サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

ソーシャルフットボール日本代表 幻のゴールで準々決勝敗退…

2018年05月16日 | ソーシャルフットボール

 イタリアで開催中の精神障がい者のワールドカップ「Dream Worldcup2018」、15日、ソーシャルフットボール日本代表は準々決勝でハンガリーと対戦。2-3で敗れ、2大会連続の優勝には手が届かなかった。
試合は先ほど終了。終了間際、小林耕平選手の遠目からのゴールが決まったようにも思えたが試合終了のホイッスル。ゴールネットを揺らしたかどうかは映像では確認できなかったのだが、シュートした小林選手がガッツポーズした直後に試合終了となった。得点が認められていれば同点ゴールとなるはずだった。うーん…。

 大会には10ヶ国が参加予定だったがセネガルが不参加。日本のグループBは4ヶ国となってしまい、順位をつけるための3試合となった。4ヶ国ともに準々決勝に進出できるが1位になれば別グループの4位と対戦することになり、普通に考えれば有利にはたらく。個人的には9ヶ国となった時点で来るグループ2位以上が準決勝進出、準々決勝は無しにしても良いのではないかと思った。
 日本代表は大会初日の13日初戦のフランスには17-2の大勝、同日に行われたアルゼンチン戦も8-0の勝利。幸先の良いスタートを切った。
中1日で対戦したスペインは前述の2チームと比べて自力のあるチーム。試合は日本が押し込む展開だったがカウンターから2失点。しかし日本は松嵜、黒沼のゴール等、分厚い攻撃力で逆転し8-2と得点差を広げる。ゴレイロ川岸も好守で追加点を許さない。終了間際に1点を返されたものの8-3の見事な勝利。その結果、日本代表はグループリーグ3戦全勝で1位通過を決めた。尚、グループリーグの試合は10分ハーフ、時計を止めるプレーイングタイムで行われた。

 一方グループAはイタリアが全勝で1位通過を決めたものの、2位から4位までは勝ち点6で並ぶ混戦。得失点差で、2位チリ、3位ペルー、4位ハンガリーとなった。このグループは最終戦を前にした段階ではハンガリーが2位通過するかと思われた。しかしチリに6-16の敗戦。この試合は観ていないが、おそらく主力選手を休ませたのだろうか。

 日本は12名で大会入りし10名のフィールドプレイヤーがまんべんなく出場していたが、他国はもう少し人数も少なく主力と控え選手がはっきり分かれているような印象でもあった。日本はほとんどの試合でスターターは、ゴレイロ川岸、フィクソ北澤、ピヴォ八木、アラに中島と竹内。ある程度の時間が経つとフィクソ松嵜、ピヴォ竹田を中心としたユニットに交代。アラには黒沼、小林崇太郎、小林耕平、加村などが入り、順次交代していく。出場する選手でチーム力が落ちることもないし、連戦の疲れもため込まない。

 そしてハンガリーとの対戦になった準々決勝はハンガリーが先制、前半は追いつくとことが出来ずに折り返す。後半、松嵜のCKを黒沼が蹴り込み同点、さらには中島が中央から持ち上がり竹田のポストプレ―から小林崇太郎がシュート、逆転ゴールを奪った。しかしハンガリーはフリーキックで同点、ゴレイロからのパスを受け反転したシュートが決まり3対2と再逆転。
 その後、残り時間が少なくなってくると、日本はフィクソの北澤がGKユニフォームを身に纏いパワープレーに出る。 合宿でも練習してきた形だ。
 そして幻の同点ゴール…。
 その後再度映像を確認したが、シュートした直後に試合終了のホイッスルが吹かれ、ホイッスルが鳴っている間にゴールネットを揺らしたように思える。試合終了って、ホイッスルの吹き始めが試合終了のタイミングなのだろうか??
シュートしそうな位置、態勢だったら審判も一呼吸笛を吹くのを待ったのかもしれないが、意外性のある位置からのループ気味のボレーシュートのようだったので気にせず吹いてしまったのだろうか。吹いてしまったからにはゴールは認められないということだろう。

スペイン3部リーグでも同様のことがあったようだ。
https://www.theworldmagazine.jp/20171103/01world/spain/185927

 日本代表は準々決勝で敗れてしまった。決勝まで進む力は充分あるように思えたし、地元イタリアとの対戦が実現しなかったことは残念だった。初戦のフランス戦以外はパソコンにかぶりつき中継を観戦、明日も観る気満々だったので少々さみしい。

 前回大会はすべて生観戦、今大会はインターネット中継の映像観戦だったので単純比較は出来ないが、個人のパフォーマンスはともかく、総合力という意味では2年前より確実に進化しているように思えた。

とにもかくにも選手、スタッフの皆さま、お疲れ様でした!


(注)前述したようにネット中継の不鮮明な画像を観ての記事なので不正確な点があるかもしれません。お気付きの点があれば、ご指摘ください。


ソーシャルフットボール日本代表 Dream Worldcupに出場 (追記有)

2018年05月11日 | ソーシャルフットボール

 ソーシャルフットボールの国際大会「Dream Worldcup2018」が5月13日~16日イタリアローマで開催、日本代表がディフェンディングチャンピンとして出場する。競技としてはフットサルの大会ということになる。その壮行会が5月9日にJFAハウスでおこなわれ、私も行って来た。

 壮行会はもう少しメディアの人も来てくれたら良いのになあという人数ではあったが、奥田亘監督を始め、キャプテン八木選手、関東在住の松嵜、竹田、原田選手等が参加、大会に向けての意気込みを語った。

 

 ソーシャルフットボールとは、精神疾患・精神障がいのある人たちが、チームワークとコミュニケーションが求められるフットボールを通じて、社会参加・回復を目指すというもの。実際、「以前は対人関係が怖かったのだが、フットサルを通じて心を開いていくことができた」「以前は自信が持てなかったが、少しずつ自信が持てるようになった」といった選手たちの声も聞かれた。

 ソーシャルフットボールの世界大会は2016年2月に大阪で初めて開催、今大会が2大会目となる。前回大会には3か国(日本、イタリア、ペルー)が参加、日本代表チームが初代チャンピオンに輝いた。ただイタリアの選手たちはフットサルよりもサッカーを得意としている選手たちが多かったり、地元の利などもあっての優勝という側面もあった。

 前回大会の様子は、過去のブログ記事を参照。全て生観戦した。
https://blog.goo.ne.jp/kazuhiko-nakamura/e/34a7077b8ebfcf0dc32a7270d12ec597
https://blog.goo.ne.jp/kazuhiko-nakamura/e/b332374700970863195d4edf3c65437e

 今大会はヨーロッパでの開催ということもあり10ヶ国が参加。5チームずつに別れて総当たりのグループリーグを戦い、準々決勝へという流れになる。グリープAは、イタリア、チリ、ハンガリー、ペルー、ウクライナ。グループBは、日本、アルゼンチン、スペイン、セネガル、フランス。全国からセレクションした代表なのか、あるいは単一の病院を中心としたチームなのか、各国の情報は少ない。前回大会のリベンジに燃えていると思われる地元イタリアチームは、早くからセレクションを始めて準備を進めているようだ。 

 ちなみに日本は精神科の病床数が世界一多く、長期入院も問題となってきた。一方のイタリアは早い時期に精神科病院を解体、地域精神保健センターによる在宅ケアへと舵を切った国でもある。

 そんなイタリアの精神科医バザーリアを描いた、こんな映画もある。
「むかしMATTOの町があった」予告編  (予告は私が以前作ったのですが、急ぎで作ったので粗いです…。)
https://www.youtube.com/watch?v=SxuHQME9Y_o

 ソーシャルフットボール日本代表に話を戻す。奥田監督は前回大会に引き続いてチームを預かる。前回はチームをまとめ上げ力を引き出すことに心を砕いたが、今回は選手たちにより厳しい要求をしている。実際、合宿の時もそういった様子は見受けられた。要求に応え得るという信頼感があってのものだろうし、 選手たちはそういった要求・期待に是非応えて、持てる力を出しきってきてほしい。そのことが「誰かの助けになれば」「認知度の向上を図りたい」という選手たちの言葉にもつながってくるだろう。

 尚、日本代表選手12名は昨年6月末にお披露目された障がい者サッカー連盟統一ユニフォームで大会に臨む。ユニフォームデザインのコンセプトをきちんと聞いたことはないのだが、私は勝手に以下のように考えている。
 サムライブルーのユニフォームは、歴史を紡ぐ糸をイメージした刺し子柄のデザインである。白い線が消えているところは裏に糸が通っているということだ。一方、統一ユニフォームは線は細いが実線となっている。裏を通っていた糸、つまりこれまで社会の目立たないところにいた障がい者サッカーが、表に、社会に出てきて一本の線につながった。そんな解釈である。


障がい者サッカー連盟7団体の代表選手たち 


以下は大会スケジュール。時間はいずれもイタリア時間。日本時間はプラス7時間。
5月13日(日)
10:50~  vsフランス
18:30~    vsアルゼンチン
14日(月)
9:30~  vsセネガル  セネガルとはロシアW杯のサムライブルーより一足先に対戦。
*セネガル不参加のため、14日の日本の試合は無し。
15日(火)
9:30  vsスペイン
準々決勝 1位通過の場合 16:40~  2位通過の場合17:30~
16(水) 
10:00~ あるいは 11:20~ 準決勝
16:20~ 決勝  

尚、詳しいレギュレーションやスケジュールはっきりしていない点もあり、日本ソーシャルフットボール協会のホームページやFacebook等を参照。試合によっては中継もあるようで、その点も随時更新される予定。
http://jsfa-official.jp/index.html
https://www.facebook.com/jsfakokusai2016/ 

(追記)
セネガルは不参加となり、参加国は9ヶ国に。

初日の戦績
日本 17-2 フランス
日本 8-0 アルゼンチン


デフサッカー男子日本代表 アジア2位

2018年05月06日 | ろう者サッカー

 韓国で開催されていた「第4回アジア太平洋ろう者サッカー選手権大会」決勝で日本代表は地元韓国と対戦。前半12分に東海林のゴールで先制したものの、後半セットプレーから2失点、韓国に逆転を許し準優勝に終わった。

 決勝は日本のスタッフがFacebook経由で中継、映像を見守った。
 先制点はGK松元からのロングキックを前線で競り合ったこぼれ球にボランチの東海林が反応しダイレクトでロングボレーシュート! GKの頭上を越え、ゴールネットに吸い込まれた。東海林の技術と広い視野に裏打ちされた見事なゴールだった。
 大会直前の練習試合ではほころびを見せていたディフェンスも安定、センターバックの仲井、設楽、ボランチの松本、東海林は全5試合に先発で固定され、隙のない連係した守りを見せる。
前半右サイドから崩されたことはあったが、それ以外は流れのなかでは決定的な場面を作らせない。
しかし後半8分、韓国のコーナーキックから、ニアで先に触られうまく合わせられ同点ゴールを許してしまう。
13分、日本は左サイドからのクロスを松本(?)がヘディングシュート、ゴールネットを揺らし勝ち越しゴールかと思われたがオフサイド。
逆に16分、韓国のフリーキック。ファーサイドでうまく折り返しニアに詰めた選手が押し込みゴール。韓国が逆転。

 いずれもセットプレーの守備で後手に回ってしまった結果の失点となった。
 その後、日本は何度かチャンスを作り出すものの1-2で試合終了。日本の優勝とはならなかった。

 植松新監督体制となってから初めての公式戦、大きな成果と少なくない課題の見えた大会となったことだろう。今回、選に漏れた選手、あるい他を優先し出場できなかった選手たちも含めて、世界選手権、そして2021年デフリンピック(ドバイ?ロサンゼルス?)でのさらなる躍進を期待しています。

詳しくはろう者サッカーのHPを参照。
http://jdfa.jp/news/deaf_soccer_men_final_korea_201804/


祝!デフサッカー女子日本代表アジアチャンピオンに

2018年05月01日 | ろう者サッカー

 なでしこジャパンのアジアカップ優勝に引き続き、“もう1つのなでしこジャパン”=デフサッカー女子日本代表が、韓国で開催されている第4回アジア太平洋ろう者サッカー選手権大会で優勝。女子のアジア規模の大会としては初開催、日本代表が初代女王に輝いた。
 おめでとうございます!
 
 大会には3か国が参加、総当たりで優勝を争った。日本は初戦のネパールに15-0、地元韓国を11-0と2戦とも大勝。無失点での優勝となった。
今大会は現地に行くことも出来ず中継もなかったので結果しかわからないのだが、おそらくネパール、韓国ともに結成間もない、あるいは練習もままならない、初心者も含まれているようなチームなのかもしれない。しかし優勝は優勝だ。本当におめでとうございます。
 ネパール、韓国選手のなかには今回の結果を受け、モチベーションが下がってしまった選手もいたかもしれない。懲りずに是非、今後も活動を継続していってほしい。合宿や遠征費用の捻出など簡単ではないが、アジアで切磋琢磨できるような関係になっていってほしい。

 優勝カップを高々と掲げたのはキャプテンの大谷遥佳選手。以前は、サイドバックのポジションで黙々と上下動を繰り返すものの、どこか抜けている印象もあったが、キュプテンとして責任感あるプレーをセンターバックのポジションで見せてくれているようだ。

 最優秀選手賞は、ネパール戦でセンターバック、韓国戦でボランチの位置に入った阿部菜摘選手。元々はFWの選手だが身体能力の高さなどからセンターバックにコンバートされていた。今大会ではどういうプレーをして評価されたのだろうか。相手ボールを次々と奪い攻撃の起点になっていたのだろうか。今後も守備の中軸としてのプレー、本当に期待している。

 得点王は2試合で6得点を挙げた宮田夏美選手。2015年ブルガリアデフリンピックの時は、気持ちは伝わってくるプレーヤーだったがどこか空回りしている印象もあった。その後、普通高、大学のサッカー部で揉まれ、様々なポジションも経験し成長著しい。
中学2年生の山崎優子選手は5得点、その他延べ11人の選手がゴールを挙げたようだ。今回の経験を基に、さらに成長していってほしい。もちろんその他の選手たちも。

アジアカップのなでしこジャパンは岩淵真奈選手が、高倉監督の狙い(願い)もあり、頼れるエースとして覚醒した感があったが、デフジャパンの岩渕亜衣選手は怪我のため今大会は試合に出場することは出来なかった。世界選手権、2021年のデフリンピックでは存分に実力を発揮してくれることだろう。

久住呂監督は、2021年デフリンピックで世界トップ3を目指している。アメリカやロシア、ポーランド等とのチーム力の差は現状ではまだまだかと思うが、少しずつステップアップしていることは間違いないだろう。
今後のデフサッカー女子日本代表の躍進に期待しています。

監督選手のコメント、試合の詳細等は以下を参照
http://jdfa.jp/news/deaf_soccer_women_korea_201804/

一方、男子はグループリーグ2戦を終えた段階で1勝1分け、5月2日のマレーシア戦に勝てば準決勝進出となる。男子はアジア各国の実力も上がっており優勝までの道のりは容易ではないが、是非、いい結果を持ち帰ってほしい。