なでしこジャパンの選手たちの、子どものころからの成長を描いた「なでしこの誓い(学研)」を読んだ。
著者は知人の上野直彦氏。
児童書だが、大人が読んでも充分読める本になっている。
ことに安藤梢選手の章は読ませる。
また基本的なサッカー用語の解説も載っているので、なでしこジャパンの躍進で興味を持ったサッカーど素人にもお薦め。
女の子も、おじいちゃんも、お母さんも、家族みんなで読める本。
とても欲張りな本です。
もちろんいい意味で。
もちろんサッカー大好きな、サッカー馬鹿にも対応してます。
選手も著者も、サッカー馬鹿だからね。
もちろん誉め言葉です。
構成としては、
プロローグ
第1章 川澄・上尾野辺選手
第2章 安藤・鮫島選手
第3章 大儀見選手
第4章 丸山選手
第5章 宮間選手
エピローグ
という流れだが、大儀見選手と丸山選手が逆でも良いのではないかという気もした。
ドイツでプレイすることになった安藤選手、大儀見選手をつなげ、その後にスーパーサブを持ってきている構成も悪くはないが、大儀見選手と宮間選手とつなげることによって、両選手の対比や結びつきを印象付けると、より面白く読めるのになあと勝手に思ったりした。
もちろん、単純な入れ替えは無理だけど。
拙著「アイ・コンタクト(岩波書店)」で、もっとも苦労したというか試行錯誤した点の一つは、選手の並びというか順番というか構成だった。
何度も何度も構成を入れ替えてシュミレーションし、自然に読める、自然に頭に入りやすい並び順を探った。
構成を入れ替えれば、内容も大幅に書き換えなければならない。
拙著「アイ・コンタクト」は絶対途中から読んでほしくないと考えて書いた本だった。
もともとが映画の人間だから、きっとそういう考え方をしてしまうのかもしれない。
「なでしこの誓い」から随分離れた話しになってしまいました。
「なでしこの誓い」に関して好き勝手なことを書いておくと、鮫島彩選手のことはもう少し読みたかったかなあ。
選手の人選に関しては、守備側の選手も取り上げてほしいなあという気もした。
また丸山選手のゴールに関しては、山郷選手とのエピソードを一言盛り込んでほしかったような。
ページ数の制約、児童書であることの制約(?)、物理的な取材の限界など、そうもいかない事情もあったのかもしれない。
選手名があえて明記されていないかなり不自然な箇所があったが、いろいろと事情もあったのかなあ。
まあ勝手な憶測で書いているだけですが。
言うのは簡単、書くのは大変です。
「なでしこの誓い」が、「読んで損はない」という本であることは確かです。