11月3日~4日電動車椅子サッカーの全国大会である『パワーチェアーフットボールチャンピオンシップジャパン2019』が静岡県エコパアリーナで開催され、全日程観戦してきた。
この大会に初めて来たのは2006年(当時は大会の名称等が異なる)、その後2011年より毎年来ているが2017年までは映画『蹴る』や『プライドinブルー』撮影のため、昨年は映画『蹴る』の宣伝ブースを出したりということもあり、今回が初めての純粋な観戦。トータル10回目ということになる。
大会の情報を発信する人も増えたので、ブログの更新さぼっちゃおうかと思ったが、振り返っておく。
初日の開会式の前には、先週オーストラリアで開催されたAPOカップに出場した選手、監督等からの報告があった。
日本チームは大会結果は2位に終わったものの、最低限にして最大のミッションであったW杯出場件を獲得した。(個々の試合に関してブログの過去記事を参照してください)。
監督からは、様々な情報等が世界のスタンダードより大きな遅れをとっていることが報告され、今後に大きな課題も残した。
例えばルールの適用に関しての情報等が大会前に日本チームには入っておらず、そのことがイエローカードを数多く受けてしまった面もあるようだ。
そのことがチャンピオンシップにも大きな影響を与えていった。
大会には、制限速度が10㎞のマックス10、6㎞のパワフル6にそれぞれ13チームが参加。トーナメント制で日本一を争った。
大会初日は4面で同時キックオフ。2面は10㎞部門(マックス10)、もう2面は6㎞部門(パワフル6)。
各地の映画『蹴る』上映に来てくれた選手等も多数出場しており全部の試合を観たいのだが、注視する試合を絞らざるを得ない。
これが一番悩みの種。どうしても10㎞を中心で観ていくことになってしまう。得点の気配が漂う時は、横目で見たりもしていたのだが。
第1試合はマックス10(10㎞部門)、FCクラッシャーズ(長野)と大阪ローリングタートルの対戦に注視。
クラッシャーズは飯島洸洋の創造性溢れるサッカーからは目が離せないし、森山もとかく話題を提供してくれる。大阪ローリングタートルは昨年6㎞部門で優勝。満を持して10㎞部門にチャレンジしてきたチームである。
映画『蹴る』の立場から言うと、松本と大阪の上映に来てくれた選手たち同士の対戦。
試合が動いたのは前半7分、飯島のフリーキックに森山が合わせて先制。その後は大阪が攻め込むが、そのまま前半を終え後半へ。
後半、クラッシャーズが追加点を奪えないなか、15分、大阪は山田からのパスを宮川がゴール、同点に追いつく。
しかしその後、飯島がフリーキックを直接蹴りこんで勝ち越し、2回戦にコマを進めた。
大阪ローリングタートルは魅力的なタレントも多数在籍しており、今後がとても楽しみなチームである。
金沢ベストブラザーズとYOKOHAMA Bay Dreamの対戦は、プレイングマネージャー城下歩率いる金沢が2-0でべイドリームを下した。ベイドリームは近年チーム力を確実に上げてきているのだが、なかなか上位進出がかなわない。
パワフル6(6㎞部門)はファインフレンズ(大阪)が2-1でウイニングフェニックス(千葉)に勝利。以前関東大会があったときは ウイニングフェニックスの試合も観ることができたが今大会はほぼ見れずじまい。すいません。
レインボーから枝分かれしたイルシオン東京は3人の廣島マインツに0-0、PK戦でも勝負がつかず、なんと抽選で敗れ去った。
第2試合10km部門、Yokohama Red Spiritsとプログレス奈良の対戦。
レッドスピリッツはYokohama Crackersから枝分かれしたチーム、若手とベテランのメンバー構成。12分、近藤鉄平のゴールで先制。その後、佐藤虎汰朗の左サイドのキックインから内田がファーで合わせ2点目。19分には流れの中から鉄平がこの試合2点目。
後半3分、虎汰朗のキックインからファーで待つ山田春香は惜しくもゴールにはならない。その後、10分には虎汰朗のゴールで4点目。17分には流れのなかから虎汰朗の右サイド深い位置からの折返しを鉄平が蹴り込んでハットトリック。レッドスピリッツは、若手の佐藤虎汰朗、近藤鉄平の活躍で快勝。この二人は電動車椅子サッカーを始めた時から知っているが、力の付け方が半端ない。将来とても楽しみな選手たちだ。
もう1つの10km部門は、A-pfelle広島PFCとレインボー・ソルジャー(東京)。レインボーは前述のイルシオン東京と別れ10km部門を選んだ選手たちのチーム。北沢のアシストから中坪のゴール、内橋の個人技によるゴールで2-0で広島を破ったが、広島にとってはPKをめぐる微妙な判定もあり、少々後味の悪い敗戦ともなった。
6km部門はDKFBCディスカバリー(愛知)とTAMA猿(東京)の対戦は、ディスカバリー池田、永田コンビの得点等で12-1の大量得点差勝利。ディスカバリーは、池田が急速に力をつけ、永田、高垣、平西の4人のバランスがとても良い。
スクラッチ香川とFINE(東京)の対戦は、2人で試合に臨んだ香川が一人になってしまい、無念の没収試合。
第3試合10km部門、Nancheter United鹿児島 Safilva(北海道)は、ナンチェが井戸崎竜斗、東、井戸崎、塩入、井戸崎のゴールで5-0の勝利。井戸崎竜斗は、東、塩入という日本の誇る選手たちに揉まれ、着実に力をのばしつつあるようだ。またSafilvaの町田も将来性を感じされる選手に思えた。
6km部門1回戦最後の試合は佐賀のInfinity侍と長野のバレッツの対戦。バレッツは前半14分、木村のパスを土屋が決めて先制、しかし後半8分、佐賀の熊本睦子が気迫でゴールに押し込み同点に追いつく。“佐賀のなでしこ”こと熊本さんは、佐賀市での映画「蹴る」の上映、福岡市での上映に2日連続で来てくれて思い入れのある選手だったので思わずガッツポーズ。松本の上映に来てくれたバレッツの皆さん、すいません。私の個人的な思いはともかく、バレッツが5分後には向山から宮崎のゴールで勝ち越し、そのまま逃げ切った。
6km部門、2回戦に入ったファインフレンズとマインツの試合はスコアレスドローでPK戦へもつれ込む展開となり、ファインフレンズがベスト4に駒を進めた。
第3試合のもう一つは、1回戦を勝ち上がった金沢ベストブラザーズとクラッシャーズ。
クラッシャーズは前半19分飯島、後半井出のゴールで2-0。クラッシャーズが金沢を退け、ベスト4へ。すいません、この試合あまり観れてません。
第4試合10km部門2回戦、Yokohama Crackers とレインボーの宿命の関東勢対決。
序盤から相手陣内に攻め込むクラッカーズは、前半13分フリーキックのチャンス。
一度はレインボーが跳ね返すものの、三上から中山環に渡ったボールを中山が前突きでゴールに押し込み先制。APOカップに5人中4人が参戦。ただ一人日本に残り、昨年度在籍していたレッドスピリッツと練習を積み重ねた中山のゴールだった。15分にはクラッカーズの三上が直接フリーキックを北沢と内橋の間に蹴り込み追加点。後半3分には、右コーナーキックを永岡真理がニアで合わせて3点目。
その後、レインボーは、右サイドのキックインを北沢から内橋へ縦パス、内橋が折り返し東が中央でダイレクトで合わせた。計算されつくしたレインボーらしい見事な得点。しかし試合はそのまま3-1で終了。クラッカーズが2日目の準決勝への進出を決めた。
レッドスピリッツが昨年の優勝チームRed Eagles兵庫に挑んだ試合は、地力の差を見せつけられ5-0で兵庫が準決勝へ。
6km部門残りの2回戦は、ディスカバリーが2-0で、昨年の準優勝チームJPDソニック~京都電動蹴球団を2-0、埼玉のBLACK HAMERSが5-1と勝利、兵庫パープルスネークスはバレッツを6-1と撃破し、それぞれベスト4進出。
そして今年度から10km部門に参戦した地元静岡のSFCデルティーズが強豪ナンチェスターユナイテッドに挑む2回戦最後の試合は、ナンチェが常磐から優位に試合を進める。デルティーズにはどことなく固さが見られる。1回戦不戦勝、2回戦からの出場で最初に試合が16時キックオフということも固さにつながってしまったのかもしれない。
2分過ぎには東のセットプレーからのパスを塩入が蹴り込み先制、1分後には東が前突きで押し込み2点目。速い時間帯にナンチェが得点を積み重ねる。しかしデルティーズも長谷川がチョンとだしたフリーキックを石脇がシュート(?)、中村に当たってゴール。1点を返す。
しかし後半4分には東の直接フリーキックがゴール、7分には東のフリーキックを塩入が合わせる。その後も東の得点で5-1としたナンチェが準決勝進出を決めた。
デルティーズにとってはほろ苦い10km部門のデビュー戦となった。
だがこの試合で最もショッキングな出来事は、両チームのキャプテン石脇、塩入が2枚のイエローカードをもらい退場処分となったこと。そしてベスト4へと駒を進めたナンチェが翌日の横浜クラッカーズとの準決勝を塩入抜きで戦わなくてはならなくなったこと。
これはナンチェ側からすると壊滅的なダメージだった。個人的には、(敗れたチームの皆さんには申し訳ないですが)準決勝でのクラッカーズとナンチェの試合をもっとも楽しみにしていた。
もちろん次戦の出場停止はルールなので仕方のないことではあるのだが、この大会では1週間前にオーストラリアで運用されたルールの基準を急遽導入しており、これまでであればまず退場につながるようなプレーではなく、即座に納得するには難しい退場劇となった。
ナンチェの立場からすれば、1枚目のイエローをもらったところで塩入を引っ込めるという考えがあっても良かったのかもしれない。
本来であれば、APOカップの前に日本が正確な情報を得て、代表も対策を講じ、各チームにも伝達されるべきであっったが、日本は情報を得ることが出来ておらず“悲劇”を生むこととなった。
“悲劇”という言い方が適切かどうかはわからないが、この一連の流れを教訓として、2021年のW杯や来年の全国大会につなげていかなくてはならないことは急務であろう。
最後まで書き上げてアップしようと思っていましたが、1日目で力つきました。
拙いメモを元に書いているので、もし間違い等あったらご指摘ください。
上映でお世話になったにも関わらず全く言及出来てないチームもあり、申し訳ありません。
上映でお世話になったすべての皆様ありがとうございました。
これからお世話になる方々、よろしくお願いします。
(続く)