サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

ソーシャルフットボール全国大会の記事

2024年04月27日 | ソーシャルフットボール

4月13~14日の2日間、SAGA2024「第23回全国障害者スポーツ大会」オープン競技として第5回ソーシャルフットボール全国大会が開催され、取材に行き、Paraphotoに記事を書きました。
ソーシャルフットボールは精神障害を抱えた人のフットサルです。
是非、ご一読ください。

https://www.paraphoto.org/?p=39521


ソーシャルフットボール日本代表候補小林耕平さんの短編ドキュメンタリー

2022年05月22日 | ソーシャルフットボール

ソーシャルフットボール日本代表候補小林耕平さんの短編ドキュメンタリーを制作。
記事ともども、是非、ご覧ください。

「昔、引きこもり。今、日本代表」自閉症・発達障害の代表選手がフットサルスクールで子どもに寄り添う理由 - 中村和彦 | Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム

以下、記事の巻頭の紹介文

精神障害者のフットサルであるソーシャルフットボール日本代表の小林耕平(29)にとって、「フットサル」は特別なものだった。かつて、引きこもりで高校に行けなかった時の「社会との唯一の接点」。「それだけは行かな、マジで死んでしまうみたいな」

「そこで出会った人たちが真剣に向き合ってくれたから、今の自分がある」と語る小林は、自閉スペクトラム症など自らと同様の障害を持つ子どもたちを相手にフットサルスクールを開催している。会場から走り去ってしまったり、はなから参加できなかったり。そんな子どもたちに「居場所を提供したい」と、小林は全力で寄り添い続ける。その姿を見つめた。


ソーシャルフットボール日本代表 幻のゴールで準々決勝敗退…

2018年05月16日 | ソーシャルフットボール

 イタリアで開催中の精神障がい者のワールドカップ「Dream Worldcup2018」、15日、ソーシャルフットボール日本代表は準々決勝でハンガリーと対戦。2-3で敗れ、2大会連続の優勝には手が届かなかった。
試合は先ほど終了。終了間際、小林耕平選手の遠目からのゴールが決まったようにも思えたが試合終了のホイッスル。ゴールネットを揺らしたかどうかは映像では確認できなかったのだが、シュートした小林選手がガッツポーズした直後に試合終了となった。得点が認められていれば同点ゴールとなるはずだった。うーん…。

 大会には10ヶ国が参加予定だったがセネガルが不参加。日本のグループBは4ヶ国となってしまい、順位をつけるための3試合となった。4ヶ国ともに準々決勝に進出できるが1位になれば別グループの4位と対戦することになり、普通に考えれば有利にはたらく。個人的には9ヶ国となった時点で来るグループ2位以上が準決勝進出、準々決勝は無しにしても良いのではないかと思った。
 日本代表は大会初日の13日初戦のフランスには17-2の大勝、同日に行われたアルゼンチン戦も8-0の勝利。幸先の良いスタートを切った。
中1日で対戦したスペインは前述の2チームと比べて自力のあるチーム。試合は日本が押し込む展開だったがカウンターから2失点。しかし日本は松嵜、黒沼のゴール等、分厚い攻撃力で逆転し8-2と得点差を広げる。ゴレイロ川岸も好守で追加点を許さない。終了間際に1点を返されたものの8-3の見事な勝利。その結果、日本代表はグループリーグ3戦全勝で1位通過を決めた。尚、グループリーグの試合は10分ハーフ、時計を止めるプレーイングタイムで行われた。

 一方グループAはイタリアが全勝で1位通過を決めたものの、2位から4位までは勝ち点6で並ぶ混戦。得失点差で、2位チリ、3位ペルー、4位ハンガリーとなった。このグループは最終戦を前にした段階ではハンガリーが2位通過するかと思われた。しかしチリに6-16の敗戦。この試合は観ていないが、おそらく主力選手を休ませたのだろうか。

 日本は12名で大会入りし10名のフィールドプレイヤーがまんべんなく出場していたが、他国はもう少し人数も少なく主力と控え選手がはっきり分かれているような印象でもあった。日本はほとんどの試合でスターターは、ゴレイロ川岸、フィクソ北澤、ピヴォ八木、アラに中島と竹内。ある程度の時間が経つとフィクソ松嵜、ピヴォ竹田を中心としたユニットに交代。アラには黒沼、小林崇太郎、小林耕平、加村などが入り、順次交代していく。出場する選手でチーム力が落ちることもないし、連戦の疲れもため込まない。

 そしてハンガリーとの対戦になった準々決勝はハンガリーが先制、前半は追いつくとことが出来ずに折り返す。後半、松嵜のCKを黒沼が蹴り込み同点、さらには中島が中央から持ち上がり竹田のポストプレ―から小林崇太郎がシュート、逆転ゴールを奪った。しかしハンガリーはフリーキックで同点、ゴレイロからのパスを受け反転したシュートが決まり3対2と再逆転。
 その後、残り時間が少なくなってくると、日本はフィクソの北澤がGKユニフォームを身に纏いパワープレーに出る。 合宿でも練習してきた形だ。
 そして幻の同点ゴール…。
 その後再度映像を確認したが、シュートした直後に試合終了のホイッスルが吹かれ、ホイッスルが鳴っている間にゴールネットを揺らしたように思える。試合終了って、ホイッスルの吹き始めが試合終了のタイミングなのだろうか??
シュートしそうな位置、態勢だったら審判も一呼吸笛を吹くのを待ったのかもしれないが、意外性のある位置からのループ気味のボレーシュートのようだったので気にせず吹いてしまったのだろうか。吹いてしまったからにはゴールは認められないということだろう。

スペイン3部リーグでも同様のことがあったようだ。
https://www.theworldmagazine.jp/20171103/01world/spain/185927

 日本代表は準々決勝で敗れてしまった。決勝まで進む力は充分あるように思えたし、地元イタリアとの対戦が実現しなかったことは残念だった。初戦のフランス戦以外はパソコンにかぶりつき中継を観戦、明日も観る気満々だったので少々さみしい。

 前回大会はすべて生観戦、今大会はインターネット中継の映像観戦だったので単純比較は出来ないが、個人のパフォーマンスはともかく、総合力という意味では2年前より確実に進化しているように思えた。

とにもかくにも選手、スタッフの皆さま、お疲れ様でした!


(注)前述したようにネット中継の不鮮明な画像を観ての記事なので不正確な点があるかもしれません。お気付きの点があれば、ご指摘ください。


ソーシャルフットボール日本代表 Dream Worldcupに出場 (追記有)

2018年05月11日 | ソーシャルフットボール

 ソーシャルフットボールの国際大会「Dream Worldcup2018」が5月13日~16日イタリアローマで開催、日本代表がディフェンディングチャンピンとして出場する。競技としてはフットサルの大会ということになる。その壮行会が5月9日にJFAハウスでおこなわれ、私も行って来た。

 壮行会はもう少しメディアの人も来てくれたら良いのになあという人数ではあったが、奥田亘監督を始め、キャプテン八木選手、関東在住の松嵜、竹田、原田選手等が参加、大会に向けての意気込みを語った。

 

 ソーシャルフットボールとは、精神疾患・精神障がいのある人たちが、チームワークとコミュニケーションが求められるフットボールを通じて、社会参加・回復を目指すというもの。実際、「以前は対人関係が怖かったのだが、フットサルを通じて心を開いていくことができた」「以前は自信が持てなかったが、少しずつ自信が持てるようになった」といった選手たちの声も聞かれた。

 ソーシャルフットボールの世界大会は2016年2月に大阪で初めて開催、今大会が2大会目となる。前回大会には3か国(日本、イタリア、ペルー)が参加、日本代表チームが初代チャンピオンに輝いた。ただイタリアの選手たちはフットサルよりもサッカーを得意としている選手たちが多かったり、地元の利などもあっての優勝という側面もあった。

 前回大会の様子は、過去のブログ記事を参照。全て生観戦した。
https://blog.goo.ne.jp/kazuhiko-nakamura/e/34a7077b8ebfcf0dc32a7270d12ec597
https://blog.goo.ne.jp/kazuhiko-nakamura/e/b332374700970863195d4edf3c65437e

 今大会はヨーロッパでの開催ということもあり10ヶ国が参加。5チームずつに別れて総当たりのグループリーグを戦い、準々決勝へという流れになる。グリープAは、イタリア、チリ、ハンガリー、ペルー、ウクライナ。グループBは、日本、アルゼンチン、スペイン、セネガル、フランス。全国からセレクションした代表なのか、あるいは単一の病院を中心としたチームなのか、各国の情報は少ない。前回大会のリベンジに燃えていると思われる地元イタリアチームは、早くからセレクションを始めて準備を進めているようだ。 

 ちなみに日本は精神科の病床数が世界一多く、長期入院も問題となってきた。一方のイタリアは早い時期に精神科病院を解体、地域精神保健センターによる在宅ケアへと舵を切った国でもある。

 そんなイタリアの精神科医バザーリアを描いた、こんな映画もある。
「むかしMATTOの町があった」予告編  (予告は私が以前作ったのですが、急ぎで作ったので粗いです…。)
https://www.youtube.com/watch?v=SxuHQME9Y_o

 ソーシャルフットボール日本代表に話を戻す。奥田監督は前回大会に引き続いてチームを預かる。前回はチームをまとめ上げ力を引き出すことに心を砕いたが、今回は選手たちにより厳しい要求をしている。実際、合宿の時もそういった様子は見受けられた。要求に応え得るという信頼感があってのものだろうし、 選手たちはそういった要求・期待に是非応えて、持てる力を出しきってきてほしい。そのことが「誰かの助けになれば」「認知度の向上を図りたい」という選手たちの言葉にもつながってくるだろう。

 尚、日本代表選手12名は昨年6月末にお披露目された障がい者サッカー連盟統一ユニフォームで大会に臨む。ユニフォームデザインのコンセプトをきちんと聞いたことはないのだが、私は勝手に以下のように考えている。
 サムライブルーのユニフォームは、歴史を紡ぐ糸をイメージした刺し子柄のデザインである。白い線が消えているところは裏に糸が通っているということだ。一方、統一ユニフォームは線は細いが実線となっている。裏を通っていた糸、つまりこれまで社会の目立たないところにいた障がい者サッカーが、表に、社会に出てきて一本の線につながった。そんな解釈である。


障がい者サッカー連盟7団体の代表選手たち 


以下は大会スケジュール。時間はいずれもイタリア時間。日本時間はプラス7時間。
5月13日(日)
10:50~  vsフランス
18:30~    vsアルゼンチン
14日(月)
9:30~  vsセネガル  セネガルとはロシアW杯のサムライブルーより一足先に対戦。
*セネガル不参加のため、14日の日本の試合は無し。
15日(火)
9:30  vsスペイン
準々決勝 1位通過の場合 16:40~  2位通過の場合17:30~
16(水) 
10:00~ あるいは 11:20~ 準決勝
16:20~ 決勝  

尚、詳しいレギュレーションやスケジュールはっきりしていない点もあり、日本ソーシャルフットボール協会のホームページやFacebook等を参照。試合によっては中継もあるようで、その点も随時更新される予定。
http://jsfa-official.jp/index.html
https://www.facebook.com/jsfakokusai2016/ 

(追記)
セネガルは不参加となり、参加国は9ヶ国に。

初日の戦績
日本 17-2 フランス
日本 8-0 アルゼンチン


日本代表の優勝で幕を閉じた第1回ソーシャルフットボール国際大会

2016年02月29日 | ソーシャルフットボール

 いやあ面白かったイタリアvsペルー。
大阪府堺市J-GREEN堺で開催された第1回ソーシャルフットボール国際大会2日目(最終日)の3位決定戦。心が震えました。両チームともに気持ちが入っていたし、ペルーは前日とは別のチームのようだった。
 印象に残ったのはペルーの最後尾(フィクソ)背番号2番のハビエル。前日は遠目から可能性の低いロングシュートを放っては無駄に相手ボールにしていたが前夜に監督からもいろいろと言われたのだろうか?3位決定戦では最後尾で我慢して無闇に上がることもなくパスを散らし集中したプレーを見せてくれた。
試合はペルーのパスが小気味よくつながりペルーが先制点をあげる。そしてよもや最下位で帰国するわけにはいかないカルチョの国イタリアチームの心に火がつく。この試合初めてドリブルで持ち上がろうとするハビエルからイタリアのピヴォ、エンリケがボールを奪ってそのままドリブルシュート。イタリアが同点に追いつく。
そして今度は右サイドからのパスを受けたイタリアのクリスティアンが一瞬タメを作り冷静にゴレイロの動きを見てゴールに流し込む。イタリア逆転。
しかし今日はペルーの選手たちの集中力が途絶えることはない。自陣深くからのロングパスを前線で受けたナバーロが同点ゴールを決める。
前半を2-2で折り返し迎えた後半の立ち上がり、ペルーの選手がお見合いをしたような形になり失点、再びイタリアにリードを許す。その後もペルーは気持ちを切り替え集中した守備を見せるものの、資金不足のため7人しか来日できなかった影響が疲れとして出てきたのだろうか?その後もイタリアがさらに得点を積み重ねる。
しかしペルーも粘りを見せる。残り3分をきったところで右サイドからのアーリークロスをヘディングシュートで叩き込み1点差に追い上げる。ハビエルは足が攣りいったんは担架で運び出されるものの再びピッチに舞い戻ってくる。
ペルーサポーターからのコールにもさらに熱さが増す。在日ペルー人らしき人々は前日の7~8倍!1人が7~8人になったということですが。
しかし残り1分を切りナバーロが放ったシュートは無情にもポストを叩く。負けられないイタリアは前線で懸命にボールキープ、何とか4-3で逃げ切った。

ペルーには来日当初物見遊山的な気分があったのかもしれない、イタリアには慢心があったのかもしれない。 きっちりと準備して大会に臨んだ日本チームに目を覚まされた両国が持てる力を発揮した見所溢れる一戦となった。(ペルーは日系3世である森岡薫氏の激励が効いたのかもしれない)。
覚醒するのがもっと早かったら日本チームとの対戦もどちらに転んだかはわからなかっただろう。

そして日本人同士の対戦となった決勝戦。
先制点をあげたのは、前日も切れ味鋭いドリブルから再三相手ゴールを脅かしていた日本代表中島選手。試合開始から1分もたたない時間帯。一瞬空いたシュートコースを見逃さず正確なインサイドキックでゴールネットを揺らした。大阪のゴレイロ細島選手は見方フィールドプレーヤーが死角になって動けなかったようだ。
流れは一気に日本代表へ。その後も野尻選手のゴールで前半を2-0で折り返す。そして後半に入り中島選手がこぼれ球につめこの試合2点目のゴールをあげ3点差にリードを広げる。このゴールが大きかった。代表よりも平均年齢の高い大阪チームには疲れも見え始め、その後、日本代表は八木選手のハットトリック、竹田、竹内選手のゴールで8得点をあげ失点はオウンゴールのみ。よもや国内のチームに負けるわけにはいかない日本代表としてのプライドもあっただろう、終わってみれば8-1の大差で日本代表が優勝した。

MVPを獲得したのは中島選手。左サイドからカットインしてシュートに持ち込む姿など五輪予選でMVPを獲得した中島翔哉選手を彷彿とさせるものがあった。 またゴレイロ佐藤選手の身体能力あふれるセービングには会場からもたびたびどよめきがおきていた。素晴らしいのは弾きだすのではなくしっかりとキャッチすること。

日本代表が優勝出来たのはホームの利もあっただろうが、きっちりと準備してきたからこそだろう。
グループリーグ初戦のイタリア戦で試合開始早々に先制出来たのも大きかった。竹内選手がスペースへ走り込みパスを受け起点となり竹田選手が決める。パスを出したのは中島選手だっただろうか(あるいは松嵜選手?)。チーム内で共有できていたイメージ通りのゴールが奪えたことにより波に乗れた面はあったように思う。

日本代表の皆様、優勝おめでとうございます!

そしてこの大会は開催されたこと自体も特筆すべき点だ。参加国は3カ国(ダジャレじゃないです)だったが、第1回がなければ第2回はない。大会会長の岡村氏が閉会の辞で述べられたように、この大会は確実に「世界につながるパス」になったのではないか。
イタリアもこのままでは引き下がれないだろう。サッカーでも精神医療の分野でも遙か先を走っていたのだから。

ソーシャルフットボール、精神障害のフットサル(あるいはサッカー)が、障害の面で他の6団体と異なるのは『治る』可能性があるということだろう。(もちろん現在難病と言われているものでも医療の進歩により『治る』ことはありえるだろうが)
『治る』ということは逆の言い方をすれば出場資格を失うということでもある。それはうれしい悲鳴だ。だがなかなかそう簡単に完治するものではないだろう。実際はフットサル(やサッカー)があることでなんとか社会や現実と折り合いをつけつつ生きていく、生きていけるという場合も多いのではないか。ピッチの中での自由、そして共有された規律、そして何よりも『何かを達成出来たという自信』が実生活にもフィードバックされていくことだろう。

また他の障がい者サッカー6団体と比較して、いわゆる健常者が当事者になる可能性が極めて高いにも関わらず精神障害のフットボールはとても理解されにくい。これは日本の精神障害者が地域ではなく『隔離』され続けてきた歴史と無縁ではないだろう。

そういった意味でも日本代表の優勝で幕を閉じたこの大会は、『偏見をもって見られてしまう影の存在』が、『輝ける存在』として表舞台に登場してきという意味でも意義深いものがあった。いや単純にカッコよかったんですけどね。

前述したように、ピッチの中では自ら瞬時に判断していなくてはならないフットサル(やサッカー)は、日本の精神医療を切り裂く(いい意味で)起爆剤になるのではないか、そういうサッカーの力を感じさせる大会でもありました。
(精神医療に関してそれほど詳しくはないですが、少々偉そうな書き方になっている点はご容赦ください。)

また大会にはデフフットサル男女の選手も観戦に訪れた。是非、タイミングをみはからってガチンコの強化試合をやってほしい。しびれるいい試合になると思います。

注)他の6団体とは、アンプティサッカー、知的障がい者サッカー、電動車椅子サッカー、脳性麻痺7人制サッカー、ブラインドサッカー、ろう者サッカー。