サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

ソーシャルフットボール日本代表候補小林耕平さんの短編ドキュメンタリー

2022年05月22日 | ソーシャルフットボール

ソーシャルフットボール日本代表候補小林耕平さんの短編ドキュメンタリーを制作。
記事ともども、是非、ご覧ください。

「昔、引きこもり。今、日本代表」自閉症・発達障害の代表選手がフットサルスクールで子どもに寄り添う理由 - 中村和彦 | Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム

以下、記事の巻頭の紹介文

精神障害者のフットサルであるソーシャルフットボール日本代表の小林耕平(29)にとって、「フットサル」は特別なものだった。かつて、引きこもりで高校に行けなかった時の「社会との唯一の接点」。「それだけは行かな、マジで死んでしまうみたいな」

「そこで出会った人たちが真剣に向き合ってくれたから、今の自分がある」と語る小林は、自閉スペクトラム症など自らと同様の障害を持つ子どもたちを相手にフットサルスクールを開催している。会場から走り去ってしまったり、はなから参加できなかったり。そんな子どもたちに「居場所を提供したい」と、小林は全力で寄り添い続ける。その姿を見つめた。


CPサッカー女子W杯初開催 初代女王はアメリカ 日本は3位

2022年05月18日 | CPサッカー
5月12~17日、CPサッカー女子W杯が初めてスペインで開催されました。

確か2009年だったと思うが、欧州のCPサッカー関係者の講演に出かけた際、女子チーム、選手はいないんですか?と質問すると「オランダ1人いるかな?」という回答だったかと記憶している。そう考えると感慨深いものがあります。
 
大会は男子の通常のルールと異なり、5人制で、狭いピッチで行われました。
クラス分けが軽く、障害的に軽い選手が7人制よりも相対的に目立ってしまう印象もありました。
GKをどの程度のクラス分けの選手がやるのか、選手層の薄さもあり、なかなか難しい問題のようにも感じました。
 
大会には5か国が参加、初代女王を争い、優勝はアメリカ、準優勝オーストラリア、3位日本、4位オランダ、5位スペイン。
日本の戦績は以下
第1戦 スペイン 6-1
第2戦 オランダ 6-0
第3戦    オーストラリア 0-4
第4戦 アメリカ 1-1
2勝1敗1分け 勝ち点7 得失点差+7で3位となり3位決定戦へ
3位決定戦 オランダ 4-1
 
各試合も配信され、日本の5試合のうち予選リーグのオーストラリア、アメリカ戦はフルで、初戦と3位決定戦は少し観ることができました。
備忘録として、SNSへの書き込み等を書き出しておきます。
きちんとした記事でなくてすいません。
 
第1戦スペイン戦
初めて開催されているCPサッカー女子のW杯、初戦日本は地元スペインに6-1で勝利。
配信を少ししか観れてませんが、日本がサッカーの形になっているのに対し、スペインはあまりそうなっていない印象。
 
第4戦アメリカ戦
スペインで開催中のCPサッカー女子W杯の第4戦は日本とアメリカの対戦。
前半からアメリカは日本ゴールに攻め込むが日本は粘り強く気迫あふれる守備で0-0で前半を折り返す。
しかし後半10分(くらい)、アメリカは右サイドからの折り返しをダイレクトでシュート、何本もシュートを止めていたGK浜田美弥妃もわずかに及ばず先制点を許す。
しかし18分(くらい)、ゴールキックからのオウンゴールで同点に追いつく。その後、アメリカは怒涛の攻撃を続けるが日本が凌ぎきり1-1の引き分けとなった。
気持ちが伝わってくる好ゲーム。大田麻衣もぎりぎりのところでシュートを阻止、石原利恵や黒木咲生も粘り強く走り回り、竹村明結美は第3戦のオーストラリア戦から何度も倒れては立ち上がり、本当にお疲れ様でした。
 
第3戦のオーストラリア戦は、クラス分け的に軽いフィジカルの強い選手にやられたという感じでした。
優勝したアメリカはデフリンピックでもこちらでも優勝、女子サッカーの層の厚さを見せつけた感じでしょうか。

デフリンピック女子サッカー 優勝はPK戦を制したアメリカ

2022年05月16日 | デフリンピック

デフサッカー女子日本代表は残念ながら第4戦及び3位決定戦を辞退することになり、ブラジルが不戦勝で3位。

決勝はアメリカとポーランド、予想通りの対戦となった。
アメリカはこれまで出場したすべての大会で優勝している強豪、一方のポーランドは前々大会4位、前大会は2位と着実に力をつけてきている。

アメリカは4-3-3 、ポーランドは 4-4-1-1でスタート。
(選手名はわからないが、備忘録として背番号だけスターティングメンバー書き出しておく。アメリカは、ディフェンス右から5,11,3,17、アンカーに2(cap)、インサイドハーフに9,14、前線右に22、左は6、トップに21。ポーランドは、ディフェンス右から3,9,20(cap),7、中盤右から14,21,6,8、トップに13、トップ下に10)。

アメリカはサイドからの崩しが多く、ポーランドは前線の13や10マルタ・カクズマルチクの個の能力を活かした攻めが多い印象。
立ち上がりはポーランドがアメリカゴールに迫る、21のシュートはアメリカGKの好守に阻まれる。
しかし前半11分アメリカが右サイド9のクロスに6が飛び込むとポーランドがファール、アメリカがPKを得た。だが11の蹴ったPKはポストをたたく。
その後もシュートまで持ち込むのはポーランドが多いが先制したのはアメリカ。
前半終了間際FKをゴール前に入れ、ポーランドのクリアが流れたところを左から6がヘディングで折り返し22がダイレクトで押し込んだ。


しかし後半2分にポーランドが同点に追いつく。
ポーランドの10マルタがアメリカのアンカー2からボールを奪いドリブルでゴール前に迫り、マークを引きつけて左の8へパス、8は左足ダイレクトでファーを狙いすましたゴールを決めた。
ポーランドのトップ下10マルタとアメリカのアンカー1枚(2)がマッチアップすることが多く、ポーランドがマイボールにしてチャンスを作り出すことが多い。だがアメリカはとりたてて10番対策をしているふうでもなく、あくまで自分たちのサッカーを貫いている印象。女王の女王たる所以か。

その後は球際の激しい闘いが続く。ポーランドのキャプテン、センターバック20は何度も痛むが走ることを止めない。
後半42分アメリカがFKのチャンスを得る。
5がずらして9が放ったシュートはポストを叩き、試合は2大会連続の延長戦へともつれ込んだ。


延長前半5分、アメリカがチャンスをむかえる。
ポーランドのクリアボールを拾ったアメリカ18が左サイドからアーリークロスを入れると、8がダイレクトで合わせ勝ち越し点。アメリカが2-1とリードした。
18,8両選手とも後半25分に交代出場したフレッシュな選手。層の厚さも見せつけた。

しかし延長後半9分、ポーランドにスーパーなゴールが生まれる。アメリカGKのパントキックをポーランド21がヘディングで前線へ、ポーランドトップ下10マルタとアメリカのアンカー14(後半25分からポジションチェンジ)の競り合いとなるが、10がうまく体を入れ替えて反転、右足を振り抜くと、40m級のロングシュートがネットを揺らした。

そして前回大会に引き続き決着はPK戦にもつれ込むことに。
両チームのGKを比べるとアメリカのほうが身体能力に勝っており、アメリカ有利かと思われた。
実際2本のPKを止め、4本目で勝敗が決し、アメリカは4度目の金メダル。出場した大会ですべて優勝という記録をまた一つ更新した。

しかし試合はどちらに転んでもおかしくないスリリングな展開だった。
試合はこちらで観ることができます。
Women's Football Gold Medal - USA x Poland - 15/05 | Caxias do Sul 2021 Deaflympics Summer Games - YouTube

ポーランドは2013年ブルガリアソフィアデフリンピックでは3位決定戦でPK戦負け、2017年トルコサムスンデフリンピックでは決勝ではPK戦負け、今大会も決勝でPK戦負けを喫し、悔しい銀メダルとなった。


尚、グルーリーグの成績は以下。
1位 アメリカ 勝ち点12 得失点差+20(得点20 失点0)
2位 ポーランド 勝ち点9 得失点差+14(得点18 失点4)
3位 ブラジル 勝ち点6 得失点差+11(得点7 失点4)
4位 日本 勝ち点3 得失点差+5(得点14 失点9)
5位 ケニア 勝ち点0 得失点差-43(得点1 失点44)
*日本VSブラジル戦は、ブラジルが3-0の不戦勝。

日本はグループリーグ1勝3敗、出場辞退がなければ3位決定戦で銅メダル獲得の可能性があった。


デフサッカー女子日本代表 強豪アメリカに0-1で敗れる

2022年05月08日 | デフリンピック

ブラジルデフリンピック女子サッカー、日本代表3戦目の相手は強豪アメリカ。出場を辞退した前回大会(2017年トルコ・サムスン開催)以外の大会ではすべて優勝している強豪国。
そのアメリカ相手にどんな戦いを見せてくれるのか?

この試合は日本ろう者サッカー協会がスマホで配信、詳細はわからないものの、なんとか観ることができた。

先発はDF右サイドバック宮城実来、左に酒井藍莉、センターバックは高橋遥佳と久住呂文華、中盤はボランチに宮田夏実、川畑菜奈、右サイド杉本七海、左サイド高木桜花、2トップに大上志穂子と押領司真奈の4・4・2の布陣。
Gkは國島が今大会初先発となった。
ベンチには田中惠と松川容子。その他3人のメンバーはコロナ陽性、あるいは発熱のため、初戦から離脱している。

日本は立ち上がりから超守備的布陣で試合に入る。ハーフウェイラインより前に行くことはなく、マイボールやゴールキックも大きくクリアする。ハーフウェイラインというよりはディフェンシングサード(アメリカのアタッキングサード)からもほとんど出ない状態で、サイドにも広がらず4・4・2のスリーラインでコンパクトに守備を固める。

アメリカはサイドを崩しクロスを入れゴールを狙うが、日本の選手たちが中央では決してスペースを与えずフリーにさせない。こぼれ球に反応したミドルシュートにも素早いチェック、GKの國島も落ちついて処理する。

アメリカは4・4・2(もしくは4・2・3・1)で、余ったディフェンスラインの選手が上がることもなく、普段の自分たちのサッカーを貫き通しているようにも見える。9年前、13年前にアメリカを生で観たときも、どこか綺麗なサッカーをするというイメージがあり、ゴリゴリとゴール前に侵入してくるというふうではない。

だが何本ものクロス、シュートを放ち、前半33分にはミドルシュートがポストを叩く場面もあった。
38分にアメリカは2人の選手交代。3バックにしたようで、ウイングが上がりめの3・4・3みたいなイメージだろうか。
ともかく前線を厚くした。

選手たちはアメリカ選手相手に痛む場面も増えてくる。右サイドバック宮城実来が一度ピッチから出されるが何とか戻る場面もあった。
いったいアメリカが何本シュートを放ったのかよくわからないが、なんとか45分間を無失点で凌ぎきり前半を0-0で折り返す。
日本は、与えられたタスクを高い集中力でこなした。


ハーフタイムのロッカールームではキャプテン宮田夏実が激を飛ばす。だが熱いだけではなく、冷静さも各選手から感じ取られた。

後半に入っても日本の戦術は変わらない。
ただドン引き一辺倒ではなくスリーラインがコンパクトに保たれているので、オフサイドをとることもある。

そして後半20分、「攻めてもいい」「攻撃しろ」というサインがベンチから出される。しかし選手たちはボールをつなごうとするが、なかなかアメリカゴールまでは迫れない。
だが左サイド高木桜花(たぶん)のクロスに、右サイド杉本七海(たぶん)が侵入するという場面も見られるようになる。

28分にはFWで守備に走り回った押領司真奈に代えて、松川容子が投入される。松川は初戦のケニア戦、第2戦のポーランド戦ではGKとしてフル出場している。合宿でもフィールドプレーヤーに入ることもあり、それが活かされた形だ。
こういう事態も見越しての國島先発だったか、あるいはアメリカのサイド攻撃からのクロスには長身の國島が適任という判断だったのかもしれない。
この時点でベンチに残っているのは負傷している田中惠のみである。総力戦である。

日本がアメリカ陣内に攻め込む回数が増えると今度はカウンターをくらうようになる。しかし左サイドバック酒井藍莉やセンターバックの久住呂文華や高橋遥佳がアメリカ選手を自由にさせない。
股関節のケガから復帰した大上志穂子や、最終合宿ではケガのため別メニューだった川畑菜奈も走りを止めない。
日本の選手たちの高い集中力に気圧されてか、アメリカは攻め疲れているようにも見える。

しかし後半43分、アメリカは右CKからのこぼれ球を左45度からミドルシュート!
プレスが遅れフリーで狙いすましたシュートが長身の國島の手をかすめ、ファーサイドのゴールネットを揺らした。
なんとか日本も1点を取りに行こうとするもののゴールが遠い。

全員がタスクを高いレベルでこなして力を出しきった試合だったが、強豪アメリカに惜しくも0-1で敗れた。

選手たちの気持ち、気迫が伝わってくる胸が熱くなる試合でもあった。選手たちがピッチに突っ伏している姿はとても印象的だった。


日本は3戦を終えて1勝2敗の勝ち点3、得点14、失点 6、得失点差  8となり、自力での決勝進出はなくなった。
しかしブラジルがポーランドに勝ち日本がブラジルに勝てば、3か国が勝ち点6で並ぶ可能性もある。
もし得失点差の争いになった場合、アメリカに1点しか与えなかったことはとても大きい。

日本の次の試合第4戦は11日10時(日本時間22時)キックオフ、中3日でのブラジル戦となる。
ブラジルVSポーランド戦はその前々日の9日に行われており、その結果次第で4戦目の位置づけが変わってくる。
決勝進出をかけた戦いになるのか、3位決定戦の出場が既に決まっていて消化試合となるのか。

消化試合になっていれば重要なのは言うまでもなく銅メダルをかけた3位決定戦となる。その際は3位決定戦もブラジルとの試合となり、第4戦はある意味難しい試合となる。3位決定戦で勝つための第4戦ということになる。
3位決定戦に選手たちがベストパフォーマンスで臨めるようなやり繰りは必要となるであろう。
しかし離脱した3人が戻ってくることなく13人で戦い続けなくてはならないのであれば、松川容子や田中惠が他の選手たちを休ませるためにフィールドプレーヤーとして出場するということもあるのかもしれない。
あるいは初戦から3位決定戦は中10日、決勝までは中11日空いていることもあり、離脱した選手が戻ってくる可能性もあるのだろうか。そのあたりのことはよくわからない。


いずれにしても今後は「ブラジルにどう勝つか?」ということになる。

今後の日程は以下
第4戦 ブラジル戦 11日10時(日本時間22時)
3位決定戦に出る場合は相手は、相手はブラジルだろう 14日14時(日本時間15日午前2時)
決勝に出る場合は、相手はアメリカだろう 15日10時(日本時間22時)

何とかメダルを持ち帰ってきてほしい。

*この記事はスマホでの配信を元に書いており、間違い等あるかもしれません。ご了承ください。


(追記)
ポーランドが2-0でブラジルに勝利し決勝進出決定。
アメリカはまだ決まってないが現実的には決勝進出。よもやケニアに負けるとは思えないので。
ということで日本はブラジルと銅メダルをかけて3位決定戦を戦うことになります。
キックオフは14日26時(15日午前2時)。
11日22時からもグループリーグ残りのブラジル戦がある。
いずれも日本時間。

(追記の追記)
日本選手団よりコロナ陽性者が出たことにより、日本は11日のブラジル戦を棄権。0-3の不戦敗となり、記録としては4位で大会を終えた。

大会辞退は致し方ないこととは言え、本当に残念、無念です。


電動車椅子サッカー マックス10 観戦記

2022年05月06日 | 電動車椅子サッカー

5月3日~5日の3日間、静岡エコパアリーナで電動車椅子サッカーの全国大会が3年ぶりに開催された。
初日は制限速度6km競技(パワフル6)、2~3日目は国際ルールに準じた制限速度10km競技であるマックス10=第6回パワーチェアーフットボールチャンピオンシップジャパン2022と、2つのカテゴリーの大会が行われた。

マックス10もパワフル6同様、県外を超えての参加が難しい選手がいて参加人数が少なかったり、練習が満足にできないチームもあったりで、コロナ禍の影響を大きく受けた大会となった。

決勝は、金沢ベストブラザーズとRed Eagles 兵庫の対戦。
金沢ベストブラザーズは初の決勝進出となった。63歳の長瀬義則にとっては、1996年第2回大会で当時所属していた名古屋のAMFCエスカルゴで優勝して以来、実に26年ぶりの決勝進出となった。
金沢が決勝に駒を進めた原動力は、その長瀬と監督も兼ねる城下歩の強烈なセットプレーだった。長瀬が強烈な回転キックで脇にいる城下歩へ、城下がそのボールをうまくコントロール、高速シュートが面白いように相手ゴールを陥れた。
多少2人の距離を空けたツインシュートである。
その威力にレインボーソルジャー(東京)、DKFBCディスカバリー(愛知)、Yokohama Crackersが沈んだ。

一方のRed Eagles 兵庫は2019年大会以来、2大会ぶりの優勝を目指す。1回戦でプログレス奈良に10-0の大量得点差勝利、2回戦ではFCクラッシャーズに1-0、準決勝では3人のNanchester United鹿児島に先制されるものの2-1と逆転勝利し、決勝まで勝ち上がってきていた。


大会には15チームが参加しトーナメント制で日本一が争われた。時計の針を1回戦の第1試合に戻し、振り返ってみることにする。

(記述量に差があるのはご勘弁を。ずっと会場にいましたが観客席から同時キックオフの試合を首を振って交互に観たり、撮影もしたりしなかったり、疲れて頭がぼーっとしていたりで情報にムラがあります。言い訳ばかりですいません。誤りがあればご指摘ください。ちなみに自分にとっては11回目の全国大会でした)

1回戦
●SFCデルティーズと大阪ローリングタートルの対戦。
デルティーズは地元静岡のチーム、近年静岡で大会が開催される場合が多くこのところずっと地元である。
一方の大阪大阪ローリングタートルは公式戦デビューが3人というフレッシュなメンバー。
5人全員がフットガードの色が違うというカラフルなチームでもあった。

開始早々ローリングタートル宮川の右コーナーキックがオウンゴールを誘発し大阪が先制。
しかしデルティーズも石脇将太の左CKを中村康則がシュート、GKが弾くがニアに詰めた石脇が押し込んで同点。前半終了間際にはローリングタートルがカウンターからGKと2対1の状況になり、北村一輝からのパスを中村祐太が押し込んで勝ち越す。中村は映画「蹴る」を観て電動車椅子サッカーを始めたそうで、公式戦初ゴールとなった。
後半、ローリングタートルは宮川がGKとの1対1を制して3-1と突き放す。
その後、デルティーズは石脇と中村で何度かチャンスをつくりだすものの初戦で敗退。
大阪ローリングタートルはなかなかのチームのまとまりを見せ2回戦へ進んだ。

●Safilva(北海道)VS YOKOHAMA Bay Drea
先制したのはYokohama Bay Dream。前半12分高林貴将が中央で競り合い左の菅野正紀へ、菅野のシュートがきまり先制。16分には高林のキックインから菅野が2点目を奪う。Safilvaも後半1点を返すが、Bay Dreamが”2-1で勝利、2回戦に駒を進めた。
北海道からの参加は3名。札幌、帯広、函館とかなり距離が離れているという。

●プログレス奈良VS Red Eagles兵庫
Red Eagles兵庫は、前半は内海恭平が3ゴール、山田貴大の2ゴールで5-0、後半なおも 内海、山田、中村哲智が得点を積み重ね、Red Eagles兵庫が10-0での大量得点差勝利となった

●BLACK HAMERS(埼玉)VS Nanchester United 鹿児島
BLACK HAMERSは制限速度6kmのパワフル6から10kmのマックス10に戦いの場を移してから初の全国大会。
Nanchester United 鹿児島は映画「蹴る」でも中心に描いた東武範が参加できないなどで、大会に参加できたのは3名。さらに安藤心晴が試合前のスピードチェックで引っかかってしまい、2名での先発となった。しかし塩入新也がたった一人で前半に3点を奪ってしまう。
電動車椅子サッカーには2on1(ツーオンワン)というルールがあり、1人にプレーヤ2人で守備にいってはならない。つまり1対1で競り勝てばゴールエリアまで侵入できる。ゴールエリア内ではGKともう1人の選手と2人で守ることができるが、塩入はその2人の間を抜いて先制。そして左サイドのキックインからゴールエリアに侵入しPKを獲得、きっちりと決めて2点目をあげた。さらに今度は2人の間を抜いて3点目。

セットプレーはドリブルで一人で運ぶことはできないが、ゴールに向かうボールを蹴れば相手は触らざるを得ない。そのボールを奪っては一人で攻撃を繰り返す。おそるべし塩入。
ハーフタイムまでに設定スピードを変更し安藤が入り、塩入、前田薫海と3人になったNanchester Unitedがそのまま3-0で逃げ切った。
BLACK HAMERSは Nanchester United対策をいろいろと考えていただろうが、想定外のことでかなり戸惑ったかもしれない。

●FCクラッシャーズ(長野)VS 兵庫パープルスネークス
クラッシャーズは前半3分、左サイドのキックイン森山一樹からサイドライン沿いの太田大皓へ、太田がダイレクトで折り返しファーで山浦吉貴がシュート、太田がゴール前に詰め先制。
さらに19分、飯島洸洋の左CKをニアで太田が前付きで合わせ2点目。
後半には飯島が相手ゴールキックをダイレクトで左の山浦へ、山浦が折り返し、逆サイドの太田が前付きでファーへ蹴りこみ 3-0で勝利。
クラッシャーズが2回戦へ進んだ。

●DKFBCディスカバリー(愛知) VS Yokohama Red Spirits
ディスカバリーは前回大会6km部門で優勝、満を持しての10㎞転身。
そのディスカバリーは、平西一斗の右CKを日坂義哉が合わせて先制。さらには池田恵助が右サイド敵陣深く上がっての折り返しを日坂が決めて2-0と勝利。
マックス10での初勝利となった。

●レインボーソルジャー(東京)VS 金沢ベストブラザーズ
先制点は金沢。前半終了間際2オン1でゴール中央FKのチャンスを得る。長瀬義則が時計回りの回転キックで蹴ったボールを左の城下歩が空いたファーへ蹴りこんだ。前述したツインシュートの強力版だ。
後半12分にも同じようなツインシュート、今度は空いたゴール中央へ蹴りこんで2点目。金沢が2回戦へ。

レインボーはコロナ禍、練習会場がなかなか確保できず2度しか練習ができなかったという。その影響も大きかっただろう。


2回戦
●Yokohama Crackers VS YOKOHAMA Bay Dream 
Crackers は1回戦不戦勝。横浜同士の対戦となった3-0でCrackersの勝利。
1点目は三上勇輝のFKから右サイドの中山環へ、ダイレクトで中山が蹴りこみ先制。
2点目は流れのなかから左サイド永岡真理が折り返したボールをBay Dreamがクリア、こぼれ球を三上が右の中山につなぎ中山が2点目のゴール。
3点目は三上から左の永岡へ、永岡が逆サイドへ折り返し石井俊也が押し込んで3点目、横浜対決を制した。 

●大阪ローリングタートル VS Nanchester United 鹿児島
3人のNanchester Unitedは、後半14分塩入新也がドリブルでゴールエリアへ侵入しPKを獲得、左隅にきっちり蹴りこみ先制。準決勝へ進んだ。

●Red Eagles兵庫 VS FCクラッシャーズ(長野) 
Red Eaglesにとって大きなヤマだと感じていたクラッシャーズ戦。
Red Eaglesが前半のうちに先制点を奪った。
右サイドキックインから内海恭平がシュート、こぼれ球を宮脇太陽が押し込む形となり先制。そのまま1-0で勝利。準決勝へ。

●金沢ベストブラザーズ VS DKFBCディスカバリー(愛知)
金沢が後半4分、エリア内で城下歩が平西、池田との競り合いのなかでゴールラインを割り先制。
10分には長瀬、城下コンビの強烈なツインシュートが決まり2点目。
ディスカバリーも池田が上がったりとダイナミックな展開を見せたがゴールが奪えず敗れ去った。
だが今後もチームの伸びしろを感じるチームだった。

 

準決勝
●Nanchester United 鹿児島 VS Red Eagles兵庫
3人のNanchester Unitedがどこまで勝ち上がるかと思われた試合、先制したのはNanchester United。
塩入新也が1対1の競り合いの流れで右サイドへ、空いたスペースへ上がってきた安藤心春へパス、安藤は再び塩入へ、Red Eaglesの内海恭平と山田貴大が左右にふられ空いたシュートコースへ塩入がきっちりと蹴りこみ先制。

しかしRed Eaglesは前半のうちに同点に追いつく。山田が塩入との競り合いからボールをかき出しハーフウェイライン付近の内海へ、内海が逆サイドに展開、中村哲智がファーサイドに蹴りこみ同点に追いつく。

PK戦の可能性もみえてきた後半19分、Red Eagles右サイドのキックイン、山田が内海からのリターンを受け、逆サイドの宮脇太陽と大きなワンツー、前付きでゴール右隅に蹴りこむ。
3人が連動したゴールでRed Eaglesが逆転、決勝進出を果たした。

●金沢ベストブラザーズ VS  Yokohama Crackers
先制点はまたしても金沢ベストブラザーズの長瀬、城下コンビのセットプレーから生まれた。ツインシュートは威力はあっても精度に欠くことが多いが、今大会の城下歩はファーが空いていればファーに、中央が空いていれば中央にと蹴り分けていた。よほど2人で練習を積みかねたのかと思いきや、県外の選手である長瀬と合わせる機会は少なく、ボールが欲しい位置だけを長瀬に伝え、それぞれが個人練習した合わせ技に近かったのだという。

前半先制点をあげた金沢ベストブラザーズは、城下が個の強さを活かし素早くチェックにいき1対1の局面を作り、相手の展開を封じ込め、パスを回させない。

クラッカーズの選手たちもボールを展開しようとはするものの、1対1の局面で無理にボールをかき出そうとするとファールを取られる可能性も高く思うようにいかない。
以前と違ってフットガード同士がぶつかると、かなり厳しくファールを取られる。
これまでの大会ではフットガードがぶつかる金属音が会場内に響くことが多かったが、今大会では声を出しての応援が禁止されていたことと相まって、タイヤと床面の摩擦音とエンジン音が静かな会場内に響いていた。

後半に入るとCrackersもボールを大きく動かし決定的な場面を作り出す。しかしゴール前では城下由香里(歩の母)が立ちはだかる。
そしてさらにツインシュートによる追加点が金沢ベストブラザーズに入り、2点のリードを奪う。
後がなくなったCrackersはリスクを冒して攻める。
そして後半19分過ぎにようやく1点を返す。左サイドの直接FKから永岡真理がシュート、跳ね返ってきたボールを右サイドの中山環へ、中山がダイレクトでシュート、ゴールを決めた。

だがなんとか金沢ベストブラザーズが逃げ切り、初の決勝進出を果たした。


決勝
Red Eagles兵庫 VS 金沢ベストブラザーズ
先制点は驚くほど速い時間だった。
開始40秒ほど、Red Eagles内海恭平が右サイドでボールを奪い、中央の山田貴大へ、山田からゴール前の下田貴之へ、下田が後方からのパスにうまく合わせてゴール、Red Eaglesが先制した。
Red Eaglesはこれまでの金沢の試合を観て、ボールを大きく動かしていこうと考えていたという。
金沢ベストブラザーズにとっては今大会初めてリードを許した展開、これまでは強烈ツインシュートで点をとり相手を焦らして勝ち上がってきた。

後半なんとか点を取りにいこうとしたものの、Red Eaglesが追加点。相手ゴール前で左右にパスを回し左の山田がシュート、こぼれ球を内海が拾い寄せてきた城下歩をうまくいなして右の中村へ、中村ダイレクトでニアに蹴りこんだ。
さらに16分には内海はゴールエリア内で2人の間をうまく抜いてダメ押し点、3-0でRed Eagles兵庫が2大会ぶり3度目の優勝を飾った。

Red Eagles兵庫は、他地域に比べると比較的練習はできたようだ。連動した攻撃も随所に見られたがその影響は少なくないだろう。
一方、金沢ベストブラザーズはあまり練習を積み重ねることができなかったようだが、やるべきことをはっきりさせることで準優勝までたどり着いた。
またセットプレーのキーマンだった長瀬義則は63歳でも輝くことでできるという、電動車椅子サッカーの一つに可能性を切り開いた。
MVPはゴールにアシストにと大活躍した山田貴大が受賞。チームの中心選手として活躍した内海恭平も、以前と比べプレーに余裕が感じられ、ピッチ全体を見れるようになってきた。


決勝は、例年であれば敗れた選手たちが熱い視線をファイナリストたちに向けピッチサイドも熱気で埋め尽くされるのだが、新型コロナウィルス感染対策で敗退後は即座に会場を後にしなければならない今大会は閑散とした様相でいさかか寂しい気もしたが、開催できたことそのものを評価せねばならないだろう。

今大会2日目(マックス10初日=5月4日)はジャトコ株式会社の方々が選手のフットガードの着脱や歪みの修正などをサポート、まさしくピットという感じでなかなか壮観であった。


今大会は日本代表監督近藤公範も全試合を視察。来年のW杯に向けて代表活動も6月から始動するという。
現在代表強化費を募ったクラウドファンディングを実施中である。https://readyfor.jp/projects/jpfa2022/announcements/213305


以下のチャンネルでは各試合の映像を観ることができます。
百聞は一見に如かず、是非こちらをどうぞ。
私の駄文も多少のガイドくらいにはなるかもしれません。

https://www.youtube.com/channel/UCZv-UAADJmJDW6NcDksMzXg