日々雑感

心に浮かんだこと何でも書いていく。

塩加減4-7

2009年12月12日 | Weblog
           塩加減

奥さんにこれをあげよう」
師は気軽におっしゃって師の著書。「あるがままでいええやないの」

を贈ってくださった。師は余白にサラサラと筆を走らせて。なにやら書き込んでから手渡された
恐る恐るを開けたページには、墨のことも鮮やかに「塩加減」とあった。
塩加減。私はニヤリとした。市は初対面の我々夫婦の中を即座に読み取って書いてくださったのだろうか。そう。塩加減一つで、人生楽しくもあり、つらくもある。

3度3度の食事のうまさの元は正に塩加減一つであるし、食べ物にとどまらず、夫婦関係も塩加減一つで、愉快にもなり、不愉快にもなる。

 さて、一口に塩加減というが、これがなかなか難しい。塩が足りないと、ノンベンだらりと間延びして、すかみたいで、つまらないことおびただしいが、さりとて、効きすぎると顔を引きつらせる。
ほどほどのがいちばん良いのだが。それが難しい。

 江戸時代、農村に浸透する貨幣経済によって幕府や武士が疲弊していくのを食い止めようとして、コメの価格の調整を自らの手で行おうとして、コメの価格に振り回され、米将軍の異名をとった将軍がいたが、考えてみれば、彼と同様、塩加減、甘さからさの調節を求めて、生涯振り回されているのが案外、我々の一生かもしれない。
そして、塩加減、たった3文字の中身が分かりかけてくる頃になるとお迎えがやってくる

作成日: 06/11/28