しているではないか。同様なことは多くの産業で現れていて、造船技術なども定年退職者や高賃金を望む技術者の海外流出は避けて通ることはできず、近隣諸国の技術レベルの向上は急速である。ブラックボックスを金科玉条とする世界は終わりを迎えているといえよう。